もぎたて☆アイドル人間(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『もぎたて☆アイドル人間』とは、『ヤングエース』にて2010年から2012年まで連載された、原作・河田雄志、作画・行徒によるギャグ漫画である。弱小事務所のアイドル「チーズッズ」が芸能界での成功を目指し迷走する姿を描く。美麗な絵柄でシュールな不条理劇を繰り広げる作風が特徴で、前作『学園革命伝ミツルギ』の流れを汲む脱線だらけの会話劇が展開される。正統派美少女風の表紙とは裏腹に、アイドルらしからぬ陰気で残念な言動を連発するメンバーのギャップが魅力。業界知識がなくても楽しめる一作となっている。

『もぎたて☆アイドル人間』の概要

『もぎたて☆アイドル人間』とは、角川書店の漫画雑誌『ヤングエース』にて、2010年5月号から2012年10月号まで連載された、原作・河田雄志、作画・行徒のコンビによるギャグ漫画作品である。
本作は、新鋭の芸能事務所「リトルアナーキー」に所属するアイドルグループ「チーズッズ」が、芸能界でのヒットを目指して奮闘する姿を描いた物語である。主要メンバーである百地餡(ももち あん)、藤ナイ子(ふじ ないこ)、地池カカ子(ちち かかこ)、千戸・ダイダロス・千尋(せんと・ダイダロス・ちひろ)の4名が、それぞれの想いを胸にアイドル道を驀進する。
顔は可愛いが、残念な発言が目立つ面々。アイドルとしては癖が強すぎ、むしろロックの匂いすらする少女達が主人公である。「路上ライブ中、中学時代の同級生にしつこめに話しかけられた」と戦慄く池々カカ子や、レディース(パシリ)の藤ナイ子など、アイドルの割に陰性の気が漂うメンバーたちの言動がとても味わい深い。

作品の最大の特徴は、『学園革命伝ミツルギ』で知られる河田・行徒コンビ特有の、美麗な絵柄とシュールなギャグのミスマッチにある。物語の基本的な構成は前作『学園革命伝ミツルギ』と同じで、一つの議題について討論を始めるものの本筋とは無関係な話題で議論が停滞・迷走するという、不条理な会話劇がメインとなる。

アイドル漫画という体裁をとってはいるものの、作中に「アイドルらしさ」は皆無に等しく、業界知識がなくても問題なく読むことができる。また、単行本の表紙は正統派の美少女アイドル漫画を彷彿とさせるデザインとなっているが、その内容は徹底したギャグに終始しており、初見の読者がそのギャップに困惑することも本作の「お約束」となっている。
従来のアイドルモノの可愛らしさとはややかけ離れた、「クラスで地味&目立たない人間が出来ごころでアイドルやったらこうなるだろうな」といった雰囲気が特徴的なこの作品。弾けきれなかった青春を送ったアイドル好きに贈りたい、そんな1冊である。

『もぎたて☆アイドル人間』のあらすじ・ストーリー

異色のアイドルグループ「チーズッズ」の結成

物語は、新鋭芸能事務所「リトルアナーキー」によるオーディション場面から幕を開ける。合格者として選ばれた5名の美少女のうち、最も容姿に優れた少女が「やっぱりやめます」とその場で辞退し、以降二度と姿を見せないという波乱の展開でグループが結成された。
残された百地餡(ももち あん)、藤ナイ子(ふじ ないこ)、地池カカ子(ちち かかこ)、千戸・ダイダロス・千尋(せんと・ダイダロス・ちひろ)の4名は、それぞれの思惑を胸にアイドルグループ「チーズッズ」として活動を開始する。

迷走を極めるプロモーション活動

「チーズッズ」の活動は、一般的なアイドルの範疇を大きく逸脱していた。通常のイベント出演やテレビ露出を試みる一方で、突如として無人島での過酷な修行を敢行するなど、脈絡のない「無駄な努力」を積み重ねていく。
さらに、CDアルバムを超高額で販売しようと画策したり、行き当たりばったりの海外出張を強行したりと、その場限りの奇策を連発する。可愛らしい容姿を持ちながらも、独特すぎる感性によってサクセスストーリーから遠ざかっていく彼女たちの姿がシュールに描かれる。

事務所の倒産

こうした無計画な活動の結果、ついに所属事務所であるリトルアナーキーが倒産するという事態に直面する。彼女たちの活動を支える(あるいは振り回す)周囲の人間も極めて個性的であり、一癖も二癖もある社長や、年上の彼女を持つ独特なキャラクターのマネージャーなど、周囲の怪人物たちとの掛け合いが物語の混迷をより深めていく。事務所の崩壊という絶望的な状況下でも、彼女たちは次に何をやらかすのか。

『もぎたて☆アイドル人間』の登場人物・キャラクター

アイドルユニット「チーズッズ」

本作の主人公たちが所属するアイドルグループ。事務所社長の「アイドルに必要なのは運」という持論に基づき、メンバー全員がくじ引きによって選出された。デビュー曲は「ござリング」。全員が致命的な音痴であり、揃いも揃って思慮に欠ける言動を繰り返すため、一向に売れる気配がない。

藤 ナイ子(ふじ ないこ)

青色のショートカットと中性的な風貌が特徴の17歳。クールで反抗的な外見に反して、その実態は極めて打たれ弱い「アホ」である。元レディース(パシリ)。
挑発的な言動で周囲を苛立たせることに長けているが、すぐにマネージャーの四堂に制裁を加えられるのがお約束となっている。本人は反抗期を自称しているものの、実際には家族仲は極めて良好であり、家族がライブの応援やPV撮影に協力する場面も見られる。泣き顔が著しく醜い。

千戸・ダイダロス・千尋(せんと・ダイダロス・ちひろ)

金髪のロングツインテールが特徴の13歳。グループ最年少ながら、メンバーの中では最も常識をわきまえており、他メンバーの暴走を食い止めるストッパー役を担うことが多い。物事を巧妙に言い換える術に長けているが、発言内容やセンスに「昭和の香り」が漂うなど、年齢にそぐわない古臭さが目立つ。

地池 カカ子(ちいけ かかこ)

黒髪の切り揃えられた前髪が特徴の18歳。常に陰鬱な雰囲気を纏っており、発言も極めてネガティブ。ファンタジー小説『ヴァリアブル戦記』を愛好する重度のオタクであり、自らも漫画を執筆するが、画力・ストーリー構成ともに皆無である。当初リーダーを予定していた楠しずくが即座に脱退したため、最年長という理由だけでリーダーに任命された。頻繁に脈絡のない嘘をつく癖がある。

百地 餡(ももち あん)

ヘアピンで留めた長い髪が特徴の16歳。グループ随一の「アホ」であり、常人には理解しがたいズレた言動で周囲を翻弄する。可憐な外見に反して行動は非常にアグレッシブであり、素手で鮭を捕獲してイクラ丼を自作するなど、野性味溢れる一面を持つ。特技は「鶏の唐揚げが揚がる音」のものまね。

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