サイバネ飯(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『サイバネ飯』とは窓口基によるサイボーグ食が題材のSF漫画である。2017年にpixivにて1話目が公開。後に数話ずつまとめた本がAmazon Kindleにて無料公開されている。舞台は未来、人体をサイボーグ化するのが普通となっている世界。人工内臓に換わったことで普通の食事が摂れないサイボーグのための食事が作られるようになった。その中で外見だけではなく内臓までサイボーグ化している主人公・宮地が様々な食を楽しんでいくストーリーとなっている。細部にわたって作り込まれた世界観に深く浸れる作品である。

土井(どい)

掃除機型サイボーグ。外見が非人型であるため内臓も人工のものであると思われていたが、実際は生の内臓が残っている。そのため、人間用の食事を摂ることが可能。他のサイボーグたちと友好な関係を築いており、フランクに接している。

その他

ナース

クリニックに勤めるナース。サイボーグ専用技師で、人工透析などを行う。基本はクリニックで仕事をしているが、時折トドロキの透析のために外に出ている模様。ファンキーな見た目をしているが、ナースという職業のためか愛想のいい性格をしている。サイバネ栄養士の資格を持っているため簡単なものなら自炊が可能であり、他人にも分け与えることができる。

三つ目の金城(かねしろ)

サイボーグ整備士の男性。頭部に目のような部品が着いていることがあだ名の由来だと思われる。頑固ジジイといった風貌をしているが、プライベート通話で宮地に「自慢の孫」「褒めてやって」と言うなど孫バカである。電脳化していないようで、外付け電脳を首につけている。

カネシロ

三つ目の金城の孫。快活な性格をしており、誰に対しても愛想が良い。若いが整備士としての腕はたしかのようで、宮地の手の人工皮膚の張替えを祖父である金城に頼まれていた。トドロキの整備にも行っている。眼帯を着けているが、目に問題があるわけではなく整備する際の補助具のようなもの。祖父と同様に外付け電脳を使っている。

『サイバネ飯』の用語

サイボーグ

宮地の身体

一般的にサイボーグとは、肉体を機械などを使って強化したり、脳を機械に移した存在を指すことが多い言葉である。本作のサイボーグは一部生体部分を残しながら大部分を機械化した人たちを指す。サイバネ黎明期に老化によって衰えた機能を機械で補助することを目的として、サイボーグ化が普及した。さらに、若者や労働者にもサイボーグ化は普及していったが、それに伴い長期間機械の身体で生きることに精神的なストレスがかかるようになってしまった。そして、ストレスの軽減、また生身である脳への負担軽減を目的として、生身の頃と同じような食事を摂るようになって問題は解決した。
サイボーグには甲種と呼ばれる人型と乙種と呼ばれる特殊作業を目的とした非人型が存在する。しかし、サイボーグのあり方が多様化している本作の時代では、形骸化した区分となっている。見た目が非人型でも人間の頃の内臓を有している者や、人型でも内臓をほとんど機械化している者など、外見だけではどんなものが食べられるのか判別がしにくい。また、消化できる食べ物が個人によって異なるため、気軽に自炊などはできない。そのため、ほとんどのサイボーグは外食している模様。人によっては日常生活には人型のボディを、仕事時には非人型のボディを使うなど分けていることもある。

サイバネ食

サイボーグ用ヌードル

サイボーグ化によって消化器官が人工のものに変わってしまい、生身の人間用の食事が消化できなくなったサイボーグのための食事のこと。サイボーグが消化できるように野菜を易消化ペーストにして元の野菜の形に成形した成形野菜、大豆で作られた合成肉などが主に使われている。また、消化器官のほとんどを機械化したサイボーグの消化機能を維持するために、酵素や細菌などの代行をするマイクロマシンが入っている料理もある。これらはあくまでもサイボーグ用のものであるため、普通の人間が食べると非常に不味いものとなっている。作中で食べてしまった者は「発泡スチロールを食べてるみたいだ」と発言した。また、作者の解説によると「形容しがたい食感と味で、食材でできた食品サンプルのようなもの」であるとのこと。
また、人工食品以外にもAR飯と呼ばれる、3Dプリントした食品に映像を投影した食事も存在する。こちらは、まだ技術的な問題で高価な食事となっている。

電脳街(でんのうがい)

電脳街のエントランスハブ

電脳空間にある街のこと。主に、肉体やサイボーグの身体にガタがきてしまったり、事故や病気によって現実世界で生きることが難しくなった者たちが住む。電脳街に住む者たちは脳以外の身体を失っており、脳を維持する施設から常時電脳空間にアクセスできるようになっている。電脳街で暮らすためには資金が必要であるため、主に年金や保険金、家族からの資金援助によって住人は生活している。電脳街の住人たちの食事は空間に表示された食べ物を口に運ぶことで、現実世界の脳にアミノ酸やブドウ糖などの生命維持に必要な栄養素を直接投与される仕組みとなっている。
観光客も訪れるような場所であり、観光客向けの食事などもある。しかし、住人と違って脳を施設に預けていない観光客は、電脳街で食事をしても腹が膨れることはない。代わりに、多額の金がかかるがフルダイブ施設と呼ばれる場所で、専用の機械に全身を入れると、住人と同じように食事を摂ると栄養を身体に流し込むことが可能となる。サイボーグなど電脳が常にインターネットに接続されている者は、施設に赴かなくてもその場で電脳街に入場することが可能。電脳街では現実世界では食べられないひたすら大きい巨大飯と呼ばれるものや、フィクション作品に登場する食事を再現した再現飯など、現実には「無い飯」が観光客に人気となっている。

サイバネ透析

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