ワンダーランド(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ
『ワンダーランド』とは、石川優吾により2015年10号から『ビッグコミックスペリオール』で連載が開始された、取り囲む全てのものが巨大化して襲いかかる恐怖の世界を描いた、SFダークファンタジー作品である。女子高生のゆっこが目を覚ますと身体が小さくなっていた。彼女を含む多くの人々が小さくなってしまったのは何故なのか、そしてゆっこが出会った謎の美少女アリスは何者なのか。謎だらけのなかたくましく生き抜くゆっことアリスの友情と、突如巻き起こったSFサバイバルの世界観を同時に楽しめる魅力的な作品である。
『ワンダーランド』の概要
『ワンダーランド』とは石川優吾により2015年10号から『ビッグコミックスペリオール』で連載が開始された、取り囲む全てのものが巨大化して襲いかかる恐怖の世界を描いた、SFダークファンタジー作品である。
女子高生のゆっこはある朝目覚めると身体が小さくなっていた。なぜ身体が小さくなったのか、謎の美少女アリスの正体とは。さらに自衛隊や米軍も巻き込んだ戦いに発展するSFダークファンタジー作品になっている。
ある日の朝、目を覚ましたゆっこの身体は小さくなっていた。愛犬ポコの背中に乗り家を出ると、外ではカラスの群れが小さくなった人間を襲っていた。カラスの群れや野良猫に襲われそうになりながらも近所のコンビニにたどり着く。そこにはゆっこと同様に身体が小さくなった人たちがいた。そこでゆっこはコスプレをした美少女アリスと出会う。アリスは日本語が通じなかったが身振り手振りで意思の疎通を図るゆっこ。カラスや野良猫だけでなく自衛隊や米軍も巻き込んだ戦いが始まる。ゆっこたちはなぜ身体が小さくなってしまったのか、そしてアリスの正体とは。
この漫画の見どころは、突然身体が小さくなるという現象に巻き込まれながらもなんとか生き延びようとする人たち、自衛隊や米軍に狙われる謎の美少女アリスの正体、ゆっことアリスの友情の行方。サバイバル要素を含むSFダークファンタジーと極限状態で出会ったゆっことアリスの友情を同時に楽しむことができる作品である。
『ワンダーランド』のあらすじ・ストーリー
小さくなった身体編
ある日の朝、ゆっこはいつも通り目を覚ます。しかし、部屋の様子がおかしなことに気付く。大きなベットの上にいる自分、見上げるほど大きくなった愛犬のポコの姿。夢だと思ったが外が騒がしいことに気付く。外の様子が気になりポコの背中に乗って両親の部屋へ向かうが、部屋にはいなかった。
家の中を探すと、棚の陰から父の声がした。両親を見つけ、ポコから降りたゆっこに父は「こっちへ来るな」と叫ぶ。飼っていた猫のミーくんが父に襲いかかる。ミーくんはもてあそぶように父に爪を立てた。ミーくんがゆっこに襲いかかろうとした時、母がミーくんの気を引き、ゆっこは自分の部屋に逃げた。両親の襲われる姿を見たゆっこはパニックになる。
その頃、ゆっこの住む全地域で電話が不通になり、サイバーテロの可能性もあるとテレビニュースが伝える。現状を知るため、ゆっこはテレビの電源を入れるが、電波を受信していなかった。携帯も圏外で途方に暮れたが、助けを待つことにも限界を感じ、外に出る決心をする。おもちゃの人形の服を着て、カッターナイフとスマホを持ち、ポコに乗って家の外に出た。
外ではカラスの大群や野良猫が小さくなった人たちを襲っていた。高い建物に着きスマホを見るとWi-Fiが使用出来た。スマホには彼氏のタクヤから心配のラインが届いていた。さらに動画のURLが来ており、動画を見ると「自衛隊が県下全域を閉鎖」という情報と共に国道が封鎖され、自衛隊の装甲車が並ぶ映像が流れた。ゆっこは他の動画を探したが突然、動画が見られなくなる。タクヤに電話をし、現状を尋ねると「バイオテロが起きたと噂になっている」と言う。自分の姿を見せようとテレビ電話にするが、電波が途絶える。
空腹のポコのためコンビニに向かい、中に入ろうとするが小さくなった人たちから追い出される。エサだけでも貰おうとするが、入口に火をつけられ入れなくなる。諦めて別のコンビニに向かおうとした時、1人の少女が現れ抵抗していた人たちを蹴散らす。おかげでゆっこは餌を手に入れ、ポコは餌を食べることができた。
コンビニにいた人たちは自分が小さくなった時の状況を話す。その中の1人がある動画を録画していた。その動画では通常のサイズの人間が全裸にされ自衛隊に検査をされていた。何かウイルス感染したかと考えるゆっこは動くべきだと考え、タクヤの住む地域に向かう。妻子に会いたいおじさんと、助けてくれた少女の3人で出て行く。おじさんは滝と名乗り、少女はアリスと言った。
歩き出したゆっこたちだが途中でポコが疲れて動かなくなる。ゆっこたちが一休みしていると、近くを自衛隊の装甲車が通り、救助が必要な人を探していた。ゆっこと滝が助けを求めようとするが、アリスが止める。ゆっこたちは止めているアリスの言葉がわからない。制止を振り切り助けを求めた滝は、虫取り網のようなもので自衛隊員に捕らえられ、連れて行かれた。
後をつけたゆっこたちはカゴの中で薬を噴射され、動かなくなった滝を目撃する。自衛隊は助ける気がないと気付いたゆっことアリスは逃げ出した。
ショッピングモール編
ゆっことアリス、ポコはショッピングモールにたどり着く。ショッピングモールを歩き、ぬいぐるみ売り場にたどり着いた。急にぬいぐるみたちがアリスに襲いかかる。ポコを使ってアリスを助けると、ぬいぐるみの中には小さくなった人がいた。彼らは危害を加えるつもりはなく、ショッピングモールを支配している暴走族のような集団から逃れるためにぬいぐるみに隠れていた。
その時、たくさんの野良猫がショッピングモールに侵入した。逃げるゆっこだが野良猫に囲まれるが小さくなった警備員のおじさんが助けてくれた。おじさんは夜勤の警備員で源田と名乗る。源田は監視ルームからゆっこたちを見ていた。身体が小さくなった源田は110番をした。10分程で自衛隊が現れ、小さくなった人たちに薬を噴射した。今ショッピングモールに残っている人たちは自衛隊から逃れた人たちだ。
ゆっこ達が対策を考えていると、ショッピングモールの外に自衛隊が来た。暴走族のような集団がロケット花火で応戦している間に、ゆっこたちは逃げた。しかし、ほとんどの人たちは自衛隊に捕まった。
監視ルームからモール内を見ていると自衛隊が引き上げていた。アリスはある画面にくぎ付けになり「ニゲテ!キケン!」と叫ぶ。画面には両肩にカラスを乗せた通常サイズの少年がいた。暴走族のような集団は少年を取り囲んだ。攻撃しようとした時、少年が超能力のような力を使った。突然ネズミの大群が現れ暴走族集団に襲いかかる。
一方、ゆっこたちはショッピングモールの外に出て、おもちゃの船で地下の水路から逃げようとした。しかし船にポコは乗れず、ゆっこたちだけで出発する。ポコは泳いできたが、途中で沈む。悲しむゆっこを乗せて船は進むが、自衛隊はそれを確認していた。地下の水路に少年はたどり着いたが、少年は「ヨシフ!」と呼ばれ自衛隊に銃を向けられていた。
アリスとヨシフの力編
アリスはある事を思い出していた。
リムジンで眠るアリスの横には自衛隊員の男女がいた。2人は「ヨシフが厚木基地に到着した」と話す。アリスは「会いたくない」と取り乱し、アリスが超能力を使い自分とそばにいた2人の身体を小さくした。自衛隊はこれ以上の混乱を避けるため、アリスに催眠ガスを使うが、アリスが覚醒し全く効かない。そして、アリスの周囲の人間は身体が小さくなり、その範囲は拡大した。
自衛隊が探したのはアリスだ。アリスは生物の体積だけでなく、質量も変える力を持つ。自衛隊はアリスを兵器と認識していた。
その頃、滝は取り調べを受けていた。ゆっことアリスの映像を見せられ、全て話すように言われる。ゆっこたちは地下の水路から脱出したが、そこには通常のサイズの人間しかいなかった。
その頃、タクヤはゆっこを心配してゆっこの住んでいる地域へ向かうが、自衛隊と警察によって街は完全に封鎖されていた。タクヤはゆっこに電話するが繋がらない。タクヤは以前ゆっこがスマホをなくした時に入れたアプリを起動した。するとゆっこのスマホの電源が入っていた。
一方、ゆっこたちは食料を調達し、源田は携帯電話を見つけた。電源が入り、電波も通じることに喜ぶ。早速、タクヤに電話しようとするが、番号を覚えていなかった。ゆっこは学校の電話番号を教えてもらった。
タクヤはアプリを頼りにゆっこのスマホがあるはずの場所を探すが見つからず、川で溺れている犬を見つける。その犬はポコだった。ポコはリュックを背負っており、ゆっこのスマホがあった。
タクヤが電話に出ると、ゆっこのことをしきりに質問され、気がつくと自衛隊に囲まれていた。防護服を着た自衛隊員に検査され、ゆっこから連絡があれば知らせろと命じられ、解放される。
タクヤとの再会編
タクヤは授業中に家族から緊急の電話が入っていると職員室に呼び出される。電話はゆっこからだ。タクヤが学校の植え込み周辺を探すと小さくなったゆっこがいた。
タクヤは3人を連れて家に向かう。ゆっこから話を聞いても現実として受け止められないタクヤ。一切ニュースになってないことも怪しく思う。
夜に突然、停電が起こり、ヨシフの気配を感じるアリス。外を見るとたくさんの猫が街を走り回っていたが、電気がつき猫もいなかった。ゆっこはヨシフが猫やネズミを使い、捜索していると説明。
タクヤは翻訳アプリでアリスにヨシフのことを聞く。するとアリスがヨシフは人を虐殺するという。タクヤはアプリがちゃんと翻訳していないと考え会話を諦める。
その頃、ニュースではゆっこが住む地域で大規模なガス漏れ事故が起きたと伝えた。人々が小さくなったことなどは一切報道されず、死者や重傷者が多数出ているというニュースに対し、不信感を感じた。
現場には警察や消防の他に自衛隊の車両も来ていた。小さくなった人たちの身体が元の大きさに戻ったので、アリスの力から解放されたと考える自衛隊の乾幕僚長(いぬいばくりょうちょう)。タクヤの家でお風呂に入るゆっこたち。アリスが湯船に入り溺れそうになり、助けようとしたゆっこ共々湯船に沈む。タクヤが助けようとすると、ゆっことアリスが元の大きさに戻った。喜ぶ2人だが源田だけ小さいままだ。
その頃、自衛隊はゆっことアリスに起きた身体の変化に気付き、タクヤの家へ向かう。源田だけ小さいままだが、アリスが何かを呟くと源田も元に戻った。
ゆっこはアリスに「自由に大きくしたり小さくしたりできるのか」と聞くと「YES」と答えるアリス。ゆっこは小さくなったせいで家族を失ったことがアリスが原因と知り、アリスにビンタをする。その時、タクヤの家に自衛隊が突入した。ゆっこ、タクヤ、源田は保護され、アリスは「ユッコ、Sorry…」と呟くと小さくなり、湯船の排水口から逃げた。自衛隊はアリスの姿を見失った。
アリスとの再会編
ゆっこ、タクヤ、源田は自衛隊によって別々の場所に保護された。ゆっこは乾幕僚長から黙秘とアリスの捜査協力を頼まれ、ゆっこは麻宮という女性自衛官を紹介される。
乾幕僚長はタクヤたちと能力者の話をすることも禁止した。そして、アリスがゆっこの元に戻ると確信のある乾幕僚長は、ゆっこに麻宮と暮らすように説明した。ゆっこの家には麻宮が住み込み、食事の支度をするようになった。
自衛隊に保護されて以来、ゆっことタクヤは人目を避け、体育館の倉庫で話した。アリスを心配する2人、だが縮小化については意見が分かれ口論になる。その会話を麻宮は聞いていた。
授業開始のチャイムが鳴り、タクヤだけを呼ぶ麻宮はタクヤの顔の前に手をかざす。放課後、ゆっこはタクヤに「何を話したの」と聞くと、タクヤは全てを忘れていた。ゆっこは何かされたと確信した。
ゆっこは学校帰り、知らないおじさんとぶつかる。そのおじさんは源田だった。源田は振り返らずに近くのハンバーガー屋の女子トイレへ来るよう指示する。ゆっこが女子トイレに入ると窓の外から源田が話しかけた。源田は「スマホは盗聴されている」と言う。源田は自分たち以外は記憶を消されていると話す。タクヤもそうかもしれないと言う。
帰宅したゆっこは、麻宮と食事中にヨシフについて質問するが、はぐらかされる。ゆっこは麻宮にアリスの質問をするが何も答えない。ゆっこはアリスはヨシフを嫌っていると言う。
その頃、アリスは草むらに身を潜めていたが女の子に見つかり、家に持ち帰られる。アリスは逃げだそうとするが見つかる。女の子に口止めをして、アリスは暮らすことになる。
その頃、麻宮と乾幕僚長はアリスとヨシフの研究施設時代のビデオを見ていた。一緒に育った2人だが、アリスはヨシフに怯えた。麻宮はアリス捜索にゆっこを利用することを提案する。
乾幕僚長は別の研究映像を見せる。ヨシフはある程度の能力を見せていたが、アリスはヨシフの精神安定の存在で研究所にいた。しかし、その後縮小化したアリスは研究対象となった。アリスはこの世の物質を無にできる能力を持つ。乾幕僚長は麻宮にアリスは究極の兵器だと言う。
女の子の家で言葉を勉強したアリスは片言の日本語を話せた。そして、アリスは「トモダチを探す」と伝えると女の子は「手伝う」と言う。ゆっこの学校の制服や、ショッピングモールの名前、初めて会ったコンビニの名前などを伝えるが手がかりにはならない。
日が暮れて女の子は「帰りたい」と泣き出す。女の子のスマホを頼りにお母さんが迎えに来たのを確認しアリスは隠れる。その時、ポコを散歩させていたゆっこがコンビニを通り、ポコがアリスを発見する。
新しい仲間編
アリスを探すヨシフはアリスの気配を見つける。ゆっこが1人でポコの散歩に出たことを確認した自衛隊はゆっこの元に急行する。ゆっこは麻宮に電話をして帰らないと伝える。アリスと一緒だと確信した麻宮だが、すぐに切られる。
自衛隊がコンビニに到着した時にはポコだけ残し2人の姿はなかった。逃げるゆっことアリスだが、ヨシフに操られた野良猫に見つかる。ゆっこたちは自衛隊に包囲され、ヨシフに追い詰められる。麻宮も到着し、ゆっこは保護され、アリスは自衛隊に捕獲される。
アリスを連行しようとした時、上空の自衛隊のヘリコプターが墜落する。ゆっこはアリスを疑うが否定する。ヨシフではないかと聞くが、その能力はないと断言する。その時、ヨシフがアリスに「逃げて!」と叫ぶ。同時にヨシフのもとに車が飛び、見たことのない男の子がいた。
男の子は超能力を使い、車を次々とヨシフに投げる。ヨシフを守るため自衛隊は男の子を取り囲み銃を向ける。逃げ出そうとするゆっことアリスを麻宮が追い、ゆっこにアリスは守れないから一緒に来いと言う。
知らない人物がアリスを奪いに来ていた。事の重大さに気付き麻宮とともに逃げるゆっことアリス。その時、もう1機のヘリコプターが墜落し、男の子と全く同じ見た目のもう1人がいた。彼らは双子だ。
双子がアリスを奪おうとした時、ゆっことアリスはビルよりも大きく巨大化した。その姿のまま2人は逃亡する。小高い山の中に避難し元に戻ったゆっことアリスだが、アリスが気を失う。さらに遠くからライトで照らされ見つかったゆっことアリス。現れたのは自衛隊に捕獲された滝だ。
訳がわからないゆっこだが滝について行く。車には滝と外国人の男女が乗っていた。廃ビルのような場所に到着し、アリスは寝かされる。力をかなり使ったから寝続けると説明される。自衛隊、米軍、ロシア、中国はアリスを兵器として欲した。
滝から会ってほしい人がいると言われ、別の部屋に移動するとそこにいたのは源田だ。滝はゆっこを見張っていた時に源田を見かけ、監禁していた。ゆっこは源田に助けてもらっていたことを説明する。
その頃、ヨシフは心肺停止に陥り、自衛隊は必死に蘇生を行った。自衛隊も米軍もアリスを見失い、血眼になって捜索を行った。
今後の話をするゆっこたち。滝と一緒にいた外国人の男女はレベッカとクリスと名乗る。滝は源田にアリスの面倒をみてほしいと頼む。滝は別の子を救出するため出かける準備をする。
滝は昔のことを思い出していた。
滝の息子ショウは超能力をもっており、それを自分のせいだと滝の奥さんは自ら命を絶った。色々な病院でショウを診てもらったが、異常なしと言われた。
ある病院でショウと同じ症状を持つ子供を研究している教授を紹介してもらう。大学病院で診てもらったが、手に負えなくなり、非公表の専門研究機関に預けることを提案される。ショウを預けた専門研究機関は米軍基地の中にあった。レベッカとクリスも同じ研究機関でモルモットのように扱われていたところをショウに助けられた。
ショウの救出編
ゆっこ、滝、レベッカ、クリスはショウ救出のため米軍の厚木基地に侵入しようとした。レベッカの能力は虫たちを自由に操れる。レベッカの力で基地の監視カメラを虫で覆い、配線を噛み切らせて基地内のライトを消した。さらに虫でショウにメッセージを送り、基地の屋上に行くよう指示する。クリスの能力は対象の人や物に触れずに動かせる。レベッカに操られた虫で基地が混乱しているうちに、クリスの能力でゆっこは基地屋上まで飛んだ。
屋上に現れたショウは「お姉ちゃんもワンダー?」と問う。クリスの力で基地の外に戻ったゆっことショウ。再会できた滝とショウだが、米軍に見つかる。止めようとするレベッカとクリスだが、ショウが基地のオスプレイを何機も飛ばした。そしてオスプレイを墜落させ、逃げることに成功した。ショウが飛ばしたオスプレイは街中に墜落し、あちこちで火の手が上がった。
逃走中にレベッカとクリスはアリス同様突然眠る。ゆっこは滝にワンダーについて尋ねた。
米軍や自衛隊は「Existence of the wonder(驚異の存在)」と呼ばれ、そこからワンダーと呼ばれると説明する。さらに、ワンダーは力を一気に使い切ると眠り、回復時に猛烈なスピードで年を取ると聞く。
廃ビルに残った源田はオスプレイ墜落のニュースをテレビで見た。しかしアリスたちのことは報道されない。ゆっこたちは廃ビルに戻って源田に現状を説明した。
諸外国にとってワンダーは信じられないほど安価で有益な兵器だ。それに気付いた時にはショウの居場所は不明だったが、幸運にも滝はショウが厚木基地に居ることを知る。ショウはレベッカとクリスをオスプレイに乗せ基地の外に逃がし、父親を見つけた後で助けに来てほしいと頼んでいた。
ゆっこと源田はショウに眠くないかと聞くと、「レベッカとクリスが目を覚ますまで、眠るわけにはいかない」と答える。
その頃、自衛隊はショッピングモールの監視カメラでショウの姿を確認する。ショウは厚木基地からの脱走で自衛隊が探していた。そして、滝と親子ということも調査済みだ。滝は捕獲されたときの被害者リストに残っていた。
さらに、ゆっことアリスと行動していたことも知られた。自衛隊は滝親子を見つければ、アリスが一緒にいると確信した。ショウを確認したショッピングモール周辺を捜索する。
目覚めたアリスは髪も爪も伸びていた。アリスの服を買うために出かけた源田は、警視庁公安部も捜索協力していることに驚く。中には麻宮の姿もあった。
ゆっことアリスが話をしているとショウが現れ、アリスに「お姉ちゃんってNMでしょ?」と聞く。NMとはNotorious Monster(ノートリアスモンスター)悪名高き怪物と言う。ワンダーは物を動かす念動力か小さな生き物を操るが、アリスは特別な力を持つ。世界でたった一人、恐ろしい力を持っているモンスターと呼ばれている。
その夜、突然アリスの様子がおかしくなり、外を見るとヨシフと戦った双子がいた。
最後の戦い編
外から双子の攻撃が始まるがレベッカとクリスは目を覚まさない。滝はゆっこにショウとアリスを連れて逃げるように言うが、ショウは双子と戦おうとした。
ショウと双子が戦っているとアリスが現れる。目覚めたレベッカとクリスも戦いに加わる。ショウはゆっことアリスに逃げるように言うと、双子の上にオスプレイを墜落させる。オスプレイを飛ばし続けたショウは年老いた姿になった。
警察車両が集まり、麻宮の姿もあった。麻宮はゆっこたちに鍵を差し出し、アリスと隠れるように言う。滝にアリスを助けさせたり、ショウの居場所を探したのは麻宮だ。そして麻宮もワンダーだと告げる。
滝と別れ、ゆっこたちは高層マンションに到着。麻宮に渡された鍵で部屋へ入るとポコとミーくんがいた。麻宮は2匹の世話をしてくれていた。
麻宮と乾幕僚長は話し合いをして、レベッカ、クリス、ショウは米軍に引き渡されることになった。乾幕僚長は「アリスをなぜ確保しなかったのか」と麻宮に聞くと、麻宮は乾幕僚長の頭の中を操作した。
ゆっこたちはマンションで厚木基地周辺のオスプレイ墜落事故のニュースを見た。テレビでは航空自衛隊所属の戦闘機2機が消息を絶ったと伝えた。その時、1機の戦闘機がスカイツリーに突っ込んでいった。もう1機の戦闘機がスカイツリーに突っ込む直前に別の戦闘機が撃墜した。ゆっこは2機の戦闘機に誰も乗ってなかったのを見た。
スマホに緊急速報メールが届き、そこには「我が国は、現在不特定の敵に攻撃を受けて交戦状態に入った模様」と書かれていた。
乾幕僚長は「日本を防衛できる唯一の手立てがアリスだと思っていた」と話す。麻宮は「アリスだけは共有させませんよ」と乾幕僚長の頭に手を置くと、乾幕僚長は拳銃を自分のこめかみにあてた。その時、部屋に数人の自衛隊員が入ってきた。麻宮が乾幕僚長を操る姿は見られていた。
麻宮はゆっこに電話をかけ「源田さんと2人で早く逃げるように」と言う。麻宮は銃で命を絶った。
ゆっこと源田は、アリスを抱えて逃げだそうとし、自衛隊に捕らえられる。アリスは担架で運ばれ、ゆっこたちも連れ出された。源田はその場で解放され、ゆっこは自衛隊の車に乗せられた。その後、テレビの緊急速報で北朝鮮によるものと見られる中距離ミサイルが発射されたと報道された。
その頃アリスは眠ったまま軍艦で運ばれた。統合幕僚長はアリスを起こすよう命令した。アリスを起こす自衛隊員をヨシフは止めようとするが撃たれる。
目を覚ましたアリスは日本が核攻撃されると聞かされる。「止められるのは君だけだ!」と言われるが「NO」と答えるアリス。自衛隊はゆっこに銃を向け、アリスを脅す。銃の引き金が引かれた時、アリスは「NO」と叫ぶ。すると世界中の人間が小さくなり、全ての兵器が消えた。
ゆっこはアリスに「何をしたの?」と聞くと、アリスは「スバラシイコト」と答える。人を殺す道具を全て消したアリスは「本当に消すべきは人間」と言う。しかし、ゆっこを消すことはできず、人間全部を小さくした。その間にもアリスはどんどん小さくなり「最後に残っている武器を消す」と言い、アリスは消えた。
『ワンダーランド』の登場人物・キャラクター
主人公
ゆっこ / 本田由希子
全ての発端となった、人間縮小化現象に巻き込まれて以来、アリスと行動を共にすることとなった女子高生。
両親を亡くすがたくましく生きる。
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目次 - Contents
- 『ワンダーランド』の概要
- 『ワンダーランド』のあらすじ・ストーリー
- 小さくなった身体編
- ショッピングモール編
- アリスとヨシフの力編
- タクヤとの再会編
- アリスとの再会編
- 新しい仲間編
- ショウの救出編
- 最後の戦い編
- 『ワンダーランド』の登場人物・キャラクター
- 主人公
- ゆっこ / 本田由希子
- 家族
- ゆっこの父
- ゆっこの母
- ポコ
- ミーくん
- 関係者
- 滝
- タクヤ
- 源田
- ワンダー
- アリス
- ヨシフ
- 謎の双子
- レベッカ
- クリス
- ショウ
- 自衛隊関係者
- 乾幕僚長(いぬいばくりょうちょう)
- 麻宮(まみや)
- 『ワンダーランド』の用語
- 人間縮小化現象
- ワンダー
- NM(Notorious Monster ノートリアスモンスター)
- 『ワンダーランド』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- アリス「ゆっこ、Sorry…」
- 滝「なぜ神の力を与えられた子供たちが、こんな苦しみを受けなくてはならないんだ!」
- アリス「最後に残っている武器を消さなければなりません」
- 再会したゆっことアリスが自衛隊に追い詰められるシーン
- 長い眠りから覚めたアリスの髪をゆっこが切るシーン
- 『ワンダーランド』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 『ワンダーランド』の世界をカラー動画で再現したPVがある