殺し屋1（漫画・映画）のネタバレ解説・考察まとめ

2023.02.19

『殺し屋1（いち）』とは日本のバイオレンスアクション漫画である。原作は山本英夫で1998年から週刊ヤングサンデーに掲載されていた。過激な暴力表現が特徴であり、2001年に三池崇史監督で実写映画化された時にはあまりにも激しい暴力シーンのため、性描写以外では初のRー18指定となった。元いじめられっ子の主人公「城石一（イチ）」は謎の男（ジジイ）のマインドコントロールによって凄腕の殺し屋に仕立て上げられていた。新宿歌舞伎町にある「ヤクザマンション」を中心にした暴力団との攻防・混沌を描く問題作。

『殺し屋1』の名言・名セリフ／名シーン・名場面

垣原組発足の見せしめシーン

ヤクザマンションを落下する西城。

安生亡き後、三光連合を破門された垣原は「垣原組」として仕切り直すことにした。その後マンションから出た垣原組の連中は、マンション中の見物人が自分たちを笑っていることに気づいた。そして西城という船鬼組で今一番勢いのある組員が垣原に因縁をつけてきた。西城は垣原に銃を突きつけたが、逆に奪われ銃禁止のマンション内で太ももを撃たれる。西城はマンションのヘリに身を乗り出す形で垣原に押さえられた。そして西城の尻穴に銃を差し込んだままマンション中に響くように「ヤジ馬ども聞いてるか！！オレを殺りたきゃいつででも殺りに来い！！」と言い、見せしめに西城の尻をそのまま三発撃った。ことキレた西城は出血の勢いでそのままヘリから落下していった。重みのバランスで血を撒き散らしながら回転して十三階の高さから落ちていった。落ちた西城を見て垣原は「派手な事務所開きになっちまったな」と呟いた。
垣原の圧倒的な暴力が全面に出されたシーンでる。

映画版セーラの情夫の切断シーン

切断されたセーラの情夫

原作でもあるセーラの情夫の切断シーンだが、原作よりもじっくり身体が真っ二つになるこのシーンは衝撃的であった。セーラに暴力を振るっているとイチが自宅に侵入していた。泣きじゃくるイチに上から下に刃を振り下ろされ全身が縦半分に切られる。まず目の動きがおかしくなりその後ゆっくり左右に分かれていった。
このインパクトあるシーンは2019年にsupremeと「殺し屋1」がコラボしたパーカーなどにも使われた。

『殺し屋1』の裏話・トリビア・小ネタ／エピソード・逸話

ヤクザマンションは実在する

ヤクザマンションのモデルとなったマンションは「ライオンズマンション歌舞伎町」という実在するマンションである。新宿から徒歩3分のところに建っている。基本的にワンルームの部屋がほとんどで、数カ所2DKの間取りもある。
ヤクザマンションとは新宿にいくつか存在し、本作のようにヤクザたちが住み、日常的に物騒な事件も多い。

映画版ラストの意味とは

屋上で追い詰められる垣原。

映画版のラストは原作と大きく異なり、その謎については様々な考察がされている。
イチから逃げる垣原はマンションの屋上でイチと対峙する。後から来た金子がイチに殺され、それをタケシに見られる。イチは「ごめんなさい」と言いながら泣き喚きうずくまっているところを父を殺されたタケシがひたすら蹴り続けた。
垣原は放置されイチに相手にしてもらうこともなく、絶望し自らニードルで両耳の聴覚を奪った。無音の世界でイチを見るとイチは泣き止み、タケシの首を持って垣原の前に立っていた。ようやくイチは垣原に向かって攻撃を仕掛けた。振り下ろされたイチの足を垣原は防いだが踵の刃が垣原の額に傷をつけた。吹き飛ばされた垣原は中庭側の階段の手すりの上に着地した。バランスが上手く取れず垣原はそのまま転落していく。
垣原の死体のところへジジィは嬉しそうに歩み寄る。しかし垣原の額の傷はついていなかった。上を見上げてもイチの姿はなくジジィの表情は暗く沈んでいった。
あるマンション前の木で首を吊っているジジィの映像に切り替わる。木の下にはこちらを振り返る成長したタケシの姿があった。

諸説あるが一番多い解釈は、垣原が自ら耳にニードルを刺してからは垣原の妄想であるとされている。相手にならなくなったイチに絶望して自殺したのではないかという解釈だ。
実際のイチはタケシに蹴り付けられたままで立ち上がることはなかった。ジジィが上を見上げた時、イチの姿が見えなかったのはそのためだ。イチは本当はマンションの下を覗いていなかったのである。
また、イチが垣原を攻撃したのは幻想なので、垣原の額には実際の傷はついていない。
イチが使い物にならなくなったと知ったジジィは落胆し、その後首を吊って自殺する。父親を殺した者達の死に様を見届けたタケシはこちらを振り返るのである。