『パージ』とは、2013年に制作されたアメリカのホラー映画。年に一度、12時間だけすべての犯罪が合法化されたアメリカを舞台に、人々の心に潜む本性と社会の歪みが露わになる過程を描く。社会風刺を込めた挑戦的な舞台設定とテンポのいいストーリー、そして密室劇として高い完成度を誇り、公開当時の世界興行収入が9000万ドルを超えるヒットを記録した。監督は『交渉人』などのサスペンス作品で知られるジェームズ・デモナコ、主演はイーサン・ホークが務める。
『パージ』の概要
『パージ』(原題:The Purge)とは、2013年に制作されたアメリカのホラー映画。監督は『交渉人』などのサスペンス作品で知られるジェームズ・デモナコ、主演はイーサン・ホークが務める。
物語の舞台は、年に一度、12時間だけすべての犯罪が合法化されるアメリカ。殺人すら合法となったその夜、人々の心に潜む本性と社会の歪みが露わになっていく過程を描く。
人間という生物の本質を問うかのような挑戦的な設定と、密室劇としての緊張感が話題を呼び、本作はわずか約300万ドル(約3億円)の低予算ながら、公開当時の世界興行収入が9000万ドルを突破する大ヒットを記録した。別視点から同じ12時間を過ごした人物たちの物語が描かれた『パージ:アナーキー』『パージ:大統領令』『パージ:エクスペリメント』『フォーエバー・パージ』というシリーズ作品が制作され、「社会派ホラー」としての地位を確立している。
大手セキュリティ会社に務めるジェームズ・サンディンとその家族は、パージに参加することはなく、家の戸締りを固めて穏やかに一夜を過ごす計画を立てていた。しかし、末子のチャーリーが逃げ惑うホームレスの男性を家に匿ってしまったことにより、彼らは恐怖の一夜を過ごすことを余儀なくされる。
『パージ』のあらすじ・ストーリー
恐怖の一夜の始まり
2022年、アメリカでは犯罪率が1%以下という驚異的な数字をたたき出していた。
これを可能にしたのは、年に一晩だけ全ての犯罪が合法となる「パージ」という法律で、強盗や放火はもちろん、殺人までもがその対象だった。パージ当日、国民たちは自分や家族の命を守るために戸締りを厳重にして家に籠り、富裕層たちは自宅に特殊なセキュリティシステムを導入して過ごしていた。
パージをその日の夜に控えたある日、大手セキュリティシステム会社に勤めるジェームズ・サンディンは、自身が売り上げ1位の記録を達成したことに喜びながら帰路についた。しかし、ジェームズの妻であるメアリーは、近所の主婦グレースから自宅を増築したことに対する嫌味を言われ、思春期真っ盛りの娘のゾーイは、交際を反対されている年上の彼氏ヘンリーに夢中。末子のチャーリーは、暗視カメラを搭載させた改造おもちゃの「ティミー」で遊んでいたが、パージという法律に疑問を抱いている様子。
悲喜こもごものサンディン家だったが、やがて時間が来て、定刻通りにその年のパージが始まった。
暇を持て余し、自宅周辺を映す監視カメラを覗き見ていたチャーリーは、家の外で助けを求めて逃げ惑う黒人男性を発見し、こっそり家に引き入れてしまう。
その頃、ゾーイの彼氏であるヘンリーが、2人の仲を認めさせるためにジェームズを殺そうとサンディン家に忍び込んでいた。ジェームズとヘンリーは撃ち合いになり、ヘンリーは死亡。そのどさくさに、黒人男性は家の中のどこかに隠れ、姿を消してしまった。
パージャーたちの襲撃
しばらくすると、サンディン家には「逃げ込んだ黒人男性を引き渡さないと、一家全員を始末する」と脅す、不気味な仮面を身に付けた男女の集団がやってきた。富裕層である彼らは、毎年パージの日に貧困層の人々を誘拐し、殺人をゲームのように楽しんでいる極悪人だ。家族の安全を守ろうと考えたジェームズとメアリーは、黒人男性を引き渡す判断をして彼を探すが、チャーリーが先手を打って、既に男性を自分の秘密の場所に匿っていたのでそれは叶わなかった。
しかしその時、ヘンリーが父を殺そうとしたという事実と彼の死にショックを受け、チャーリーの部屋に隠れようとしたゾーイが黒人男性の人質になってしまう。一家を道連れにしようとする男性と、彼を追い出して、家族を守ろうとするジェームズは対立し、ジェームズは男性を拘束する。
すると、メアリーは「自分たちの安全のためだけに、彼を殺人者に突き出そうとした」という自分の行動が恐ろしくなり、怯え始める。チャーリーは父を軽蔑するかのようにその場から逃げ出し、ゾーイは「彼を突き出せば、自分たちは家族には戻れない」とジェームズを拒絶する。
誰よりも家族の身を案じていたジェームズだったが、その行動ゆえに、彼は孤立してしまうのであった。
静かな夜明け
ジェームズの状況を見かねた男性は、バラバラになりかけているサンディン一家を救うため、自らパージャーたちの前に出ていくことを決める。
しかしジェームズはそれを押しとどめた。彼自身もここでこの男性を突き出せば、自分を許せなくなるという判断を下したのだ。
サンディン一家の面々は、セキュリティを突破して家に侵入してきた集団と、徹底的に戦うことを決意。彼らは徹底的に抵抗し、パージャーたちを手こずらせる。
しかし、この戦いのさなか、ジェームズが隙をつかれて刺され、命を落としてしまう。
一方、侵入者に捕まって殺されそうになっていたメアリーは、武器を持って現れた近所に住むハルヴァーソン夫妻に救われていた。
ジェームズの命という最大の犠牲を払ってしまったものの、残された家族の絆を確認しあう彼らの前に、近隣住民が集まってきた。
救ってくれたことを感謝するメアリーに向かい、近隣住民たちは「ずっと憎んでいたからこの機会に殺してやる」と告げる。「自分たちが高いセキュリティシステムにお金を払っているから生活できているというのに、豪邸に住んでいることを見せつけるかのような、能天気なサンディン家を許せなかった」というのが理由だった。
ジェームズという家族を失い、近隣住民からの裏切りに遭って、絶体絶命に陥ったメアリーたちを救ったのは、匿っていたホームレスの男性だった。
メアリーは近隣住民たちに怒りをぶつけたものの、彼らに報復する事はなく、おとなしく一晩過ごすことを強要する。
そしてパージの夜が明け、1人、また1人と住民たちはサンディン家を後にしていくのであった。
『パージ』の登場人物・キャラクター
サンディン家
ジェームズ・サンディン(演:イーサン・ホーク)
日本語吹き替え:楠大典
サンディン家の大黒柱。近隣の家のセキュリティシステムを賄う大手セキュリティ会社で、営業成績トップを誇るセールスマン。
いかにも金持ちといった傲慢な一面も窺えるが、根は家族思いで善良。
メアリー・サンディン(演:レナ・ヘディ)
日本語吹き替え:本田貴子
ジェームズの妻。比較的おとなしい性格の女性だが、子どもたちへの愛情は深く、家族の危機に立ち上がる強さを持っている。近隣住民との関係には表面上の笑顔の裏に微妙な緊張がある。
ゾーイ・サンディン(演:アデレイド・ケイン)
サンディン家の長子。年上の彼氏とオシャレに夢中な今時の10代の女の子。反抗期真っ盛りのため両親への冷たい態度が目立つが、今回のパージでは家族を守るべく奮闘する。
チャーリー・サンディン(演:マックス・バークホルダー)
サンディン家の末っ子長男。聡明で心優しく、自宅付近に逃げてきた富裕層に追われる男を手助けした。ラジコン操作が得意で、探索などの場面に役立てている。
サンディン家の近隣住民たち
目次 - Contents
- 『パージ』の概要
- 『パージ』のあらすじ・ストーリー
- 恐怖の一夜の始まり
- パージャーたちの襲撃
- 静かな夜明け
- 『パージ』の登場人物・キャラクター
- サンディン家
- ジェームズ・サンディン(演:イーサン・ホーク)
- メアリー・サンディン(演:レナ・ヘディ)
- ゾーイ・サンディン(演:アデレイド・ケイン)
- チャーリー・サンディン(演:マックス・バークホルダー)
- サンディン家の近隣住民たち
- ホームレスの男(演:エドウィン・ホッジ)
- ヘンリー(演:トニー・オラー)
- グレース・フェリン(演:アリヤ・バレイキス)
- ミスター・フェリン(演:ダナ・バンチ)
- ミスター・ハルヴァーソン(演:クリス・マルケイ)
- ミセズ・ハルヴァーソン(演:ティシャ・フレンチ)
- ミスター・カリ(演:トム・イー)
- パージャー
- パージャー1(演:リース・ウェイクフィールド)
- パージャー1以外のパージャーたち
- 『パージ』の用語
- パージ法
- 青い花
- ティミー
- 『パージ』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- パージャーたちの襲撃
- 『パージ』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- ありえないとも言い切れない設定
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