春待つ僕ら(漫画・映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『春待つ僕ら』とは、2014年から6年間『デザート』にて連載された、あなしん原作の少女漫画である。これを原作とした実写版映画も公開されている。内気でいつもひとりぼっちだった主人公の美月が、自分を変えるべく行動を起こそうとするがなかなかうまくいかない。そんな中出会ったバスケ部のイケメン4人組。彼らに振り回されながら、少しずつ美月の世界が変わっていき、大切な居場所が大きくなっていく。恋も友情もスポーツも、一生懸命に純粋に向き合う高校生たちの青春ストーリー。
嫉妬した永久が思わず美月を抱き締めるシーン
小学生のころ亜哉と出会った思い出のバスケットコートで、美月は亜哉にハグされる。そのシーンを恭介に見られていて、永久の耳にも入ってしまった。
まだ美月への気持ちに気づいていない永久だが、それを聞いてモヤモヤする。そしてつい闘争心を燃やして美月を抱き締める永久なのだった。
少女漫画ならではの不意打ちのハグの連続に、キュンとする女子多数。普段は穏やかな永久の嫉妬心むき出しの様子が、男らしさ全快でカッコいいと人気のシーンである。
亜哉が嘘をつき続けていたことを謝るシーン
亜哉のことをずっと女の子だと思っていた美月は、アメリカから帰国し再会した亜哉を見てショックを受ける。
「なぜあの頃本当のことを言ってくれなかったの?」と亜哉を責めてしまう美月。亜哉は亜哉なりに、いじめにあって寂しい気持ちを隠していた「かっこ悪い自分」を見せたくないという気持ちがあったのだ。美月から「女の子でも1人でもカッコよくて強いあやちゃん」と言われていたために、ますます言えなくなっていた。美月への想いと嘘をつき続けてきたことへの申し訳なさが溢れる、切ないシーンだ。そしてこのあと、亜哉は美月に「これからはちゃんと男として見てほしいだけ」と伝えるのだった。
浅倉永久「俺美月のこと好きだわ」
四天王の4人とレイナ、ナナセと共に遊園地にやってきた美月。そこでようやく美月への気持ちに気づき、「俺美月のこと好きだわ」と確信を持つ永久であった。
半端な気持ちではないという永久の決意が感じられるセリフ。ここまでヤキモキさせられてきた読者にとって、「やっと気づいたか!」とほっとさせてくれるシーンとなっている。
しかし、この後も「付き合う」までに至るにはまだ少し時間がかかる。
『春待つ僕ら』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
作者のあなしんはバスケ経験者
小学生の頃に軽くバスケを始め、中学では3年間バスケ部に所属していた作者のあなしん。副キャプテンも務めていた。
自身が活動していた頃を思い出し、バスケシーンを細やかに描くことができたという。バスケ強豪校への取材も怠らず、トップレベルの選手たちの動きを徹底的に勉強し、自信をつけていった。
実際にバスケを経験してきたことで、どんなところが作中に活かされているのか。
作者はインタビューで、体育館の空気感、床のキュッキュッと音が鳴る感じなど、全体的な雰囲気に過去の経験が役立ったと答えている。
また、ボールの大きさやゴールの高さといった素人では難しい感覚についても、「肌感でわかって描けていたと思う」とのことだ。
少女漫画はつい恋愛要素に傾きがちだが、本作では男子たちが激しくぶつかり合うバスケシーンが力強く表現されている。作者自身の経験と取材がしっかりと活きた作品となっており、単なる恋愛漫画ではない完成度に、読者の満足感も高い。
オーディションによって選ばれたバスケ部員達はプロ並みの実力
恋愛だけではなく、一生懸命バスケットに取り組む高校生たちの青春も描いている本作品。映画でも、バスケシーンには妥協のない細かいこだわりが感じられる。
亜哉率いる鳳城高校バスケ部の部員はオーディションによって選ばれている。
このオーディションにはストリートバスケをしている人たちも参加しており、全員NBA並みの実力を持っていたとのこと。
北村をはじめとした四天王の演者達は、演技とは言えこれだけ実力差のある相手と戦うことに不安を感じていた。
若宮恭介を演じた磯村勇斗と、宮本瑠衣を演じた稲葉友は、「鳳城高校のバスケ部が強いというのは原作にもあるが、さすがにぶっ飛んだメンバーが集まったなと、唖然というより絶望した」とインタビューで答えている。
しかし、「彼らと同等に戦いたい」との思いを持ち続けて撮影に臨み、その絶望を打ち砕いた。
実力者揃いのバスケ部員役の面々にアドバイスを受けながら、自らのバスケテクニックを伸ばしていったのだ。
この真摯な気持ちが、臨場感と迫力満載のシーンを完成させたと言ってもいいだろう。
永久たちがバスケを行うシーンでは多くのエキストラが部員役として参加し、撮影現場はまさに試合会場かのようにリアルな盛り上がりを見せた。
瑠衣役の稲葉は、部員役のエキストラ達にまるで本当の部活であるかのように声掛けをしてまとめるなど、役さながらのムードメーカーっぷりを発揮。
演者同士だけでなく、参加しているすべての人が心を一つにして作り上げられた作品だということが、ひしひしと伝わる。
バスケ未経験の小関裕太が亜哉を演じられたのは北村拓海との友情あってこそ
バスケ部イケメン四天王を演じた北村拓海たちは全員バスケ経験者。
しかし、亜哉役の小関はインタビューで「バスケはこれまでに全くやってこなくて…」とバスケ未経験であることを明かしている。
天才バスケットプレイヤーの亜哉は影響力を与えるキャラクターであるため、覚悟が必要だったと、役作りの難しさも語っていた。演じる上での悩みも多かったようだ。
まずはバスケットボールに触れなければならないため、撮影が始まる半年も前から、雨の日も暑い日もひたすら練習に励んだという。
そんな小関が見事に亜哉を演じきれたのは、北村との熱い友情が大きかったと明らかにされた。
猛特訓をはじめた小関は、偶然にもバスケットコートで北村と遭遇。
北村からは、「こうやったらもっと上手くなる」「こうやった方がカッコいいよ」と的確なアドバイスをもらいながら、練習に励んだようだ。
こうして、小関ならではの神山亜哉が出来上がっていったのだ。
作中ではライバル心をむき出しにし合う関係の2人。しかし撮影の裏側では共に助け合い、熱い友情で結ばれていた。
美月のバイト先「words cafe.」は大阪に実在するカフェ
作中に登場する「words cafe.」は美月のアルバイト先である。
実はこのカフェは大阪に実在し、原作ファンの間では聖地と言われている。 地元の人たちだけでなく、著名人も多く訪れるという人気のカフェとのこと。
映画ではこのカフェを、横浜市栄区本郷台駅付近にある『cozy cafe DAIN』(コージーカフェダイン) にて忠実に再現している。
カフェの道路越しには公園もあり、これも原作が再現されたシチュエーションだ。この公園には、美月と亜哉が小学生の頃に出会った思い出のバスケットコートも設置され、原作の雰囲気を高めている。
『春待つ僕ら』の主題歌・挿入歌
主題歌:TAOTAK 『Anniversary』
作詞・作曲はウカスカジー。編曲・プロデュースは亀田誠治。
土屋太鳳と北村匠海(DISH//)による音楽ユニット「TAOTAK(タオタク)」が歌った。
2016年にウカスカジーがリリースした曲のカバーである。
MVには主演を務めた土屋太鳳、北村拓海の他、四天王と亜哉を演じた小関裕太、磯村勇斗、杉野遥亮、稲葉友も出演。前向きな明るい曲で、聴いていて勇気づけられる。高校生たちの青春を描いた『春待つ僕ら』にピッタリの曲だ。
MVの監督は、土屋北村とタッグを組んだことのある三木孝浩。「仲間を大切に想う気持ち」が込められた楽曲とMVは、まさにこの作品を表しているかのようなキラキラとした青春を感じられるものになっている。
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目次 - Contents
- 『春待つ僕ら』の概要
- 『春待つ僕ら』のあらすじ・ストーリー
- 美月と永久の出会い
- 美月と亜哉
- 永久と亜哉・2つの想い
- 永久の告白
- 新人戦
- 結ばれる2人
- 幸せな高校生活~卒業へ
- 『春待つ僕ら』の登場人物・キャラクター
- 主人公
- 春野美月(はるのみつき)/演:土屋太鳳
- 美月の幼馴染
- 神山亜哉(かみやまあや)/演:小関裕太
- バスケ部イケメン四天王
- 浅倉永久(あさくらとわ)/演:北村匠海
- 若宮恭介(わかみやきょうすけ)/演:磯村勇斗
- 多田竜二(ただりゅうじ)/演:杉野遥亮
- 宮本瑠衣(みやもとるい)/演:稲葉友
- 美月の友人
- 山田レイナ(やまだれいな)/演:佐生雪
- 須藤マキ(すどうまき)
- 鳳城高校バスケ部
- 莉乃(りの)
- 美月のバイト先の先輩
- 柏木ナナセ(かしわぎななせ)/演:泉里香
- 美月を取り巻くその他のキャラクター
- 神山優子(かみやまゆうこ)/演:緒川たまき
- 廉太朗 (れんたろう)
- 『春待つ僕ら』の用語
- イケメン四天王
- 清凌高校バスケットボール部
- words cafe
- 『春待つ僕ら』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 浅倉永久「気づいた時にはもう ちゃんといたりするよ」
- 嫉妬した永久が思わず美月を抱き締めるシーン
- 亜哉が嘘をつき続けていたことを謝るシーン
- 浅倉永久「俺美月のこと好きだわ」
- 『春待つ僕ら』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 作者のあなしんはバスケ経験者
- オーディションによって選ばれたバスケ部員達はプロ並みの実力
- バスケ未経験の小関裕太が亜哉を演じられたのは北村拓海との友情あってこそ
- 美月のバイト先「words cafe.」は大阪に実在するカフェ
- 『春待つ僕ら』の主題歌・挿入歌
- 主題歌:TAOTAK 『Anniversary』