サイバネ飯(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ
『サイバネ飯』とは窓口基によるサイボーグ食が題材のSF漫画である。2017年にpixivにて1話目が公開。後に数話ずつまとめた本がAmazon Kindleにて無料公開されている。舞台は未来、人体をサイボーグ化するのが普通となっている世界。人工内臓に換わったことで普通の食事が摂れないサイボーグのための食事が作られるようになった。その中で外見だけではなく内臓までサイボーグ化している主人公・宮地が様々な食を楽しんでいくストーリーとなっている。細部にわたって作り込まれた世界観に深く浸れる作品である。
サイボーグ化すると身体の水分の出入りのバランスがとりづらくなってしまうため、慢性的な浮腫み状態が続くのを解消する目的で行われる治療のこと。サイボーグがこの浮腫みを放置してしまうと体液の電解質のバランスを崩してしまったり、余剰な水分によって臓器や組織の浸透圧バランスを崩してしまうと最悪死に至ってしまうため、透析を行って体内のバランスを調整する必要がある。浮腫みのほかに重度サイボーグにおこる、血中に漏出した微細な金属粒子などが原因の病気であるサイバネ腎障害なども透析によって治療される。
チョコレート中毒
サイボーグ化したての者に起こる中毒症状のこと。舌をサイボーグ化すると複雑な味を感じ分けることが困難になるが、味覚の調整を繰り返していくことで生身の頃の味の感じ方に近くすることは可能である。しかし、中には細かい調整を怠り、単純な濃い味、チョコレートなどの強烈な甘みなどにハマってしまう者が現れる。これに由来してチョコレート中毒という。こうなってしまうと、薄い味のものを食べられなくなってしまったり細かい味の区別ができなくなってしまう。サイボーグによっては辛みなどの刺激物にハマる者もいる。
『サイバネ飯』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
宮地「人は見かけによらんなぁ」
宮地が普通の人用のサンドウィッチを間違えて買ってしまい、他の食べられそうなサイボーグにあげようとするが誰も食べられなかった。その最中にやって来た掃除機型サイボーグの土井が食べられることが発覚したときに「人は見かけによらんなぁ」と宮地が言った。
サイボーグの中には人型、非人型とあるが、内臓が人工内臓なのか生身の内臓なのかは外見だけでは区別がつかない。そのため、外見から何が食べられるのかを図ることは不可能に近い。この場合も、その場にいた宮地の知り合いたちの大半は人型であるが、内臓は人工のものに置き換わっており、人用の食事を摂ることはできない。しかし、掃除機型という外見が明らかに人間離れしていても、内臓が人であった頃と変わらないものが存在する。そういった、外見だけで人は判断できないことを表わしている台詞である。
木ノ内「”生きてる連中”にとっちゃ犯罪も仮想(あそび)か」
電脳街で現実世界ではできない犯罪行為を犯すために外から来る人間は珍しくない。そういった人間を止めるために来た木ノ内が呆れたように「”生きてる連中”にとっちゃ犯罪も仮想(あそび)か」と言った。
現実に生身の肉体と生活があり、電脳街を娯楽のための電脳空間と考えている人間と、現実世界に肉体や生活がなく、電脳街を実際の生活と考えている者たちの溝は深い。この場合も外から娯楽感覚でやってきた人間が、現実世界では許されない犯罪行為でも電脳街なら許されると勘違いしたために起きた出来事である。しかし、木ノ内などの住民にとっては現実世界と同じであるため、たとえ電脳空間であっても犯罪行為を許すことはない。木ノ内の言葉は、そういった両者の感覚の違いを表した台詞となっている。
宮地「米ってこんな食感だったかもしれねぇ!もう覚えてねぇけど!」
3Dプリントされた食材に料理の映像を投影したAR飯をタケと食べに行った宮地が、AR飯の米を口にして「米ってこんな食感だったかもしれねぇ!もう覚えてねぇけど!」とテンション高く言った。
サイボーグ化したことによって生身の頃とは違う食生活となって長い宮地は、生身の頃に食べていた食べ物の味や食感があやふやになってしまっていた。そこで、米を再現したAR飯を食べたことで、「生身の頃に食べた米だ」と感動してテンションが上がった。しかし、実際にはもう本当の米の食感も味も覚えてはおらず、感覚だけで感動していた。内臓までサイボーグ化してしまうと、生身の頃と同じものを食べることができなくなってしまう。そのため、サイボーグ用に作られた食事をするが、あくまでも人口で再現されたものなので味や食感が異なる。生身の人間の頃に食べていたものと近い物を食べると感動してしまう、サイボーグの性を表した台詞となっている。
『サイバネ飯』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
宮地とタケが漫画『ハガネとわかば』にゲスト出演
『Webアクション』にて連載されていた『ハガネとわかば』という作品に本作から宮地とタケがゲスト出演している。出演しているのは5話で、主人公とヒロインが食事に出かけているシーンである。作者が『ハガネとわかば』のファンであり、ファンアートなども描いていた。それがきっかけとなったのか、ゲスト出演が決まった模様。作者Twitterで宣伝された。
『サイバネ飯』制作のきっかけは『攻殻機動隊』
作者は『サイバネ飯』を作るきっかけとなったのは『攻殻機動隊』であるとTwitterで語った。作者は『攻殻機動隊』の原作コミックの、コマの外に書かれた士郎正宗によるメモ書きを読むのが好きであり、それをずっと読んでいたいと思った結果、自身で描くことを決めたことで『サイバネ飯』が生まれた。
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目次 - Contents
- 『サイバネ飯』の概要
- 『サイバネ飯』のあらすじ・ストーリー
- サイボーグの食事風景
- 電脳街観光
- サイボーグたちの身体事情
- 『サイバネ飯』の登場人物・キャラクター
- 主人公
- 宮地(みやじ)
- 宮地の友人
- タケ
- 木ノ内(きのうち)
- トドロキ
- 土井(どい)
- その他
- ナース
- 三つ目の金城(かねしろ)
- カネシロ
- 『サイバネ飯』の用語
- サイボーグ
- サイバネ食
- 電脳街(でんのうがい)
- サイバネ透析
- チョコレート中毒
- 『サイバネ飯』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 宮地「人は見かけによらんなぁ」
- 木ノ内「”生きてる連中”にとっちゃ犯罪も仮想(あそび)か」
- 宮地「米ってこんな食感だったかもしれねぇ!もう覚えてねぇけど!」
- 『サイバネ飯』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 宮地とタケが漫画『ハガネとわかば』にゲスト出演
- 『サイバネ飯』制作のきっかけは『攻殻機動隊』