今、歴代の文学者たちを現代的に解釈し、再構築した作品が増えています。
文学者たちが活躍するマンガの代表的存在として挙げられるのが『文豪ストレイドッグス』です。
こちらは、実在した文豪たちの「文豪能力バトルマンガ」として話題を呼び、ついにアニメ化も!
教科書にも載っている日本を代表する文豪・中島敦、太宰治、谷崎潤一郎らがイケメンキャラクター化されている……!
と、はじめは衝撃を受ける読者も多いようですが、見ているうちにハマってしまった!というファンが続出しています。
今や「文学者やその周辺の世界をモチーフとして、現代風キャラクターとして登場させる」というマンガは、一つの作品ジャンルと言えるほど増えています。
その、一部の作品をご紹介いたしましょう。
文豪をキャラクターとしながら、その内容はとことん「ギャグ」!
芥川がラノベ執筆を頼まれて秋葉原へ足を運んだり、生涯独身の宮沢賢治が婚活パーティに参加したり……。
現代と近代の両方の要素がミックスされたネタが散りばめられ、文学にうとい人にも楽しめる内容です。
主人公の女性は、不動産屋の新入社員。
家賃回収の仕事を命じられ、赴いたアパートには夏目漱石、川端康成、樋口一葉、石川啄木、森鴎外などの文豪の幽霊が住んでいた!という設定からはじまっていくストーリー。
マンガとしてのストーリーを追っていく中で、近代文学者たちのちょっとニッチなエピソードを知っていくことができます。
「楽しく学べる学研コミックエッセイ」というレーベルから出版されているため、教養書としての役割も果たしてくれる一冊。
文学者の生き様やキャラクターに焦点を当てた作品は多くあれど、「木曜会」をピックアップした作品はなかなかめずらしいのではないでしょうか。
夏目漱石の自宅で開かれていた木曜会は、教え子達との議論の場となっていました。
マンガの中では、漱石と周辺作家たちの交流が描かれ、日常系コミックの延長として当時の生活を垣間見えることができます。
詩人・萩原朔太郎の「作品からイメージした世界」を擬人化した作品です。
室生犀星や北原白秋、中原中也などの周辺作家も登場。
どこまでが本筋でどこからが主人公の妄想か分からない、特殊なストーリー構成になっており混乱と錯乱の中で作品をつむいでいた萩原朔太郎への敬意が感じられます。