累(かさね)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『累(かさね)』は、松浦だるまによるサスペンスホラー漫画。今は亡き美人女優「淵透世(ふち すけよ)」の実の娘である累。彼女の顔は、名声を得た母親からは似ても似つかぬほど醜かった。しかし母譲りの天性の演技力を持つ主人公は、「口づけをした相手と顔と声を入れ替えることができる」口紅の力を使い、淵透世の再来と呼ばれるほど美人女優として活躍していく。恐ろしいまでの「美」への執着、渇望。「美」を手に入れた際に放つ圧倒的な輝き。一人の女性が「美」に取り憑かれていく様が描かれている。

主要人物

淵 累(ふち かさね)

演 - 芳根京子
本作の主人公。伝説の女優「淵透世」の実の娘だが、母とは似ても似つかぬつり上がった目、引き裂かれたような口といった醜い顔をもつ。その外見のせいで小学校では周囲からはいじめられ続け己の容姿に絶望する。しかし母から受け継いだ口紅で、くちづけをした者と顔を入れ替えることができると知った累は、自分をいじめた同級生と顔を入れ替え学芸会の舞台に立つ。伝説の女優の演技力を受け継いだ累は、美しい顔を手に入れた自信も相まり、輝かしい演技を見せつけるのだった。羨望の眼差しを受けながら演技をすることの喜びを知った累は、口紅をつかい他人の顔を奪いながらも女優として名声を得ていく。
冗談が通じず、まじめで几帳面な性格。また、幼いころ友達がいなかったため、彼女の心の根底には孤独が潜んでいる。

誘(いざな)

累の母。故人。累と同様の醜い容姿の持ち主。朱磐という村の出身で、「丙午の年に生まれた醜い女児は殺す」という因習を受けて殺されそうになるも、顔を交換する力をもつ朱顔料を入手したのち、羽生田を除く村人全員を殺害して村に火を放って街へと出る。その後、絶世の美女・透世と出会い、彼女の顔を使って「女優・淵透世」として名声を得る。

野菊(のぎく)

「本物の透世」の娘で累の異母妹。「女優・淵透世」と瓜二つの顔を持つことから父・与によって長年自宅に幽閉されて性的虐待を受けていた過去を持つ。幼少期に「母と誘が顔を入れ替えている現場」を目撃し誘の所業を知ったことから、母と自分を不幸に追いやった誘のことを強く恨み、復讐を企てる。
一見暗い性格に見えるが、彼女の奥底にひそむ燃えるような憤怒や絶望はとても人間らしく美しい。累と似て、孤独を抱えている。

丹沢 ニナ(たんざわ ニナ)

演 - 土屋太鳳
若手美人女優。演出家・烏合の演出作品に出るという夢があるが、眠り姫症候群を患っており、女優を諦めざるを得ない状況になったため、累に自分の顔と名前を貸し、「女優・丹沢ニナ」として活動させていく。
本来の美貌と累の演技力により烏合に評価され夢は叶ったように見えたが、累に自身を乗っ取られたと感じ精神を病む。飛び降り自殺を図るが一命を取り留めて植物状態となり、その後は累と羽生田によって姿を利用され続けていたが、自分の意志に唯一気づいた野菊に頼んで自殺を遂げる(殺害される)。

羽生田 釿互(はぶた きんご)

演 - 浅野忠信
演出家。誘と同郷で、血縁上は誘の従兄弟にあたるため、誘の過去と口紅の秘密を知る数少ない人物のためストーリーのキーマンとなる。
誘に心酔しており、彼女が生きていたころは「女優・淵透世」としての活動をサポートし、誘の死後は彼女の遺志を継いで累の協力者となった。
出っ歯がトレードマーク。冗談をよく言うが、かさねはそれが通じないので面白くないと思っている。

淵 透世(ふち すけよ)

演 - 筒井真理子
野菊の母。故人。絶世の美人だが演技力は無く、役者よりも衣装の制作に強い意欲を持っていた。その美貌と人の甘さから誘の標的となり顔を入れ替わられることとなる。
しかし、自分の想い人である与が「女優・淵透世」となった誘と結婚したことから複雑な思いを抱き、与が「女優・淵透世」の真相を知るように仕向ける。
その後、誘を拒絶する与と関係を持つが、「女優・淵透世」との違いに失望され地下室に監禁される。最期は与の命を受けた羽生田に殺害されている。

淵累がなり替わった(演じた)登場人物

淵累がなり替わった(演じた)「丹沢 ニナ(たんざわ ニナ)」

累が若手美人女優「丹沢ニナ」の顔を得て成り代わった姿。「眠り姫症候」を患うニナの変わりにオーディションを受け、有名演出家の烏合に認められる。『かもめ』で主役を演じたこときっかけに脚光を浴び、女優として活躍し始めるが、ニナの死亡に伴い、姿を消した。

咲朱(さき)

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