ヴィンチェンツォ(韓国ドラマ)のネタバレ解説・考察まとめ

『ヴィンチェンツォ』とは、2021年に放送された韓国のテレビドラマ。脚本はパク・ジェボム。制作会社は「スタジオドラゴン」。イタリア系韓国人マフィアであるヴィンチェンツォが悪の巨大組織「バベルグループ」の不正を暴き、戦いを繰り広げていく物語。独創的なストーリー、魅力的なキャラクター、スリリングな展開、ユーモアあふれる演出など、様々な要素を兼ね備えた作品として多くのファンを獲得している。主人公を務めたソン・ジュンギが大賞受賞。

怒れるヴィンチェンツォ

ヴィンチェンツォに耳を撃たれるハンソク

病院の監視カメラから母を殺した犯人がすれ違った男だと分かり、いち早く捕まえに行くヴィンチェンツォ。そして捕まえた男を拷問し、殺人の指示を出したのがハンソクとミョンヒだということが判明した。ヴィンチェンツォは血まみれになった犯人とともにハンソクの別荘に乗り込んだ。そこにはハンソク、ミョンヒ、ハンソ、スンヒョクが集まっていた。「助けてください。」と言って血まみれの犯人が突如部屋へ入って来て衝撃を受けるハンソクたち。同時にヴィンチェンツォは犯人を射殺し、すぐさまハンソクに銃口を向ける。ミョンヒの顔には、死んだ犯人の返り血がついている。恐怖で声も出ないミョンヒ。ヴィンチェンツォはハンソクに向かって「死ぬより辛い苦痛を、じわじわと増していく死を今後与えてやる。」と宣戦布告をした。そしてハンソクの耳を撃ち抜き、その場を去って行った。ハンソクは激痛で倒れ込む。

カサノファミリーとともに

ヴィンチェンツォの悲しみをともに分かち合い、一緒に戦うことを誓うクムガプラザの住人たち

母を亡くし、後悔が押し寄せるヴィンチェンツォ。葬儀にはクムガプラザの住民も出席している。「母さん」と言って嗚咽する彼にチャヨンは彼女から託された手紙を差し出す。「ずっとあなたを愛していた。最後まで見守れなくてごめんね、私の息子、ジュヒョン。私の息子に生まれてくれて、ありがとう」母の愛に涙を流すヴィンチェンツォ。
「弁護士さん、僕たちはカサノ・ファミリーです」そう言ってクムガプラザの住人は、ともに戦わせ欲しいと言って彼を抱きしめた。

協力者として

ヴィンチェンツォ(画像左)とともに酒を酌み交わすハンソ(画像右)

兄ハンソクの影武者として操り人形として生きて来たハンソは、当初こそヴィンチェンツォと対立していたものの、彼と出会ったことで少しづつ変わっていく。心のない本当の兄よりも、ヴィンチェンツォの行動に感銘を受けたハンソは彼を「兄貴」と呼んで慕うようになる。最初こそ相手にしていなかったヴィンチェンツォだが、その思いを受け入れる形で彼と向き合うようになる。以後ヴィンチェンツォたちが有利になるような情報を流すことで、ハンソは協力をしていくことになる。ヴィンチェンツォは彼のおかげで何度も危機を潜り抜けることができた。しかしハンソの裏切りは後にハンソクに知られるところとなる。

ハンソクの反撃

ヴィンチェンツォをおびき寄せるため、チャヨン(画像右)を拉致したハンソク(画像左)

ヴィンチェンツォの策略により、逮捕されたハンソクであったが、その後ミョンヒが全ての罪を被る形で彼に代わって刑務所へ行くことになった。ミョンヒはハンソクを解放しヴィンチェンツォを始末するほうが得策であると考えたからだ。人知れず釈放されたハンソクは、反撃を開始するためにチャヨンとハンソを拉致して自らの別荘へ。血まみれになったチャヨンのアクセサリーをヴィンチェンツォの元へ送り付け彼を呼び寄せた。そして別荘に現れたヴィンチェンツォを始末するため、弟であるハンソにアイスホッケーのスティックを渡す。「ヴィンチェンツォを殺せば生かしておいてやる。」と彼に命じたのである。

ハンソの死

実の兄ハンソクに撃たれ、ヴィンチェンツォの腕の中で息を引き取るハンソ

震えながら「すみません」とヴィンチェンツォに言うハンソ。「仕方がないよ」と返事をするヴィンチェンツォに、「だから後悔しない道を選びます」と言って兄に向かっていった。その隙にチャヨンを救出して連れ出そうとしたヴィンチェンツォだが、ハンソクがヴィンチェンツォに向かって発砲した。その瞬間、チャヨンが身を挺してヴィンチェンツォを庇い、彼女は肩を撃ち抜かれ床に倒れ込んでしまう。その後再び銃口をヴィンチェンツォに向けたハンソクに、ハンソは「いいかげんにしろ。お前は絶対に生まれてくるべきじゃなかった。くずめ!」と叫び銃口を掴み自分のほうへ向けた。そんな彼に躊躇することなく発砲したハンソク。ハンソはその場に倒れ込む。そして再びヴィンチェンツォを射殺しようとしたが、弾が無くなったことが分かりその場から逃走する。ハンソはヴィンチェンツォの腕の中で、「お手柄でしたか?生まれて初めて誰かの役に立てた。兄貴、ありがとう」と言ってそのまま息絶えたのであった。

悪人たちの最期

血まみれで立てなくなったミョンヒを拘束するヴィンチェンツォ

チャヨンは病院に搬送され一命を取り留める。そこにやってきたヴィンチェンツォに、「心配しないで全てを終わらせて」と言ってチャヨンは彼を送り出す。
悪人たちへの裁きが、ヴィンチェンツォによって下されるときがやってきた。まずはウサンの悪徳弁護士ミョンヒである。ミョンヒはヴィンチェンツォの手回しによって釈放された。拘置所から出てすぐその事実を知らされ憤慨する。ハンソクに電話をかけ釈放にはヴィンチェンツォが関わっていることを伝えた後、自らも逃亡を図ろうとする。しかし帰宅したところを待ち伏せしていたヴィンチェンツォに捕まってしまう。彼は亡きハンソから受け取った携帯を分析、それを元に彼女の家を割り出していたのであった。ミョンヒは気絶している間に廃墟と化した家屋へと連れてこられた。そこで目覚めたのだが、痛みで立ち上がることができない。そして自分の足が血だらけになっていることに気付く。すると彼女の周りにガソリンを撒き始める者がいた。ヴィンチェンツォである。「間違ってる!」そう叫ぶミョンヒに、「あんたは欲望のままに生きるモンスターだ。ダンスが好きだろ。思う存分躍らせてやる」と言ってライターを投げて立ち去った。彼女は業火に包まれながら、熱さのあまり立ち上がり激しく全身を回転させる。まるで踊っているかのように。そして絶叫しながら最期を迎えた。
一方ハンソクは、海外逃亡を図るために手下を連れて港へ向かっていた。彼を逃亡させまいと追いかけていたカサノファミリーと鉢合わせをし、そこで戦闘が始まる。揉みあいの末、逃げようとしたハンソクを止めにかかったイ・チョルウクが刺されてしまう。彼らが危機に陥ったとき、ヴィンチェンツォが現れハンソクの脚を撃って動けなくした。発砲音で気付かれたのか、パトカーのサイレンが近づいてくる。打たれたチョルウクをヴィンチェンツォはカサノファミリーに託し、意識のないハンソクを連れて立ち去った。ミョンヒと同じく廃屋のようなところに連れてこられたハンソク。意識が戻ると椅子に縛り付けられていた。自分がいる場所をどうやって見つけたかをヴィンチェンツォに聞くと、「お前の弟のおかげだ」と答える。そしてドリルのような器具に目を向けるハンソク。するとヴィンチェンツォが言った。「5分ごとに5ミリずつ贖罪の槍がお前の胸を突き刺す。想像を絶する痛みを感じるだろう」と。それに対して「全ての財産を与える!」と解放を懇願し始めるハンソク。しかし聞く耳を持たないヴィンチェンツォは拷問装置をスタートさせた。そして「弟に会ったら謝罪しろ!」と言い残しその場を立ち去った。その後ハンソクはヴィンチェンツォの言う通り、苦しみながら拷問を受け続け、翌日死亡し、身体の肉はカラスの餌となった。

それぞれの旅立ち

偽造パスポートを受け取り、ギソク(画像左)と別れの挨拶をするヴィンチェンツォ(画像中央)

バベルとの決着がついて、ヴィンチェンツォはカサノファミリーから偽造パスポートを受け取り韓国を後にすることに。ヴィンチェンツォもまた、ギソクからの情報により追われる立場となっていたのだ。病院からチャヨンもかけつけ、2人は抱擁を交わす。こうしてすべての戦いが終わったヴィンチェンツォは国外へと旅立った。
それから1カ月、ミョンヒとハンソクの拉致事件についてのニュースが流れていた。容疑者も被害者も行方不明、事件が未解決であることが報道されている。そんな中チャヨンはブドウ園を訪れその土を踏みしめた。「ヴィンチェンツォ・カサノ」と書かれた看板の前で、「安物のワインを作ってあげる」と一人つぶやきほほ笑むチャヨン。ミョンヒとハンソクがワイン園の肥料になったことを暗に示していた。

エピローグ

キスを交わすヴィンチェンツォ(画像左)とチャヨン(画像右)

巨大組織、バベルは崩壊し、カサノファミリーのイ・チョルウクも無事回復、クムガプラザの住人たちはそれぞれの日常を謳歌していた。
ときどきチャヨンのもとに送られてくる葉書はヴィンチェンツォからだった。マルタ島近くの無人島を購入し「藁」という名前を付けそこで暮らしていた。寂しさはあるものの、その葉書からヴィンチェンツォの存在を感じ取るチャヨン。そしてある日、葉書とともに韓国・イタリア修好記念美術展の招待状が送られてきた。それを手に一人美術展へ向かう。そこで絵画を鑑賞していると、「絵と戦争は離れてみるべきだ」という声が。振り返るとそこにはヴィンチェンツォが立っていた。使節団に混ざって韓国へやってきたというのだ。そして「島でずっと君のことを考えていた」と言ってチャヨンを抱き寄せキスをした。「悪党はとにかくしぶとい。愛することさえも」と言うヴィンチェンツォにチャヨンもキスをした。2人はお互いの愛を確認し、ヴィンチェンツォはチャヨンから離れると再び歩きだした。

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