ドベとノラ(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『ドベとノラ』とは、ヨシモフ郎によるコミックエッセイ本である。インスタグラムやXで投稿されている短編の漫画で構成され、2022年4月に第一巻、2023年10月に第二巻が発売された。病気によりわずか4歳で亡くなったドーベルマンのドベと、シェルターで保護されていた犬、ノラとの暮らしを描いた愛情あふれる作品。
犬と感じる季節の移ろいや犬友との出会いなど、犬と暮らす日常や犬を中心とした人間関係が描かれた本作はSNSを通じて多くの反響を呼び、発売から1ヶ月で重版となった。

『ドベとノラ』の概要

『ドベとノラ』とは、インスタグラムやXで投稿された短編漫画をまとめた、ヨシモフ郎(よしもふろう)によるコミックエッセイ本である。
インスタグラムの投稿は2020年11月27日から、Xの投稿は2022年3月1日から開始している。
コロナ禍で仕事が減ったヨシモフ郎は、インスタグラムで犬の絵を投稿したことをきっかけに、ドベやノラ、犬たちを中心とした人間関係をマンガにし投稿を始める。温かみのある絵でユーモアと愛情あふれる物語が多くの反響を呼び、2022年4月20日に第一巻『ドベとノラ 犬がくれた優しい世界』が出版された。この出版にあたり40ページ以上の描きおろしが追加されている。発売当初から人気があり、出版から約1ヶ月で重版となった。そして2023年10月18日に第二巻『ドベとノラ2 犬が結んだご縁』が出版された。第二巻の発売からわずか10日で第一巻、第二巻の同時重版が決定している。

ヨシモフ郎は引きこもりであったが親戚の犬を預かったことをきっかけに、ドーベルマンのドベをブリーダーから譲り受け育てることになる。しかし病気のためドベはわずか4歳で亡くなってしまった。再び引きこもりがちになってしまったヨシモフ郎のもとに、ドベに似た犬がシェルターにいるという知らせが来る。野良犬だったノラとの距離を縮め、ついに飼うことにしたヨシモフ郎。犬とともに感じる季節の移ろいや犬友との出会いなど、犬と暮らす日常が描かれている。

『ドベとノラ』のあらすじ・ストーリー

ドベとの暮らし

ゲームの背景などを作成する仕事をしていたヨシモフ郎(よしもふろう)は、小さいころから犬を飼うことを夢見ていた。しかし実際に大人になると引きこもりがちな生活を送っていたため、犬を飼うことを諦めていた。そんな中、親戚の老犬を半年ほど預かることになる。このことがきっかけで、犬を飼う自信がついたヨシモフ郎は飼うならドーベルマンと決めていたため、ブリーダーへ連絡する。後日、子犬が生まれたと連絡を受け、一匹のやんちゃな子犬を引き受けることになった。
子犬はドベと名づけられ、犬との暮らしが始まった。ドーベルマンは大型犬のため成長が早く、どんどん大きくなり力もついてくる。また甘えん坊な性格もあり、構ってほしさに家の壁や家具を壊したり、作業の邪魔をしたりした。
それでも散歩のために早起きをし、犬が好きという共通点だけで様々な犬や人と知り合う。犬を飼っていなければ、出会っていなかった人や見ることのなかった景色は、犬がくれた優しい世界であった。

ドベとの別れ

ドベは1歳の健康診断の時にある数値が悪く、定期的に健康診断を受けていた。しかし結果が良くなっていくことはなく、3歳の時点で4歳を迎えるのは難しいと医師に言われる。手術も進められたが成功率は5割もなく、ヨシモフ郎は手術も入院もせずドベと一緒に暮らしていくことを決めた。ドベは4歳になる頃には歩けなくなったが、ヨシモフ郎は寝たきりになったドベを連れて車で花見をし、ドッグランには抱っこで通った。数時間ごとに寝返りをさせ、マッサージをし、おむつを変える。ヨシモフ郎自身も短時間の睡眠しか取れず辛い日々だったが、それでも一秒でも一緒にいたいと願い介護を続けていた。そしてドベは家でゆっくりと過ごしながら息を引き取った。

ノラとの出会い

ドベが亡くなって一年ほどが過ぎたころ、ドベに似た犬がシェルターにいるから見てみないかと犬友からヨシモフ郎のもとへ連絡が来る。サイトから写真をのぞくと笑い方がドベと似ている犬が映っており、ヨシモフ郎はその犬に会いに行く。
犬との面談を繰り返すものの、ヨシモフ郎の中ではドベの存在が大きくなかなか飼う決断ができなかった。そんな中、スタッフから散歩に連れていってみてはどうかと提案され、そのことをきっかけに再び犬を飼うことを決断する。
ノラは野犬だったためクールな性格であり触られることを嫌がっていた。そのためヨシモフ郎とも距離を置くことが多く、近づいてきたと思って振り向いたり撫でようとすると離れて行ってしまう。しかしヨシモフ郎は根気よく距離を縮め、ノラに安全であることを伝え続けた。
ある寒い日、ノラはヨシモフ郎が入っていた温かい布団の誘惑に負け、一緒の布団で寝るまでの仲になった。

保護犬の茶々との出会い

元々野良犬だったノラは散歩中によく犬や猫を見つけるため、ヨシモフ郎は犬猫の保護団体とも縁ができた。ある日、保護団体から一匹の犬を預かって欲しいと連絡が来る。
その保護犬は茶色の犬であったため、ヨシモフ郎に茶々(ちゃちゃ)と名づけられた。茶々はすごく吠える、すごく噛むなどを理由に保健所で殺処分される寸前。ヨシモフ郎が茶々を迎えに行った時には、かなり警戒していたものの割とあっさりと心を開いてくれたのだった。人に慣れていた茶々は早々に引き取り手が見つかると思われたが、なかなか見つからず結局里親募集に応募することになる。
茶々は一匹で取り残されると激しく鳴き始め、最終的には吐いてしまう。それでも徐々に慣れていったが、お腹を壊しやすいこともあり少し高めの療法フードでゆっくり回復していった。
ヨシモフ郎と茶々は譲渡会にも参加し、茶々を受け入れてくれる家族を探す。茶々は愛想が良く人気ではあったが、高めのご飯が必要であったり保護団体への寄付が必要であることを知ると拒む人が多かった。そして気付けば4ヶ月間もヨシモフ郎に育てられた茶々。ヨシモフ郎は甘えん坊で寂しがりやな茶々のためにも、沢山なでてもらえる、そしてお留守番をすることが少ない大家族に引き取られることを望んでいた。そして茶々は8人家族に引き取られることになる。正式譲渡が決まり、1ヶ月ぶりにヨシモフ郎は茶々に会った。新しい家で暮らし始めていた茶々は愛されていることが分かり、無事ヨシモフ郎の元を離れていった。

保護猫兄弟との出会い

保護団体からヨシモフ郎が住む近所で野良猫が子猫を産み、様子を見てきてほしいという連絡がヨシモフ郎のもとへ来る。様子を見に行った時にはいなくなっていた子猫だが、1ヶ月後ヨシモフ郎の庭で発見される。
全てオスであった子猫は無事保護され、シャムのような毛並みの「むー」、薄い茶トラの「うちゃ」、白い毛並みで短いしっぽの「ちっぽ」、そして少し気性の荒い茶トラの「ちゃとー」と名づけられた。
むーは里親募集のスタッフの娘さんに引き取られることが決定し、初の譲渡会ではうちゃとちっぽの受け入れ先が決まった。むーは受け入れ先の準備があるため、ちゃとーとともに1ヶ月ほどヨシモフ郎の家で暮らす。その頃、ちゃとーはようやく人に慣れ、甘えられるようになってきていた。
そして同時期にコンビニで保護された子猫もヨシモフ郎の家にやってくる。理由は里親希望の人がヨシモフ郎の姉であった。背中にピーナッツのような模様があるため「ナッツ」と名付けられ、譲渡が決まるまでノラとむー、ちゃとーとナッツの暮らしが始まった。
その間もちゃとーは譲渡会に参加するが、なかなか受け入れ先が見つからない。人気の毛並みではあるものの、様々な理由で断られていく。そんなある日、先住犬がいるため犬が好きな猫を希望する家族が譲渡会に現れ、ちゃとーの受け入れが決まる。先住犬とちゃとーはすぐに仲良くなり、正式譲渡が決定。ちゃとーもヨシモフ郎の元を去った。ずっとの家族になれなかったけど、みんなの幸せを祈るヨシモフ郎であった。

『ドベとノラ』の登場人物・キャラクター

主要人物

ヨシモフ郎

本作の著者であり、ドベとノラの飼い主。動物好きであり、親戚の犬を預かったことにより、ドーベルマンのドベを飼い始める。
コロナ禍をきっかけに2020年インスタグラムに自身の絵を投稿し始め、ドベとの暮らしやその後来たノラとの生活を漫画にしていた。フォロワーが徐々に増え、2022年にはXでの投稿も始めている。

ドベ

犬種はドーベルマン。ドーベルマンの中でも大きい方であり、ジャンプをすると2メートルを越えるほどである。
ポジティブな性格で甘えん坊。勢い余ってヨシモフ郎の家の壁や家具を壊すことがある。
濡れるのが好きで、プールや海に行く様子が描かれたり、雨が降っても構わず外にいることもある。
4歳の時に病気で亡くなる。病気の詳細は明かされていない。

ノラ

ドベが亡くなっってから1年ほどたった時に保護犬のシェルターでヨシモフ郎と出会い、飼われる。
ドーベルマンに似ているが犬種は不明。毛並みはダブルコート。
元野良犬だったこともあり、比較的冷静な性格。雨と風呂が嫌い。

KaoruNatsuki
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