世界観が気になる懐メロ『ハングリースパイダー』とそのPV

マッキーこと槇原敬之さんの、ミョーに切なく幻想的な曲。この曲を巡っては色々あったんですが、着目したいのはその世界観。そしてPV「叶わぬ恋」を虫の世界に託した歌、なんでしょうか…?

あらすじ・ストーリー

ある一匹の蜘蛛の物語。彼は毎日巣を作る。しかしそれは、虫を捕らえて食べるためではなく一匹の蝶の為。朝露に濡れる巣の美しさに微笑んだ蝶の笑顔に恋をし、「もしもあの子が巣にかかったら、逃がしてあげよう」と決意。しかし「餌」に恋をした彼は、他の虫をも食べられなくなっていた。空腹の中、蝶が巣にかかる。

私的感想

切ない、美しい。とりあえずはそんな所。「叶わぬ恋」ってそれだけで燃えるものがあります。ことにこの蜘蛛の場合は、恐らく蝶に恋をしたことで虫を取って食べる行為に抵抗が生じたのかもしれません。タイトルがタイトルですし、歌詞の中でも空腹であることは描かれています。我が身を死の危険に晒してまでの恋。叶うはずがない恋なのに、彼は捕食をしないのです。それが愚かしいのか美しいのか。そこでまず賛否両論分かれそうです。というか、そんな単純な問題でもない模様。

何か男女間の恋愛感情のすれ違いというか、片思いの哀しさを感じるとともに、「ストーカー」なんて言葉も浮かんでくるんですよね。蜘蛛は蝶を追い回しませんが(飛べないとかは置いといて)、気を引くため毎日巣を張り直します。その行為が何だかストーカー的。実際の蜘蛛の生態がそうなのだとしても、擬人化されている上恋愛感情という要素も絡んでいるためストーカー的にも思えるのです。

実際、捕まった蝶は食べられる(危害を加えられる)と思い、蜘蛛を捕食者(恐ろしい相手)として見ていました。蜘蛛に食べる(危害を加える)つもりはなくとも、「そういうものだ」との思い込みから、解放されるやすぐに逃げ出した。蝶の行為、女性側としては賛成してしまいます。蜘蛛はかわいそうだけれど、こればっかりはどうにもこうにもなりません。その点がモヤモヤします。蜘蛛にも蝶にも感情移入できる分、どっちが悪いと言い切れないのがどうにも。

PVの意味は?

PVの中で、槇原さんが若い女性に『ハングリースパイダー』の物語を紙芝居のように語って聞かせ…という内容。ところどころ挿入される演奏場面は槇原さんの心情なんでしょうか。物語に引き込まれていった女性が最後に取った行動、ラストの意味は?恋も何もかも、一筋縄ではいかない、ということでしょうか。癖のある曲調、ストーリー、世界観何もかもが妙に引き付けられます。それは何故なのか。蜘蛛の巣にかかったようにがんじがらめになった気分に陥ります。名曲ですけどね。

この世界は、それこそ蜘蛛の巣模様のように複雑ということでしょうか。

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