『クリムゾン・ピーク』(Crimson Peak)は、2015年のアメリカ映画。『パンズ・ラビリンス』などで知られるギレルモ・デル・トロ監督作のゴシック・ホラー映画で、死者の魂と通じ合う能力を持つひとりの女性作家が、屋敷に巣食う幽霊たちに導かれながら、夫と義姉がひた隠しにする真相を暴くまでを描いている。ミア・ワシコウスカやトム・ヒドルストンらをはじめとする豪華な出演者や、あらゆる視覚情報を細部にまで拘って制作された、美しい映像でも話題となった。
『クリムゾン・ピーク』(Crimson Peak)の概要
  『クリムゾン・ピーク』(Crimson Peak)とは、2015年に公開されたアメリカのゴシック・ホラー映画。『パンズ・ラビリンス』『シェイプ・オブ・ウォーター』などの話題作で広く知られる、ギレルモ・デル・トロが監督を、ミア・ワシコウスカやトム・ヒドルストンら人気俳優が主演を務める。
デル・トロは本作の制作にあたり、ロバート・ワイズの『たたり』や、ジャック・クレイトンの『回転』のようなゴシックホラーの殿堂ともいえる作品を理想として掲げ、自身が愛する『オーメン』や『エクソシスト』『シャイニング』など、ホラー映画の伝統的手法を取り入れた作品作りを目指したという。脚本には『ジョーズ』などで知られるマシュー・ロビンスやイギリスの劇作家ルシンダ・コクソンも参加し、デル・トロ自身が「古典的である一方、現代的でもある」と自画自賛する意欲作として仕上げられた。また、ホラー作家のスティーブン・キングが「ゴージャス、そしてクソ恐ろしいっ!」と本作に対しての批評を残したことでも知られている。
死者の魂と通じ合う能力を持つひとりの女性作家が、屋敷に巣食う幽霊たちに導かれながら、夫と義姉がひた隠しにする真相を暴くまでを描いている。
物語の主な舞台となる「クリムゾン・ピーク」は、粘土質の赤土で地面が血のように見えるという架空の土地だが、CGなどは一切用いられておらず、カナダのトロント近郊に撮影用の屋敷を一棟建築して制作された。作品を通しての映像の色彩、セットの内装の色・形、ゴーストの特殊メイクをはじめとし、視覚から得られるあらゆる情報を細部までこだわって作られたことで、巧みに登場人物の心理状態を反映している。
本作のタイトルは当初『ホーンテッド・ピーク』となる予定で、結果として採用された『クリムゾン・ピーク』は撮影スタッフの間でのみ使われる通称のようなものだったということが明かされている。
『クリムゾン・ピーク』(Crimson Peak)のあらすじ・ストーリー
亡霊の忠告と父の不審死
  20世紀はじめ、ニューヨーク州北西部のバッファロー。実業家の父と2人で暮らす少女、イーディスは、死者の魂と通じ合う力を持っていた。イーディスは母が死んだ日の夜、母の亡霊から、クリムゾン・ピークに気をつけるように、と警告を受ける。
やがて大人になったイーディスは、同じ年頃の娘たちがファッションや恋愛に夢中になっているなか、小説を書くことに没頭していた。そんな変わり者のイーディスのそばには、同じく社交界で変わり者として扱われている、幼馴染の医者、アラン・マクマイケルの姿があった。
ある日、イーディスの父であるカーターの会社を、準男爵の爵位を持つ男、トーマス・シャープが訪れる。ビジネスの話をしに来ていたトーマスは、自身の発明した粘土掘削機への投資を持ち掛けてきたが、カーターは彼にどこか不審なものを抱いてその申し出を拒否した。
しかし娘のイーディスは、物腰が柔らかく、自身が書いた小説を褒めてくれるトーマスに心魅かれていくようになってしまう。情報屋を雇ったカーターは、トーマスと彼の姉の身辺調査を依頼した。そしてその素性を知ったことから、2人に手切れ金を渡して追い返す。
しかし、トーマスと彼の姉がイギリスへと旅立つ日、カーターはクラブの浴室で何者かに殺害されてしまうのであった。イーディスらと共に遺体を見たアランは疑念を抱き、ひとり真相を調査し始める。
父を失ってすっかり気落ちしたイーディスは、自分を見初めたトーマスと結婚して彼の屋敷で暮らすことを選んだ。
トーマスの屋敷では先に帰国していた姉のルシールとも同居することになるが、その頃からイーディスは再び母の亡霊に会い、それを皮切りにするかのように屋敷のいたる所で幽霊を見かけるようになる。
不安に思った彼女は夫となったトーマスに相談したものの、粘土掘削機の開発に夢中な彼はろくに話を聞くこともなく、イーディスの話を「気のせい」と扱って取り合ってくれない。
その頃、カーターの死の真相を追っていたアランは、シャープ姉弟の身辺調査を行った探偵のホーリーから彼らの素性を聞かされていた。アランはイーディスの危機を察し、彼女を救うために急いでイギリスに向かう。
暴かれる真相
  幽霊を見かけるようになったイーディスは、次第に体調不良に悩まされるようになった。
この状況に違和感を抱いていた彼女は、単独で夫とこの不気味な屋敷の調査を進めていた。そしてその調査は実を結び、トーマスに複数の女性との結婚歴があることと、この屋敷の維持、そして粘土掘削機ビジネスのため、婚約者たちの財産を奪い取った後に毒殺していたことを突き止める。
過去の妻たちと同じように、毒を盛られていたイーディスは弱ってしまい、部屋に籠るようになってしまう。
ある日の夜、イーディスはトーマスに毒殺された婚約者の幽霊に導かれて部屋を出る。幽霊の案内に従って最上階の部屋に向かうと、そこではトーマスとルシールが情事に耽っていた。
彼らの秘密を知ってしまったイーディスはルシールに殺されそうになるが、そこに現れたアランに助けられて一命を取り留める。アランはルシールに実母殺しの過去があることを暴露するが、その口封じのためにルシールとトーマスに襲われ、刺されてしまう。
捕らわれの身になってしまったイーディスは、カーターの遺産の譲渡を迫られる。
この時の話でルシールが父を殺したことを知ったイーディスは、隙をついてルシールを刺し、脱出に成功する。しかしそこにトーマスが現れ、アランは生きていると知らされる。トーマスはさらに、深手を負ったルシールに対し、これ以上人を殺してはいけない、と訴えるのであった。しかしその声は届くことはなく、彼が妻のイーディスを愛していることを知って激昂したルシールの手により、トーマスは無残にも殺されてしまう。
嫉妬に駆られて我を忘れたルシールはイーディスも手にかけようとするが、イーディスを守るために現れたトーマスの幽霊に気を取られ、隙をついたイーディスに反撃されたことで命を落とした。
窮地を脱したイーディスはアランと共に屋敷を脱出し、後にこの経験を綴った『クリムゾン・ピーク』という小説を出版するのであった。
『クリムゾン・ピーク』(Crimson Peak)の登場人物・キャラクター
主要人物
イーディス・カッシング(演:ミア・ワシコウスカ)(幼少期演:ソフィア・ウェルズ)
      
    
  日本語吹き替え:山村響
本作の主人公。属に言う「霊媒体質」を持っており、幽霊の姿を視認したり、通じ合うことができる。人付き合いはあまり得意ではなく、同年代の娘がドレスや恋愛に夢中になる中、小説を執筆して過ごしていた大人しい女性。幼い頃に母を亡くし、その後父も亡くして身寄りを失ったことでシャープ準男爵家に嫁入りし、一連の事件に巻き込まれる。
トーマス・シャープ(演:トム・ヒドルストン)
      
    
  日本語吹き替え:平川大輔
準男爵の爵位を持つ、イギリス国籍の男。表向き、粘土掘削機ビジネスに投資をしてほしいとの理由でカッシング家を訪れたものの、不審に思ったカーターに身辺調査を入れられて断られてしまう。それを理由にカーターを処分し、身寄りを亡くしたイーディスと結婚することでその遺産を乗っ取ろうと目論んだ。クリムゾン・ピークに屋敷を所持しており、同居する姉のルシールと共謀して同様の犯罪を繰り返している。
ルシール・シャープ(演:ジェシカ・チャステイン)
      
    
  日本語吹き替え:甲斐田裕子
トーマスの姉。彼とともにカッシング家を訪れ、カーターを処分した実行犯。弟のトーマスに懸想し、体の関係も持っている。非常に嫉妬深く、過去のトーマスの婚約者も実際に処分してきたのは彼女であることが作中で示唆されている。
アラン・マクマイケル(演:チャーリー・ハナム)
      
    
  日本語吹き替え:阪口周平
イーディスの幼馴染の医師。同じく「社交界の変わり者同士」として交流を続ける一方、彼女に想いを寄せている。カーターの主治医でもあり、彼の死にシャープ姉弟が関わっているのではないか、と疑念を持ったことで独自に調査を開始し、彼らの本性を突き止めている。
イーディスの関係者
カーター・カッシング(演:ジム・ビーヴァー)
      
    画像左の髭をたくわえた男性がカーター。
目次 - Contents
- 『クリムゾン・ピーク』(Crimson Peak)の概要
 - 『クリムゾン・ピーク』(Crimson Peak)のあらすじ・ストーリー
 - 亡霊の忠告と父の不審死
 - 暴かれる真相
 - 『クリムゾン・ピーク』(Crimson Peak)の登場人物・キャラクター
 - 主要人物
 - イーディス・カッシング(演:ミア・ワシコウスカ)(幼少期演:ソフィア・ウェルズ)
 - トーマス・シャープ(演:トム・ヒドルストン)
 - ルシール・シャープ(演:ジェシカ・チャステイン)
 - アラン・マクマイケル(演:チャーリー・ハナム)
 - イーディスの関係者
 - カーター・カッシング(演:ジム・ビーヴァー)
 - ホーリー(演:バーン・ゴーマン)
 - その他の人物
 - アランの母(演:レスリー・ホープ)
 - 出版社の編集長(演:ジョナサン・ハイド)
 - 登場する幽霊たち
 - イーディスの母/シャープ姉弟の母(演:ダグ・ジョーンズ)
 - マーガレット/パメラ/エノーラ(演:ハビエル・ボテット)
 - 『クリムゾン・ピーク』(Crimson Peak)の用語
 - クリムゾン・ピーク
 - 『クリムゾン・ピーク』(Crimson Peak)の名言・名セリフ/名シーン・名場面
 - イーディスを庇うトーマスの幽霊
 - 『クリムゾン・ピーク』(Crimson Peak)の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
 - 細部までこだわって制作された本作の世界観
 
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