ガチアクタ(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『ガチアクタ』とは裏那圭が講談社『少年マガジン』にて連載しているバトル漫画である。2022年より連載が始まった。「天界」の端にあるスラム街で暮らしているルドはある事件をきっかけに殺人犯に仕立てられ、すべてのゴミが流れつく場所「奈落」に追放されてしまう。その後「奈落」で巨大な怪物である「斑獣」に襲われるが、そこで犯獣退治を生業とする「掃除屋」エンジンと出会う。その出会いを通じてルドは天界に戻るためにも掃除屋に加入するというストーリーである。強烈なキャラクターデザインが本作の大きな魅力である。

『ガチアクタ』の概要

『ガチアクタ』とは2022年より裏那圭が講談社『少年マガジン』にて連載しているバトル漫画である。裏那圭の初連載であり、「次にくるマンガ大賞2022」コミックス部門でGlobal特別賞や「全国書店員が選んだおすすめコミック2023」で14位を獲得している。
天界の端にあるスラム街で生活している少年・ルドは幼いころから面倒を見てくれていた男・レグドと一緒にゴミ拾いを生業にして暮らしていた。だがある日、ルドはレグドの遺体を発見してしまい殺人犯に仕立て上げられてしまう。そして罪人としてすべてのゴミが流れつく「奈落」に追放された。そこでルドは巨大な怪物・班獣(はんじゅう)に襲われるが、班獣を倒すことを仕事としている「掃除屋」・エンジンに助けてもらう。ルドを助けたエンジンは班獣を倒す上で必要な特殊能力「人通者」(ギバー)の素質がルドにあることを見抜く。こうしてルドは天界に戻る手立てを得るためにも、エンジンの「掃除屋に入れ」と言う提案を受けるのであった。
スチームパンクを基盤とした癖の強いキャラクターデザインが大きな魅力であり、人通者の武器である「人器」(じんぎ)のデザインも情報量が詰め込まれており見応えがある。さらにバトルの描写も迫力があり、人器の特性を生かした戦いは大きな魅力の一つである。またグラフィティデザインを盛り込んだ画風は本作の特徴である。

『ガチアクタ』のあらすじ・ストーリー

奈落への追放と掃除屋との出会い

空に浮かんでいる土地「天界」の端にあるスラム街で幼い頃に両親を失った少年・ルドは「族民」の男性・レグドともに暮らしていた。「族民」とは犯罪者たちの子孫を指す蔑称であり、スラム街での生活を強いられていた。そんなスラム街の中でルドはゴミ拾いを生業にレグドと共に生活していたが、ある日レグドが何者かに殺害されてしまう。レグドの遺体の第一発見者になったルドは「族民」という立場のせいで殺人犯として仕立て上げられる。その後、殺人犯になったルドは天界のゴミが流れつく「奈落」に追放されることになる。追放される直前、自分を陥れた天界の人々を見たルドは、天界の人々に復讐をすることを言い放ち奈落に追放された。
奈落に追放されて目を覚ましたルドは、大きなゴミの化け物である「班獣」(はんじゅう)に襲われる。必死に抵抗するルドであったが、班獣の攻撃を受けてしまい倒れてしまう。そんな倒れたルドの前に「掃除屋」を名乗る仮面の男が現れ、持っていた傘を武器に班獣を倒していく。班獣を倒し終えた仮面の男・エンジンはルドに掃除屋として素質があることを見抜き、ルドを掃除屋としてスカウトする。ルドにはエンジンと同じく班獣を倒すことができる道具「人器」(じんぎ)を扱う「人通者」(ギバー)としての才能があり、すでにルドのグローブは人器としての力を宿していた。そのことをエンジンから教えてもらったルドは天界に戻る情報を得るためにも掃除屋に加入することを決意する。
掃除屋の本部に向かう途中、ルドの教育係としてエンジンに呼び出された男・ザンカと戦うことになる。戦い始めたルドはザンカの人器である棒状の武器に圧倒される。しかしルドの人器であるグローブの触れたガラクタを人器にする能力を使い、ザンカの弱点をつき何とか勝利する。こうしてザンカに素質を認めさせたルドは、エンジンと同じく掃除屋に所属している女性・リヨウとともに掃除屋本部に向かうのであった。

掃除屋の仕事

掃除屋本部に入ったルドはエンジンの案内で掃除屋のボスに会いに行くことになるが、ボスが出張でしばらく本部に不在であることを知る。そしてリヨウの提案で班獣を駆除する掃除屋の仕事を見学することになる。
人通者であるリヨウと人通者の補助するサポーターの3人、そしてルドの5人で班獣の仕事に向かった。駆除対象の班獣は小型であったが数がとてつもなく、ルドは圧倒されてしまう。そこでリヨウは自身の人器であるハサミの武器を使い、サポーターと連携して大量の班獣を駆除する。しかしそこに突如巨大な班獣が出現。リヨウは巨大な班獣と対等に渡り合うが、その隙にサポーターの一人が小さな班獣に襲われそうになる。その瞬間ルドが小さな班獣の前に立ちふさがり、身を挺してサポーターを守る。結局、巨大な班獣を倒したリヨウが小さな半獣も倒すが、ルドはサポーターを1人守ることに成功したのであった。
リヨウとの仕事の後、ルドは掃除屋の面々に歓迎会を開いてもらう。しかしルドは班獣を前に何もできなかったことを悔いていた。そこにサポーター・グリスが現れ、サポーターを助けてくれたことに関してルドに感謝を述べる。その言葉を聞いたルドは元気を取り戻し、歓迎会に参加するのであった。

荒らし屋との遭遇

歓迎会からしばらくたち、ルドはザンカ、グリスと共にルドと同じように生きた天界人がいたと情報を受けた建物に向かう。しかしルド達が入った瞬間、その建物の床が崩壊し地下に落とされてしまう。その情報は人通者でありながら盗賊行為を行う集団「荒らし屋」の罠であり、天界人であるルドを狙っていたのである。ザンカはルドたちを逃して、荒らし屋の二人と交戦する。荒らし屋の2人はコンビネーション攻撃を繰り出すが、人器の熟練度の高さを見せつけたザンカには通用せず、あっけなく倒される。しかし荒らし屋2人を倒した瞬間、爪の人器を持つ荒らし屋・ジャバーの攻撃を受け倒れてしまう。
ザンカを倒したジャバーはルドたちの前に現れる。ジャバーの攻撃の前にグリスが倒れてしまい、ルドはジャバーに対して怒りを見せる。そしてグリスの持っていたお守りをグローブの力で人器化させ、ジャバーを圧倒し始める。しかしジャバーはお守りの人器の「敵意を察知してその攻撃を避けさせる」という能力を見破り、自身の人器を利用した無意識の攻撃を繰り出し始める。その攻撃に苦戦するルドであったが、後から駆け付けたザンカとのコンビネーションでジャバーを倒す。その後、エンジンを始めとする掃除屋のメンバーがその場に駆け付けるがジャバーは仲間の掃除屋の能力で逃走する。
ジャバーとの戦いの後、本部に戻ったルドは掃除屋のリーダー・コルパスと出会う。そしてコルパスは今までのルドの活躍を認め、掃除屋に迎えるのであった。

ラクガキの町と砂漠の禁域「ペンタ」

掃除屋に入ったルドはコルパスから砂漠の禁域「ペンタ」で天界と奈落を行き来する存在をみた女がいるという情報を得る。ペンタは奈落と天界の「境界」に近くとても危険な地域になるが、ルドは女から話を聞くためにペンタに向かうことにする。
ペンタに向かう準備のため、ルドとエンジン、ザンカ、リヨウ、そして人通者のデルモン、タムジーはラクガキの町「キャンパスタウン」でおまじないを受けに行くことになる。キャンパスタウンについて早々、そのまじないをすることができる人通者・ゴブが禁域で亡くなってしまったことを知る。そのことにショックを受けるルド達であったが、ゴブの「相続者」であるレムリンがゴブの人器を受け継ぎ、人通者として覚醒する。こうしてルド達はレムリンから「大ダメージを一回だけ緩和する」まじないを受け、ペンタに向かうのであった。
ペンタに向かったルド達は早々にサソリの班獣に襲われるが、難なく撃破に成功する。その後、砂漠に現れた怪しい少女を見つけたルド達はその少女に話かけられる。少女・アモは天界と奈落を行き来する存在を見たとルドたちに話し、ルド達はアモの話を聞くためにアモが住んでいる塔に向かう。塔について早々恋バナを始めようとするアモであったが、エンジンはその話題よりも天界と奈落を行き来する存在をアモから聞き出そうとする。そんなエンジンの態度を見てアモは不機嫌になり、自身の靴の人器の能力を使う。人器である靴は「靴の匂いを使い、相手の懐かしい記憶を利用してその対象を操る」という能力を持っていたのである。そして手始めに能力でデルモンを操り、エンジンに不意の一撃を与える。エンジンは倒れてしまい、デルモンを支配下に置いたアモはさらに能力を使い、リヨウとルドも操り始める。しかし能力が匂いに関係していることに気づいたザンカとタムジーはガスマスクを使い、アモの能力を封じる。そしてタムジーの人器である糸巻き状の武器を使い、操られたルド、リヨウ、デルモンを拘束する。ただ拘束してもアモの能力が解除されない様子を見たタムジーは拘束した3人を思い切り塔の下に叩き付け重傷を負わす。その様子をみていたアモに対し、レムリンのおまじないの能力を使ったエンジンがアモの靴を取り上げることに成功する。そしてアモに操られていたルド、リヨウ、デルモンは意識を取り戻し、エンジンと同じくレムリンのおまじないを使い無事に生還を果たすのであった。
アモを無事に拘束したルド達は、アモから天界と奈落を行き来する「天使」という存在がいることを聞く。そしてアモが描く天使の姿を見たルドは、レグドが殺される前にたまたま出会った仮面の男であったことを思い出す。目的を無事に達成したルド達は、アモに別れを告げペンタを後にするのであった。

『ガチアクタ』の登場人物・キャラクター

主要人物

ルド

天界のスラム街出身の少年。白髪で目には隈があり目つきが悪い。
年齢は15歳くらいで、身長は163cm。誕生日は7月20日。好物は甘味で、嫌いなものは辛い食べ物と天界人、そして大事なものを踏みにじる人間である。趣味はゴミ拾い、スラム街で暮らしていた時は「ゴミ荒らし」として天界人に嫌われていた。
班獣(はんじゅう)を狩ることができる人通者(ギバー)であり、人器(じんぎ)はレグドからもらったグローブ。能力はゴミやガラクタを人器として使用できる能力である。他の人器には見られない能力のため謎がまだ多いが、エンジンから「ゴミ・壊れたもの価値を最大限に引き出して、役目を果たして消費する」能力であると分析されている。対象のゴミやガラクタによって発揮する能力が違うが、使用し終わると崩れ去るという共通点を持つ。
性格は、不器用だが実直である。しかし時々怒りの感情が抑えきれないことがあり、本人は嫌悪している。ただ仲間は身を挺して守るなど、掃除屋の面々からは信頼されている。
両親を幼いころ亡くしており天涯孤独の身であったが、レグドに拾われて家族同然の中になる。また物心がつく前から両腕に傷があり、真っ黒に染まっていたがレグドからグローブを受け取り、それ以来痛みは抑えられている。
奈落に追放されてからはエンジンから掃除屋にスカウトされ、掃除屋・アクトに所属している。

掃除屋

エンジン

奈落の住人で掃除屋・アクトのリーダー。ツーブロック髪型をしており、タトゥーが特徴的な男性である。
年齢は28歳で、身長は190cm。誕生日は8月22日。好物はタバコと泥臭く戦っている人、嫌いなものは雨とめんどくさい幼稚な女である。
人通者であり、人器は傘で名前は「アンブレイカー」。傘を開けることで攻撃を防ぐことができ、回転させることで斬撃を放つことができる。
性格は表情豊かで兄貴肌である。しかし冷静な面も持っており、高い実力も併せて掃除屋のボスからも大きな信頼を寄せられている。
奈落に追放されたルドを助け、素質を見抜き掃除屋にスカウトする。ルドが掃除屋・アクトに加わってからはたびたび面倒を見ており、ルドにとっては奈落でレグドを彷彿とさせた人物でもある。

ザンカ・ニジク

奈落の住人で掃除屋・アクトのメンバー。たれ目が特徴的な男性である。
年齢は17歳で、身長は178cm。誕生日は2月3日。好きなものは出汁がきいた食べ物とたたき上げの人、嫌いなものは天才と苦い食べ物である。
人通者であり、人器はさす股のような棒で名前は「愛棒」。リーチを生かした攻撃が得意である。さらに人器を扱うスキルも高いため、地面にぶつけた振動を利用して相手の位置を探ったり、相手の攻撃をいなしたりできるなど汎用性が高い。
性格はまじめで負けず嫌い。本人は凡人であることを強く自覚しているが、敵が天才であってもそれを超えたいという強い執念を持つ。
奈落でも由緒ある家柄生まれの御曹司であり、ルドの教育係を務めている。

Ackroyd18338
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