オオカミの家(アニメ映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『オオカミの家』とは、クリストバル・レオンとホアキン・コシーニャによる、実在したカルト団体を題材としたストップモーションアニメ映画。日本では『ミッドサマー』の監督アリ・アスターが関わったプロモーションが注目を集め、ホラー映画やストップモーションが好きな層を中心にブームを起こした。同時上映の短編映画『骨』はアリ・アスターが製作総指揮を務めている。
2018年の「第68回ベルリン国際映画祭フォーラム部門」でカリガリ映画賞を、「第42回アヌシー国際アニメーション映画祭」で審査員賞を受賞した。
『オオカミの家』の概要
『オオカミの家』とは、クリストバル・レオンとホアキン・コシーニャによる、実在したカルト団体を題材としたストップモーションアニメ映画。日本では『ミッドサマー』の監督アリ・アスターが関わったプロモーションが注目を集め、ホラー映画やストップモーションが好きな層を中心にブームを起こした。同時上映の短編映画『骨』はアリ・アスターが製作総指揮を務めている。
2018年の「第68回ベルリン国際映画祭フォーラム部門」でカリガリ映画賞を、「第42回アヌシー国際アニメーション映画祭」で審査員賞を受賞した。
題材となったのは、レオンとコシーニャの生まれた国・チリにあったカルト団体「コロニア・ディグニダ」。「あるカルト団体が制作したプロパガンダ映画」という特殊な設定が採用され、カルトの視点から物語が描かれる。
通常、ストップモーションアニメは用意された人形を動かして撮影するものだが、『オオカミの家』は等身大の人形、家具、絵がリアルタイムに動いていく。キャラクターやセットがただ動くだけではなく、粘土や絵がキャラクターになる過程、そして崩れていく過程までもがアニメーションの一部に組み込まれ、観客は家全体が蠢く不気味な世界に迷い込むことになる。
『オオカミの家』のあらすじ・ストーリー
骨
2023年、美術館建設に伴う調査中にある映像が発見される。レオンとコシーニャが復元したそのフィルムには、少女が人間の死体を使って謎の儀式を行う様子が収められていた。「1901年に制作された、作者不明の世界初のストップモーション・アニメ」という設定の作品。
コンスタンサ・ノルデンフリーツという少女は、謎めいた儀式の力で地中から人骨を掘り起こし、それを使ってディエゴ・ポルタレスとハイメ・グスマンという2人の男をこの世に呼び戻す。蘇ったディエゴとハイメだったが、骨が足りなかったため2人の肉体はバラバラだった。コンスタンサは不完全なディエゴとハイメと戯れ、最後にはハイメを神父役に見立ててディエゴとの結婚契約書が白紙に戻される。
オオカミの家
むかしむかし、チリの南部にドイツ人の集落があった。「助けあって幸せに」をモットーとするその集落は、俗世の汚れや喧騒とは無縁の、素朴であたたかく素晴らしい場所だった。そこに、マリアという動物が大好きな美しい娘がいた。
あるとき、マリアは集落の仕事が嫌になって逃げだしてしまう。山中を彷徨ったマリアは一軒の家を発見する。家に住人はいなかったが、2匹の子ブタが住みついていた。マリアはブタたちに「ペドロ」と「アナ」という名前をつけ、育てることにした。家を綺麗に整え、ペドロとアナを可愛がるマリアには、家の外から自分を呼ぶ「オオカミ」の声が聞こえていた。オオカミはしきりにマリアに呼びかけ、家族のいる安全であたたかな集落に戻るように促す。しかしマリアは「お仕置きはもうイヤ」とオオカミを突っぱね、決して戻ろうとはしないのだった。
マリアが心を込めてペドロとアナの世話をしていると、2匹の足が伸びて人間の手足の形になる。さらに時間が経つと、黒い髪と瞳を持つ男の子と女の子へと成長した。マリアは2人に服を着せ、人間の生活に必要なことを色々教えていくが、言葉を話すようにはならない。あるとき、3人で食卓についているときにマリアがうっかり燭台を倒してしまい、ペドロとアナは大やけどを負ってしまう。オオカミはマリアを責めたが、マリアは決してオオカミの言うことをきかず、ペドロとアナの看病をする。マリアが集落から持ってきた蜜を与えると、ペドロとアナはマリアの望む美しい金の髪と青い目を持つ人間の姿となった。言葉も話せるようになり、マリアとペドロとアナは3人で歌を歌う。
しかし、幸せな生活は長くは続かなかった。マリアが集落から持ってきた食料が底を尽きようとしていた。ペドロとアナはマリアを無視して勝手に食料を食べ、マリアを嘲るようになる。マリアが森に食べ物を探しに行こうとすると、ペドロとアナは「外にはオオカミがいる」と言ってマリアを外に出そうとしない。ペドロとアナが「マリアを食べてしまおう」と囁きあうのを聞いて、とうとうマリアに限界が訪れた。マリアは家の外にいるオオカミに「私を助けて」「ひとりでは生きていけない」「世話をされないと死んでしまう」と必死に訴えかけた。
集落の住民たちの懸命な捜索によって、山奥の家で飢えていたマリアは助け出された。マリアは家族のいる集落に戻り、心を入れ替えて集落のために真面目に働くようになったのだった。
『オオカミの家』の登場人物・キャラクター
骨
コンスタンサ・ノルデンフリーツ
儀式を行ってディエゴ・ポルタレスとハイメ・グスマンを蘇らせる少女。
史実ではディエゴと恋愛関係にあり、子どももいたが、ディエゴは結婚することも子どもの世話をすることもなかったという。
ディエゴ・ポルタレス
コンスタンサが骨から蘇らせた男。
チリで最初の憲法の制定に携わった政治家だ。30歳のときに15歳だったコンスタンサと関係を持ったが、結婚はせず子どもの面倒を見ることもしなかった。
ハイメ・グスマン
コンスタンサが骨から蘇らせた男。
ピノチェト独裁政権下で法律顧問、政治顧問を務めた。
オオカミの家
マリア
動物が大好きな美しい娘。「お仕置き」に耐えかねて集落から逃げ、山奥の一軒家で2匹の子ブタと暮らし始める。