これは試験か終焉か? 映画「400デイズ」の終わり方が意味深過ぎる!
世界がいつのまにか終焉を迎えていたら。目まぐるしく変わる展開と張り巡らされた伏線。一体どこまでがウソで、どこからが真実なのか。常に何かを疑わずにはいられないようなストーリーにあなたは息をするのも忘れてしまうことでしょう。映画「400デイズ」をご紹介致します。
あらすじ・ストーリー
地下に建設された施設内で400日にわたって生活するという実験に、4人の宇宙飛行士が参加する。順調に地下での生活を送っていた彼らだが、実験開始から200日目に地上の本部へメッセージが送れなくなってしまう。その後、彼らは幻覚にも悩まされるようになる。そして実験開始373日目に、外からハッチをたたく音が施設内に響き渡る。実験を中断して地上に出る宇宙飛行士たちだったが。その前には荒野が広がっていた。さらに、地球上には存在しないはずの物質が大気中に確認され……。
スピーディーな展開と視聴者に結末を委ねるラストはグッド
宇宙飛行士候補が一時的ではあるにせよ刑務所に入っていたという少々リアリティに欠ける始まり方をする今作ですが、その後の展開はスピーディーで読者の目を離しません。至る所に伏線が散りばめられ、それが今後どのような形で活かされるのかドキドキさせてくれます。中盤までは密室空間で物語が進み、そこから終盤にかけては荒廃した世界が舞台となります。SFホラーの要素もあったりして、伏線と共に観る者を楽しませてくれます。
ラストは映画「インセプション」に見られるような、読者に結末を委ねる形となっています。明示しないという形のエンドはこの作品に合っていると言えるでしょう。結末をぼかしたほうが余韻が残る作品ですからね。全ての謎が解けてスッキリ、とはいきませんがそもそもミステリーではないので個人的には好きな部類の終わり方に属すると感じました。
投げっぱなしの伏線と、足りないにも程がある描写
至る所に伏線が散りばめられていると言いましたが、その多くは回収されません。ドキドキさせておいて、結局真相は闇の中、ということです。どうなったかはご想像にお任せするという言い方を取れば良いのかもしれませんが、しかしこれは匙を投げた、という表現の方が正しいでしょう。途中で予算でもなくなったのかな、と作品外のことに思いを馳せてしまうほどに投げやりな終わり方です。個人的には好きな幕切れの仕方だったのですが、その点だけは残念ですね。
描写不足は顕著です。何かヒントを与えられ、それを元にしてあれはどうなった、これはどうなったと推理できるものはほぼ皆無で、「結局あれはどうなったの?」とエンドロールの最中に思わず疑問符を頭の上に掲げてしまいます。風呂敷を広げてしまったと言うほど壮大な世界観があるわけでもないので、これはかなり消化不良です。意味深なセリフや描写に説明がつかない時のモヤモヤたるや、もはや観なかった方が良かったのではと思うほど。
まとめ
個人的にはかなり好きな映画だったのですが、やはり所々に見られる穴が気になりました。細かいところを突けば相当の数の粗が見つかることでしょう。続編ができるような作品でもありませんので、これはひとえに制作側のミス、あるいは手抜きと言えるかもしれません。もう1歩踏み込めばかなり良質の映画になったとも思いますので、その点はとても残念です。細かいことは気にならず、全体的な雰囲気さえ良ければそれでオッケーという方はご観賞してください。