女子高生に殺されたい(じょしころ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『女子高生に殺されたい』とは、古屋兎丸によって描かれたサスペンス漫画。新潮社の発行していた隔月刊漫画雑誌『ゴーゴーバンチ』で2013年から2016年まで連載されていた。女子高生に殺されたいという願望を持つ高校教師東山の、緻密で異常な犯罪計画遂行までの物語を描いている。ある秘密を持つ16歳の美少女真帆や、東山の元恋人の五月など各登場人物の視点で物語が進んでいく。物語の後半では、東山の計画とは想定外な展開によって少しずつ真実が浮き彫りとなっていく。2022年には、主演田中圭にて実写映画が公開された。

七王子殺人事件の当日、被害者の男の死亡推定時刻にテレビ放送されていた洋画。真帆の別人格キャサリンが生まれるきっかけとなったと思われる。内容は、17歳の少女エミリーには恋人のジェームズがいたが、姉のキャサリンに奪われるという恋物語である。

『女子高生に殺されたい』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

地震に恐怖した真帆が引き籠り五月と初対面するカオリ

スクールカウンセラーの五月と打ち解けた真帆は、秘密にしてきた過去を打ち明ける。それは小学生の頃、あおいと下校中に大きな犬に襲われた時のことであった。襲われた後の記憶はなく、気付いた時には犬を殺していたというものであった。相談の後、五月と部屋を出ると耳鳴りでうずくまっているあおいが目に入る。その直後、大きめの地震に襲われる。地震が止み、五月が真帆を見ると恐怖で震えていた。そして、真帆本人も気付いていないもう1人の人格カオリと初めて対面する。今後の展開に大きく関わってくる重要な場面。

東山の緻密な計画を当初から全て知っていた五月

東山にいつから計画を知っていたのか聞かれて複雑な表情で返答する五月

9年もの歳月を経て遂に実行された東山の計画だったが、雪生や五月の登場ですべて失敗に終わる。どうしてこの場所にいるのか問い詰める東山に、「阻止するためよ。」と五月は答えた。9年前の交際時、突然の高校教師への進路変更や引っ越し等で不信感を抱いた五月は東山の身辺を調べていたのだ。そして、USBメモリ内の奥深くに小説のように書き留めていた東山の犯罪計画が見つかる。緻密かに思えた計画が、実は当初から失敗していたと分かる場面。

東山春人「まるで生ける屍だ。僕は殺される資格すらない…。」

五月から真帆の東山に宛てた告白の手紙を受け取り、五月からも交際時に愛されていたことを聞いた東山が呟いた言葉。計画が失敗に終わり深く失望する東山に、五月は真帆の手紙を渡す。そして東山の異常性を説き、「命を奪われたいと願うこと、それは愛されたいと願うことと同じなの。」と伝える。両親から干渉されずに育った東山は、愛してもらいたいという願望が歪んだ願望へと変わってしまう。そして五月は、もっと愛していたことを伝えるべきだったと悔いる。愛されていることを感じる能力が欠如していることを知った東山は、「まるで生ける屍だ。僕は殺される資格すらない…。」と嘆く。物語の根幹となる、女子高生に殺されたいという長年の思いを初めて東山本人が否定した名セリフである。

『女子高生に殺されたい』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

作者古屋の前職は高校教師

作者の古屋は高校卒業後にアーティストを目指していたが生計を立てるのが難しく、アルバイトとしてイラストを描いていた。その後、漫画家への転身を決意し、高校で美術を教えながら執筆をしていた。『月刊漫画ガロ』でデビュー、その後『週刊ビッグコミックスピリッツ』で週刊連載が決定して教師を辞めてフリーの漫画家となる。

舞台のモデルは井の頭

古屋は作品ごとにルールや裏テーマを設定して作りあげることが多く、本作は「もし自分が一本の映画を撮るなら」というコンセプトを元に作られている。予算規模を5,000万円とすると、メインキャスト5~6人でロケ地は当時古屋の住んでいた井の頭近辺で済ませるとイメージしている。

――『女子高生~』は、どのような決断のもとに生まれたんでしょうか。
まず最初にタイトルが浮かんで、そこから少し実験的な試みをしました。コンセプトは「もし自分が一本の映画を撮るなら」。予算規模は5000万円くらい。この予算ならメインキャストはせいぜい5~6人、ロケ地は全部都内。当時僕の住んでいた井の頭近辺ですべての撮影を済ませるイメージです。
――作中には、実際に井の頭公園らしき場所が登場しますね。
そうそう。しかも、少し郊外に行けば遺跡っぽい場所もある。そんな条件の中で作り上げました。僕の中にブレない世界観があるとしたら、それは春人の雰囲気や性癖などに滲み出ているのかもしれませんが、今言ったみたいに、作品ごとに自分内ルールや裏テーマを設定して作り上げることは結構ありますね。

出典: tvbros.jp

2022年に実写映画化

株式会社ダブによって実写映画が制作され、2022年4月1日に公開された。監督は城定秀夫で主演は田中圭、PG12指定である。脚本は城定が執筆しており、オリジナル要素が組み合わさっている。古屋は実写映画に好意的で、「こうすれば良かった」と感じ、「面白かった」とも述べている。また、映画の公開を記念して新装版を発行している。

『女子高生に殺されたい』の主題歌・挿入歌

実写映画版

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