アカテン教師梨本小鉄(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『アカテン教師梨本小鉄』とは、原作者・春日井恵一により1986年から1987年にかけて『週刊少年ジャンプ』で連載された、ギャンブル好きの型破りな不良教師、梨本小鉄の活躍を描いた学園漫画作品。コミックスは全4巻。あらゆるギャンブルで常勝無敗を誇るという梨本小鉄は、産休補助教員として、母校の小春日和中学校の3年A組担任となる。その授業は型破りで、同僚教師の反発を買うが、仁義に厚い小鉄の指導に生徒達は惹き付けられていく。

『アカテン教師梨本小鉄』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

梨本小鉄「アホダマー!」

「アホダマー!」というのは小鉄オリジナルの決めゼリフ。甘い考えの人間に説教する場合に多用されている。この言葉に代表されるように、汚い言葉遣いや破天荒な行動、メチャクチャな授業が目立つ梨本小鉄だが、このセリフの後には人生の指針となるようなグッとくる名ゼリフが続く事も多い。例えば、「アホダマー!! 運を手にすりゃあ 自分の『勝つ方程式』が見えてくる!!」「アホダマー!! 酒の力を借りるのも人間社会の特権よ!!」などがある。生徒たちは感銘を受けるが、中学教師の発言としてはいずれも不適切である。

酒井源五郎「みよ!あれが“常勝無敗”梨本小鉄の隠された証明じゃ!」

幼い頃からギャンブルで常勝無敗を誇っていた梨本小鉄。3歳の時には少年雀鬼と呼ばれてTV番組でプロの麻雀を相手に役満で上がったり、中学生の時は競馬の予想屋をやっていたりと信じられない強運の持ち主。この強運の秘密は、明大寺で毎年行なわれる裸祭りにある。この祭りでは陰陽二本の宝木を数千人の群集が奪い合うのが恒例であるが、小鉄はこれをかつて3年連続獲得している。さらに天照大神の時代から開運のご利益のあるその宝木6枚のご利益を永遠に保つ為に、小鉄は瞬間接着剤で背中に貼り付けている。この事により強運を身に纏い、あらゆるギャンブルに常勝無敗になったと言われている。小鉄の恩師である酒井が叫んだ「みよ!あれが“常勝無敗”梨本小鉄の隠された証明じゃ!」という言葉によって、初めて小鉄の強運の秘密が明かされた。

兄貴「俺りゃあキリストの再来かと思ったぜ!」

生徒たちが羽場雁組に捕まってしまった際に、雀荘に乗り込んでいった小鉄。組の兄貴が小鉄に見覚えがあり、昔TV番組「ちびっ子世界ビックリショー」に出演していた子供時代の小鉄が、プロの雀士相手に九連宝燈を上がったという。その姿を見て、「俺りゃあキリストの再来かと思ったぜ!」と言った。幼い頃から小鉄が常勝無敗で強運を身につけていたことがわかるセリフである。

梨本小鉄「あんたたちが腰抜かすくらいの点数とってみせますよ!」

生徒たちと雀荘に行ったことがバレてしまった小鉄は校長に呼び出されて、このままじゃ教師を続けさせるわけには行かないと、最終通告されてしまう。その時に小鉄は「あんたたちが腰抜かすくらいの点数とってみせますよ!」と啖呵を切ってみせた。解雇通告されても、根拠はないが自分の強運を信じ、どんな難局も乗り切れると信じている小鉄らしいセリフである。

『アカテン教師梨本小鉄』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

ジャンプ三原則に逆らう異色の作品

本作が連載された1986~87年頃、集英社の『週刊少年ジャンプ』は黄金期と言われており、『北斗の拳』『ドラゴンボール』『キン肉マン』『シティーハンター』などが巻頭を飾っていた。ほとんどの連載作品が「友情」「努力」「勝利」のジャンプ三原則を導入していた時代。その作品たちと並んで、ニット帽・グラサン・口ヒゲのおっさんが「飲む」「打つ」「買う」と、博打ですべてを解決しようとする不健全な不良教師が主人公の本作は異色である。ジャンプ三原則の真逆を行くようなコンセプトの作品が突如として現れた際は違和感があった。本作は早々に打ち切りになってしまったが、もう少し年齢層の高い読者の雑誌で連載されていたら、違う結果になっていたかもしれない。

『週刊少年ジャンプ』お決まりのバトル漫画へ

連載終盤にかかると、人気低調に伴ってジャンプ編集部の意向で、当時のジャンプの人気マンガと同じくバトル漫画路線に切り替わっていった。そのバトルとは、個性豊かな7名の選抜教師が教育指導能力を競うという天下一予備校が主催の「全日本有能教師コンテスト」なるもので、優勝賞金は1000万円というもの。大会ルールとしては教師それぞれに与えられた1クラスの成績で争われるという難解なもので、その後すぐに連載終了になっていることを見ると、教師がテーマの漫画でバトル路線というのはさすがに読者の支持を得るのは難しかった。

理想の教師像を描く作品

本作品は、内容的にはカンニング問題や飲酒、賭博など行き過ぎた面も多く、小鉄も教師としては落第であるが、そのめちゃくちゃな破天荒さが魅力であり、生徒に信頼されるという教師像が描かれている。3年A組の生徒たちは小鉄から人生や真っ直ぐな生き方、勝利への執念を教わる。梨本小鉄は文句無しのアカテン教師、 生徒たちは最初こそ小鉄先生の無茶苦茶さに疑問を抱くが、すぐに素晴らしい教育者であることに気付く。 これは当時の読者にも大きく影響を与えた。

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