S -最後の警官-(漫画・ドラマ・映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『S -最後の警官-』とは、小森陽一(原作)、藤堂裕(作画)により、『ビッグコミック』で2009年から2016年まで連載されていた漫画である。漫画の巻数は全20巻。元プロボクサーの神御蔵一號(かみくらいちご)は、犯人を生きたまま確保することを目的として新設された、警察庁特殊急襲捜査班「NPS」の隊員として役割を全うしている。特殊部隊同士の対立、友情、そして個性豊かな「NPS」のメンバーと一號が共に挑む、凶悪事件が描かれた警察アクションである。

『S -最後の警官-』の概要

『S -最後の警官-』とは、小森陽一(原作)、藤堂裕(作画)により、『ビッグコミック』で2009年から2016年まで連載されていた漫画である。漫画の巻数は全20巻。元プロボクサーの神御蔵一號は、犯人を生きたまま確保することを目的として新設された、警察庁特殊急襲捜査班「NPS」の隊員として役割を全うしている。特殊部隊同士の対立、友情、そして個性豊かな「NPS」のメンバーと一號が共に挑む、凶悪事件が描かれた警察アクションである。

『S -最後の警官-』のあらすじ・ストーリー

新たな「S」

現在日本には「Special Assault Team」(警視庁特殊部隊)通称“SAT”と、「Special Investigation Team」(警視庁特殊犯捜査係)通称“SIT”が存在しており、凶悪事件の最後の砦として役割を全うしている。これらの部隊は、通常の警察官では対応できないテロ等の特殊かつ凶悪な事件を担当し、犯人確保の際には犯人の生死を考えなくてもよいと許可されている部隊である。そしてある日、犯人を生かしたままの確保を目的とする、SATの機動力とSITの捜査力を併せ持った新たな「S」が誕生する。それこそが「National Police Safetyrescue」(警察庁特殊急襲捜査班)通称“NPS“だ。

団地内で、銃を所持した男2人組が人質を取って立て篭もるという事件が起こった。NPS隊員・神御蔵一號(かみくらいちご)は、犯人たちの隣の部屋に潜み、外ではSATの狙撃手・蘇我伊織が犯人に向けた狙撃の指示が出るのを待っていた。一方のNPS隊長・香椎秀樹は、「人質はもちろん犯人も、誰ひとり絶対に死なせるな。」というNPSの目的を再度無線で隊員たちに指示を出す。

一號の運命が変わった日

この事件が起こる半年前、一號はプロボクサーの引退後、都内の交番に勤務するお巡りさんとして一生懸命働いていた。とある日、都内のビルで、ある刑事が脚を撃たれ、その現場には大量の手榴弾や銃が撒かれていた。そして、日本の警察は人の命が第一だから人質がいると自分たちのほうには撃ち返せないだろうと考えた犯人の男たちは、窓から人質を突き落とす。すると、現場の最前線にいた銃対員・篠田は、人質を受けとめようとして前に出てしまった。しかし、実は突き落とされた人質は人ではなくマネキンだった。篠田がそのことに気づいた瞬間にはもう遅かった。犯人の男たちは篠田を銃で撃ち、篠田は倒れてしまったのだ。犯人の男たちは篠田を的に銃を乱射し、他の銃対員たちが身動きを取れずにいると、現場の野次馬を抑えるために借り出されていた一號が、盾2枚を合わせて、篠田のもとへ駆け出した。犯人集団の銃の乱射からひたすら篠田を守っていたが、このときはまだ、半年後に特殊部隊に入ることになるとは少しも知らない一號であった。

不気味な予感

事件のない日々が続き、新設されたNPSの本部で暇を持て余す一號ら隊員たち。思い思いの時を過ごしているなか、速田は、嘘のつけない一號に対して特殊部隊の機密保持ができているのかという不安を口にする。すると突然、梶尾から一號への抜き打ちテストとして、合コンの幹事を務めるという指令を受ける。一號が、商店街でゆづるに合コンのセッティングをお願いしながら歩いていると、停車したスポーツカーから警察庁科学警察研究所研究主任・秋が現れる。遅れてきた香椎が一號の母・花の店「定食屋まんぷく」で秋の食事につき合わされているところに、速田から都内のデパートで爆発が発生したという連絡が入った。

警察庁特殊急襲捜査班(Nationai Police Safetyrescue、略称NPS)本部に集まった香椎、一號らに捜査帰りの速田と梶尾が事件の報告をする。人為的な爆発、つまりテロの可能性があり、爆破の規模からしてプラスティック爆弾の可能性が高いという報告を受けた香椎は、嫌な予感がしていた。爆弾と拳銃は、「M」という人物が犯人たちに与えたものだという。

NPSの力が発揮されるとき

翌日、銀行強盗が起こり、犯人から警察庁に犯行を知らせる報告が入る。警察長官・官房審議官の天城は、SAT隊長の中丸に連絡し、「銀行強盗が発生したため、SATはNPSの指揮の元で動くように」との要請をする。蘇我をはじめとするSATの隊員たちは、新設部隊NPSの指揮でSATが動くことに納得できないでいる。そんな中、赤坂のビルで爆破が起こり、爆弾はハッタリでないことが確認される。幸い死者はでなかったが、香椎は犯人の状況を把握するため、一號に偵察命令を下す。犯人は5名、人質は25名であった。銀行である現場に潜入するため、建物の共同溝に向かおうとするがその前に、NPSチームで合コンに参加するため、全員無事で事件解決する、と誓い合うのだった。潜入に向かうと、そこに中丸と蘇我が立っていた。中丸はNPSの潜入作戦にSATから蘇我を出すといいだす。そこで、一號と蘇我は、初めてバディを組むことになった。下水道を歩き、銀行に潜入する2人。ちょうど銀行のあるフロアの真上の天井裏に一號たちは身を潜めた。

犯人たちは女性行員を人質にとり、頭の上に乗せた空き缶を撃つ遊びを始める。蘇我はある女性のことが脳裏に浮かび、拳銃を向ける。だが、その前に一號は閃光弾を使用し、犯人たちを取り押さえる。だが、犯人の1人は爆弾を爆破させる、と脅す。香椎は、「グランド・ゼロ」という言葉をヒントに、犯人たちは銀行周辺にC4爆弾を設置し、その爆破の粉塵に乗じて逃げ出そうとしているのではないか、と推察する。香椎の指示により、C4爆弾はすべて除去された。犯人は、女性行員の下に設置した爆弾を爆破しようとするが、一號たちはそれを阻止し、事件は解決する。

合コンを行なっている一號の前で、蘇我は「俺はお前を絶対に認めない。単に犯罪に巻き込まれた人間を見ただけのお前は、被害者家族の気持ちは分からない。犯人に対する憎しみも分からない」と告げるのだった。

一號のインタビュー

全国にNPSの存在を周知させるため、NPSを代表してTVのインタビュー取材を受けることになった一號。特殊部隊に所属する人間がカメラの前に顔を晒すことは、本来あり得ないことであるため、蘇我らSATの隊員たちは、一號がTVのインタビューで顔を出しているニュースを複雑な思いで見ていた。創設以来30年。ひたすら身分を隠し、家族にも伝えず遺書まで書いて、ただこの国の治安を守るために汗を流してきたSATの隊員たちは、創設されて間もないNPSの行動に、同じ特殊部隊として屈辱と怒りが込み上げてくる。一方、ゆづるも一號のインタビューを複雑な思いで見ていた。一號が危険な目に遭うのではないか、と気が気ではなかったのだ。一號は、ゆづるに隠していたことを詫び、改めて話をするのだった。

合同訓練と新たな事件

NPSとSATが合同訓練を行うことが決定した。挨拶に訪れた蘇我らと一號たちは訓練についての書類に目を通しながらも激しく睨み合い、合同訓練に不満を漏らす一號に、蘇我は冷たい視線を向け挑発するのであった。合同訓練は1日目の夜に「障害踏破訓練」、2日目は朝から「エントリー訓練」を行うことになっている。不穏な動きを感じていたNPS隊長・香椎は、無事に訓練が終わることを祈るのだった。いよいよNPSとSAT、どちらがこの国を守るにふさわしい部隊かを決める合同訓練が始まった。号令と共に一號らは闘志をむき出しに障害踏破訓練へと駆け出すその頃、エントリー訓練の人質役に自ら志願していた秋のもとに、国際テロリストとささやかれるMの影が忍び寄っていた。

訓練中、大雨洪水警報が出たことを知らされたが、SATの中丸隊長は、訓練続行を続ける。人質役の丸太を抱えつつ、川を横切る一號たち。チーム一丸となり、困難に立ち向かっていく。大雨で電力を供給するケーブルも絶たれ、モニターも映らなくなる。その最中、SATの隊員の1人、嵐隊員が崖から転落する。だが、SATの他の隊員は任務遂行を優先し、先を急ぐ。その隊員を一號は発見し、救助を行う。嵐隊員は、腕を骨折していた。「敵も見方も同じように、人命救助を第一としている」という一號の考えに、蘇我はやはり反発する。

一號たちの訓練が行われている中、移動中だった秋を、Mは拉致する。その話はすぐさま訓練中のNPS、SATたちのもとへ伝わり、ここからMとの対決が始まるのだった。

『S -最後の警官-』の登場人物・キャラクター

神御蔵一號(かみくらいちご/演:向井理)

NPS隊員で巡査。プロボクサーから警察官になった異色の経歴の持ち主。子どもの時、幼なじみの棟方ゆづる、その両親と出かけた繁華街で起こった発砲事件をきっかけに「大切な人を守れる力をつけたい」との気持ちでボクサーを志す。引退後、制服警官として交番に勤めていたときに起こった銃乱射事件をきっかけに、発足間もないNPSの隊長である香椎にスカウトされた。ボクシング仕込みのパンチを武器に、素手で相手を制することを得意とする。明るくて人懐こい性格だが、実際の事件現場では断固たる態度で臨む。周囲の状況などを考えずに独断で飛び出すことも多々あるが、一瞬の状況判断で窮地を脱する才能を持っている。

蘇我伊織(そがいおり/演:綾野剛)

SAT隊員で巡査。SAT随一のスナイパーで、その腕前は「神業」と称されている。かつては刑事志望で所轄署に配属されていたが、射撃の腕前を買われ、特殊訓練員を経てSATの狙撃手として抜擢された。
冷静沈着な性格で、射撃待機態勢を何十時間でも維持できる集中力・耐久力を持ち、高い洞察力・格闘能力も備えている。SATの理想を体現しているような人物だ。
NPSの「確保」を重視する考え方を「甘い」と思っている。過去に家族が事件に巻き込まれており、その影響で考えが頑なになっている。

香椎秀樹(かしいひでき/演:大森南朋)

NPS隊長で警視。警察庁1の切れ者と言われており、NPSの初代隊長を務める。統率力・洞察力に優れており、「人を信じてこその警察」という信念をもとに、個性の強いNPSの面々を指揮する。しかしふだんはパチンコ好きの枯れた中年だ。かつてはSATに所属していたが、犯罪者に対する信念の違いから袂を分かつことになった。

速田仁(はやたひとし/演:平山浩行)

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