SHERLOCK/シャーロック 忌まわしき花嫁のネタバレ解説・考察まとめ

『SHERLOCK/シャーロック 忌まわしき花嫁』とは、2016年に公開された英BBC制作のドラマ『SHERLOCK』の特別編。日本では劇場公開された。通常の現代から原作同様のヴィクトリア時代へ設定を移し、未解決の怪事件「リコレッティ夫人の幽霊の謎」に挑む。テレビシリーズのシーズン1〜3を踏まえた緻密な伏線が多数張り巡らされており、何度も見返すことで面白さが増す巧みな構成が特徴である。その高いクオリティから、第68回エミー賞で作品賞テレビ映画部門を含む2冠を達成した。

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『SHERLOCK/シャーロック 忌まわしき花嫁』の概要

『SHERLOCK/シャーロック 忌まわしき花嫁』(英:Sherlock:The Abominable Bride)とは、イギリスのBBC制作によるテレビドラマ『SHERLOCK』の特別編となるドラマ・映画である。2016年1月1日にイギリスおよびアメリカでテレビ放映されたのち、20分の特別映像を追加したバージョンが劇場限定で公開された。日本では2016年2月19日に劇場公開をされている。

本作は、通常のテレビシリーズで描かれる現代のロンドンから、原作のシャーロック・ホームズシリーズと同様のヴィクトリア時代(1895年)へと設定を移しているのが大きな特徴である。ストーリーはコナンドイルの原作小説において「語られざる事件」の一つとして言及されていた「リコレッティ夫人の幽霊の謎」を軸に展開され、ホームズがその怪事件の謎に挑む姿が描かれる。
作中にはテレビシリーズのシーズン1から3の内容を踏まえた緻密な伏線が多数張り巡らされており、視聴を重ねるたびに新しい発見がある極めて巧みな構成となっている。その完成度の高さから、初見だけでなく何度も見返すことで作品の真の価値や面白みがより一層増す仕掛けとして機能している。

高いクオリティと卓越した映像表現は専門家からも絶賛され、2016年の第68回プライムタイム・エミー賞において実に8部門にノミネートされた。そのうち、作品賞テレビ映画部門と視覚効果賞補助視覚効果部門の2冠を達成している。授賞式には、共同制作者で脚本を務めたスティーヴン・モファットをはじめ、プロデューサーのスー・ヴァーチュー、メアリー・ワトソン役を務めた俳優のアマンダ・アビントンらが出席した。

『SHERLOCK/シャーロック 忌まわしき花嫁』のあらすじ・ストーリー

本作はテレビシリーズのシーズン3最終話『最後の誓い』直後の状況から始まり、シャーロック・ホームズの精神世界(マインドパレス)を通じて、19世紀のヴィクトリア朝ロンドンへと舞台を移す。ヴィクトリア朝のロンドンでは、挿絵誌の描写に合わせてホームズがインバネスコートに鹿撃ち帽を被り、ワトソンは口ひげを生やしている。また、ワトソンの書く小説における自身の扱いに不満を漏らすハドソン夫人の姿など、メタフィクション的なユーモアが随所に散りばめられている。

リコレッティ夫人の怪事件

物語の本筋は、原作小説において名前のみが言及される「語られざる事件」の一つ、「リコレッティ夫人の幽霊の謎」をベースに展開する。1895年のクリスマス、ベーカー街221Bに帰還したホームズとワトソンのもとへ、レストレード警部が不可解な事件の相談に訪れる。
エミリア・リコレッティという女性が、結婚記念日の当日にウェディングドレス姿でバルコニーから銃を乱射した末、自らの頭を撃ち抜いて自殺した。しかし同日の夜、死んだはずの彼女が夫の前に現れ、ショットガンで夫を射殺して夜霧の中へと消え去ったという。
ホームズらは謎を解明するためモルグ(遺体安置所)へ向かうが、検死官フーパーから遺体が間違いなく本人であるとの証言を得ると、ホームズは一時的に事件への興味を失う。しかしその後、同様の怪事件がさらに5件発生したことで事態は混迷を極めていく。

オレンジの種とモリアーティの影

その後、ホームズとワトソンは兄のマイクロフト・ホームズが在籍するディオゲネス・クラブを訪れ、レディ・カーマイケルに関する調査を依頼される。彼女の夫であるサー・ユースタスのもとに、死の警告を意味する「5粒のオレンジの種」が届き、花嫁の幽霊から殺害予告を受けたという。
ホームズらはカーマイケル邸で張り込みを行うが、一瞬の隙を突かれてサー・ユースタスは刺殺され、花嫁の姿をした犯人を取り逃がしてしまう。現場に残された短剣には、"MISS ME?"(寂しかったか?)という名札が残されていた。ホームズがベーカー街の自室で思考を巡らせていると、宿敵ジェームズ・モリアーティが幻影として現れ、ホームズの精神を揺さぶる。

ここで場面は現代へと切り替わり、シャーロックが薬物の過剰摂取によってチャーター機内で意識を失いかけている現実が明かされる。彼は「モリアーティが死後にいかにして復讐を果たそうとしているか」を解き明かすため、脳内で19世紀の未解決事件「忌まわしき花嫁」をシミュレーションしていた。

女性解放運動の秘密結社と真相

再びヴィクトリア朝の精神世界へと戻ったホームズは、ワトソンの妻メアリーからの電報を受け、廃教会へと急行する。そこでは、フーパーやジャニーン、ワトソン邸のメイドらを含む、女性解放運動の秘密結社が儀式を行っていた。
ホームズは彼女たちの前で事件の真相を暴く。リコレッティ夫人は、二挺拳銃の一方で偽装自殺を行い、別の遺体を使ってモルグを欺いていた。そして夫を殺害したのち、仲間の手によって本当の死を遂げ、遺体をすり替えたのである。
一連の事件は、女性に不当な扱いをする男性を「処刑」するための計画であり、サー・ユースタスを殺害したのも結社の一員であったレディ・カーマイケルだった。ホームズが花嫁のヴェールを剥ぎ取ると、その顔は再びモリアーティへと変化する。

精神世界からの覚醒

現実世界のシャーロックは、リコレッティ夫人の棺に別の遺体が埋められている可能性を突き止め、墓地を暴こうとするが、動く遺体に襲われる悪夢を見る。
再び精神世界へと引き戻されたホームズは、ライヘンバッハの滝の岩棚でモリアーティと対峙し、激しい格闘を繰り広げる。そこへ現れたワトソンの助けによってモリアーティは滝へと突き落とされ、ホームズ自身も覚醒のために滝へと飛び降りる。
現代の機内で完全に意識を取り戻したシャーロックは、薬物の摂取リストを破り捨て、モリアーティは確実に死亡しているものの、彼が遺した次の計画を見抜いたと宣言する。
最後にヴィクトリア朝のベーカー街でホームズとワトソンが今回の事件を『忌まわしき花嫁』と名付ける場面が描かれ、カメラがズームアウトすると、その外景は現代のロンドンへとシームレスに繋がっていく。

『SHERLOCK/シャーロック 忌まわしき花嫁』の登場人物・キャラクター

主要人物

シャーロック・ホームズ(演:ベネディクト・カンバーバッチ)

現代のホームズ

ヴィクトリア朝のホームズ

日本語吹替:三上哲
本作の主人公。現代のロンドンから脳内の精神世界(マインドパレス)を通じて、19世紀のヴィクトリア朝へと意識を飛ばす。ヴィクトリア朝の舞台では、挿絵誌の描写に合わせる形でインバネスコートを纏い、鹿撃ち帽を被る。現実世界における宿敵モリアーティの死後の謎を解き明かすため、1895年に起きた未解決事件「リコレッティ夫人の幽霊の謎」のシミュレーションに挑む。

ジョン・ワトスン(演:マーティン・フリーマン)

日本語吹替:森川智之
ホームズの相棒であり医師。第二次アフガン戦争での負傷を機に帰国し、スタンフォードの紹介でホームズと出会いベーカー街221Bで共同生活を始める。ヴィクトリア朝の舞台では挿絵に合わせて口ひげを生やしている。ホームズの精神世界においても頼れる相棒として行動を共にし、ライヘンバッハの滝の岩棚ではモリアーティからホームズを救う活躍を見せる。

ホームズの関係者

ハドスン夫人(演:ユーナ・スタッブス)

画像右

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