着たい服がある(漫画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『着たい服がある』とは、常喜寝太郎(つねき ねたろう)によるロリータファッションを題材にした日本の漫画。『Dモーニング』で2018年から連載された。
主人公の小林マミはクールな顔立ちに高身長というモデル体型だ。周囲から「かっこいい」「クールな女性」と評価され、それを求められるがマミの好きな服はロリータファッションだった。本当の自分と周囲からの期待の差に悩んでいる時、派手で奇抜なファッションを堂々としている小澤と出会う。小澤に憧れ、周りとぶつかりながらマミが「本当の自分」を見つけていく物語。

マミの大学の友人。マミがロリータ好きであることを知らず「マミはクールな服装が似合うんだって!」と言っていた。
また、街で偶然ロリータを着たマミと会った際には「それ何?コスプレ?インスタにあげていい?」と無神経に話しかけてきた。マミが「実は最近、こういうロリータ着てるんだ」と告白した際も「あ…そ、そうなんだ…」と驚いて何も言えずにいた。
しかし、徐々に理解を示しているようで、SNS上でマミのロリータファッションショーの動画が拡散され大学で噂になった時には「周りのことなんか気にしないでいいからね」とマミを励ましていた。
卒業後は大阪で銀行員として仕事をしており、彼氏も出来た模様。

ハルコ

黒髪ショートカットが特徴的なハルコ。

マミの友人。ミカとマミといつも3人で行動している。
大人しく控えめな性格で、ロリータを着たマミと偶然出会った時も驚いてはいたが揶揄うことも笑うこともなかった。
マミがロリータを着ていると知った後も友人関係は続き、卒業後は同棲していた彼氏と結婚。子供ももうけている。

みなよ

盗撮されそうになったところをマミに助けられたみなよ。

ロリータ好きの女性で、マミのロリータ友達。

駅で見知らぬ男性から「変な服着てる」と笑われ盗撮されそうになったところを、マミに助けてもらった。それ以降、マミのロリータ友達となる。
原宿でストリートスナップを近藤に撮ってもらった際、マミにも「よかったら来ませんか?」と誘った。このことからマミは初めて日中、人の目がある外へロリータを着ていった。
マミの卒業後も交友関係は続いており、共にロリータを着て買い物などをしている。

前川 カヤ(まえかわ カヤ)

服は服だと主張するカヤ。

モデルを夢見ている女性。マミのロリータ友達。マミとは違い、黒っぽい色合いのロリータを着ていることが多い。
昼は週2で老人ホームのアルバイト、夜はバーでアルバイトをしている。

マミと初めて出会ったのはバーだった。バーの店長であるマスターが好きなためにカヤは通っており、そこで偶然マミと出会う。
酔っ払った男性客がカヤのロリータのフリルに足を取られ、お酒をこぼしカヤのロリータを汚してしまう。男性客は謝ることなく「そんな服でバーに来るな」と言い放つと、カヤは「どこに何着て行くかは私が決めんだよ」と反論。その凜とした態度にマミは感動し、ハンカチでカヤの汚れた服を拭きながら「自分が着ている服を馬鹿にされたら、自分も馬鹿にされたような気がして嫌ですよね」と言った。しかしカヤは「服は服、自分は自分。あんたはロリータ脱いだら何もないの?」とマミに言った。
そして「服に自分らしさを委ねてちゃダメ、自分らしさをちゃんと探しな」とマミにアドバイスした。

目立つことが苦手なマスターのことが好きなカヤは、マスターのためにロリータを辞めようとしていた。
けれど最終的に「自分の好きなものは変えられない」と感じ、ロリータを着たままマスターに告白。マスターは驚いたものの、「自分も目立つことが苦手や、ヘタレな部分は変えられない。それはロリータが好きで着ているカヤも同じ」と思い、ロリータを着ているカヤを受け入れ2人は恋人同士になった。

物語の終盤、全てのアルバイトを辞めてモデルのオーディションを受け続ける1年を過ごすと決意しているが、モデルとして成功したかは描かれていない。
また、マミの卒業後にマスターと結婚している。

家族

マミの母

メガネをかけているマミの母。

マミの母。元夫の大野とはマミが小学生の頃に離婚し、以来シングルマザーとしてマミとクミを育ててきた。

大学生になり教師という夢を追っているマミを誇らしく思っており、また「クールなファッションがあんたには似合うわよ、お母さん全部マミのこと分かってるからね」とロリータ好きのマミの一面を知らずにいた。
ある時、マミが原宿で近藤に撮ってもらったストリートスナップをクミが母に見せたことから、マミのロリータ好きを知る。自分が知らなかった一面にショックを受けた母は、ついマミに「ロリータ似合ってないわよ」と言ってしまう。それにムキになったマミから「ロリータを着ている時の私が本当」と言われ、涙を流して悲しんだ。
その後、お金と出かける旨を書いた手紙を置いて数日家を開ける。この間は温泉などで体を癒しながら、マミのロリータ好きについて考えていた。

数日後、家に帰宅。マミへ「ロリータ似合ってないなんて言ってごめんなさい」と謝った。
なんとかマミを理解したいと思った母は、ロリータのことが理解できないまま受け入れようと、とにかくマミを肯定し続けた。しかし、クミの提案でマミとロリータファッションのお店へ行き、自身もロリータを着た時に限界がやってくる。
何度見てもロリータを可愛いと思えず、ロリータの価値が分からない。そんな気持ちを汲み取ったマミは「私を理解しようとしてくれてありがとう。でもお母さんはお母さん、私は私の好きなものがある。ロリータのこと分からないまま、これからも私を今までと同じように愛してくれる?」と聞くと、母は涙を流しながら「もちろんよ」と答えた。

帰宅途中、マミは勝手に父へ会いに行ったことを謝った。しかし、母は「マミが二十歳になったら会ってもいいかなって思ってたから」とすぐに許した。
帰宅後、母はアルバムを作っていた。そこにはロリータを着たマミ、普段着の自分とクミの写真が並んでおり「いつまでも可愛い私の娘たち」と書かれていた。
その後も、マミがロリータで出かけることも止めず、ロリータファッションショーの動画をSNS上で見た時には「なんか可愛かったわね」と徐々に理解を深めている。

クミ

真面目なマミとは正反対な性格のクミ。

マミの妹で高校生。しっかり者のマミとは正反対で、明るく子供っぽい性格。

母にマミのロリータ写真を見せた張本人で、母が出て行った時には「私があんな写真見せたから」と落ち込んでいた。その後、マミと共に母を探すも見つからず「お姉ちゃんがあんな服着るからじゃん!」とマミに八つ当たりをした。
しかし、誰よりも家族を愛しており、母とマミが仲直りした際には涙を流して喜んでいた。

とにかくポジティブで、大学入学試験当日も「受かる気しかしてないし」と笑顔で家を出ていった。

大野 智久(おおの ともひさ)

マミとの再会に緊張している父・大野。

マミとクミの父親。離婚以来、母にも子供2人にも会っていない。離婚して家を出ていった日を思い出すため、雨の日は嫌い。

マミが「自分が可愛いものを好きになったルーツってどこなんだろう」と思ったときに、家族写真が詰まったアルバムで父の姿を見つけた。そして昔、父が可愛いウサギのぬいぐるみや、ビーズやフリルがついた服を買ってくれたことを思い出し、マミは父へ会いに行く。
新宿の喫茶店で落ち合った2人、マミは近況報告から始め、そしてウサギのぬいぐるみを父に差し出した。父も覚えていたようで「懐かしいな、横須賀へ旅行に行ったときにマミがどうして持って欲しがるから買ったんだよ」とエピソードを語る。マミが喜んでくれたから、父はついつい可愛いものをマミに買っていたという。
父はマミと別れる前に、「仕事ばかりで父親らしいことをしてあげられなかったから」とお金を渡し、雨が降っていたためタクシーに乗らせる。父は「電車で帰るよ」と言って雨の中、1人で歩き出した。
傘も差さずに歩いていると、ロリータを着たマミがタクシーから降りて追いかけてきた。マミは「お父さん、私ロリータっていうこういうファッションが好きで、そのきっかけをくれてありがとう。今すごく幸せだよ」と父に感謝を伝えた。
父は涙を流し、「本当に小さい頃から変わってないなぁ」とマミの優しさを思い出して笑った。父はマミに傘を差し、ロリータが濡れないようにしながらしばらく2人で歩いた。

学校関係

須藤(すどう)

マミの指導担当の須藤。

マミが母校の小学校で教育実習生として1ヶ月間過ごすことになった際の、マミの指導教諭。

児童たちの個性を見るよりも「保護者から文句を言われないように」という気持ちが強い。そのため武下が「夢」というテーマで作文を簡単に終わらせた時も、マミに「あの作文は保護者も楽しみにしてるんだから、無理矢理にでも作文は書かせなきゃ」と言っていた。
武下を「シャイでやる気のない子」と思っていたため、無理矢理クラスの輪に入れたところ、武下が「勝手にやる気ないって決めつけるな!みんなで仲良くなんて気持ち悪いんだよ!」と怒り暴れた。その時も須藤は「武下は自尊心が強くて、ちょっと反抗的な時期なだけ」と思っていた。
しかし、マミが武下や武下の母に「武下くんは自尊心が強くないと思うし、強くてもそのままでいい。毎日お花に水をやっていて、折り紙だって1人で黙々と作ってました。そのままの武下くんでいてください」と言って、武下の母が泣いている姿を見て「自分は何も見えていなかった」と反省している。

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