結婚指輪物語(漫画・アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ

『結婚指輪物語』とは『ビッグガンガン』にて2014年3月より連載されているめいびぃによる異世界ファンタジー漫画作品。幼馴染のヒメを追い異世界へと召喚されたサトウは、伝説の勇者・指輪王に選ばれる。世界を脅威に陥れる深淵王に対抗するために異世界の姫君と結婚するためのサトウの冒険が始まる。個性豊かな5人のヒロインとの恋愛模様と世界を救う王道ファンタジーが魅力である。

『結婚指輪物語』の概要

『結婚指輪物語』とは『ビッグガンガン』にて2014年3月より連載されている、めいびぃによる異世界ファンタジー漫画作品。異世界に召喚され、伝説の勇者・指輪王に選ばれた普通の高校生サトウと指輪の力を持つ5人の姫君たちによる、世界を脅威に陥れる深淵王との戦いが描かれる。『黄昏乙女×アムネジア』や『かつて神だった獣たちへ』のめいびぃの描く5人のヒロインとのラブコメ要素と、世界を救う王道冒険ファンタジーという2つの要素が魅力的な作品である。2024年にはTVアニメも放送され、アニメ制作は「Staple Entertainment」が担当する。

普通の男子高校生であるサトウは幼馴染のヒメに秘かな想いを寄せていた。夏祭りの夜にヒメへの想いを伝えるサトウであったが、ヒメから出た言葉は遠くへ引っ越しをするというものであった。ヒメへの未練を断ち切れないサトウはヒメを追いかけるが、異世界へのたどり着く。ヒメは異世界を脅威に陥れる深淵王と戦うための指輪を持つ姫君であった。ヒメへの想いを伝えたサトウは彼女と結婚し、世界を救う伝説の勇者・指輪王へと選ばれる。深淵王と戦い世界を救う為に5つの姫君と結婚するためにサトウはヒメと共に旅に出るのであった。

『結婚指輪物語』のあらすじ・ストーリー

指輪探しの旅

普通の高校生である佐藤春人(さとうはると)ことサトウは、夏祭りの日にずっと思いをよせていた幼馴染の野中姫乃(のなかひめの)に告白する決意を固める。しかし夏祭り当日にヒメの口から祖父の故郷である遠いところに引っ越すという話をされる。想いを捨てきれないサトウはヒメを追いかけるが、たどり着いたのはアーヌルスと呼ばれる異世界であった。ヒメはアーヌルスの国ノカナティアの王女であり、滅びの危機に瀕した世界を救う指輪の姫君であったのだ。そこに異世界を滅ぼそうとする深淵王の魔物が襲撃、ヒメから指輪の力を受け取ったサトウは魔物を撃退する。魔物を倒したサトウは指輪の姫君の力を使いこなす勇者「指輪王」へと選ばれ、ヒメと結婚することになったのである。指輪の姫君はヒメの他にも4人存在し、サトウは全ての姫君と結婚して深淵王を倒すために旅に出る事になるのであった。

サトウはヒメの結婚相手であったギサラス帝国の皇子マルスやヒメの祖父アラバスタと共に、風の指輪を求めてエルフ達の住まう国ロムカに向かう。指輪の姫君であるネフリティスと会うが、彼女は人見知りな性格からサトウとの結婚を拒否してしまう。さらには指輪王の訪問を良く思わないネフリティスの兄、ジェードによって身柄を拘束され牢屋へと閉じ込められてしまう。牢獄生活をおくるサトウはロムカの長老であるペリドートによって救出され、ネフリティスと再び面会することになる。ネフリティスは外の世界へ興味を示していたが、両親から任された国を守るという使命にこだわり、全うしようとしていた。ネフリティスの覚悟を知ったサトウは彼女との結婚を後回しにして国を後にしようとする。その時、風の結界を破壊し深淵王の魔物が侵入する。エルフ達と協力しつつ応戦するサトウであったが、徐々に劣勢に追い込まれていく。自分の力だけではサトウを救えないと思ったヒメは、指輪の力を持つネフリティスに対して「サトウの力になってほしい」と説得する。自分の居場所を守るために戦っているサトウの姿に胸打たれたネフリティスは彼の力になるために結婚を決意する。風の指輪の力を使いサトウは魔物を退けるのであった。

風の指輪を手にしたサトウは次の指輪を求めて水の国マーサへと進路をとろうとするが、そこに突如として動く町が姿を現す。この町こそが、火の指輪の持つニーダキッタであり、タイミングの良さを感じたサトウは予定を変更し火の指輪を手にするため町に乗り込むのであった。火の指輪の姫君であるグラナートは国一番の武人であり、自分よりも強い男を求めお見合いと称した勝負をあらゆる相手に持ち掛けていた。グラナートと結婚するには、剣術での一騎打ちで勝ち力を示さなければならないのだ。今の実力では到底太刀打ちできないと思ったサトウはマルスに剣の稽古をつけてもらう。一騎打ちに挑むサトウだが、そこに深淵王の魔物が襲来する。グラナートと協力して魔物を退けたサトウは、実力を認められ結婚することを許可される。しかし、あくまで自分の力を示したいサトウは、あらためて彼女に一騎打ちを申し込む。指輪に頼らずに自分の力で勝利しようとするサトウであったが、グラナートとの実力差は激しく追い込まれていく。仲間達や対戦するグラナートからも指輪を使うように進言されるが、あくまで自分の力で戦い続けようとするサトウに指輪が語り掛けてくる。指輪の助言でグラナートの動きを見切りサトウは勝利するのであった。

水の国マーサへとやってきたサトウの前にとある女性が現れる。女性の正体は水の指輪の姫君であるサフィールであった。サフィールの父親である賢王は深淵王を恐れるあまり、帝国からきたという占い師を重用し、マーサは実質的に帝国に支配されているのだという。サフィールは帝国からマーサを救う為にサトウにキスし求婚する。一方マルスはサフィールの双子の妹であり、恋人であったサフィラと再会する。指輪王となり迎えに行くという約束を反故にしたマルスを、サフィラは責めるのであった。さらには帝国の将軍としてマーサにやってきた兄スリュダーからも「任務を果たせなかったマルスに帰る場所はない」と言われる。愛する人や帝国からの信頼を失ったマルスは、不安定になっていたところを深淵王の使いにより付け込まれ操られてしまう。操られたマルスは深淵王の使いによる魔物の襲撃の混乱に生じてサトウを襲う。だが戦いの中でマルスの本心の優しさを見抜いたサトウは、マルスに仲間でいてほしいと説得。サトウの説得もありマルスは無事に正気を取り戻すのであった。そしてマルスはサフィラに未だに変わらぬ好意を伝えて結ばれるのであった。

元の世界への帰還

最後の姫君のいる土の国イダノイカンへと向かうが、既に深淵王との戦いによって滅んだあとであった。途方に暮れるサトウ達の前に力を取り戻した深淵王が目覚めて世界の侵攻を開始する。勝ち目がないと悟ったアラバスタは、サトウと指輪の姫君たちを元の世界へと強制的に転移させるのであった。元の世界へと戻ってきたサトウ達。夏休みが終わりサトウとヒメは以前のような学園生活に戻り、ネフリティスやグラナード、サフィールも日本になじみつつあった。そんなある日、サトウの暮らすアパートの近くの社から謎の女性が現れる。彼女こそが最後の指輪の姫君であるアンバルであった。滅びの危機に瀕した土の国のドワーフ達は指輪の器であるアンバルを作り、最後の望みとして指輪と共にサトウのいる世界に飛ばしていたのであった。最後の指輪の力を手にしたサトウはアラバスタ達を助けるべく、再び異世界へと向かおうとする。しかしもうサトウを失いたくないと思ったヒメは「祖父が助けてくれた命を無駄にすることはない、異世界の事を忘れて日本で暮らすべきだ」と言う。指輪王として使命を果たすためにサトウはヒメを守ると宣言し説得。再び異世界への道を開くのであった。

帰還したサトウは深淵王に立ち向かう。指輪の力で深淵王に攻撃し、深手を負わせる事に成功する。しかしあと一歩及ばず深淵王を倒しきれずに、窮地に陥るサトウ達。そこに生きていたアラバスタが駆け付ける。アラバスタの助けもあり、無事にその場を乗り切りノカナティアへと帰還するサトウ。深淵王は深手を負ったもののいつか回復して襲い掛かってくるという。今のままでは深淵王に太刀打ちできないと思ったアラバスタは、指輪の更なる力を引き出すために提案をする。それはサトウと指輪の姫君たちの絆をより強いものにする事で有り、そのために各地で花嫁修業をするというものであった。

ヒメの闇堕ち

花嫁修業として各地を旅することになったサトウ達一行の元に、未だに魔法を使いこなせていないヒメに魔法を教えるべく妹のモーリオンが現れる。モーリオンとの修行によりヒメは自分の魔力を増し、母親の形見である光の杖を使いこなすことができるようになる。モーリオンを旅の仲間に加えたサトウは再びロムカへとやってくる。エルフ達の知恵が眠る大書庫にやってきたサトウの元に再びペリドートが現れる。ペリドートは自分が最初の指輪王の妻であり指輪の姫君であったことを告白する。ペリドートは自分達の旅を追憶する中で、初代指輪王は伝説で伝えられた英雄ではなく、旅の中で力に溺れていき最期は姫君たちからも見捨てられた人物であった事を語る。サトウが初代指輪王のようにならないために力をつけるべきだと思ったペリドートは、サトウ達を書庫へと閉じ込める。ペリドートによる試練と称してヒメ達指輪の姫君はサトウを誘惑する。最初は頭を悩ませるサトウであったが、煩悩を捨て誘惑に打ち勝ち姫君たちとの絆を強めるのであった。

エルフの書庫で力と絆を強めたサトウ達は、深淵王に対抗する力を手に入れるために二手に別れて行動することになる。サトウはアラバスタ、アンバル、サフィールとともに帝国ギサラスへと向かう。帝国の神話遺物庫に眠る武器を手に入れようとするが、皇帝は指輪王などという伝説の力に頼らず人間の力を束ねて深淵王に対抗すべきだと主張し、サトウ達への協力を拒む。手詰まりになっていたサトウは帝国に潜入していたマルスとサフィラと再会する。マルスの力を借りて武器庫へと潜入したサトウ、しかし指輪王の剣は錆びていて使い物にならなかった。そこに皇帝が現れる。「皆を守るためにもっと力が必要だ」と言うサトウの指輪王としての覚悟を聞いた皇帝は、ヒメの父親が使っていたノカナティアの王家の剣をサトウに託す。ヒメはモーリオンやネフリティス、グラナートと共に魔導の尖塔(まどうのせんとう)へとやってきていた。ヒメは魔法の力を強めるために大叔母のペルレに弟子入りする。修行の日々に明け暮れるヒメであったが、なかなか魔法を使いこなす事が出来ずにいた。サトウの役にたちたいと功を焦るヒメに深淵王の使いが接触、ヒメをそそのかしヒメは闇堕ちしてしまう。帝国を後にしたサトウはヒメ達と合流するために魔導の尖塔へと向かう。しかしそこには闇堕ちしたヒメにより変わり果てた尖塔があった。

事情を悟ったサトウはヒメを取り戻すために尖塔へと乗り込む。塔の内部はヒメの魔力で作られた心の世界であった。ヒメが作り出した幻影たちはサトウを惑わすが、「今のヒメといたい」と気づいたサトウは幻影を退けて、本当のヒメと邂逅する。本物のヒメはサトウを独り占めしたいという想いを打ち明けて暴走、自分とサトウを2人だけしか存在しない無の世界へと閉じ込める。しかし、ヒメと未来を生きていきたいと願うサトウは、無の世界を否定し「一緒に前を向こう」とヒメを説得する。サトウとならもっと先に進めると思ったヒメは自我を取り戻す。想いを通じ合わせたサトウとヒメは心の世界の中で遂に体を重ねる。

深淵王との決着

ヒメを取り戻し、彼女との絆をより強いものとしたサトウは深淵王との決着をつけるべく北方の地ヴァンナーへと向かう。帝国やロムカ、ニーダキッタ、マーサの軍勢と協力してヴァンナー地方へと進軍するサトウ達は、深淵王の本拠地である深淵の領域へとたどり着く。仲間達の協力もあり、深淵王に一撃を喰らわすサトウ。素顔を露わにする深淵王であったが、その正体はかつての指輪王と呼ばれる存在であった。かつての指輪王は深淵王と共に封印され、その際に深淵に取り込まれ新たな深淵王となっていたのだ。深淵王は指輪王の力の根源である他者との絆であり、それはいつか揺らいでしまうものであるとサトウへ問いかける。サトウの中にある僅かな揺らぎを感じた深淵王は、サトウを深淵の淵へと誘い閉じ込める。「指輪王としての先にある未来は裏切りと孤独な死だけである」と揺さぶる深淵王の言葉によって、サトウは完全に深淵に取り込まれ消滅しかけてしまう。サトウのわずかに残った力を感じ取ったヒメは深淵へと乗り込み、サトウを救出する。復活したサトウはヒメ達指輪の姫君の力を合わせて、遂に深淵王を打ち払うのであった。

深淵王を倒し異世界に平和をもたらしたサトウはノカナティアに凱旋する。人々はサトウの功績を称えパレードやパーティーを開くが、指輪王として強力な力を持つサトウの存在を良しとしない勢力も存在していた。指輪王を排除しようと動く勢力を感じ取ったサトウは、指輪の姫君たちと共にハネムーンと称し、現実世界へと帰還する。再び帰ってきた現実世界で今度はヒメ達と共に学校に通う事になったネフリティス、グラナード、サフィーラ、アンバル。始めは戸惑いつつもあったクラスメイトであったが徐々に受け入れるのであった。皆が現実世界になじみつつあるある日、サトウはネフリティスの提案で京都に旅行に向かう。泊まりを兼ねた京都の旅行中、サトウとの関係をより進めたいと思うネフリティスはサトウへの想いを伝え、一夜を共にする。京都でのサトウとネフリティスの事を知ったグラナードは自分もサトウとの距離を近づけたいと思い、他の姫君たちとの協力もありバレンタインにサトウへの想いを告白する。サトウ達の現実世界での暮らしが続き、新学期が近づいていたある日モーリオンが現れる。アラバスタの奮闘もありアーヌルス内部にあった指輪王排除派達の動きが鳴りを潜めてきたというのだ。アーヌルスへと帰還するタイミングだと知ったサトウは、現実世界を惜しみつつも、皆と共にアーヌルスへと帰還する。

『結婚指輪物語』の登場人物・キャラクター

メインキャラクター

佐藤春人(さとうはると)/サトウ

CV:佐藤元/佐藤巧(VR版)/永瀬アンナ(幼少期)
本作の主人公であり、ごく普通の高校生。ヒメとは幼少時に出会ってからの幼馴染であるが、秘かに好意を抱いている。アーヌルスに帰還するヒメに別れを告げられるが、彼女の想いを諦めきれずに追いかけたことで世界を救う勇者である指輪王に選ばれ、指輪を持つ5人の姫と結婚し深淵王を倒す使命のために旅に出る。ヒメと結婚はしたが、恋愛に関しては奥手の姿勢でありいまいち発展しない状況が続いている。

クリストル・ノバティ・ノカナティア/ヒメ

CV:鬼頭明里
ノカナティアの王女であり光の指輪の姫君。幼い頃にアラバスタと共に深淵王の手から逃れるために現実世界やってきた際にサトウに出会う。サトウとは幼馴染であり、好意を抱いていてはいるが、指輪の使命を持つため一歩踏み出せずにいた。指輪の姫君となるためにサトウに別れを告げるが、自分を追ってきたサトウを指輪王に選び、彼と結婚する。サトウを指輪王にしてしまった悔恨と他の姫君たちへの嫉妬から、深淵王により闇の心に囚われてしまうが、サトウの説得により共に未来を歩んでいく決意をすることで本来の自分を取り戻す。

ネフリティス・ロムカ

CV:島袋美由利
風の指輪の姫君であるエルフの少女。人見知りな性格であり、ほぼ引きこもり状態である。本を読む事が趣味であり、そのため世界の様々な事象に詳しい。外の世界には憧れつつも、両親との約束である国を守る事にこだわっていたが、サトウと出会いで外へ出る決意を固め彼と結婚する。自分を外へと連れ出してくれたサトウには好意を抱いており、度々アプローチをしている。少女の外見をしているが、長命種であるエルフのため実年齢は57歳。

グラナート・ニーダキッタ

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