骸区(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『骸区(ガラク)』とは、日本の漫画家・鈴木祐斗の描く読み切り漫画。2019年4月29日に集英社のWeb漫画配信サービス『少年ジャンプ+』で公開された。公開からわずか1週間で59万ビューを叩き出した大ヒット作。この作品がデビュー作とあって、作者の鈴木祐斗は大いに注目された。
ガラ区と呼ばれる、近隣では殺人事件数No.1の街に刀を持つジジィがいた。ジジィはボケているのか、日常の会話も覚束ない。しかし自分に向けられる敵意にだけは反応し、目にも留まらぬ速さで刀を振るうのだった。

『骸区』の概要

『骸区(ガラク)』とは、集英社のWeb漫画配信サービス『少年ジャンプ+』で2019年4月29日に公開された読み切り漫画。『週刊少年ジャンプ』の連載漫画『SAKAMOTO DAYS』の作者・鈴木祐斗のデビュー作品である。公開からわずか1週間で59万ビューを叩き出した大ヒット作であり、鈴木祐斗が注目されるきっかけとなった作品でもある。登場人物が少なく、名前もない。しかし決して内容が薄いわけではなく、むしろその辺の漫画よりも遥かに面白い。デビュー作品とあって画力はそこまで高くないが、幾重にも重なる効果線が異様な迫力を醸し出している。

ガラ区と呼ばれる、近隣では殺人事件数No.1の街に刀を持つジジィがいた。ジジィはボケているのか、日常の会話も覚束ない。しかし自分に向けられる敵意にだけは反応し、目にも留まらぬ速さで刀を振るうのだった。

『骸区』のあらすじ・ストーリー

刀を持つジジィ

ガラ区と呼ばれるとある地域があった。そこではヤクザがはびこり、連日当たり前のように殺人事件が起きている。

とあるヤクザの下っ端構成員は、組の金を持ち逃げした仲間を捕まえる任務を与えられていた。しかしなかなか捕まえることができず、その構成員は困り果てていた。バーで一人、ため息をついていると、近くの空き地で騒ぎが起こる。構成員は騒ぎの起こっている空き地へと足を向けた。するとベンチに座る刀を持ったジジィにチンピラが二人絡んでいた。街の人はそれを遠巻きに見ており、ジジィを助けようとはしない。構成員もジジィが殺されるのだろうなと静観していた。

売れば金になると考えたのか、チンピラはジジィの持つ刀に手を付けようとした。次の瞬間、チンピラの手は斬り落とされてなくなっていた。そしてさらに次の瞬間、そのチンピラは三枚に卸されて絶命する。もう一人のチンピラは逃げようとしたが、時既に遅く、後ろから飛んできたジジィの刀に貫かれて死んだ。構成員は何が起こったかわからず、ただその光景を見ていた。

とあるヤクザの下っ端構成員の計画

ジジィはいつも何かブツブツと言っているようだが、会話も成り立たないほど耄碌しており、ボケているとしか思えない。構成員が街の人から話を聞くと、ジジィは敵意にしか反応しないという。ガラ区に住む人間は、ジジィに敵意を持って近づけば殺されることを知っていた。逆に言えば敵意さえ向けなければ絶対に安全である。街の人間みんなで、ジジィを家に送り届けたりと介護しているほどだった。

構成員はこのジジィが使える、と思った。先日盗まれた組の金は構成員が盗んだもので、仲間に罪を擦り付けて殺していたのだ。構成員は、組はなくなった金をその仲間が盗んだのだと追い、自分は疑われないと踏んでいた。しかし日頃の行いが不真面目なせいか、結局自分が疑われることになってしまったのだ。構成員は、期日までに金と盗んだ犯人を組に連れていかなければ殺されてしまう。だからこのジジィを使って組を潰そうと考えた。

因果応報

自分を利用したヤクザの下っ端構成員に制裁を加えるジジィ。

構成員はジジィを連れて組の事務所に行く。そこにジジィを同行させた。そして組の連中を挑発する。挑発された組のヤクザ達は、構成員とジジィに敵意を向けた。敵意を向けられたと感じたジジィは、あっという間に事務所にいたヤクザを斬り殺した。構成員はそれに大いに満足する。これで自分は追われることはない。400万円という大金が自分のものになると思うと笑いが止まらなかった。そこへジジィがゆらりゆらりと近づく。「お前ェ 俺がボケてると思ってんだろ」というジジィの言葉に、構成員の笑いは自然と止まった。ジジィは「ったくこの街には…生かしちゃあおけねェ クズばかり…」と続ける。構成員は自分の死を悟った。

今日もニュースでガラ区で発生した殺人事件が報道される。それでも街は至って平和だ。街の人々はガラ区がこの辺の地区の仲で殺人事件数がNo.1なのを知っている。しかし、住んでて全く治安が悪くないことも知っているのだった。

『骸区』の登場人物・キャラクター

ジジィ

CV:天翔駿(ボミック版)

『骸区』の主人公のジジィ。作中では名前が登場しない。常に何かをブツブツ言っているが、聞き取れず、他者との会話も成り立たない。ボケていると思われているが、実はボケていないことが終盤で明らかになる。

刀を持っており、日中は空き地のベンチに日がな一日座っている。自身に向けられた敵意に敏感で、敵意に対して有無を言わさず攻撃をしかけて相手を殺す。至近距離で放たれた銃弾を刀の鞘で受けるなど、人間離れした強さを持つ。街の人からすればジジィの殺しは日常茶飯事であり、敵意を向けなければ何も起こらないため、街の人みんなに介護されている。

とあるヤクザの下っ端構成員

CV:加瀬英臣(ボミック)

とあるヤクザの下っ端構成員。組の金400万円を盗み、その罪を仲間になすりつけようとしたが、計画が失敗。自身の命が危なくなったので、ジジィの敵意に反応するという特性を活かして、組の人間を皆殺しにさせた。しかしジジィは別にボケておらず、ジジィに生かしておけないクズと認定されたため殺された。

『骸区』の用語

ガラ区

ジジィの住む街。連日のように殺人事件が起こり、近隣の地区の中では殺人事件数No.1。しかし不思議と治安が良い。

『骸区』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

「お前ェ 俺がボケてると思ってんだろ」「ったくこの街には…生かしちゃあおけねェ クズばかり…」

物語が始まり登場してからジジィはずっとブツブツと何かを言っているようだった。しかし具体的には何を言っているかはわからず、ジジィをみんなで介護している街の人も聞き取れていない。すっかりボケていると思われていた。構成員もジジィはボケているものとすっかり信じ込んでおり、ボケていても敵意には絶対に反応して相手を殺すという特性を利用したて、自分を殺そうとした組のヤクザ達をジジィに皆殺しにさせた。構成員はしてやったりと思って高笑いするが、そこでジジィは静かに「お前ェ 俺がボケてると思ってんだろ」「ったくこの街には…生かしちゃあおけねェ クズばかり…」と言う。ジジィはボケておらず、自覚を持って敵意を向けるものを殺していたのだ。このシーンは、読者からも、「ゾッとした」、「声が本当に聞こえそうなくらい迫力がある」とかなりの高評価だった。

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