絢爛たるグランドセーヌ(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『絢爛たるグランドセーヌ』とは、2013年より『チャンピオンRED』で連載しているCuvieによるクラシックバレエを題材にした漫画。主人公の有谷奏がクラシックバレエに出会い、持ち前の探究心とクラシックバレエへの愛でダンサーとしての才能を開花させ、プロのバレエダンサーを目指すストーリー。バレエ経験者である作者による緻密な描写と主人公奏の前向きな性格に惹かれ、性別問わず人気となっている作品。

『絢爛たるグランドセーヌ』の概要

『絢爛たるグランドセーヌ』とは秋田書店『チャンピオンRED』で2013年9月号より連載している、Cuvieによるクラシックバレエを題材にした漫画。舞踊史家・舞踊評論家の村山久美子が作品の監修を行っている。マンガ大賞2015一次選考作品。
主人公の有谷奏(ありやかなで)が小学生の頃、近所に住む橘梨沙(たちばなりさ)のバレエ公演をみたことをきっかけにバレエに魅了され、プロのバレエダンサーを目指す物語。初めはうまく踊れないことに苛立ち泣いてしまうこともあったが、持ち前の前向きさ・ひたむきさを発揮し、その才能を開花させていく。同年代のバレエダンサーや世界で活躍する講師との出会い、バレエコンクールでの入賞・優勝を経験し、イギリスの名門バレエ団のスクール、ロイヤル・バレエ・スクールへ留学している。
少女が主人公で、クラシックバレエが題材の作品が、青年漫画で長期連載されている珍しい作品。

『絢爛たるグランドセーヌ』のあらすじ・ストーリー

小学生編(第5巻 27話まで)

小学年低学年の有谷奏(ありやかなで)は、隣家に住む高校生の橘梨沙(たちばなりさ)に誘われ、バレエ公演を見たことをきっかけに、クラシックバレエに魅了され、梨沙が通う滝本信子バレエスタジオに通い始める。習い始めた頃は、自身の踊る姿が、梨沙の美しい踊りと異なる醜い姿であることに、泣きべそをかいていた。梨沙に回転の仕方を教わったり、持ち前の向上心と前向きな性格で講師のアドバイスを吸収し徐々に頭角を現していく。同じ教室に通う伊藤翔子(いとうしょうこ)や、バレエの英才教育を母に受け、数々のバレエコンクールで金賞を受賞し歳に見合わないテクニックをもつ栗栖さくら(くりすさくら)、瞬間的な記憶力の高さで振り付けを瞬時に覚えることができる藤田絵麻(ふじたえま)といった同年輩のダンサー仲間達と出会いながら、互いに切磋琢磨していく。
さらに、奏では努力家で優れた観察眼の持ち主の奏は、練習で上手くいかないことがあっても上級者を手本にしたり、自ら研究したりして乗り越えていく。

中学生編(第15巻 74話まで)

栗栖さくらがユース・アメリカ・グランプリで優勝したことをきっかけに、奏や翔子や自身の今後、将来プロのバレエダンサーになることを意識し始める。そして、コンクールの準備のため、元イギリスロイヤルバレエ団プリンシパルのバレリーナであったアビゲイル・ニコルズや、名門バレエ団の舞台監督 ウジェーヌ・ガレルのワークショップに参加する。そんな中、アビゲイル・ニコルズは奏のダンスを気に入り、自身のいるロンドンにある、ロイヤル・バレエスクールに来ることを誘う。しかし、奏の家は経済的な余裕がなく、ロイヤル・バレエ・クールに通うにはスカラシップの獲得が必須であった。ユース・アメリカ・グランプリ(YAGP)の日本予選に参加した奏は、銅賞を獲得。同時にフランス・マルセイユ国立バレエ団への短期留学のスカラシップを得る。留学先では、同じホームステイ先で出会ったアンドレア・メンドーサと親交を深める。アンドレアは、前年のYAGPで奏が踊る予定の演目ディアナとアクティオンのディアナを踊り銀賞を獲得していた。そんなアンドレアの踊りに刺激をうけつつ、ガレルの指導でダンサーとして一歩成長し「音楽に乗って踊る」という新たな武器を得た。YAGPニューヨーク本選では、慣れないニューヨークという環境やハードなスケジュールの中、これまでにない最高のダンスを踊り奏は、予想をはるかに超える「ジュニア部門の最優秀賞」という結果を出して、ロイヤル・バレエ・スクールへの1年間の留学スカラシップを獲得した。

ロイヤル・ロウアースクール留学編(第24巻 122話まで)

世界でも一握りの16歳以下のトップエリートのみが集うロイヤル・ロウアースクールに訪れた奏。同じくYAGPで優秀な成績を収めスカラシップを獲得したアメリカ出身のエヴリン・フォックス、フィンランド出身で類まれな振り付けの才能をもつキーラ・ルッティネン、そして幼い頃からロイヤルバレエスクールに通うシンガポール人のレベッカ・タンと同室となり、初めての海外生活、多国籍なルームメイトとの人間関係に悩まされながらもダンサーとして成長を遂げていく。ロイヤル式のダンスに苦戦しながらも、刺激的な環境で過ごす奏。12月には、ロイヤル・バレエ団のクリスマス公演『くるみ割り人形』に、ねずみ役で出演することになった、これまで映像で何度も見ていたロイヤル・オペラ・ハウスの舞台に立った奏は嬉しさのあまり感激しながら公演をこなすのであった。また、学校内の振り付けコンテストで毎年入賞しているキーラの振り付けで出場し優秀な成績をおさめ、素晴らしい環境下で学べた1年に、奏は卒業までロイヤル・バレエ・スクールにいたいと強く願うのであった。
そんな中、突然のアビゲイル・ニコルズの現役引退が発表された。引退後の第2のステージとしてアビゲイル・ニコルズは、初演作品『パエトーン』の振り付けを担当しその初パフォーマンスの主演に奏を指名する。不得意なフロアワーク中心の振り付けに苦労した奏は、オーバーワークにより故障してしまい、2回のパフォーマンスのうち1回は、エブリンが代役として出演。悔しい思いをすることとなった。

コロナ禍編(第25巻123話〜)

ロイヤル・ロウアースクールでの2年目、そしてアッパーへの進学を目前に控え進学試験の準備を進めながら、再び振り付けコンテストの時期も迫っていた。この年、キーラの作品には、レベッカ・タンとマットの2人のダンスとなり、奏は別のクラスメイトの作品に出演の練習を重ねていた。そんな中、世界中で新型コロナウイルスという新しい感染症が大流行してしまう。世界各国の国境が水際対策として封鎖されることとなり、ロイヤル・ロウアースクールも学校がお休み、寮も閉鎖されてしまった。クラスメイトが地元に帰り、実家で限られた環境の下で鍛錬を続けるのであった。徐々に新型コロナウイルスの規制が解除され、奏は滝本信子のバレエスタジオに一時的に通い始め、仲間とともにコロナ禍でできることとしてオンラインガラを、開催するのであった。

『絢爛たるグランドセーヌ』の登場人物・キャラクター

メインキャラクター

有谷 奏(ありや かなで)

主人公。幼いころ、近所に住む高校生の橘梨沙のバレエ発表会を鑑賞したのをきっかけにバレエに魅せられ、自身もバレエを習いたいと、と両親にせがみ、滝本伸子バレエスタジオに通い始める。当初、梨沙のダンスとの違いにへそを曲げるようなこともあったが、前向きな性格と、バレエが大好きであるという強い気持ちでメキメキと上達し、その才能を開花させる。小学生の頃から全国のバレエコンクールで入賞したり、中学生でありながら19歳までが出場するYAGPの最優秀賞を受賞し、プロのバレエダンサーになるべく成長している。
経済的な余裕はなかったものの、憧れのアビゲイル・ニコルズに誘われたことをきっかけに、ずっと憧れの舞台であったイギリスのロイヤル・バレエ・スクールへの留学を目指し、スカラシップを獲得し夢を叶えた。
ロイヤル・バレエスクールの中等部にあたる、ロウアースクールに進学した奏では、ネイティブではない英語でのコミュニケーション、授業に苦戦しながらも、クラスメイトと切磋琢磨しながらの日々に充実感を感じていた。スカラシップは1年間の期間限定だったが、卒業したいと強く願い、学長や両親を説得、家族に協力してもらいロウアースクールおよびアッパースクールの卒業までのスカラシップを獲得した。
ロウアースクール卒業まで残り半年ほどというタイミングで、新型コロナウイルスが大流行し学校は休校、全生徒が帰宅・帰国することとなった。早くイギリスに戻れることを祈りながら、慣れない自宅でのオンラインレッスンやストレッチをこなしていく。翔子の自宅にある小さなスタジオも借りながら、進級試験もこなし、奏は見事アッパースクールへの入学を決めた。しかし、なかなかイギリスに戻ることができず、日本国内のイベントも中止になるなか、なにか楽しいことができないか、と思い立ち奏主催でオンラインガラを開催している。

伊藤 翔子(いとう しょうこ)

奏と同じ滝本伸子バレエスタジオに通う、奏の1歳上の少女。元レスリングのオリンピック強化選手だった父親譲りの真面目かつ練習熱心な性格をもつ。踊りにもその真面目さや丁寧なスタイルが現れている。負けず嫌いで血の気の多いところもあり、奏が栗栖さくらに、バレエコンクールでの勝負を挑んだ際同じコンクールに出場している。そのコンクールでは、さくらを抑え1位を獲得した。奏の家と異なり、実家はかなりの資産家。翔子の父親は、プロのバレエダンサーを目指すという翔子と対立したが、翔子の本気の気持ちに説得され、自宅内にスタジオを作ったり、海外のバレエ団の来日公演につれていくなど、全力で、翔子の夢を応援するようになった。
奏とともに、YAGPに出場した翔子は、完璧かつ優雅なスタイルを活かした眠れる森の美女のオーロラを踊り、モナコ王立グレースバレエ学校への入学許可を獲得した。

栗栖 さくら(くりす さくら)

奏と同い年の少女。元バレエダンサーであった母親が経営するバレエ教室、栗栖バレエスタジオに通い、幼い頃から、母に徹底した指導を受けて来た。かなりの腕前をもち、小学生のころから、数々のジュニアコンクールで入賞し、雑誌の取材も受けるほどの有名人。その実力もあいまって、小学生のころは、自信満々な高慢な姿、他人を見下す様子が度々みられ、敵を多く作っていた。奏や翔子が出場する前年のYAGPに出場し、国内予選1位という成績をおさめ、ミュンヘン・バレエ・アカデミーへの1年間のスカラシップが授与されドイツへ留学している。言語の壁や、勝ち気な性格もあいまってクラスメイトと打ち解けられないこともあったが、奏も同じように留学先で苦戦しながらも仲を深めていることを知り、奏にできて私ができないことはない、と一念発起し少しずつ、クラスメイトとの距離を縮めている。

藤田 絵麻(ふじた えま)

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