戦場のピアニスト(The Pianist)のネタバレ解説・考察まとめ
第二次世界大戦中、ナチスドイツ弾圧下のワルシャワにて、あるピアニストが過酷な状況の中生き延びている。家族と切り離され、他のユダヤ人たちと強制労働をさせられる日々。今日の命の保証もなく、迫害と労働は続く。終戦と平和を願って生きるピアニストとユダヤ人に穏やかな明日は来るのだろうか。
2002年公開、カンヌ国際映画祭最高賞パルムドール受賞およびにアカデミー賞7部門ノミネート、3部門受賞作品。
『戦場のピアニスト』(The Pianist)というタイトルが付けられているが、音楽を演奏するシーンはほとんど存在しない。それもそのはず、ドイツ軍から弾圧が始まってから、職業の制限、収入の制限、最終的には強制労働させられることになり、ピアノを弾いていられなくなるからである。シュピルマンも自分のピアノを早々に売ってしまい、生活費にする。シュピルマンの演奏シーンを静かに感動的に、じっくり捉えたシーンは一つ。終盤でホーゼンフェルトを前に、廃墟でショパンを弾くシーンである。薄暗く廃れた家の一室で、同じく肉体的にも精神的にも崩れそうなピアニストが、最後の一曲と覚悟して弾くのである。この映画まるまる一本が、このワンシーンのために撮られたかのように美しさが凝縮されてる。