アツシ(最終兵器彼女)の徹底解説・考察まとめ

アツシとは漫画『最終兵器彼女』に登場する人物である。主人公のシュウジの友人で、突然始まった戦争の空襲に巻き込まれて難聴になる。その後想いを寄せていたクラスメイトのアケミに告白した。だが彼女はシュウジに密かな想いを寄せており、それが理由で断られてしまう。それでも恋心を捨てず、アケミがシュウジを好きな事を承知の上で彼女と付き合い肉体関係を持った。そしてアケミを守る為に自衛隊に志願し戦場へ派遣される。敵と死闘を繰り広げる最中、最終兵器に改造されたクラスメイトのちせにより、塵となって最期を迎えた。

学校に戻ったアツシはアケミに告白する。だが彼女はシュウジの事が好きであり、その事が理由で振られてしまった。後日、アツシはシュウジを屋上に呼び出し「アケミに振られた」事を話す。アツシは「アケミはシュウジの事が好きである」事を知っていたものの、彼はいつも通りにシュウジと接していた。そしてアツシは明日学校を辞めて自衛隊に入隊する事をシュウジに話す。一方のシュウジは前日にちせと別れており、恋愛について悩んでいた。シュウジは「やっぱ男どーしがいいな」と冗談を言い、2人は笑っている。尚、この時偶然クラスメイトの男子複数人が屋上に入ってきていた為、アツシとシュウジは同性愛を疑われて引かれていた。

放課後アツシの元にアケミが現れ、昨日の告白を受け入れる事を告げる。こうしてアツシとアケミは付き合い始めるのであった。だが、アケミはシュウジの事が未だに好きで、アツシの想いと板挟みになった末に、自暴自棄気味に告白を受け入れている。その事をアツシはアケミから聞いていたが、彼はそれでも彼女と付き合えた事に喜びを感じていた。

その夜アツシはシュウジの家へ行き、彼にアケミと付き合う事になった旨を報告する。そして「これで好きなアケミや家族の為に戦って死ねる」と、アツシは殺伐とした現実の中で出した自分の人生の答えをシュウジに語った。シュウジは、戦地へ行こうとするアツシを必死に引き留めようとしつつ、アツシが自分よりも現実を見据えていた事に内心で衝撃を受けている。彼は最終兵器となったちせの彼氏として過ごし、戦争によって自分だけが苦悩していると思い込んでいた。それが自分だけでなくアツシも苦悩しており、アツシは自分なりの答えを出したのに対し、自分は何もしてこなかった。その結果、ちせを傷つける事しか出来なかった事実に気付かされたのである

アツシとシュウジが話し込んでいた直後、彼等の上空で戦闘が起こり、敵の戦闘機が近くの山に墜落した。アツシはアケミを心配し、シュウジと別れて彼女の元へ走る。アケミの家に行ったアツシは、彼女を懸命に気遣った。その姿に心を動かされたアケミは、彼に身体を許していく。2人は肉体関係を結び、アケミはアツシに処女を捧げていた。それでもアケミはシュウジの事を想っており、心はシュウジを想いつつ、身体だけはアツシに抱かれている状態であった。アケミはこの事をアツシに話し、謝罪したものの彼はそれでも彼女を愛している。

自衛隊に入隊する

自衛隊になったアツシ

アツシは自衛隊に入隊し、仙台に派遣される。そこで上官からの訓示を受ける予定であったが、宿舎を珍しがって徘徊していた彼は迷子になってしまった。この間に、自衛隊員として本格的に活動を始めたちせが訓示を行っている。彼は、ちせと行き違いになる形となっており、元クラスメイトの彼女が戦場で戦っている事実を知らない状態になった。それでも、他の隊員達からちせの話を聞いており、彼女の存在が何なのか疑問を抱いていた。尚、独断行動をしたアツシのせいで、彼の部隊は連帯責任で腕立て伏せを命じられている。

アツシは戦場に派遣され、テツと出会う。テツはアツシの上官であり、ふゆみの旦那でもある。鋭い目付きと口の悪さが特徴的で、シュウジとどことなく雰囲気が似ている人物である。シュウジと別れ、孤独と不安に打ちひしがれていたちせは、後に彼と出会う。そしてテツに慰められて立ち直り、シュウジに良く似た雰囲気を持つテツに惹かれていく事になった。また妻のふゆみは、テツの元同級生でありシュウジの不倫相手でもある。テツは自己紹介をしようとするアツシを制していた。テツはかつて部下を全員失っておりこの悲しみから、これから死んで行くであろうアツシの事を深く知りたくなくなっていたのであった。

アツシが戦場に派遣されて2、3日が経過する。この間、彼が想像していたような血生臭い戦闘は無く、隊員達はパチンコで遊んでいたりしていた。想像と違い、平和な戦場にアツシは違和感を覚えている。だが、巡視の際に聞いたタイコを叩くような音が、実は仲間が撃ち殺された銃声であった事を後になって知り、此処が戦場である事を実感していた。

アツシが仙台の戦場で過ごしていたある日、巨大地震が発生する。北海道の方もかなり揺れた事を仲間から聞いたアツシは、アケミの事を想いシュウジに彼女の事を託していた。北海道では、アケミがこの地震で致命傷を負っており、シュウジに看取られて亡くなっている。

戦場で死亡する

ちせの火に飲み込まれるアツシ

アケミの死を知らないまま、アツシは戦場で過ごす。そんな中、敵の大規模攻勢が始まり、市街戦が展開された。アツシは激闘を繰り広げ、泣きながら敵を銃殺している。そんな中で彼は不意に温かい光に包まれる。この光は「ちせの火」と呼ばれるちせの最終兵器の1つである。天まで届く炎で街諸共灰塵に帰す「死の炎」であった。この光に包まれたアツシは、眠るように灰塵となって消えていった。

ちせはこの少し前に、地球が近々滅びる運命にある事を兵器の能力で察知する。そしてこの戦争に意味が無い事を悟っていた。彼女は「最終兵器である自分に出来る事は全ての戦う者に安らかな死を送る事である」と自分の使命を自覚し、敵味方の区別無く兵士達を焼き尽くしたのであった。

アツシ(最終兵器彼女)の関連人物・キャラクター

アケミ

アツシのクラスメイトの女子高生であり、恋人である。主人公のシュウジとメインヒロインのちせの共通の親友として登場し、よく彼等に恋愛関係の相談を持ち掛けられていた。だが、密かにシュウジに想いを寄せており、複雑な感情を抱いていく。

アツシとは普通のクラスメイトであった。だが、地震が発生して校舎が倒壊した日に彼から告白を受ける。その際「シュウジの事が好きである」という理由で、アツシの告白を断った。だがシュウジへの叶わぬ想いに自暴自棄となった彼女は、後になってこの告白を受け入れて2人は恋人関係となった。アツシをそこまで想っていなかったアケミであったが、住んでいる街の近くで戦闘機が墜落し、必死に心配して駆け付けたアツシの姿に心を動かされる。そのまま彼と肉体関係を持ち、処女を捧げていた。その際、アツシに「シュウジの事を想い続けている」と話しており、心はシュウジを想い、身体だけアツシに抱かれる。それでも彼はアケミの事を真剣に愛しており「戦場で戦える勇気を与えて欲しい」と、彼女の存在を戦場で戦う為の理由にしていた。後に彼女はこの事をシュウジに話し「重い」と内心を吐露している。それでも彼女はシュウジに喝を入れてもらい、アツシの事を恋人として想い続ける覚悟を決めた。

最期は巨大地震に巻き込まれて致命傷を負う。駆け付けたシュウジに自分の秘めていた想いを打ち明け、彼と肌を重ね合わせていった。シュウジと結ばれた事に幸福を感じつつ、アケミはアツシとちせに罪悪感を抱きながら、シュウジの胸の中で絶命していった。アツシは戦場でこの巨大地震の事を知り、内心で自分の代わりとしてシュウジにアケミの事を託している。その後、アツシは彼女の死を知らないまま戦場で亡くなった。

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シュウジ

アツシのクラスメイトであり、友達である。本作の主人公でもあり、彼を中心に物語が展開していく。アツシは、デートの約束を放棄したちせの代わりとして、シュウジに札幌への買い出しに付き合わされる。そしてそこで突如来襲した戦闘機の空襲により、アツシは難聴になった。

アツシはアケミの事が好きな為、彼女と親しいシュウジに恋愛相談を持ち掛けていた。シュウジはそんなアツシを励まし、告白する勇気を与えている。そういった人柄の良さもあり、アツシは「アケミの好きな人はシュウジである」という事実を知っても、シュウジの事を友達として接していた。それ以降もアケミとの関係をシュウジに報告しており、アツシとアケミが結ばれたすぐ後に、アツシはシュウジにこの事を報告している。また、アツシが高校を中退して自衛隊に入る事をシュウジに話した際には、死ぬ確率の高い戦場に赴こうとする彼の事を必死に引き留めていた。その内心では、辛い現実に正面から向き合い自分なりの答えを出していたアツシに衝撃を受けている。シュウジは最終兵器に改造されたちせと付き合う事で、戦争によって自分だけが辛い現実に直面させられていると思い込んでいた。だが、アツシの決意を聞き、辛い現実に晒されているのは自分だけでは無い事を直視させられる。そしてその上で答えを出したアツシと、何もしないで被害者面をしてちせを傷つける事しか出来なかった自分に気付かされていた。

シュウジはアツシが自衛隊に入隊した後も、アケミの為に戦うアツシを「重い」と言った彼女に喝を入れたり、彼の為に行動する事が多かった。アツシは巨大地震が起きた際には、内心でシュウジにアケミの事を託していた。シュウジはアツシの想い通りに、致命傷を負ったアケミの元に駆け付けている。その後、シュウジはアケミから告白され、彼女の最期の想いにシュウジは応えて2人は肌を重ね合わせていった。

最後は人類の唯一の生き残りとして、宇宙船に変形したちせに乗り込んで宇宙へ脱出する。そして滅びた地球を背景に、ちせと愛し合っていった。

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テツ

自衛隊に入隊したアツシの上官に当たる人物である。激化していく戦争の中で部下を全員失い、アツシの所属する部隊に再編されていた。目付きが鋭く、口が悪い。元々は部下想いの優しい人物であったが、壮絶な戦闘経験を積んでいく内に心が荒んでいった。「もう死んでいく人間の事は知りたくない」という理由でアツシの名前も覚えようとはしなかった。戦場が日常となっている為、冷徹な言動が多くなっておりアツシは彼に恐怖を抱く場面もあった。だが、それでもアツシに戦場で生き残る為のアドバイスをしたり、節々に人柄の良さが滲み出ていた。

ふゆみという妻がおり、彼女はシュウジと不倫関係に陥っていた。またシュウジに性格が似ており、ちせは彼と不倫関係に成り掛けた。

最期は敵の大規模攻勢に晒されて致命傷を負い、ちせに看取られて死亡した。

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ちせ

本作のメインヒロインであり、アツシのクラスメイトの女子高生でもある。シュウジの彼女であり、彼との恋愛関係を主軸に物語は展開されていく。平穏な日常を送っていたが、ある日自衛隊の手によって最終兵器に改造される。その後は密かに自衛隊と共に戦場で活動しつつ、学生生活を送っていた。彼女の正体を知るのはシュウジと、自衛隊関係者だけである。

アツシと直接関わる描写は無く、彼が自衛隊に入ってからも行き違いで彼女と会う事は無かった。だが、ちせは兵器として成長していく過程で、地球が滅亡する未来を知る。この戦争に意味が無い事を悟った彼女は、戦場で戦い苦しむ兵士達を「ちせの火」で燃やし尽くしていった。これは天まで届く巨大な炎で街1つを丸ごと消し去る、彼女の兵器の1つである。ちせは戦う兵士達を、敵味方関係なく「死」によって救い始めたのであった。アツシは彼女の火に焼かれ、一瞬で塵となって消える最期を遂げた。

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