ミッション・マンガル 崖っぷちチームの火星打上げ計画(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『ミッション・マンガル 崖っぷちチームの火星打上げ計画』とは2019年に制作されたヒンディー語によるインドのヒューマンドラマ映画。監督はジャガン・シャクティ。インドで初めての火星ミッションに参加した、インド宇宙研究機関の科学者たちの実話がベースとなっている。女性ならではのアイデアと努力で火星探査機の打ち上げを成功させる姿が描かれる。主な出演者は、これまでに100本以上の映画に出演してきたボリウッド俳優のアクシャイ・クマール、『女神は二度微笑む』(2012年)の人気女優ヴィディヤー・バーラン。

インドの宇宙開発を担う国家機関。ISROは、Indian Space Research Organisationの略。本拠地は、バンガロール。宇宙に関する技術の開発に取り組んでいる。火星探査機マーズ・オービター・ミッション(通称・マンガルヤーン)を2014年に打ち上げ、アジアで初めてロケットを火星周回軌道に乗せることに成功した。

アジア初の火星探査機マンガルヤーン

火星探査機マンガルヤーン

インドは、産業では世界で低迷しているが、宇宙工学やロケット発射技術では世界トップクラス。インドはアジアの国としては初めて、ロケットを打ち上げ、火星探査機を火星の周回軌道に乗せることに成功した。世界各国も同様に打ち上げをして火星を目指していたが、失敗に終わる中で、初挑戦で成功を成し遂げた単独の国はインドだけ。さらに、注目されたのはコストの低さだ。インドは3年で7400万ドルを費やしたが、アメリカは6年かけて約6億7100万ドルも費やしている。
火星ミッションは最初、マーズ・オービター・ミッションと名付けられた。マーズ・オービター・ミッションとは、インド宇宙研究機関による火星探査計画。火星をロケットの噴射の力を利用しつつ、長楕円軌道で周回、5つの搭載機器で観測を行う計画。打ち上げを前に総裁からマンガルヤーンと名称に変更された。

インドの民族衣装サリー

若い女性や都心に住む女性は、普段は洋服やサルワールという服装が一般的だが、結婚式やパーティーなどの時には、色鮮やかな民族衣装のサリーで着ることが多い。サリーは、サンスクリット語で「細長い布」という意味。サリーは、1枚の布を身にまとう仕様で、長さ5メートル、幅120センチくらいのものが標準サイズ。タラはサリーを家庭でも職場でも着ている。

『ミッション・マンガル 崖っぷちチームの火星打上げ計画』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

ラケーシュ「科学者は夢を仕事にできる選ばれた人間だ。」

タラに話しかけるラケーシュ(画面右側)

ISROの総裁に予算が当初の半額に減らされてしまうが、火星ミッションの継続が決まったものの、再招集されたメンバーの士気は低く、ミッションに支障をきたしていた。「科学者は夢を仕事にできる選ばれた人間だ。その夢を取り戻すことを考えよう」と落ち込むタラにラケーシュが言ったセリフ。タラは、科学者になる夢を抱いたきっかけを思い出すため科学者の誕生日というパーティーを開き、科学者になるという夢を叶えられた自分たちは幸せだとメンバーに訴えかけ、絆を深めた。ラケーシュの科学への熱意が伝わるセリフ。

インドの家庭料理プーリーからヒントを得たタラ

インドの家庭料理プーリーを作りながら説明をするタラとラケーシュ

実現不可能と言われた火星ミッション。行き詰る中で、タラは家庭料理のプーリーからロケット打ち上げのためのヒントを得る。家庭料理が、ロケット打ち上げの課題を解決するきっかけとなる。主婦ならではのアイデアが、ミッションへの成功のカギを握ることになるシーン。インド料理のプーリーとは、全粒粉で作った平たいパンを揚げたもの。タラが自宅で家政婦に、プーリーを作っている時に、火力が弱いと聞かされたことから、ガスの火が消えても余熱で十分にプーリーは揚がる事に気が付く。これをロケットにも応用し、エンジンを点火した余熱で飛ばし、積み込む燃料を減らせると考えたタラが、喜々としてラケーシュのにアイデアを報告しに行く。総裁たちを前に、プーリーを実際に作りながら説得をすると、斬新なアイデアに驚きの声があがる。

ラケーシュ「いつまで働くかは、貴女が決めれば良い」

妊娠したことをタラに相談するヴァルシャー

ミッションの途中で妊娠をしたヴァルシャーに、タラは相談を持ち掛けるれ、ラケーシュに報告をする。仕事を辞めるように言われることを覚悟していたヴァルシャーだったが、「産休を取っても良いし、いつまで働くかは、貴女が決めれば良い。子供が生まれたら、研究所内に託児所を作ろう。」とラケーシュが提案をしてくれた時のセリフ。ミッションの名前もMOMと付け、未だ女性蔑視の考えが残るインドで、優秀な人材として尊重し、妊娠した女性を気づかう言動に、ラケーシュの公平さと気づかいがわかる。

『ミッション・マンガル 崖っぷちチームの火星打上げ計画』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

インド映画の醍醐味である歌とダンスシーンが登場

新しい研究室をチーム全員で掃除をするシーン

インド映画は「ボリウッド映画」と呼ばれ、その醍醐味は歌とダンスシーンにある。ボリウッドとは、インドのムンバイを主とするインド映画産業に付けられた俗称のこと。ムンバイの旧称がボンベイだったため、頭文字のボをハリウッドに合わせてボリウッドとされた。インドは映画の製作本数も多く、世界のベスト3に入り、年間1000本以上が制作されている。またインド映画は作品が2~3時間と長時間であることが多い。ミュージカルのようなシーンは多言語文化のインドで、言葉が通じなくても楽しめ、文化交流に役立っている。ボリウッドではダンスも注目されており、色とりどりの華やかな衣装を来て、独特の振り付けも人気のひとつ。本作では、あまり歌とダンスのシーンは多用されていないが、明るいテンポの曲にあわせチームが踊りながら、オフィスをきれいにしていくシーンは印象的だ。

活躍する女性の姿が注目を浴び大ヒット

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