80-90年代における漫画・アニメの「ワガママヒロイン」特集
「ヒロイン」というものに夢を見すぎではなかろうか?ジブリアニメに出てくるような、母親やお姉さんのように見守り、支えてくれる…制作陣がそう思ったのかどうかはわかりませんが、80年代から90年代にかけ活躍した「ワガママなヒロイン」というものについてまとめてみました。
世界的漫画の初ヒロイン!でもワガママ!『ドラゴンボール』ブルマ
まずはブルマ。現在放送中の『ドラゴンボール超』にも登場していますね。『超』では一時の母となっていますが、初期の頃は高校生でした。彼女の目的は「ドラゴンボール探し」。その最中に出会った悟空から「少し借りるだけ」として「じっちゃんの形見」たる四星球をせしめ、「強いからボディーガードにしよう」などと目論みます。
10代半ばにして、ドラゴンレーダーを始めとする様々な発明品を作るほどの天才であり、ごらんのとおり美貌。しかも実家は大金持ち…これだけ揃っていたら多少ワガママになるのも無理はありません。
悟空見捨てて逃げようとしますけど。
肉は絶対食べません!『ふしぎの海のナディア』ヒロインナディア
お次は『GAINAX』によるNHKアニメ『ふしぎの海のナディア』より、ナディア。サーカスで不遇な少女時代を過ごし、自分の出自も分からない。そんな彼女の前に現れたのが、発明家を夢見る少年ジャンと、ナディアの胸に光る宝石ブルーウォーター(飛行石じゃありません)を狙う、三悪をモティーフにした三人組。ナディアの相棒的な存在のライオンの子、キングをはいめ両親を亡くした少女マリーや、超文明を備えた船ノーチラス号の乗組員など、キャラクターも多彩です。「君を故郷に連れて行ってあげる」と、ジャンはどこまでも純粋かつ健気にナディアの故郷探しの協力を買って出るのですが…。
ナディアも結構「ワガママ」です。特に、食事に関して。卵は食べる癖に肉や魚を食べない。そこは別にいいでしょう、食の好みや主義主張は個人の自由です。しかし、無人島に流れ着こうがどんな状況にあろうが、「肉入れたわね!」とブチ切れるのはいかがなものでしょうか…あまつ、「肉や魚を食べる人皆嫌い」といって勝手に孤立、4歳のマリーに説教される始末です。
ラブソングを作ってもらっても「へたくそ」と言って立ち上がってしまったり…まあ実際音痴でしたし、内容にもナディアの性格を悪気なく責める部分もありましたけども。しかし、根は優しい、というか「悪」に対して潔癖な少女でもあります。サーカス時代、仲の良かった象が安楽死させられる光景や、市場に売られる家畜の声を「聴いた」というトラウマ的な経験が、「自分が生きるためであっても他の命を奪う」ということに対する過度な拒絶反応の呼び水となっていることは確かです。
ワガママヒロインの魅力は
ブルマにしたって、自分に正直すぎるだけ。美しいのも、天才なのも、富豪なのも事実ですし、それを謙遜したって却って嫌味なだけです。「ワガママヒロイン」とは、ともすると「精神的に飾らない、素直で純粋」な面が人を惹きつけるのかもしれませんね。まあ、漫画やらアニメだから「美少女」に描かれている、というビジュアル面での魅力が大半かもしれませんが。