歴史に葬られた天才を描く、映画「イミテーション・ゲーム」が面白すぎる!
エニグマというものをご存知でしょうか。第二次世界大戦中、ヒトラー率いるドイツ軍が暗号作成に用いていたマシンです。絶対解読不能と言われていたエニグマを、イギリスはどのようにして解読せしめたのか。その裏には天才数学者の姿がありました。今回はアカデミー賞8部門にノミネートされた映画「イミテーション・ゲーム」をご紹介したいと思います。
あらすじ・ストーリー
第2次世界大戦下の1939年イギリス、若き天才数学者アラン・チューリングはドイツ軍の暗号エニグマを解読するチームの一員となる。高慢で不器用な彼は仲間から孤立して暗号解読の作業に没頭していたが、やがて彼を理解する者が現れ、彼自身も徐々に変化していく。いつしか一丸となったチームは、思わぬきっかけでエニグマを解き明かすことに成功するが……。
時として誰も想像しないような人物が想像できない偉業を成し遂げる
アラン・チューリングという実在の人物を題材にしたこの映画は、現在と過去を行き来しながら物語が進んでいきます。アランの天才ぶり、奇人ぶりを随所に示しつつ、エニグマ解読という大きすぎる目標に向かって邁進する人々の人間模様を描きます。しかし、解読がこの映画の終着点ではなく、その後も悶着があります。かつて同性愛は罪だったこともあって、チューリングは逮捕され、そして彼のエニグマ解読という功績は50年以上にもわたって政府に隠され続けていました。
この映画はエンターテインメントの側面ももちろんありますが、歴史の闇に葬られた偉大な人物の功績を称えるべくしして作られた側面もあるかと思います。彼が暗号を解読して救われた人はおよそ1400万人以上とも言われ、また戦争終結を2年も早めたと言われています。彼のおかげで間接的に救われた人物は世界に多く存在し、もしかしたら私も、あなたもその一人かもしれないのです。
あなたが普通じゃないから、世界はこんなに素晴らしい
アランの理解者であるクラークが、ラスト付近で彼に語る言葉です。確かにアランは普通ではありませんでした。確かに天才でしたが、それ以上に、いえそれゆえに世界とは相いれない存在だったのでしょう。しかしクラークは見事な言い回しでアランを肯定し、さらには世界との結びつきを示します。鳥肌もののセリフでしたね。このセリフを聞けただけでも、今作を見て良かったとさえ思いました。
海外メディアではその歴史的非正確性がやり玉に挙がっていたりしますが、個人的にはそれは気になりません。私が見たのは歴史ではなく、あくまでそれを題材にした映画です。いわばフィクションなわけですからね。リアリティとリアルは区別するものであって、歴史的に間違っているからといってこの作品が貶められることはおそらくないでしょう。
まとめ
本当に面白い映画でした。暗号解読のみに焦点を当てるのではなく、アランという一人の人物にフォーカスを集め、その最期まで描写したのは見事です。また、アランを演じたベネディクト・カンバーバッチの演技も最高でした。細かな挙動からアランという天才を表現してみせていましたね。最初から最後まで完璧な映画で、これはぜひとも皆さんに観て頂きたいです。TSUTAYAでレンタル開始されていますので、ぜひご観賞ください。