「僕は友達が少ない」に作家が込めた「毒」とは?

先日、最終巻が発売された人気ライトノベル「僕は友達が少ない」(通称「はがない」)。ラノベ読み界隈ではいろいろと物議をかもすような締めくくりになっているようですが、自分としては作者の平坂読さんが言うように「青春モノの終幕は、これが一番しっくりくる」ように思えます。ラストシーンで自分の高校生活を振り返って「いい青春だった」と締めくくった主人公ですが、そう言えるほどのものだったのでしょうか?

恵まれた環境にはあったけれど…

謎の部活「隣人部」。主人公以外は(性格に問題を抱えまくっているとはいえ)美少女ばかり…凄く都合のいい世界であることは間違いないのですが、そういう状況でも常に受け身であり続けたら、果たしてどういう結末を迎えるのか。それがこの「僕は友達が少ない」(作・平坂読、イラスト・ブリキ)の最終巻に込められたメッセージなのではないでしょうか。

最後まで受け身であり続けた主人公

主人公の小鷹は周囲は美少女だらけという恵まれた状況にありながら、最終巻に至っても常に受け身です。目標は現状維持、自分からは(多少の例外はありますが)アクションを起こすことはありません。周囲に流されてばかりの高校生活だったといっても過言じゃないでしょう。
(ここから先はネタバレを含みます。注意してください)
卒業するとき、結局小鷹には彼女がいませんでした。残念な主人公は結局、どの美少女も選ぶことはできずに、残念なまま終わってしまったのです。これで「いい青春だった」といえるのでしょうか。

水着回もあったりするけど、残念なものは残念なことに変わりはなかったりする。

何かを得ようとしなければ何も得られない

実際のところ、「なぜこんなラストにしたのか」という批判は分からないでもないのですが、自分が読む限りは「そりゃ受け身であり続ければこのラストしかないわ」という感想になってしまいます。
どんな恵まれた環境にあっても、自分から何かを得ようとしなければ何も得ることはできない。そんな至極当たり前のメッセージがこのラストには込められているのではないでしょうか。平坂さんもあとがきでこう書いています。

「学校を舞台とした青春モノの終幕は、個人的にはこれが一番しっくりきます」(11巻262ページより引用)

平坂さんは基本的に作品内に毒を含ませる作家です。その毒が多くの読者には強すぎたということならば、皮肉なことだと思います。

卒業生へマリアから贈る言葉。せめて未来は残念でなくなってほしい。

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