メタモルフォーゼの縁側(漫画・映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『メタモルフォーゼの縁側』とは、自分の成長速度や周囲との人間関係に悩む主人公が、老婦人との出会いや初めての同人制作活動により成長する姿を描いた漫画作品。鶴谷香央理にとって初めて単行本化した漫画作品である。2022年には実写映画化された。17歳の女子高生・うららが、75歳の老婦人・雪と出会い、『君のことだけ見ていたい』という漫画を通じて仲を深めていく。そのなかで、うららが周囲との対人関係や、漫画を描くという未知への挑戦において、徐々に成長する様を描いている。

沼田(ぬまた / 演:光石研)

雪の書道教室に、孫のまさきと一緒に通っている。雪が生徒に「先生、デート?」と尋ねられる様子をハラハラと見ていたり、ため息をつく雪に「恋のお悩みかな…?」と聞くなど、雪に好意を抱いているのがわかる。

『メタモルフォーゼの縁側』の用語

同人誌

同じ作品やジャンルが好きな人が集まり、資金を出して、自ら小説や漫画などの執筆・編集・発行を行う雑誌のこと。複数人で作ることもあれば、ひとりで作ることもある。一次創作の同人誌もあれば、二次創作の同人誌もある。物語、キャラクター設定、時代設定などが完全にオリジナルなものを一次創作と呼ぶ。一次創作のキャラクター設定や時代設定を借りて、新たに自分で考えた物語を作ることを二次創作と呼ぶ。

同人誌即売会

プロ・アマを問わず、漫画や小説などの作り手たちが自主制作した同人誌を販売、頒布するイベント。同人誌を売る側は複数人で製作した場合はサークル参加、ひとりで製作した場合は個人参加と呼ばれる。同人誌を買う側は一般参加、一般入場と呼ばれる。普段はネット上で作品を発表する側と、作品を読む側とが、同人誌即売会では顔を合わせ、話すことができるのが魅力である。

J.GARDEN

BL作品中心の同人誌即売会。主としてBL系作品が好きな人が集まり、自作の漫画や小説などを展示、販売し、読者と交流を持つ場である。J庭(ジェーにわ)と略されることがある。

コミティア

年4回(2月、5月、8月、11月)、東京ビッグサイトで開催される同人誌即売会。約3000~5000のサークル・個人の出展者が集まる。一次創作のみの自主制作漫画誌展示即売会。 なお、漫画以外にも小説、イラスト、評論、音楽、グッズなども販売することができる。ティアと略されることがある。

商業BL

出版社などから販売されるBL漫画やBL小説のこと。

トレース

『メタモルフォーゼの縁側』においては、うららが描いた漫画を別紙に写すために、2枚の紙の下から照明を当て、下の紙の内容を上の紙に写す作業のこと。

pixiv

ピクシブ株式会社の運営するウェブサイトである。イラスト、漫画、小説の投稿、閲覧をすることができる会員制サイトで、2009年9月18日にマンガビューアを使った漫画の投稿もできるようになった。同名のアプリも存在する。ROM(Read Only Member)といって、作品を1つも投稿せず見るだけの人も多く存在する。

『メタモルフォーゼの縁側』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

雪「エーッもう全部読んじゃったわよ 全部面白かったわー」

うららは雪におすすめのBL漫画を貸したものの、性的なシーンを含む作品もあったため、雪が嫌な思いをしていないか不安だった。うららは雪との電話で「お貸しした本とかも、もし無理そうだったら全然…」とやんわりと「無理に読まなくていい」と伝えようとする。雪は「エーッもう全部読んじゃったわよ 全部面白かったわー」と朗らかに言う。うららは今までに友達と趣味の話をしたことがなかったため、様々な方面に不安を抱きがちだった。そのため、雪がはっきりと「面白かったわ!」と言ってくれて嬉しかったのだ。ここから2人は徐々に距離を縮めていく。

英莉「私なんかって言われたら 私だって傷つく」

英莉がうららのバイト先の本屋に本を買いに来た。うららは英莉に「今日紡と廊下で何しゃべってたの?」と聞かれ、「特になんということはないよ。四方山話というか…」と答える。英莉は「いいな。私もそれしたい」と言う。うららはそれを聞いて「いやでも私なんか」と口走る。英莉は「私なんかって言わないで。私なんかって言われたら 私だって傷つく」と暗い顔で言う。しかしすぐに「今のはやつあたり。ごめん」と言って立ち去る。うららは、「なんで私なんかって言ったらえりさんが傷つくんだろう…」と英莉の真意がわからず困惑する。帰りに雪の家に寄る。本当は雪にこの話を相談したかったが、できなかった。「つむっちやえりさんみたいに過ごしていたら、もっと色々わかったのかな」と、周りの人たちの成長スピードについていけず戸惑う姿が映し出されている。

うらら「いろんなこと 別にいつやってもいいのかもって」

母とコンビニへ向かううららは、母に「うららさんさ、最近ちょっと活発になったんじゃない?よく出かけるし、ご飯もちょくちょく作ってくれるし。なんか心境の変化?」と聞かれる。うららは「いろんなこと 別にいつやってもいいのかもって 今まで考えたことなかったんだけど」と語りだす。遠くまで出かけたり、手の込んだ料理を作ったりなど、「何歳かになったら『やってもいいよ』ってなる時が来るのかと思ってたけど、別にいつでも、今やってもいいんだなーと…」と自分の思いを語る。直接描かれてはいないが、最近交流し始めた雪のことを思い出しているのだと伝わってくる。また、このシーンはうららが自室でノートの落書きからオリジナルの漫画を夢中になって描くシーンの後である。同人誌の作成に対し、前向きな気持ちになっていることが伺える。

akitukit8
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