カテナチオ(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『カテナチオ』とは2022年より森本大輔が『週刊ヤングジャンプ』で連載している漫画である。主人公の嵐木 八咫郎は、サッカーで世界一になるという夢をもって育ってきた高校3年生。高校最後の大会を目前としていて、ここでなんとしてでも勝ち進みプロの道にこぎつけたいが、強豪校相手に惜しくも敗退してしまう。だが、試合の翌日にイタリアのサッカーチームFCオリヴェーロにスカウトされる。イタリアに渡った一人の青年が、夢への異常な貪欲さを武器に大きく成長する姿を描く。

これは嵐木がイタリアに行くことを知ったチームメイトの言葉である。全国大会に行けなかったが全力を尽くしたから後悔は無い、と気持ちを割り切っていたチームメイトであったが、嵐木がイタリアのチームからスカウトされたと知ると「『過程にも意味がある』なんて考えながら努力した過程に意味なんてなかったと思う。『結果がすべて』と信じて努力した過程がすべてだ」と言った。これは紛れもなく、過程ではなく結果にのみ意味を見出していた嵐木にしか起こりえない末路である。結果が全てだという志無くして、自分が成せる最高の過程を生み出すことは不可能だということに気づかせてくれる言葉である。

グレゴリオ「結果でしか自分の価値を証明できない。必要なのは勝敗に人生を懸ける覚悟だ」

オリヴェーロU-19のコーチ グレゴリオの言葉である。足の速さに定評があるバルナバが、その長所を誰にも評価されなかった時に、勝たないと自分の長所は何にもならないということに気づく。その様子に対してグレゴリオが「結果でしか自分の価値を証明できない。必要なのは勝敗に人生を懸ける覚悟だ」という言葉を放った。結果でしか自分の存在や長所は証明されないこと、そして勝利をもたらすのに必要なのは覚悟である、という芯を食う発言はこちらにスポーツの残酷さをに訴えかけてくる。

ノアハ「手を伸ばさねば掴めないチャンスが多くあるのは確かだ。その一方で、ただ手を開いて待っているだけでもチャンスは落ちてくるものだ」

FCオリヴェーロU-19チームメイト ノアハの言葉である。嵐木は全てのチャンスを全身全霊でつかみに行くべきだと考えていて、手を抜いていい場面など一つもない、という自論を訴えた時、ノアハは「手を伸ばさねば掴めないチャンスが多くあるのは確かだ。その一方で、ただ手を開いて待っているだけでもチャンスは落ちてくるものだ」という一風変わった発言をした。チャンスはただ待っているだけでも落ちてくるという視点を変えた邪道な考え方、それによって生み出されるノアハの信念は説得力を帯び、カテナチオの読み応えを何倍にも引き上げている。

『カテナチオ』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

変わらない嵐木という主人公像

森本大輔は漫画家になるまでを振り返って、プロットを書いては送り書いては送るというのを続けていた、と語る。そのような繰り返しの中で最後にたどり着いたのがこの『カテナチオ』という作品だった。このような試行錯誤の中でも、主人公像は最初から嵐木のような感じの人だった、と森本が述べている。

キャラクターは価値観

作者の森本大輔は漫画づくりのインタビューで「キャラクターは価値観」だと答えている。キャラクターの差をつけるには見た目やしゃべり方などが分かりやすい要素として挙げられるが、それよりも大事なのは価値観だとしている。世の中で主流な考え方だけでなく、世の中にある多様な考え方をそれぞれのキャラクターに落とし込んでこそ、本当の個人差、キャラクターの差というものは生み出せると彼は考えている。そのような意識は『カテナチオ』にも大きく反映されていて、前章で紹介した名言もそれによって誕生していると言っても過言ではない。

漫画の題材は好きなもの

作者は漫画の題材について、「自分の好きなものの方がいい」と発言している。『カテナチオ』の題材であるサッカーも森本が好むものの一つである。これは漫画を描くうえで、それに活用できる情報は何が使えるかは分からないからだという。好きなものであればそれに関わる情報を多く取り入れるので、その豊富なインプットが漫画を密なものにしてくれる、と考えているよう。

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