これ描いて死ね(これ死ね)のネタバレ解説・考察まとめ
『これ描いて死ね』とは、漫画を愛し、漫画に憧れ、漫画の世界に踏み込んでいく離島の女子高生の姿を描いた、とよ田みのるの漫画作品。
伊豆王島で暮らす安海相は、漫画をこよなく愛する高校生。敬愛する☆野0が10年ぶりに未公開作品を発表すると聞いた相は、都心で開催される同人誌即売会に参加する。そこで彼女は、☆野の正体が自分の学校の教師の手島零であること、漫画は自分でだって描けることを知る。仲間を集めて漫画同好会を作り、手島を説得して顧問になってもらうと、相は作る側の立場で漫画の世界に飛び込んでいく。
石龍光(セキリュウ ヒカル) / Stone Dragon(ストーンドラゴン)
相たちの学校に転校してきた学生。Stone Dragonの名で活動している、コミティアでも注目されるほどの有名作家で、マンガに関しては非常に鋭い感性と技術を持つ。漫画に打ち込み過ぎて成績を落とし、1年留年している。
自身も「ロボ太とポコ太」のファンで、相と意気投合して友人となる。漫画同好会には参加していないが、手島に会いたい一心でちょくちょく顔を出し、時に相たちの漫画に新たな気付きを与える。
『これ描いて死ね』の用語
同人誌
主にアマチュア作家が、出版社を通さずに作った本の総称。作中では漫画の形式のものが中心だが、小説などでもこの名称が用いられ、芥川龍之介なども同人誌を出したことがある。
大きく分けて作家の完全なオリジナルと、特定の作品を題材にした二次創作作品がある。相たちが作っているのは前者のタイプのもの。
同人誌即売会
文字通り、同人誌を販売するイベントの総称。日本は世界的に見てもアマチュア作家の活動が盛んで、これらの同人誌即売会の中には、数十万人が集まる規模の大きいものも存在する。
コミティア(COMITIA)
オリジナル作品のみを扱う同人誌即売会イベント。この手のイベントの中では国内最大(日本以外にこれほどの規模の同人誌即売会を開催している国はほとんどないため、世界最大とする意見もある)であり、将来の漫画家を目指す者にとっては自分の力を試す格好の場所ともなっている。
『これ描いて死ね』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
相「漫画は嘘じゃないよ」
手島から「漫画の内容は嘘ばかりで、人生の役に立つことなど何もない」と叱責された相は、大好きな「ロボ太とポコ太」という漫画が自分を孤独から救ってくれた経験を持ち出し、「漫画は嘘じゃないよ」と言い張る。
相がいかに漫画を愛しているか、その根幹はどこにあるのかを端的に表した名セリフ。直後の手島とのやり取りも含めて、共に漫画を愛しながらも肯定する側と否定する側に回ってしまった2人の立場の違いが明確に描かれた名シーンだ。
手島「真摯に気持ちを乗せた表現は人間そのもの。そこに優劣はありません」
漫画同好会設立のため、部員になってくれる生徒を探す相と幸。しかし参考のためにと見せて歩いた相の漫画は技術の拙さから笑われるばかりで、部員になってくれる者は見つからない。
自分の漫画じゃ下手過ぎてダメなのかもと弱音を吐いた相に、手島は「そんなことはありません」と断言し、以下の言葉を続ける。
「漫画だって表現です。真摯に気持ちを乗せた表現は人間そのもの。そこに優劣はありません。その気持ちは同じ気持ちを持つ誰かの脳を揺らします。たとえあなたの絵や構成が稚拙でも、気持ちが正しく漫画に乗れば技術を超えて人の脳を揺らすのです」
手島の表現者としての矜持や信念が垣間見える名セリフである。彼女が漫画をどれほど愛し、誇りに思っているかも見えてくる。
手島「これ描いて死ねなどと漫画に命を懸けないこと」
晴れて漫画同好会を立ち上げた相たちに、手島は最初にいくつかの約束を言いつける。「学業を第一にすること」、「プロを目指さないこと」、「あくまで趣味として楽しむこと」、そして「これ描いて死ねなどと漫画に命を懸けたりしないこと」。
作品のタイトルを全否定する言葉を、手島はどうして口にしたのか。物語の先が気になる重要なシーンである。
目次 - Contents
- 『これ描いて死ね』の概要
- 『これ描いて死ね』のあらすじ・ストーリー
- 漫画への愛と初めての創作
- 漫画同好会と新たな仲間
- 初めてのイベント出展
- 『これ描いて死ね』の登場人物・キャラクター
- 安海相(ヤスミ ソウ)
- 手島零(テシマ レイ) / ☆野0(ホシノ レイ)
- 赤福幸(アカフク サチ)
- 藤森心(フジモリ ココロ)
- 石龍光(セキリュウ ヒカル) / Stone Dragon(ストーンドラゴン)
- 『これ描いて死ね』の用語
- 同人誌
- 同人誌即売会
- コミティア(COMITIA)
- 『これ描いて死ね』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 相「漫画は嘘じゃないよ」
- 手島「真摯に気持ちを乗せた表現は人間そのもの。そこに優劣はありません」
- 手島「これ描いて死ねなどと漫画に命を懸けないこと」