文豪失格(文豪シリーズ)のネタバレ解説・考察まとめ

『文豪失格』とは、AIR AGENCY・フロンティアワークスのドラマCD『文豪シリーズ』のコミカライズ版で、2015年から千船翔子がCOMICリュエルにて連載した。単行本は全3巻が発売されている。
天国で暮らす個性豊かな文豪たちを描くギャグストーリー。夏目漱石、芥川龍之介らがライトノベルを書いてみたり、ラジオのパーソナリティを勤めてみたりと様々なことに挑戦していく。
笑いを通して文豪の代表作や性格、それぞれの人間関係も学べるため、史実満載の「教養ギャグ」として人気だ。

『文豪失格』の概要

『文豪失格』とは、AIR AGENCY・フロンティアワークスのドラマCD『文豪シリーズ』が原作のギャグ漫画。2015年から千船翔子がWebサイト「COMICリュエル」にて連載した。単行本はAIR AGENCY・フロンティアワークスから全3巻が発売されている。天国を舞台に、夏目漱石(なつめそうせき)、芥川龍之介(あくたがわりゅうのすけ)、太宰治(だざいおさむ)ら個性豊かな文豪の日常を描く。
文豪達は生前と変わらず締め切りに追われながらも、喧嘩したり、バイトしてみたりとかなりアクティブな日々を送っている。ストーリーでは、各文豪の代表作はもちろん、性格や人生、人間関係にも焦点を当てて進んでいくため、笑いながらも勉強になる点が「教養ギャグ」として注目を集めた。堅苦しいというイメージの近代文学にも関心を持てると好評を博している。

原作のドラマCDは、声優の藤原啓治がプロデュースした企画で、2012年〜2020年ごろまでに全8作品が発売された。

『文豪失格』のあらすじ・ストーリー

文豪、アキバへ行く

舞台は天国・明治地区。夏目漱石(なつめそうせき)が自室で執筆している姿を、こっそり生前からの弟子である芥川龍之介(あくたがわりゅうのすけ)が覗いていた。気づいた夏目が「今日は何曜日だったかね?」と尋ねると、芥川は「木曜日です」と即答する。生前、夏目を慕う数々の弟子が連日来訪してきて仕事にならなかったため、弟子たちが夏目宅を訪問するのは木曜日と定めていたのだ。夏目が「火曜だから!」と怒鳴ると、芥川は「でも、来ちゃった」と赤面した。
芥川は夏目に小説の相談があって来たという。その相談内容は「ライトノベルの書き方を教えてください」というものだった。聞き慣れない言葉に首を傾げる夏目に、芥川は「現代人が好む小説だそうで」と説明し始めた。どうやら、最近は天国でもライトノベルの読者層が増えつつあるらしく、芥川は天国出版から執筆依頼を受けているらしい。「明治生まれの僕には書き方がわからず…」と困り果てる芥川に、夏目は「そこでなぜ江戸時代生まれの私に聞くのかね」と呆れる。芥川が参考として『ねこみみメイドのご主人様』というライトノベルを差し出し「労働者階級の化け猫の女給が資本家の搾取を受ける風刺作品の様です」と説明したため、夏目は青ざめて「他を当たってくれないか」と距離を置こうとした。師匠にそんな反応をされた芥川が「あぁ〜、ぼんやりとした不安が再発する〜!」と生前の遺書に残した言葉を叫んでいると、新たに防毒マスクの人物が現れた。
防毒マスクの人物は「夏目さんおひさしぶり。お金ちょうだい」と前置きなく話し始めたので、夏目たちは「どういう展開!?」「新手の借金取りか?」と大慌てする。防毒マスクの人は、なんと泉鏡花(いずみきょうか)だった。史実でも極度の潔癖症である泉は、近年の大気汚染の影響でさらに拗らせているらしく、防毒スーツを買うお金を貰いに夏目を訪ねたのだ。夏目は「生前も金をもらいに来たんだよ。一度も会ったことのない私に」と遠い目をしていた。
そこに、さらなる来訪者が現れる。「三文文士のあつまりに天才現る」といって部屋に入ってたのは、史実ではノーベル文学賞の候補にもなった谷崎純一郎(たにざきじゅんいちろう)だった。彼は激しい性描写を取り扱いながら、奔放で魅惑的な女性を描いた作品で知られている。
しばらくの間夏目宅は混沌とするが、最終的に芥川が夏目に「取材についてきていただきたい」と頼んだことで、ライトノベルの読者が集まる天国・平成地区にあるアキバという街に向かうことになった。

ライトノベルの実物を手に取った夏目は、表紙に描かれたイラストを「異常に大きい目に青や緑の髪の毛、獣の耳や羽やら…妖怪ばっかりじゃないか」と評した。その言葉に、芥川は得意ジャンルの予感がして速攻で購入しに行く。芥川はホラー小説を好んで読んでいて、本人も地獄などを取り扱った作品を多く手がけた。
書店を出ると、コスプレ衣装を取り扱う店を通りがかる。そこに飾られていたウサギのコスチュームに泉は釘付けになり、「私は酉年生まれで、向かい干支のうさぎを大切にするよう母から言われたんです」と前置きしてからおもむろにコスチュームを身に纏った。さらに、谷崎もナース服のコスプレを見てから「こんな服着た看護婦さんに診察されたい」と自ら着用し、1人でSMごっこを始めてしまう。芥川は「心の闇を感じる」と青ざめるが、虚飾の世界観と醜悪とも取れる人間の姿に新作のインスピレーションを得て、メモを書き始めた。
最後にメイドカフェを見つけると、夏目は「化け猫の女給が資本家の搾取を受けているという…」と、ライトノベルの設定を思い出す。芥川も現場を取材しようと言って入店した。従業員扮するメイドの細やかな気配りを見て、夏目は自身の代表作の一つである『坊ちゃん』に登場したお手伝いのキヨを思い出す。そして、照れながら「できれば『坊ちゃん』と呼んでいただきたいのだが…、おキヨ」と注文した。谷崎らは「何言っちゃってるの」と幻滅するが、メイドは「ぼ、坊ちゃん…」と受け応えていた。
夏目がアイスクリームを注文すると、メイドは「このメニューにはご褒美がついております!キヨの気持ち、受け止めてください!」と言いながら夏目に平手打ちする。そして、この店ではビンタがご褒美なのだと頭を下げた。夏目たちは「意味がよくわからない…」と混乱しながら、アキバでの取材を終えたのだった。

明治地区に戻った芥川は、ライトノベルがアキバの人々に熱狂的に愛されていたことを振り返る。現代人に負けずに書き続けるぞ!と意気込んで執筆した作品は、自ら命を絶った作家が外道の救う阿鬼婆(あきば)地獄に堕ちるといった内容で、天国出版からは「相変わらず暗いなぁ」と評されてしまうのだった。

文豪の恥ずかしい手紙

文豪トークと称して、反権威主義と奔放な生き方で人気を集めた坂口安吾(さかぐちあんご)と、日本人初のノーベル文学賞作家の川端康成(かわばたやすなり)が司会を務める番組風の茶番が始まった。招待されたのは、芥川、谷崎の他、小説の神様と呼ばれた志賀直哉(しがなおや)、『銀河鉄道の夜』など童話で知られる宮沢賢治(みやざわけんじ)、教科書でお馴染みの『走れメロス』の著者・太宰治(だざいおさむ)、そして『汚れっちまった悲しみに』が代表作の詩人・中原中也(なかはらちゅうや)だった。今回の議題は文豪ドストエフスキーで、彼の生涯やその文学について真剣に討論すると説明される。生前はドストエフスキーを愛読していた芥川は「面白そうだ」と笑うが、いざ川端が朗読し始めたのは「2人きりでいつまでも、いつまでも話をしていたい気がします。そうしてkissしてもいいでしょう」で始まる文章だった。どんどん冷や汗を流していく芥川。対照的に、彼を慕う太宰は爆笑しながら「何ぞそれ!ドスト恥ずかしすぎるんだが!笑っちゃいますね!」と芥川に話を振った。無言でうずくまる芥川に、川端が「すみません。間違えて芥川先生が奥様に宛てた手紙を読んでしまいました」と白々しくネタばらしする。太宰が「先生嘘だと言ってください!」と暴れるのを放置して、坂口はドストエフスキーの別の手紙を紹介するという体で新たな便箋を開いた。内容は「一生私をおそばに置いて。お茶坊主のように思し召してお使い遊ばしてくださいまし。お気に召しませぬ時はどんなにいじめてくださっても結構でございます」というものだった。今度は谷崎が体を震わせている。坂口が噴き出しながら「他にもドスト氏はご主人様と呼ばせていただきますなどと…」と続けたので、ついに谷崎は「てめぇ、わざとやってるだろ!」と憤慨した。どうやら手紙は谷崎が妻に宛てて書いたものだったようだ。

ここで、坂口と川端は今回の文豪トークの本当のテーマを明かす。ドストエフスキーではなく、恥ずかしい手紙を書いてしまった文豪を紹介していくとのことだった。優勝者には景品として、熱海日帰り旅行がプレゼントされる。
呆れ返って背を向けた中原が次の被害を受けるなか、熱海が好きな志賀は1人で盛り上がり、優勝したいと自身の手紙を撒き散らした。しかし、友人が多かったことから手紙の数も桁違いで、恥ずかしい手紙を読み上げて笑いたいだけの坂口は、この中から探すのは一苦労だと諦めかける。生前志賀に作品を酷評されたことを根に持っている太宰だけ、志賀に恥を描かせてやろうと「絶対に見つけてやる」と息巻いて手紙を掻き分けていった。手当たり次第開くが「北海道旅行で呑気に行き当たりばったりの旅をした」「イタリアでは呑気な旅をしたいので旅程は決めていません」など充実した日々の内容が語られている。嫉妬に狂った太宰は勝手に宮沢の手紙を取り出して「宮沢くんの怨念の手紙でも食らえ!」と叫び、勝手に読み上げ始めた。親友が女にうつつを抜かしているとして、わざと怒りの言葉を全文カタカナで書き綴った手紙で、見事谷崎や芥川を戦慄させていた。
なぜか宮沢らの友情に感化された川端は、勝手に自身が学生時代に書いた文章を取り出した。「僕はいつともなくお前の腕や唇を許されていた」から始まる内容は、学生寮で同室になった少年への想いが綴られている。当時19歳だった川端の言葉は芥川らを騒つかせた。
「あと1人だな」と坂口は太宰に狙いを定める。太宰の抗議に構わず、川端が太宰の手紙も読み始めた。太宰は現実逃避のため深呼吸して座禅を組む。手紙は至って普通の日常を綴っているのだが、なんと便箋の隅に小さく「コイシイ…」と添えられていた。太宰以外のメンバーはその演出に赤面し、宮沢に至っては「ねぇどうやったらこういうこと思いつくの!?」と太宰の体を揺らした。
そのまま終わろうとする坂口に「お前だけ手紙が紹介されていない」と太宰が食ってかかる。そして谷崎が読み始めた安吾の手紙は、当時付き合っていた女性に宛てたものだった。「ぼろぼろの夢で終わった僕の儚い生涯を、作品の中で悠久ならしめば悔いはありません」と綴られた言葉を、誰もが真剣な面持ちで受け止める中、坂口は涙を流しながら「うわぁぁぁぁ!安吾っちの感動巨篇きたぁぁ」と盛り上がった。宮沢も感動のあまり泣いている。谷崎だけは「つまらねぇぞお前らぁぁ!こんな作文25点だ!もっと俺を楽しませろ!」と憤慨し、坂口と宮沢を殴りつけていた。
こうして第1回文豪トークは幕を閉じる。最終的に優勝したのは、中学生の時に突然サングラスをかけて登校し始めた中原に決定した。中原は「手紙と何一つ関係ねーじゃねぇか」と泣き叫ぶ。中原とも仲の悪い太宰は張り合って、線路で立ったまま動かずに東武線を止めた自分の方がふさわしいと主張した。歴史に名を残す文豪は皆黒歴史だらけだと、結局全員で熱海に向かい打ち上げをしたのだった。

文豪、同人マーケットに出る

ある日、太宰が「天国同人マーケットって知ってる?」と坂口、中原に話をふった。「名前だけは聞いたことがあるけど」と答える中原らに、太宰は「ちょっとだけ興味があってさ、みんなで参加しない?」と誘い始める。たまたま居合わせた川端も会話に混ざったところで、太宰は「天国にいると怠けてしまって腕が鈍るから」や「ファンとも直接交流できる」などと理由を列挙するが、脳内では「太宰先生の本を天国で買えるなんて!」とファンが殺到し、チヤホヤされる自身の姿を思い浮かべていた。その妄想を盗み見たように、中原から「俺らをダシにしてちやほやされたいだけなんだろ?」と核心を突かれ、大慌てする太宰に川端が同人マーケットの参加者リストを見せる。どうやら、既に参加が決まっているメンバーが発表されているらしい。全員でリストを覗いてみると、なんと「ドストエフスキー」「ゲーテ」「紫式部」「ヨハネ」など歴史に残る名著を書いた文豪たちの名前が列挙されている。坂口が「こいつらと机並べちゃうの!?やめようぜー!」と太宰を止めるが、太宰は「文豪日本代表として世界で戦っていくんじゃ!」と叫びながら、自身の小説が日本の文豪の中ではトップクラスに売れているのだと自慢する。しかし、すぐさま中原らに「聖書は世界で50億部売れている」などと反論され、自分から自慢したくせに「ねぇ、部数の話はやめない?」と勝手に怒り始めた。兎にも角にも、太宰はSNSで同人マーケットへの参加を告知してしまったため、なんとしても出なければいけない。一方で、坂口らは「俺たちは全力で辞退させていただきます」と身を引いた。

そして、迎えた当日。天国中から集まった人で溢れかえる同人マーケットに、坂口、中原、川端は訪れていた。ヨハネのブースには常軌を逸した行列ができており、中原は「俺たち日本の文豪なんて、世界の一部の存在でしかないんだな」と青ざめる。そんな中、ひょっこりと宮沢が現れた。彼も同人マーケットで出品しているらしい。「生前は消極的だったから、天国では勇気を出して積極的に本を売ることにしたんだ」と意気込んでいる宮沢に、中原が「あいつここの空気ちゃんと読めてんのかな…」と冷や汗を流し始める。坂口は「ミヤケン氏がそんな高度な技術を持ち合わせているわけなかろう」と答えた。
しばらく見物してから、一行は太宰のブースを探す。ようやく見つけたかと思えば、太宰はうすら笑いを浮かべながら、ポツンと1人で座っていた。どうやら隣のブースに人々が吸い寄せられ、太宰のところに来ないようであった。中原が「隣の席誰よ!?」と突っ込むと、太宰は唇を噛み締めながら「シェイクスピアだって」と泣き始めた。シェイクスピアは、世界3大文豪の1人と言われている。太宰は「なんで近代日本文学とルネサンス英文学が隣同士なわけよ!?」と配置にキレ始め、しまいには「『アトムの新作出ないんですか』とか訳のわからないこと言ってくる奴がいる」と叫ぶ。坂口は、太宰が漫画家の手塚治虫(てづかおさむ)と間違えられていることに気づき腹を抱えた。
太宰が大失敗している中、坂口と中原は、同じ日本文学ジャンルのブースが盛り上がっていることに気づく。よく見てみると、彼らの顔馴染みである谷崎のブースであった。
それも完売している。坂口が「やっぱり俺たちの日本代表はザキタニパイセンだったんだよー!」と盛り上がっていると、谷崎も彼らに気づいたようだった。これ幸いと坂口が新刊の内容を聞いてみると、どうやら過激な性描写のある本だったらしい。たった10ページで3000円する本だったが、飛ぶように売れたという。生前も、谷崎は『鍵』という作品を発表する際に、大胆な性描写が社会問題になることを懸念して値段を高く設定して発売したが、売れに売れてベストセラーになったという伝説を持っている。

そうして、文豪マーケットは終わろうとしていた。ふと、川端が宮沢のことを思いだす。あたりを見渡すと、なんと売れなさすぎて本を無料で配り始めた宮沢がいた。生前から宮沢の熱心なファンである中原は「この大バカ!お前の売り方が下手なんだよ!俺が売るからよこせ」と本を奪い取って押し売りをし始めた。そのまま、中原は売り子として閉会ギリギリまで宮沢の本を売り込み続ける。
無限に上が存在する同人マーケットで、文豪たちは初心に戻った思いがしたのだった。

『文豪失格』の登場人物・キャラクター

文豪達

夏目漱石(なつめそうせき)

CV:藤原啓治
1867年2月9日生まれ、1916年12月9日没。10年以上教師として働いたのち、明治末期から大正初期にかけて活躍し、現在メジャーになった言文一致の現代書き言葉を作った文豪の1人だ。代表作は『吾輩は猫である』『坊ちゃん』『こころ』など。気難しく頑固な性格だが、芥川龍之介(あくたがわりゅうのすけ)、内田百閒(うちだひゃっけん)、鈴木三重吉(すずきみえきち)など多くの人物が彼を慕い、その人脈は「漱石山脈」と称された。弟子が連日来訪して仕事にならないので、まとめて木曜日に来るようにと言いつけた。この集まりは「木曜会」として知られている。
本作での夏目は、天国の明治地区に住み、天国出版で変わらず執筆活動をしている。弟子である芥川を中心に数々の文豪に振り回される苦労人だが、元来の面倒見の良さで馬鹿騒ぎにも付き合ってくれる。しかし、怒りっぽいためよく人を怒鳴りつけている。
下戸で病的な甘党。アイスクリームが大好きで、芥川の取材の付き添いでメイドカフェに行った時は山盛りのアイスクリームを注文していた。こってりした食べ物も好き。

芥川龍之介(あくたがわりゅうのすけ)

CV:鳥海浩輔
1892年3月1日生まれ、1927年7月24日没。大正期〜昭和初期に活躍した。東京帝大在学中から創作を始め、短編『鼻』が夏目漱石(なつめそうせき)の激賞を受けて注目を集めた。夏目を師と仰ぎ、学生時代から木曜会に通っていた。代表作の『羅生門』『河童』『杜子春』などが人気を博す。華々しい経歴だが、本人は繊細で臆病な性格をしており、自分に自信がなかった。ヘビースモーカーでずっとタバコを吸っているが、吸いすぎると頭痛とともに歯車が見えたという。
本作では、夏目同様に天国出版で小説を書いている。生前と変わらず夏目の家に通い、小説の相談などに乗ってもらっている。クールな性格だが、時折気位の高さがうかがえる。比較的常識人。太宰治(だざいおさむ)ら激しい性格の文豪の起こす騒動に巻き込まれて散々な目にあっている。

谷崎潤一郎(たにざきじゅんいちろう)

CV:遊佐浩二
1886年7月24日生まれ、1965年7月30日没。明治末期から昭和中期まで活動した。作品は国内外で高い評価を受け、ノーベル文学賞の候補に上がったほどである。代表作は『痴人の愛』『細雪』など。過剰なほどの女性愛やマゾヒズムなどを扱ったが、端麗な文章や作品ごとに変わる巧みな語り口で高い芸術性を見せている。
大の地震嫌い。大食漢で、また早食いでもあった。芥川龍之介(あくたがわりゅうのすけ)とは文学論争をしているが、史実では格別不仲だったわけではない。2人は天国に行ってからかなり喧嘩している。
本作では、他の文豪と同じく天国出版で執筆しているが、色々と言い訳をつけて締め切りを破っては性的な関心を満たすことばかり考えている。マゾヒストかつ女好きで、ホストクラブを運営したこともある。なお開店した日に中原中也(なかはらちゅうや)や坂口安吾(さかぐちあんご)らにより閉店に追いやられた。

太宰治(だざいおさむ)

CV:櫻井孝宏
1909年6月19日生まれ、1948年6月13日没。第二次世界大戦前から戦後にかけて多くの作品を発表した。代表作は『走れメロス』『人間失格』『斜陽』など。感受性が高く情緒不安定な性格をしており、女性関係や金銭関係においてだらしない人間だった。一方、ナルシスト的気質もあり、明朗闊達で話し上手、酒の席では話題の中心にいるような人物でもある。
中学時代から芥川龍之介(あくたがわりゅうのすけ)を敬愛しており、芥川を真似したポーズの写真が残っている。憧れの作家の名を冠した芥川賞の候補になったが、選考委員だった川端康成(かわばたやすなり)が「作家目下の生活に厭な影ありて、才能の素直に発せざる憾みがあった」と評されて落選した。なんとしても芥川賞が欲しかった太宰は、懇願する長文の手紙を川端に送りつけている。
本作では、天国で憧れの芥川龍之介と話せるようになり喜んでいる。一方で、芥川は騒がしい太宰に迷惑している様子。喜怒哀楽が激しく騒動をよく起こしている。生前からよく酔っ払った中原中也(なかはらちゅうや)に絡まれており、天国でも胸ぐらを掴まれたり殴られたりしている。

中原中也(なかはらちゅうや)

Zuiq-39
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