よりみちエール(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ
『よりみちエール』とは敦森蘭によって2020年から2021年まで講談社『ヤングマガジンサード』で連載された、クラフトビールを題材とした日本の漫画である。若手でイケメンのハーフ俳優・藤田アラン(ふじた あらん)とアラフィフ映画監督・高田頼道(たかだ よりみち)は、ひょんな事からクラフトビールを飲みながら語り合う仲になる。2人の過去や心の繋がり、またクラフトビールの奥深さが楽しめる作品である。
柴っちゃん(しばっちゃん)
土岐のマネージャーで所属事務所社長。本名・年齢不詳。芸能界では圧倒的権力を持っており、土岐が生放送番組にアランを勝手に出演させた際、彼女の存在があるので大丈夫だとアランに話している。
『よりみちエール』の用語
『朧光(ろうこう)』
頼道が監督を務めた映画作品。自殺を考えるほど追い詰められていたアランの人生を変えた作品でもある。小説版も出版されておりアランの愛読書の1つであるが、部屋に遊びに来た黒澤がお菓子を食べた手で触り、アランがイラつきを見せるシーンもある。また黒澤がウェイトレス役で1シーンだけ出演している。
『いつかの恋人たち』
末延が監督、頼道が演出を手がけた土岐と森海のダブル主演の映画。公開直前に森海が薬物所持で逮捕され、一時は公開が危ぶまれた。しかしアランが生放送番組にゲリラ出演し訴えたことがきっかけでミニシアターで公開が可能となった。この映画で「ジャパンアカデミー賞」において末延が監督賞と優秀賞、土岐が主演俳優賞と優秀賞を受賞している。
ペアリング
相性の良いお酒と料理の組み合わせのこと。クラフトビールの人気の高まりと共にビールペアリングが注目されるようになった。作品内では「色を合わせる」「発祥国を合わせる」「味の要素を組み合わせる」というビールペアリングにおける3つの法則を、頼道がアランに教えるという形で紹介されている。
『よりみちエール』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
高田頼道「もし絶望しかなくなったら、いつだって辞めちゃえばいい。希望の光が一瞬たりとも見えないのならね」
アランは黒澤が若くして『朧光』に出演していた話から、自分より年下の役者たちがどんどん売れていく様子に自分が情けないと頼道に言った。そんなアランに頼道はチェコのビール「ピルスナー・ウルケル」を使った注ぎ分けの1つで、泡だけの「ミルコ」という飲み方を勧める。アランは日本ならクレームになりそうだと思いながらも一口飲むと、クリーミーでビールの味わいを楽しめることに驚く。
「固定概念覆ったでしょ?」と言う頼道は「役者は必ずしも若くして売れればいいものではない、今の経験は必ず活きてくる時が来る。いずれ味わい深い役者にきっとなれる」とアランを励ました。だが一方で「もし絶望しかなくなったら、いつだって辞めちゃえばいい。希望の光が一瞬たりとも見えないなのならね」とも言った。アランはそんな頼道の事が好きだと改めて思うのだった。
アランが役者の道で例え成功できなくとも、辞めることは悪いことではないと頼道が彼に贈った名言である。
藤田アラン「ゴーゼビールが鉱山労働者の失われたミネラルや水分を補ってくれたように、頼道さんは僕にとって枯渇した僕の心を生き返らせてくれる人です」
映画のクランクアップ後に頼道とアランが二人で打ち上げを行った。ゴーゼビールを頼んだアランに頼道は「発祥国のドイツでは鉱山労働者の水分補給としてゴーゼビールが飲まれていた」とアランに教える。そして頼道は映画の演出を引き受けた理由として、「アランの役に立ちたかったからだ」とアランに告げた。それを聞いたアランは嬉しさのあまり涙を流しながら、「ゴーぜビールが鉱山労働者の失われたミネラルや水分を補ってくれたように、頼道さんは僕にとって枯渇した僕の心を生き返らせてくれる人です」と頼道に話した。
アランの頼道への気持ちが恋愛感情だけでなく、絆や尊敬という気持ちも含まれていることが見事に表現されている。またビールの味を映画で例えてきたアランが、ゴーゼビールを頼道への気持ちとして例えた名言である。
頼道とアランが湯上がりにビールを一緒に飲む場面
映画を撮ることを辞めた頼道にアランは、「過去のことは一緒に背負えるから、いつか話せる時が来たら話してほしい」と黄金湯という銭湯で背中を流しながら寄り添う言葉をかけた。そして二人は湯上がりにクラフトビールを飲み「美味いっ!」と言う場面。二人が一緒にビールを飲む場面は多数登場するが、この場面は美味しそうな表情が最も強調して描かれており、二人の絆が深まったことでよりビールも美味しく感じた「ビア活」漫画としての名場面である。
『よりみちエール』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
作品タイトル名のビール
作品内にも登場する「CRAFTROCK BREWING」から、その名も「よりみちエール」という名のクラフトビールが2021年に発売された。
すでに販売終了とはなっているが、まるでオレンジジュースのようにフルーティーなHazy IPA(ヘイジーアイピーエー)というスタイルのビールで、コンビニのロールケーキとのペアリングも最高な一品である。
ビールのラベルには頼道とアランがデザインされている。
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目次 - Contents
- 『よりみちエール』の概要
- 『よりみちエール』のあらすじ・ストーリー
- 頼道とアランの出会い
- 距離の近づく2人
- 頼道が映画から離れた理由
- 映画の公開中止の危機
- 救い合う2人
- 『よりみちエール』の登場人物・キャラクター
- 主人公
- 高田 頼道(たかだ よりみち)
- 藤田 アラン(ふじた あらん)
- 頼道の関係者
- 黒澤(くろさわ)
- 末延 和寿(すえのぶ かずとし)
- 蓬莱 遥人(ほうらい はると)
- 俳優
- 土岐 正治(とき せいじ)
- 久世 万知子(くぜ まちこ)
- 森海 千津(もりうみ ちづ)
- その他の人物
- 木下(きのした)
- シゲキックス
- 柴っちゃん(しばっちゃん)
- 『よりみちエール』の用語
- 『朧光(ろうこう)』
- 『いつかの恋人たち』
- ペアリング
- 『よりみちエール』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 高田頼道「もし絶望しかなくなったら、いつだって辞めちゃえばいい。希望の光が一瞬たりとも見えないのならね」
- 藤田アラン「ゴーゼビールが鉱山労働者の失われたミネラルや水分を補ってくれたように、頼道さんは僕にとって枯渇した僕の心を生き返らせてくれる人です」
- 頼道とアランが湯上がりにビールを一緒に飲む場面
- 『よりみちエール』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 作品タイトル名のビール
- ビール好き3名による座談会