チャップリンからのプレゼントとは? 映画「チャップリンからの贈りもの」
1978年にスイスで実際に起きた事件をベースにした今作。喜劇王チャップリンの遺体を盗み出し、大金を手にしようとする男2人の運命を描いています。コメディ作品かと思えが意外にシリアルで、しかしその中でも時折クスリとさせてくれます。チャップリンの贈り物とは一体何なのか。映画「チャップリンからの贈りもの」をご紹介致します。
あらすじ・ストーリー
1978年、スイスのレマン湖畔。貧しい生活を送り、妻の入院費も払えないオスマン(ロシュディ・ゼム)。そんな中、チャールズ・チャップリン逝去のニュースが流れる。すると親友エディ(ブノワ・ポールヴールド)からとんでもない話を持ち掛けられる。それは埋葬されたチャップリンの遺体を盗み、その返却と引き換えに家族から大金をせしめようというものだった。こうして、犯行に加わることになってしまうオスマン。だが、次々とトラブルが噴出し……。
実際の事件をベースにしているということに驚愕した
こんな事件が本当にあったのか。思わず絶句してしまいます。全てが全て本当ではないでしょう。しかしベースとなった事件があること自体に驚いてしまいます。設定が設定だけにコメディに皮肉というスパイスを振りかけた作品かと思いきや、内容は意外にシビア。2人の男の侘しい境遇が淡々と描かれ、サスペンスではなくきちんとドラマとして物語は描かれています。しかしそれでいて2人のずれた掛け合いだったり、秘書役の性格といったところでクスリと笑わせてくれます。
残念だったのはハイライトであるクライマックスが短かったこと
この作品のハイライトは間違いなくクライマックス部分である法廷のシーンでしょう。チャップリンの遺体を盗んだ2人がどんな裁きを受けるのか。おそらく普通の作品、普通の国だったならば普通に罪状を言い渡されて終わりになることでしょう。でもこの映画は一味違います。スイスという国が関係しているのか、はたまたチャップリンという存在が影響しているのか、結末は思いもよらぬものとなります。これはクライムストーリーではなく、ヒューマンドラマなのだということを改めてそこで思い知らされました。
しかし残念なことにこのシーンは異様に短い。もっと尺を取っても良いくらいだと思ったんですけどね。そうすればラストの余韻もより深いものになったのではないかと個人的には思います。
チャップリンからの贈り物とは
チャップリンからの贈り物とは一体なんだったのか。私はそれをチャンスだと解釈しました。人は誰でも過ちを犯し、それによって人生を狂わせてしまう人も多くいます。しかし、もしそこでチャンスをもらえたら、人はどうするのでしょうか。人生をやり直す機会。それこそがチャップリンが男2人に与えたものではないのでしょうか。
まとめ
コメディ作品だと思って手に取り、中身のシビアさに若干驚かされましたが良い映画でした。チャップリンは死してもなお人々に影響を及ぼしているのだと感じられました。もしかしたら人によってはこの作品を地味だと感じるかもしれません。確かに地味な映画です。しかし、だからこそしみじみと胸に染み入るものがあります。ぜひ観て欲しい映画の1つですので、ぜひご観賞ください。