プロミス・シンデレラ(漫画・ドラマ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『プロミス・シンデレラ』とは、橘オレコによる漫画およびこれを原作とするテレビドラマ作品。小学館のウェブコミック配信サイト「裏サンデー」にて2018年から2022年まで連載された。「次にくるマンガ大賞2018」のWebマンガ部門で12位を受賞。バツイチの桂木早梅と、性悪な高校生・片岡壱成が繰り広げるドタバタ恋愛劇を描いている。歳の離れた2人がいかにして困難を乗り越えていくかに注目が集まり、実際に年の差恋愛で悩む多くの人びとから共感を集めた。2021年に二階堂ふみ主演でドラマ化された。

『プロミス・シンデレラ』の概要

『プロミス・シンデレラ』とは、橘オレコによる漫画およびドラマ作品である。2018年1月からウェブコミック配信サイト「裏サンデー」(小学館)にて連載が始まった。コミックスとしての発売は2018年6月である。2021年にはTBSにてテレビドラマ化しており、主演を二階堂ふみが演じた。
結婚一年足らずで夫に不倫された主人公、今井早梅。曲がった事が嫌いな性格から夫の正弘を問い詰めるが、離婚を切り出されてしまう。怒りと悲しみで家を飛び出した早梅だが、現金が入った鞄を盗まれてしまい途方に暮れる。行くあてもなくホームレスとしての生活を余儀なくされてしまう。そんな時に性悪高校生の片岡壱成と出会う。ホームレスの早梅をからかう壱成だったが、突然家に招かれる早梅。そこで壱成は寝床を提供する代わりに、ゲームをしようと提案する。壱成の魂胆がわからない早梅は渋るものの、居間にかけてあった300万の掛け軸を汚してしまい、ゲーム参加を決意する。真っ直ぐで負けん気が強い早梅と家がお金持ちな為、自由に振る舞う壱成。一見噛み合わない2人だが、ぶつかり合い、お互いを知ることでなくてはならない存在に変わってゆくのだった。

『プロミス・シンデレラ』のあらすじ・ストーリー

家出したら高校生に拾われた

昔から正義感が強く曲がった事が嫌いな今井早梅は、帰路に着く電車の中で荷物持ちをさせられている高校生がいた。見逃せなかった早梅はリーダーの片岡壱成に「ジャンケンで負けたら私が持つ」と勝負を挑む。見事勝利した早梅は颯爽と電車を降り、壱成は悔しそうに荷物を持つのだった。
帰宅した早梅は夫の正弘と夕食をとりながら、正弘の不倫について問い詰める。初めは誤魔化していた正弘だったが、ついに「他に幸せにしたい人がいるから、離婚してくれ」と早梅に頭を下げた。許すつもりでいた早梅も、頭を下げる夫に何も言えず家を飛び出す。傷ついた早梅に更に追い討ちをかける様、所持金が全て入った鞄を盗まれてしまう。所持金なし・帰る家なし・家を借りることも、ネカフェに入ることも出来なくなった早梅はホームレスになる覚悟を決めるのだった。
ホームレス生活を始めた早梅を、先日電車で勝負した高校生達が通りがかり、早梅の姿をからかい始める。壱成は1万円をちらつかせ、先日のことを土下座して謝れと早梅を見下す。早梅は壱成に手を伸ばすと盛大なビンタをくらわせた。溜まった鬱憤を晴らす様、壱成達を返り討ちにしたのだった。
ホームレス生活も7日目になり、空腹に悩む早梅。自分の不幸を振り返り落ち込む早梅に、同じホームレスの男が近づいてきて、慰められる。だが男の手が太ももを触り、まずいと思った時、壱成に助けられる。「ついてこい」と言う壱成に戸惑う早梅だったが、食べ物につられてしまう。大きなお屋敷に通され、驚きつつもカレーを出され涙ながらに食べ始める。壱成は「部屋を貸すからゲームをしよう」と早梅に持ちかけた。壱成の暇つぶしに付き合う気はない早梅は断るが、食べていたカレーで掛け軸を汚してしまう。300万の掛け軸を汚したと責められた早梅はゲームの参加を余儀なくされるのだった。
1回目のゲームが決まり、早梅と壱成は会員制クラブに来ていた。ゲームの内容は「主役に恥をかかせたら20万獲得」だった。その日の主役はモデルの恵で誕生日のパーティーを開いていた。恵は壱成に気がありアタック中だった為、一緒に来ていた早梅を牽制する。壱成はなかなか行動に出れない早梅にゲーム内容を変えて「伝言を伝え、一言罵倒すれば20万」と告げた。早梅は壱成の指示どおり恵に伝言を伝えた。その内容に恵は泣き始め、壱成は「どうせ金だろ」と自分によってきた恵を馬鹿にしシャンパンをかけた。それを目の当たりにした早梅は、机にあったケーキへと壱成の顔面を沈める。恵は壱成の姿を笑いながら、出来の良い兄がいることを比較し罵倒し始めた。そんな恵に対しても顔面ケーキをおみまいした早梅は「こいつはこいつ」と壱成を庇い、会場を後にした。
数日後、次のゲームを提案してきた壱成。第2ゲームは「心霊スポットで写真を撮影したら20万」だった。やってきた廃墟に早梅は余裕の表情で入っていく。目に見えない物は信じない主義の早梅にとって今回のゲームは楽な物だった。渋々ついていく壱成は雰囲気のある廃墟内にビビる。早梅と壱成は入った一室にて、扉が壊れ閉じ込められてしまう。突然体調が悪くなった早梅は倒れてしまい、弱っていた早梅は夫の名を呼び涙を流す。壱成は怯えながらも早梅をおぶって廃墟から出る。いつも気丈な早梅の弱い部分を目の当たりにして、少しづつ早梅の事が気になり始めるのだった。

離婚が成立する時

荷物が足りなくなってきたので、取りに帰るか悩む早梅の元に壱成が学校から帰ってきた。壱成は正弘から連絡があったと伝え、離婚届を書いてない事を聞いたらしく早梅を責める。遠慮なくズバズバ言ってくる壱成に「出すわよ」と怒りをぶつける早梅。そんな早梅を満足気に見た壱成は「慰謝料ぶんどってこい」とゲームを持ちかけ、その為の証拠写真を手に入れておくよう指示を出す。力なく返事する早梅を尻目に、部屋から出た壱成は先程までの飄々とした態度から打って変わって静かに怒りを露わにするのだった。
後日、早速張り込みを始めた早梅。正弘の会社前で隠れて待っていたが、一目姿を見てしまうと、やはりやりきれない思いになってしまう。それでも後を追い、まっすぐ帰宅した正弘に内心ホッとする。帰って“明日こそは”と意気込み、正弘と過ごした時間を思い返しながら眠りについた。そしてついにその日がやってきた。その日も真っ直ぐ帰宅した正弘を見てその場を後にしようとしたところ、1人の女性とすれ違う。電話をしていた女性の会話内容を聞いた早梅はそのままそこで待っていると、その女性を正弘が迎え、抱き合うところを見てしまう。カメラを構えるものの、その場に崩れ落ちる早梅。そこへ壱成がやって来て、黙って写真を撮ると泣いている早梅を連れて帰るのだった。
次の日、正弘の元へ訪れた早梅。早梅の生活を心配した正弘は、100万を手渡した。早梅は「慰謝料300万払ってよ」と証拠写真を見せる。納得がいかないまま離婚届に記入し、部屋をあとにする。外で待機していた壱成は早梅から話を聞き、正弘の所へ向かう。怒鳴り込んだ壱成を早梅は止め、最後に相手の女性についてどんな人なのか問いかける。「初恋の人で、すごく脆い人。だから放っておけない」と答えた正弘に早梅は涙を我慢する。それを見ていた壱成は正弘を殴り飛ばし「お前が放っておいちゃいけねえのはどっちだよ」と怒鳴り、早梅は泣きながら「もう会いたくないから慰謝料はいらない」と告げ、壱成とその場を後にした。

旅館に就職

2人の元へ、暫く留守にしていた家主の悦子が帰ってくる。2人の馴れ初めを執事で壱成の身の回りの世話をしていた吉寅から聞いた悦子は、早梅に“家に置く条件として、うちの旅館で働いてもらおう”と持ちかけた。後日、早速旅館に向かった。着物を渡され、1人で着付け出来ない為、スタッフを待っていると男性スタッフに声をかけられ手伝ってもらうことになる。着方がわからない早梅は、言われるがまま上のシャツを脱ぎ、タンクトップ姿になる。そんな早梅の後ろから「俺が全部教えてあげる」と手を握る男性に早梅は驚くのだった。タンクトップから覗く胸元を覗き込もうとする男性に早梅は咄嗟に背負い投げをかましてしまう。我に返った早梅は謝り、そこへタイミング良く女性スタッフが現れ、男性スタッフはそそくさとその場を去っていった。帰宅した早梅の様子を見に来た壱成は初出勤での話を聞く。着付けの件を聞いた壱成は新しいゲームを提案し「そんなセクハラ野郎は成敗してこい」と怒るのだった。後日、先日の男性についてスタッフから色々と聞いた早梅。今回のゲーム内容は「人前でそいつのパンツを下ろし写真をとると30万」とハードルが高いものだった。どうするか悩む早梅にタイミング良く声をかけてきた男性、洸也に夕食の誘いをうける。このチャンスを物にしようとした早梅は洸也について行く。ゲームのことで頭がいっぱいな早梅はノリで行くことにするが失敗してしまい、ことのあらましを素直に白状する。そこで今まであった事を含めて話した早梅に壱成の想いを察した洸也は仕返しを持ちかけた。帰りが遅い早梅を心配した壱成は、早梅を迎えに旅館に訪れた。兄と折り合いが悪い壱成は、兄が居る旅館に近づくのを嫌がっていたが、茶房で楽し気に洸也と話をする早梅の姿を見つける。壱成の到着に気付いた洸也はその場でわざと早梅を抱き締める。壱成は2人の元へ行き、早梅の手を引き「帰るぞ」と旅館を後にした。機嫌が悪くつっかかってくる壱成にカチンときた早梅は“ガキだ”と言うと、振り返り早梅を引き寄せる壱成。そのタイミングで洸也から電話が入り、壱成は我に返るのだった。次の日、朝から慌ただしく、15年以上前から利用のある常連が来館する予定になっていた。その人は西園寺と言い、若手男性俳優事務所の女社長で壱成の兄、成吾目当てで通っているのだが、生憎成吾は外回りで数日旅館を空けていた。ピリピリした雰囲気の中、西園寺をお出迎えする。基本男性スタッフのみで対応する為、女性は部屋に立ち入らない暗黙のルールがあったのだが、早梅を良く思っていないスタッフに料理を運ぶ様に指示され、部屋へ入る。男性スタッフに小言を言う西園寺に「料理が冷めてしまいます」と言ってしまい、標的が早梅へと変わる。悪態を吐き始めた西園寺の元へ、悦子が壱成を連れてくる。途端に機嫌が良くなる西園寺だったが、壱成の母の話を始めたことで壱成はキレてしまう。早梅は壱成を止めに入り、すかさずフォローに入った洸也のおかげでその場は収まるのだった。

お互いの存在の大切さに気付く時

帰宅した壱成は出て行った母親や、嫌いな兄の事を思い出していた。その上早梅と洸也の姿を思い出しモヤモヤし、自暴自棄になってしまう。帰って来た早梅に疲れたからと最後のゲームを持ちかける。「出て行く220万」と提示し、それを見た早梅は「わかった」と目を伏せた。荷物をまとめ、吉寅にお礼を言って早梅は家を出た。壱成は悦子に説教され、家を飛び出す。早梅を拾った公園で思い耽っていた。そんな気持ちをかき消す様、高校の友達に電話をかける。何かと金をせびってくる友達に嫌気がさして電話を切る。結局金かと肩を落とした。
一方早梅は、雨の中行く当てもなく歩いていると誰かに声を掛けられる。振り返るとそこに居たのは元夫の正弘だった。早梅はその場を後にしようとするが、突然咳込み出した正弘を放っておけず近くのお店で雨宿りをする。このままじゃ良くないと壱成に連絡した早梅は「もう一度ちゃんと会おう」と言うが、咳込んだ正弘の声を聞いた壱成は怒って電話を切ってしまう。正弘をその場に残し、壱成の所に向かう早梅。しつこく追いかけて来た正弘に早梅は今まで我慢して来た事をぶちまける。そしてお互いに言葉足らずだった事に気付き、言葉にしないと伝わらないと早梅は悟った。スッキリした早梅は壱成の元へと走った。その頃壱成は過去を振り返っていた。子供の頃から兄と比べられ、その劣等感から家族に反抗を始める。お金でも自分が求められる事に満足していた。そんな時に早梅と出会い、お金に屈さない姿や、家柄じゃなく自分自身を見てくれることが嬉しかった。自分を必要としているのか確信が欲しくなり、早梅を責めてしまった。自分が間違っていた事に気付いた壱成。そこへ連絡していた高校の友達がやってきて、喧嘩になってしまう。そこへ早梅が訪れ、喧嘩の仲裁に入る。早梅と男友達が睨み合う中、その場から立ち去ろうとする。後を追う早梅は本心を告げようとするのだが、本心に怯える壱成は早梅を拒む。「お前なんか大嫌いだ」と言う壱成の言葉を遮り、早梅は「私は嫌いじゃない」と涙ながらに伝えた。関係を今までどおり続けたいと言う早梅に疑心暗鬼になる壱成。早梅は「壱成といるのが楽しいからだよ。お金なんてどうだっていい」と伝え、それを聞いた壱成は思わず早梅を抱き締め泣いてしまう。今回の一件を謝った壱成は早梅に戻ってくる様伝え、改めて自分の想いに気付くのだった。

早梅と成吾

後日、旅館へ壱成の兄と父が戻ってくる。兄の成吾から呼び出された早梅は何事かとついて行く。一室に通され成吾に突然「僕のこと覚えてますか?」と問われ、ポカンとする早梅に成吾は10年前の話を始める。高校生だった早梅は、やさぐれており、喧嘩ばかりしていた。そんな時に河原で出会った男子高校生と仲良くなった。それが成吾だった。話を聞き思い出した早梅は混乱するが、大人になり落ち着いた成吾に感心していた。その日の仕事帰りに成吾と鉢合わせた早梅は立場上ギクシャクしてしまうが、10年前と変わらない笑顔の成吾に食事に誘われるのだった。そして休みの日に普段とは違う服装の早梅を怪しみ、壱成と悦子と吉寅は早梅の後をつけた。早梅は成吾と食事に来ていた。旅館で働く事になった経緯を聞かれ、今までの事を説明した。話を聞いた成吾は壱成の傍若無人ぶりに呆れるが、早梅は壱成の肩を持つ。そんな早梅に「壱成に気があるのか?」と聞くが、早梅は否定する。そんな2人のやりとりを早梅の後をつけた3人は黙って聞いていた。後日、壱成は旅館を訪れ洸也を訪ねる。壱成は旅館で働きたい旨を洸也に伝える。急遽茶房のアルバイトに入ることが決まった壱成に早梅は驚く。壱成と仲良く話をする早梅が気に入らないスタッフが早梅の陰口を言っており、それをたまたま聞いてしまった早梅は壱成との距離感などに悩んでいたのだった。
先日の件で壱成を意識しはじめた早梅は思い悩んでいたのだが、そこへ追い討ちをかける様に旅館の解雇を成吾に告げられる。数人のスタッフに良く思われていない早梅を心配し、知り合いの旅館を紹介してくれる事になる。納得できない早梅だったが、成吾の意志は固く、涙ながらに承諾する。そんな早梅を成吾は黙って抱きしめた。後日壱成はバイトをしながら早梅がいない事に気付く。探していると挨拶に来ていた早梅と遭遇し、何があったかをひと通り聞くと成吾の謎の行動に疑問を抱く。早梅を特別視する成吾との関係を壱成は疑い、過去に何があったのかを問いかける。茶房にて早梅は壱成と洸也に過去の自分の話を語り始めるのだった。
早梅の境遇や成吾とは両想いだったが離れるしかできなかった事を話し、もう一度成吾を説得しに行こうと早梅達は立ち上がった。まず早梅をよく思っていないスタッフと向き合う事にし、早梅は直接どこが悪いのかを聞き、話し合った結果和解したのだった。
成吾の元に向かった早梅達だが、そこで芸者の菊乃と初めて会い挨拶をする。ゲストの対応をしていた成吾は早梅たちを見て「今回の一件は無かった事にする」と告げ、足早に去って行った。怪訝な表情を浮かべる壱成だったが、一件落着した所で、早梅と壱成の歓迎会を開こうと洸也は提案する。

『プロミス・シンデレラ』の登場人物・キャラクター

桂木 早梅(かつらぎ はやめ)

本作の主人公。27歳 バツイチ。旧姓は、今井。
夫の不倫からホームレス化し、壱成に拾われる。
負けん気が強く、真っ直ぐな性格。若い頃にやんちゃをしていた為、腕っ節が強く、男性でも背負い投げしてしまう。だが意外に涙脆く、打たれ弱い部分もある。見えないものは信じない主義なので、自分の感覚を大事にしている。

片岡 壱成(かたおか いっせい)

早梅を拾った性悪高校生。17歳。
家がお金持ちな為、やりたい様に振る舞う壱成。傍若無人で子供っぽい。兄への劣等感から家族に反抗してきたが、早梅と出会い徐々に変わっていく。怖がりで愛情表現が不器用。嫉妬深く、すぐ自暴自棄になる。

片岡 成吾(かたおか せいご)

湯宿片岡の社長で壱成の兄。27歳。
しっかりしていて、仕事に真面目な為、周りからの人望も厚い。早梅とは10年前から知り合いで、当時は両思いだったが結ばれなかった過去がある。人に弱さを見せるのが苦手。早梅の前では無邪気に笑う一面もある。

黒瀬 洸也(くろせ こうや)

湯宿片岡の茶房で働く。35歳。
女好きの噂もあるチャラいお兄さんキャラ。聞き上手で壱成の悩みなどもよく聞いている。誰とでも仲良くなれるタイプで、場を盛り上げるのも上手い。

『プロミス・シンデレラ』の主題歌・挿入歌

主題歌:LiSA「HADASHi NO STEP」

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