
Danz CMとは、アメリカのニューヨーク、ブルックリンを拠点に活動するシンセ・ポップバンド。DJ、ブロガー、グラフィックデザイナーなどで活躍するダニエル・ジョンソンによるソロ・プロジェクトで、当初は自身の音楽プロジェクト「Computer Magic」として活動を開始し、2020年5月に「Danz CM」へと活動名義を変更した。SF映画から影響を受けた、ファンタジックで宅録感溢れる電子音とアンニュイなボーカルが特徴の楽曲は「ベッドルーム・エレクトロ」と呼ばれるほど聴き心地が良いことで知られる。
Danz CM / Computer Magic(コンピューター・マジック)の概要
Danz CM(ダンジーCM)は、2010年からアメリカのニューヨーク、ブルックリンを拠点に活動するシンセ・ポップバンド。DJ、ブロガー、グラフィックデザインとマルチに活躍するダニエル・ジョンソン (通称ダンジー)が大学3年生の時に始めたソロプロジェクトである。当初は「Computer Magic」(コンピューター・マジック)として活動を開始し、2010年8月10日、EP『Hiding From Our Time』を発表し、2012年12月5日には日本限定盤アルバムとして『Scientific Experience』をリリース。収録曲の「Runnning」が2014年放送のレクサスのCMソングとして起用されたことで世界的な大ヒットとなり、ダニエルのルックスとオタクなキャラクターも「ニューヨークの宅録女子」として話題を呼んだ。2012年と2018年に来日公演を敢行しており、ライブはドラムやベースを入れた3人編成で行われており、音源とはまた違ったアレンジで観客を楽しませている。
2020年、「Computer Magic(コンピューター・マジック)はもう卒業したかった。内気なベッドルームポップの女の子はとっくの昔に卒業していたから」として、活動名義を「Danz CM」へ変更。
80年代のシンセポップを下敷きに、彼女ならではのポップメロディをチープで宅録観溢れるサウンドでアレンジしているのが特徴。16ビット時代のようなノスタルジックな電子音とアンニュイな声で、夢見心地のようだとされたその音楽性は「ベッドルーム・エレクトロ」と呼ばれている。
Danz CM / Computer Magic(コンピューター・マジック)の活動経歴
人口1500人の町からニューヨークへ
ダニエル・ジョンソンは1989年2月20日にニューヨークのキャッツキル山地という、人口1500人ほどの町で生まれ育った。この小さな町で幼少期を過ごした彼女は、両親の厳しいしつけの影響もあり、外で遊ぶことは少なかった。
14歳でレコード収集という趣味を見つけたダニエルは、翌年『Mewzick』という音楽ブログを開設している。学校に気が合う友達がいなかった彼女は家に籠もり、インターネットで自分の趣味を掘り下げるようになっていく。開設したブログを通じて人とのコミュニケーションを図り、自分がどういう音楽が好きかを発信して楽しんでいたという。
こうしてどんどん音楽に対する知識を蓄えていった彼女は、大学進学を機に大都市、ニューヨークへ移住すると同時にDJ活動をスタートさせる。
休暇中「なんとなく」始めた作曲が始動のきっかけに
2000年代当時のUKバンドにハマったことを起点とし、更にそこからルーツや背景を掘り下げていくことで培った彼女の知識は、音楽活動において非常に役立った。
こうして大学に入学してすぐDJやイベントのオーガナイザーに没頭していたダニエルだが、2010年ごろにフロリダで過ごした休暇中、「時間も持て余して、なんとなく」とシンセサイザーで曲を作り始めたことが、「Computer Magic」(コンピューター・マジック/のちのDanz CM)としての活動を始めるきっかけとなる。
この時彼女が「作りたい」と思って目指したのは、『2001年宇宙の旅』や『バーバレラ』など、大好きなSF映画の世界観を取り入れたシンセ・ポップ。しかし、宅録に対して知識がなかったダニエルはゼロからのスタートに手こずってしまう。
「ベッドルーム・エレクトロ」の称号獲得
ぎこちない手つきで作るシンセ・ポップは、なかなか理想の「未来っぽい音楽」にはならなかった。しかし、「Computer Magic」(コンピューター・マジック)という自身の音楽プロジェクトを始動し、SoundcloudやMyspaceに楽曲をアップしたりしていくうちに徐々にその魅力に気が付くファンが増えていく。
慣れないダニエルのぎこちなさとB級SF映画趣味は掛け合わさることで、夢見心地のような音楽になるというまさかの効果を産み出していたのだ。
そうして奇妙でマニアック、そしてファンタジックな音楽性で認知され始めた彼女は「ベッドルーム・エレクトロ」と表現される独自のジャンルを築いていった。
「チルウェイヴ・ブーム」の時代が追い風になってヒット
2011年、転機となる楽曲「The End Of Time」を発表。親しみやすく、どこかノスタルジーを感じる音楽性もさることながら、オーバーサイズの宇宙服を着て街を歩くミュージックビデオが人々の目に留まったことよって、彼女はより一層注目されるようになっていく。
その翌年の2012年には、同曲も収録した日本盤コンピレーション・アルバムの『Scientific Experience』がヒットし、日本での人気も確固たるものにした。
このころ、音楽シーンでは、チルウェイヴ以降のシンセ・サウンド人気がピークになっていた。同じく音源を宅録していたカナダの女性芸術家、グライムスがヒット作『Visions』を発表し、俗に言う「宅録女子」が人気を集めていた時代という空気も活動の追い風となる。
2012年、初来日公演を成功させたころには、「Computer Magic(コンピューター・マジック)」という名はすっかり知れ渡り、音楽ファンの間では人気者になっていた。
愛されキャラとCM起用でさらにヒット
ラフなロックTシャツも宇宙服も着こなすファッションセンスを持っていて、B級映画やゲームのオタク、小柄で可愛らしいルックスというギャップのあるダニエルのキャラクターは大きな人気を呼び、彼女はファッション業界を中心に引っ張りだことなった。
そしてここで彼女の80年代テイスト溢れる音楽性に目をつけたのは、なんとCM業界。2012年に日本盤をリリースしたアルバム『Scientific Experience』収録楽曲である「Running」が、2014年に放送されたレクサスの広告CMに起用され、これが世界中でオンエアされたこともあって大ヒットを記録する。
その後も彼女は2015年に水原希子が出演したパナソニックのCMや、2016年のキユーピーのドレッシングのCMに自作曲を提供し、温かい音色のシンセ・ポップで視聴者の耳を惹きつけていた。
「ディストピア」を押し出したアルバムを発表
2015年に自身のレーベルを立ち上げ、ファーストアルバム『Davos』を発表。ここまでの集大成ともいえる圧倒的な音楽性を展開し、全世界を驚かせる。
ここまで、どことなくオリエンタルで温かみがある作風が印象的だった彼女だが、2018年に自らの愛称を掲げて発表したアルバム『Danz』では一転、ダークな世界観を押し出すようになった。
アルバム『Danz』の一貫してシリアスな音像は『マトリックス』や『エクス・マキナ』などのSF映画に影響されたもので、テーマは「ディストピア」だった。作品にもアメリカの社会情勢を反映し、SNSで#MeToo運動に共感するメッセージを発信したりと、このころから作品以外でもアーティストとして発信する場面が増え始めた。
しかし、目先のトレンドに囚われない世界観や音楽性は保ち続け、同年夏の来日公演も大成功させている。
2020年、活動名義を「Danz CM」(ダンジー CM)へ変更。理由についてはダニエル自身が「Computer Magic(コンピューター・マジック)はもう卒業したかった。内気なベッドルームポップの女の子はとっくの昔に卒業していたから」と語っている。
Danz CM / Computer Magic(コンピューター・マジック)のメンバー
Danielle Johnson(ダニエル・ジョンソン/ダンジー)

1989年2月20日生まれ。ニューヨーク州のキャッツキル山地出身。DJ、ブロガー、グラフィックデザインなど活動の幅は多岐にわたり、独特のセンスとキュートなルックスから、ファッションアイコンとしても知られる。
親のしつけが厳しかったことからあまり活発に外で遊び回るようなタイプの子どもではなく、学校で気が合う友達はいなかった。14歳ごろからレコード収集を始め、15歳の時には自身で音楽ブログを開設し、好きなものを紹介したり、音楽ファンとの交流を図ってきた。特に影響を受けたアーティストはKraftwerk、Talking HeadsやDavid Bowieなど。新しいものより古いものが好きだったことから、よくレコードショップにも足を運んでいた。
大学進学を機にニューヨークへ引っ越すと同時に、DJやイベントのオーガナイザーとして活動を開始。大学3年生の時の休暇でフロリダへ行った際、暇つぶしにシンセサイザーで作曲をしてみたことをきっかけに、ソロ活動の一環としてComputer Magicを立ち上げた。
趣味はSF映画鑑賞とライトセーバー集めで、『2001年宇宙の旅』や『マトリックス』など、映画の世界観を反映した楽曲を数多く制作している。
作曲は基本的にAbleton Liveで行っており、その他の使用機材はprophet 08, moog voyagerなど。
自宅アパートメントの一部をプライベートスタジオとして使っており、全ての曲はそこで制作していた。
Danz CM / Computer Magic(コンピューター・マジック)のディスコグラフィー
EP
Spectro

2010年リリース。
1. spectro
2. wet hot american summer (indoors)
3. and lastly, the kids are growing up
4. if you could read my mind, in space (cover)
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目次 - Contents
- Danz CM / Computer Magic(コンピューター・マジック)の概要
- Danz CM / Computer Magic(コンピューター・マジック)の活動経歴
- 人口1500人の町からニューヨークへ
- 休暇中「なんとなく」始めた作曲が始動のきっかけに
- 「ベッドルーム・エレクトロ」の称号獲得
- 「チルウェイヴ・ブーム」の時代が追い風になってヒット
- 愛されキャラとCM起用でさらにヒット
- 「ディストピア」を押し出したアルバムを発表
- Danz CM / Computer Magic(コンピューター・マジック)のメンバー
- Danielle Johnson(ダニエル・ジョンソン/ダンジー)
- Danz CM / Computer Magic(コンピューター・マジック)のディスコグラフィー
- EP
- Spectro
- Hiding From Our Time
- Hiding From More of Our Time
- SPECTRONIC
- Electronic Fences
- Get a Job
- Kitsuné:Orion
- A Million Years / Another Science
- EXTRA STUFF
- Dreams of Better Days
- Obscure But Visible
- Just the Hits
- スタジオアルバム
- Davos
- Danz
- The Absurdity of Human Existence
- Berlin Tokyo Shopping Mall Elevator
- 日本盤音源
- Scientific Experience
- Phonetics
- Mindstate
- Super Rare
- Danz CM / Computer Magic(コンピューター・マジック)の代表曲とミュージックビデオ(MV/PV)
- Runnning
- The End Of Time
- Amnesia
- Danz CM / Computer Magic(コンピューター・マジック)の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
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