イジメの時間(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『イジメの時間』とはくにろうによる漫画作品。いじめを題材にしたヒューマンドラマで、2019年より『マンガボックス』で連載が開始された。主人公、天童歩はごく普通の中学生だが、些細なことがきっかけで同級生の鈴木山真次郎と若保囲孝史から壮絶なイジメを受けることになる。学校の屋上から身を投げ出そうとするほど追い詰められた歩は、ある時復讐を決意する。イジメと闘う主人公の苦悩が描かれた作品。重大な社会問題にもなっている学校でのイジメ問題をリアルに描いており、学校関係者を中心に話題の漫画である。

歩たちが通う学校の教師。真次郎と孝史に歩がいじめられているのではないかと真っ先に疑い、歩と2人で話し合う。しかし歩からはイジメの事実を否定され、教頭からも余計なことに首を突っ込まないよう釘を刺された結果、イジメを放任してしまう。

『イジメの時間』の用語

ドメスティック・バイオレンス(DV)

配偶者や恋人、家族などの親密な関係にある、または過去その関係にあった者から振るわれる、いわゆる家庭内暴力のことを指す。身体的暴力だけでなく、言葉による精神的・心理的暴力などもDVにあたる。真次郎は実の父親より幼少期にDVを受けており、このことが真次郎の歪んだ性格を作り出した。

裸踊り

裸で踊ることである。宴会芸の一種とされているが、本作においてはイジメのターゲットに対する嫌がらせとして裸踊りをさせていた。歩はクラスメイト全員の前で裸踊りをさせられた上、便失禁をしてしまう。このことが歩の心を壊す大きなきっかけとなった。

監禁

人を一定の場所に閉じ込め、そこから出る自由を奪うことである。監禁行為は、逮捕・監禁罪として刑罰を科せられる場合が多い。復讐を決めた歩は、真次郎と孝史を人気のない倉庫で監禁し、最後は殺害してしまう。

『イジメの時間』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

鈴木山真次郎「孝史は..俺が..殺した」

孝史が死んでしまった時に真次郎が言ったセリフ。
意図的ではないといえ、歩による監禁と暴力の結果、命を落とした孝史。殺したいほど憎かった相手だが、いざ目の前で命を落とした孝史を見て、歩はパニックになる。そんな歩に対し、「孝史は..俺が..殺した」と言う真次郎。孝史を殺した罪を被るというのだ。歩の復讐をきっかけに、真次郎がこれまでのイジメを心から後悔し、反省していることが伝わる一言である。

又賀「あんな事されて許せるワケないじゃん」

歩が真次郎を監禁し、復讐しようとしていることを知った時の又賀のセリフ。
歩が真次郎を監禁していることをよく思っていない姫音子。一方で、又賀は自身が真次郎や真魚から虐められていたからこそ、「あんな事されて許せるワケないじゃん」と歩の肩を持つ。実際にイジメを受けた人間にとっては「復讐はダメ」という綺麗事などはどうでもよく、それを上回るほどの憎しみしか残らないことが伝わる一言である。

歩の母「だからこそ大人が..親が守ってあげなきゃいけないのに..どうしてそれをできなかった親が子供だけに罪を背負えなんて言える?」

全てが終わり、歩が病室で目を覚ました際に言った歩の母親のセリフ。
目を覚ました時に母親の涙を見て、罪悪感を感じる歩。自分が行った復讐は犯罪行為であり、母親を悲しませてしまったと思ったからである。罪悪感を溢す歩むに対し「だからこそ大人が..親が守ってあげなきゃいけないのに..どうしてそれをできなかった親が子供だけに罪を背負えなんて言える?」と話す歩の母親。歩の行為を咎めるのではなく、愛息子のことを守れなかった自分を悔いていたのだ。まだまだ未熟な中学生にとって、周囲にいる大人の存在がどれほど大切かを実感させられる一言である。

『イジメの時間』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

登場人物は実在しない名前を選択

真次郎や真魚など、登場人物に独特な名前を付けている理由として、「実在しない名前がベストなので」と作者が語っている。歩はいじめられる側でもともといいヤツということもあり、実在する名前をあえて選んでいるが、いじめっ子側の真次郎や孝史などの登場人物には、実在しない名前を探して付けたという。

作者の推しキャラは鈴木山真次郎

本作のキャラクターの中で、作者が最も好きなキャラクターは真次郎である。理由として「人間の汚い部分を描いているので、悪いヤツだけど人間臭い。人間は誰しも環境によってそうなっていく部分があると思うので」と語っている。真次郎はイジメの主犯格であるものの、自分の悪いところも受け入れられる、自分を見つめて受け入れられるキャラクターということもあり、読者の中でも人気が高い。

復讐シーンが本作の起点

自殺をしようとする歩

本作を描くにあたって、作者が最初に思い浮かんだのが歩の復讐シーンであった。そのため、歩がイジメられているシーンを描くのは、「辛いことは辛いけど、それが反動(復讐に繋がること)になるとわかっていたので、そこまで辛くはなかった」と語っている。歩を最悪の状態まで追い込むほど、より復讐編が生きると考えて、その前準備として前半の物語構成が作られていったのである。

kheeki3
kheeki3
@kheeki3

目次 - Contents