公爵家のメイドに憑依しました(小説・漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『公爵家のメイドに憑依しました』は、ピッコマやコミックシーモアなどのウェブサイト上で連載されていた、韓国発のフルカラー漫画作品。原作はJooahri、作画はAlohaが担当した。小説の世界に入り込み、物語に関わらないモブのメイドに憑依した主人公が、悲劇的な結末を迎える準主人公キャラ・リアンドロを幸せにしようと奮闘する姿を描く。本来は小説のヒロインに想いを寄せるはずだったリアンドロが主人公に心を開き、彼女を溺愛するようになるという甘い展開が、恋愛漫画好きのファンから高い評価を得ている。

『公爵家のメイドに憑依しました』の概要

『公爵家のメイドに憑依しました』は、ピッコマやコミックシーモアなどのウェブサイト上で連載されていた、韓国発のフルカラー漫画作品。原作はJooahriが書いた小説だ。コミカライズにあたり、作画をAlohaが担当した。話数は外伝を含めて全111話、単行本は全9巻で完結している。
現代に生きる真紀は、あるファンタジー小説に登場する主人公リアンドロを推している。リアンドロは、幼少期に呪いを受けたことで孤独な人生を送るキャラクター。彼は呪いを解いてくれたヒロインに恋をするが、想いが報われることはない。それどころか、最終的にリアンドロは主人公ではなく準主人公であることが発覚。真の主人公とヒロインが結ばれ、リアンドロは死んでしまう。推しの悲しい結末を知り、涙を流して眠りについた真紀。気がつくと、真紀は小説の世界に転生し、リアンドロが住む屋敷のメイド、イベリナに憑依していた。真紀はイベリナとして、リアンドロの世話をすることになる。
本作は、本来ストーリーに関わらないはずのイベリナがリアンドロを救い、彼と恋をしていく姿を描いたロマンスファンタジー漫画である。

『公爵家のメイドに憑依しました』のあらすじ・ストーリー

悲劇の主人公

リアンドロ・チリロ・ベラビティは、ある小説に登場する主人公キャラ。公爵家の1人息子として生まれたリアンドロが2歳になったとき、彼の体に奇妙な黒い模様が浮かび上がった。それは呪いで、時間が経つごとに黒い影が心身を蝕んでいくという。ある日、リアンドロの体に浮かび上がった模様は、アンブロセティ王国に古くから伝わる文字だということがわかった。呪いを解くヒントを得るため、リアンドロはアンブロセティ王国の王女であるエレオノラ・ラバテ・アンブロセティと顔を合わせる。しかしエレオノラは呪いに侵されたリアンドロの顔を見るなり、彼を恐れて拒絶した。幼心を傷つけられたリアンドロは邸宅に引きこもり、孤独な日々を送ることになる。それから13年後、リアンドロとエレオノラは再会した。エレオノラはリアンドロの境遇に同情して彼に歩み寄り、やがてリアンドロの呪いを解いてみせた。リアンドロはエレオノラの献身、そして呪いを解いてくれたという事実から彼女を愛するようになる。しかし、エレオノラはリアンドロではなく、皇室の跡継ぎであり物語の本当の主人公であるディエゴ・ロサノ・クレセンゾを選んだ。選ばれなかったリアンドロは反乱を起こし、処刑されて物語は終わる。

メイドに憑依した主人公

小説の登場人物であるメイドに憑依した真紀

小説を読み、リアンドロの悲劇的な結末を見届けた真紀。彼女は自室のベッドの上で泣いていた。「私だったらリアンドロを幸せにしてあげたのに」。そう思いながら眠りにつき目覚めると、真紀はメイド服を着て雑巾がけをしていた。真紀は自分が、リアンドロが住む邸宅で働くモブキャラのメイド、イベリナに憑依したことに気づく。

状況を把握した真紀は、メイドのイベリナとしてリアンドロの世話をすることになった。他の使用人たちは皆、リアンドロの呪いが感染するものだと思い、彼から距離を置いている。しかし、物語の展開を知っているイベリナは、呪いがうつるものではないとわかっていた。そのためイベリナは、呪いを全く気にすることなく、リアンドロの世話をする。当初は遠慮なく自分に近づき触れてくるイベリナに警戒心を抱いていたリアンドロだったが、少しずつ献身的なイベリナに絆され、心を開くようになった。

狂い始めた展開

イベリナが献身的に世話をしたおかげか、リアンドロの呪いは弱まり、体調も少しずつ良くなっていた。しかしイベリナは、リアンドロの呪いが弱まるのは一時的なことで、このあと大きな発作が起こり呪いが悪化することを知っていた。

ある日、イベリナが小説で得た知識の通り、リアンドロは呪いの発作を起こして苦しむ。予想外だったのは、小説とは違うタイミングで発作が起こったことだった。小説の展開通りなら、呪いを解く存在であるエレオノラと会うまで、あと3年かかる。呪いが解けても、リアンドロを待っているのはヒロインと結ばれず処刑される未来だ。イベリナは苦しみ続けるリアンドロの手を握り、彼の未来を思って涙を流す。すると、突如イベリナの体が光り始め、気がつくとリアンドロの体から呪いの模様が消え去っていた。イベリナは何が起こったのかわかっていなかったが、リアンドロは自分を助けてくれたのがイベリナであると確信していた。こうして、リアンドロのイベリナへの好意は決定的なものとなった。

穏やかな日々の終焉

リアンドロの呪いは、クレセンゾ帝国に敗北したアンブロセティ王国の前国王が、クレセンゾ帝国の後継者にかけたものだった。クレセンゾ帝国の皇帝であるヘリオス3世ロサノ・クレセンゾは、息子に呪いが向かないよう手を回し、その結果リアンドロに呪いが押し付けられたのである。そのため皇帝は、リアンドロの呪いが容易に解けるようなものではないことを知っていた。想定外の奇跡を皇帝は不審に思う。

イベリナがリアンドロの呪いを解いたという事実は、イベリナとリアンドロだけの秘密だった。健康体となったリアンドロは公爵家次期当主としての教育を受けるようになり、1日中リアンドロの世話をする必要がなくなったイベリナは、邸宅の別の仕事に精を出す。

平和な時間が流れ数年経ったある日、リアンドロの父が馬車の事故で急逝した。リアンドロが公爵家当主になる日が一気に近づいたことで、一介のメイドでありながらリアンドロと気安い関係であるイベリナは、執事やメイド長から警戒されるようになる。次期公爵と平民のメイドが良からぬ関係になっては困るためだ。使用人たちから向けられる不審の目に気づいたイベリナは、リアンドロと距離を置こうとするが、リアンドロはイベリナへの特別扱いをやめない。ついにイベリナはメイド長の指示で、邸宅から追い出されることになった。

爵位を継ぐため皇帝へと会いに出かけたリアンドロは、帰り道でエレオノラと再会する。かつて、呪いを受けた自分を恐れ「化け物」と罵った人物との出会いに、心を乱すリアンドロ。イベリナの顔を見れば安心できると思った彼は帰宅してすぐにイベリナを探したが、イベリナはすでに邸宅を後にしていた。リアンドロは涙を流して悲しみ、すぐにイベリナを追いかける。

リアンドロの告白

自身の騎士にイベリナを探すよう命じたリアンドロ。リアンドロに仕える女性騎士リリアナは帝国南部に向かったイベリナを発見し、すぐに主へと連絡を入れる。南部へと飛んできたリアンドロは、自分の行動が原因でイベリナが追い出されてしまったことを詫び、イベリナへの恋心を告白した。リアンドロが孤独だった頃に、唯一彼の世話をしたのがイベリナだった。だから、彼が自分を慕うのだと思っているイベリナは、リアンドロの想いを拒絶する。今のイベリナが想いを受け入れることはないと悟ったリアンドロは、彼女の意思を尊重して一度引き下がることにした。代わりにリアンドロは、リリアナをイベリナの護衛として置いていく。リリアナがいる限り、イベリナの居場所はリアンドロに筒抜けだ。イベリナは理由をつけてリリアナを帰そうとするが、リアンドロに忠誠を誓うリリアナは聞き入れない。結局イベリナはリリアナと共に、エディルト男爵領にある城でメイドとして働き始めた。それから3年経ったある日、イベリナたちが働く城に次期皇帝であるディエゴが訪れる。イベリナは何故かディエゴに気に入られ、構われることになった。

リアンドロとの再会

ディエゴが城を出ていったあと、イベリナのもとに成長したリアンドロがやってきた。自分が消えれば小説通りに事が進む。そう思っていたイベリナは、3年経っても変わらず自分を想ってくれているリアンドロに心を打たれる。イベリナはリアンドロを突き放すのをやめ、彼の気持ちを受け入れることにした。リアンドロはイベリナを雇っていた男爵に話をつけ、イベリナを引き取る。

リアンドロはイベリナの名前で貴族の身分を買っていた。イベリナは平民のメイドではなく貴族令嬢として、リアンドロと馬車に乗り邸宅へ向かう。その道中、リアンドロ一行はソニアの森でアンブロセティ人の強盗に襲われる。強盗は無事に撃退できたものの、帝国と王国の関係がより不安定になっていくことを知っているイベリナは、未来のことを思い不安に苛まれる。

皇帝からの招待

トラブルに見舞われながらも、イベリナとリアンドロは無事に公爵邸へとたどり着いた。使用人たちが一新された邸宅で、貴族令嬢として穏やかな時間を過ごすイベリナ。そんな彼女のもとに、帝城からの招待状が届いた。急な招待に戸惑いながらも、イベリナはリアンドロと共に、帝城で行われる舞踏会に参加する。舞踏会で、皇帝はディエゴとエレオノラの婚約を発表した。

婚約発表後、イベリナは皇帝に呼び出された。イベリナは皇帝に、リアンドロの呪いについて何を知っているのかと問われる。イベリナは自身がリアンドロの呪いを解いたという真実を隠し、ひとまずその場から解放された。

引き離される2人

皇帝に尋問されたあと、イベリナは再び舞踏会に招待された。今度は、イベリナのことが気になっているらしいディエゴからの招待だ。皇太子からの誘いということで断れず、イベリナとリアンドロは帝城へと向かう。舞踏会の最中、リアンドロはリリアナたちから、領地で略奪事件が起こったことを聞かされる。事件の対応をするため、翌日リアンドロは城を発つことになった。イベリナも共に行く予定であったが、皇帝の命令で帝城に残されることになる。

小説ではエレオノラと結ばれたディエゴ。しかしこの世界のディエゴはイベリナに好意を抱いていた。ディエゴに恋心を抱いているエレオノラは、ディエゴに構われているイベリナを疎ましく思う。しかしその一方で、心から自分とディエゴの幸せを願ってくれるイベリナに対し、好感も抱いていた。ある日、エレオノラはイベリナとディエゴを誘って船遊びに出かける。そこでイベリナは、魔が差したエレオノラによって湖に突き落とされた。イベリナは救出されたものの風邪をひいて寝込んでしまい、彼女が湖に落ちたことは事故として処理される。仕事を終え帝城に戻ってきたリアンドロは事故の話を聞き、皇帝に強く抗議した。

アンブロセティ国王の策略

エレオノラによって湖に突き落とされ、寝込んでしまったイベリナ。体調は戻ったが、アンブロセティ王国の使節団が城に到着し、それに関係する狩猟大会への参加が決まったため、リアンドロと共に帝城を離れられずにいた。イベリナは、極力ディエゴやエレオノラに接触しないよう気をつけながら狩猟大会を見守る。そんな中、ディエゴが乗った馬が急に暴走するという事件が発生した。この事故によりクレセンゾ貴族が1人死亡、ディエゴは大怪我をする。実はこの事故は、アンブロセティ国王ラファエレ・リト・アンブロセティたちが故意に起こしたもので、ラファエレの妹であるエレオノラも協力させられていた。

始まる戦争

狩猟大会が事故で中止となったあと、クレセンゾ帝国とアンブロセティ王国との間で戦争が起こった。アンブロセティ王国が旅行中だったクレセンゾ帝国の公女を拉致し人質にしたことがきっかけで、2つの国それぞれの不満が爆発したのだ。公爵であるリアンドロも戦争に駆り出され、イベリナは不安な日々を過ごす。

そんなある夜、ベラビティ公爵邸に侵入者が現れ、イベリナと騎士たちを拉致した。イベリナたちの拉致を指示したのは、ラファエレだった。クレセンゾ帝国の帝城を占拠し、皇帝とディエゴを捕らえたラファエレは、兵を率いて救出にやってくるだろうリアンドロに対抗するため、人質としてイベリナを確保したのである。幸い、イベリナは自らの機転とリリアナの協力によってラファエレから逃れ、リアンドロと合流できた。捕まっていたディエゴの救出にも成功し、形勢は逆転する。

追い詰められたラファエレは捕まる前に、最後の悪あがきとしてクレセンゾ皇帝の悪事を明らかにした。その悪事とは、ディエゴがかかるはずだった呪いをリアンドロに肩代わりさせたことだった。ラファエレたちが捕らえられたあと、リアンドロは真実を知るため、姿を消した皇帝を探す。秘密の部屋にいた皇帝は毒を飲み苦しんでいた。リアンドロは自分の行いを反省していない様子の皇帝を見殺しにし、復讐を遂げる。こうして戦争は終わり、皇帝がイベリナとリアンドロたちを害する危険もなくなった。

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