true tears(アニメ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『true tears』とは2008年1月から3月までテレビ放送されたP.A.WORKSのオリジナルアニメである。登場人物達の心情を繊細に描いた、青春群青劇。全13話から構成され、「涙」が作品の中では一貫して登場し、ひとつの大きなテーマとなっている。細やかな心理描写に加え、それを表現する作画技術の高さも本作の見どころである。
本作は絵本作家を目指す仲上眞一郎が涙を流せなくなった少女、石動乃絵と出会うことをきっかけに成長していくストーリーを描く。

『true tears』の概要

『true tears』とは、2008年1月から同年3月まで放送されたP.A.WORKS初の元受け作品となるアニメである。監督は西村純二、脚本は『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』で知られる岡田麿里、キャラクターデザインは『Angel Beats!』や『花咲くいろは』『SHIROBAKO』など有名作品で知られる関口可奈味が担当している。西村純二独特の、飄々としていて行間のリズムがあるテンポが魅力の作品だ。また原作のLa'crymaから発売された同名の恋愛アドベンチャーゲームの名前を継承しているが、ストーリーは全く独自のものとなっている。
舞台は富山県の南砺市、絵本作家を目指す高校生仲上眞一郎は、親を亡くした湯浅比呂美と、両親とともに暮らしていた。ある日、学校で木の上に登って降りられなくなった石動乃絵という少女と出会う。彼女は過去の出来事のせいで涙を流すことができなくなったという。眞一郎は彼女との出会いをきっかけに、成長していく。

『true tears』のあらすじ・ストーリー

1話 「私…涙、あげちゃったから」

絵本作家を目指す仲上眞一郎。湯浅比呂美は事故で両親を亡くし、1年前から友人でも会った仲上家に引き取られ眞一郎と同居していた。小学校の頃から同じクラスで幼馴染でもある眞一郎はひそかに彼女に思いを寄せていた。眞一郎は比呂美の明るい笑顔が気になっていたが、比呂美は以前と変わり少し影のある女性へと変わっていた。

そんな時、木に登り赤い実をとっていた石動乃絵に出会う。その綺麗な姿に眞一郎は思わず見とれ、乃絵からは「勝手に見ないで」と言われてしまう。見とれていたことに恥ずかしくなってしまった眞一郎は立ち去ろうとするが、「降りられなくなっちゃったの」と言われ、乃絵を受け止めようとする。乃絵は木から飛び降り、眞一郎が乃絵の下敷きのような形で受け止める。
眞一郎は飼育小屋にいるニワトリ2羽に出会う。乃絵はそのニワトリのうち「飛べないニワトリ=地べた」、「飛べるニワトリ=雷轟丸」と名付けていた。
乃絵は「天空の食事」としてニワトリの餌である赤い実をとっていたことを眞一郎に明かす。乃絵は空を飛びたいニワトリが閉じ込められていることはかわいそうだと思い、赤い実をとっていたと言う。眞一郎は「空飛びたいなんて、ニワトリが」とうんざりした様子で言葉をもらしていた。乃絵は急に「シッ、シッ」と言い、眞一郎は何だろうと思ってしまう。「そいつにはやらないのか?」と2羽いるニワトリの飼育小屋を見て眞一郎が乃絵に尋ねる。乃絵は「だって、この子は飛ぼうしないニワトリだもの」と言い「そしてあなたはこっちのほう」と言われてしまう。それに怒った眞一郎は「初めて喋ったお前に俺の何が分かる」と声を荒げる。それに対し乃絵は「唾は飛ぶのね」と眞一郎をあしらう。眞一郎は売り言葉に買い言葉といった様子で、「お前はなんか飛べそうだもんな」と言い、「ええ」と同意する乃絵に対し、「頭軽いそうだもんな」と挑発をする。乃絵は頬を赤らめるほど怒り、眞一郎に「あなたに不幸が訪れますように」と言葉を残し立ち去ってしまう。眞一郎は教室に戻り、親友の野伏三代吉から乃絵の根も葉もない噂を聞く。そして、呪われたことを三代吉に報告すると、三代吉は「やばいぜそれ」と言い顔を引きつらせた。眞一郎は少し驚いて「何?」と三代吉に声をかける。眞一郎は三代吉から乃絵の「不幸になる呪い」をかけられると男性機能が不全になってしまった人がいることを聞かされる。

眞一郎は麦端まつりで麦端踊り花形を踊るため、公民館で麦端踊りの練習をしていた。三代吉の彼女、安藤愛子は公民館の手伝いをし、お茶くみなどをする傍ら眞一郎の踊りを見守っていた。練習後、眞一郎は今川焼きの店で愛子が切り盛りをしているお店「アイちゃん」で愛子に愚痴を言っていた。眞一郎にとって愛子は幼馴染で一つ年上の姉のような存在であり、眞一郎からは「あいちゃん」と呼ばれていた。愛子は眞一郎が通う麦端高校とは違う、古城高校に通っていた。花形を踊ることは眞一郎の父親が花形を踊っていたためであり、眞一郎は踊りたくて練習しているのではないという気持ちが強かった。眞一郎はため息をつき「花形なんて無理なんだよ」と愚痴をこぼしていた。愛子は眞一郎が「あんな家に生まれ」と言おうとした言葉を遮り、「あんたさ~抱えすぎなんだよ、いろいろ」と眞一郎に声をかける。その際、眞一郎と愛子が顔を見合わせると愛子は照れてしまう。その後、三代吉が店に訪れると付き合っている中を邪魔しちゃ悪いと眞一郎は席を立ってしまう。そんな姿に愛子は頬を赤らめ、眞一郎とまだ一緒にいたいという気持ちから戸惑いを隠せない。

眞一郎は次の日「不幸になる呪い」を乃絵に解いてもらうべく、乃絵がニワトリを好きなんだと思い、ティッシュボックスで作ったニワトリを渡しに行く。乃絵は眞一郎を気に入り、「素敵、素晴らしいわ、あなた飛べるんじゃない?」と言う。そんな中、乃絵のお気に入りでもあった雷轟丸が狸に襲われ、残骸とともに消えてしまう。乃絵は「ごめんなさい」と言い、「人を呪わば穴二つ」として自分の行いのせいだと思う。そして乃絵は「あなたに不幸が訪れるように…」と眞一郎に呪いをかけたことを後悔する。
落ち込む乃絵が泣くと思った眞一郎は「強いんだな」と乃絵に声をかける。乃絵は「とってもとっても悲しいわ」と言いながらも涙を流さない。そこで乃絵が「私…涙、あげちゃったから」と言い眞一郎はその儚い表情に息をのんだ。

2話 「私…何がしたいの…」

乃絵が涙を流せない理由、涙を取り戻さなくちゃいけないと乃絵から打ち明けられる。
乃絵は祖母が死んでしまう際に大泣きをしてしまっていた。そんな時祖母から大切な人の涙は持っていくことができると祖母から教えられたこと。乃絵の涙を祖母が死んでしまったときに涙を持っていってくれたからそれ以降、乃絵は涙を流さなくなったことを眞一郎に話した。
一方、眞一郎は家では志望校や将来について向き合わなければならない日々が続いていた。
次の日学校では眞一郎は乃絵からのアプローチを受ける。乃絵は雷轟丸の代わりに眞一郎をお気に入りに。一方、比呂美は眞一郎の好意が乃絵に向いてしまうのではないかと気持ちがざわついており、比呂美は眞一郎に乃絵のよからぬ噂を吹き込もうとする。
その後、比呂美は乃絵と眞一郎の関係が気になり、眞一郎に乃絵を紹介して欲しいと声をかける。
放課後、眞一郎は愛子が切り盛りしている今川焼きのお店で、三代吉と今川焼きを食べていた。眞一郎は三代吉に「比呂美が石動乃絵を俺に紹介してほしんだって」と報告をする。その時、愛子は「早く食べないとうちの美味しい今川焼が冷めるわよ」と眞一郎たちの元にコーラを運んでいた。その時、愛子に聞こえてきた比呂美が石動乃絵を紹介欲しいという話題は気になるものだった。
次の日、学校で眞一郎は乃絵に「お前と友達になりたいっていう子がいるんだ」と声をかけ、比呂美を紹介しようとする。しかし、乃絵は比呂美が自分の友達になりたいという気持ちは嘘であると見抜いてしまう。眞一郎が乃絵は友達ができて喜ぶと思っていた気持ちと反面、眞一郎の提案を聞いた乃絵の表情は曇ってしまう。その後、乃絵は本当の比呂美の気持ちを確かめるため部活動中の比呂美に会いに行く。
乃絵は「あなたが私と友達になりたいって、仲上眞一郎が」と言い、「噓でしょ」と間を置かず比呂美に言う。比呂美は「嘘って、どうしてそんな」と動揺してしまう。比呂美は乃絵のことが好きで友達になろうとしたわけではない気持ちを見抜かれてしまう。

3話 「どうなった? こないだの話」

学校では乃絵からの赤い実のプレゼントが眞一郎の机やロッカーに入れられていた。眞一郎は乃絵の彼氏と思われる人物と乃絵がバイクで一緒に帰る場面を目撃してしまう。
眞一郎は地元の祭礼でもある「麦端まつり」の花形を演じることになっていた。愛子は公民館に持っていく差し入れなどを作り、眞一郎は祭りの練習をし公民館に一緒に行っていた。そのため祭りの練習ある日は「アイちゃん」に集合し、愛子と共に練習へ向かっていた。
愛子は眞一郎と一緒に公民館へ向かう途中、近道ができるため神社を通り抜けようとする。その際、愛子は「どうなった?こないだの話」と眞一郎に比呂美についての話を聞く。眞一郎は先日、三代吉と話していた話だと気づき「聞いてたのかぁ」と投げやりに答える。眞一郎は比呂美は乃絵と友達になりたかったはずなのに違ってたと言うが、愛子は「本当は違ってたとか?」と当ててしまう。愛子は「分かる気がする、でも教えない」と眞一郎に疑問を残す。

練習後、家に帰ると比呂美が母親から頼まれごとをされていた。眞一郎の家は酒蔵を営んでおり、頼み事はお客さんにお酒を今日中届けなければならないというものだった。眞一郎は「明日でいいじゃん、夜遅いし」と反対する。母親は引かず、眞一郎は比呂美を庇い一緒にお酒を届ける。海沿いの道、眞一郎と比呂美は思い出の道を通る。その際、眞一郎は「この道歩いたよな、祭りのときお前はぐれちゃってワンワン泣いてさ」と比呂美が祭りではぐれてしまった時の話をする。しかし比呂美は「覚えていないわ」と言い、眞一郎は驚きとともに覚えてなかったことに残念な気持ちになってしまう。
眞一郎と三代吉が掃除の時間話していると、クラスメイトから赤い実が廊下中にあることを指摘されてしまう。乃絵がニワトリにあげている赤い実は、眞一郎の教室の廊下から外までに目印のように続いていた。眞一郎は木に登っている乃絵に会いに行く。眞一郎は「だから、赤い実はいらないんだよ」と言うが、乃絵からは「あなたが決めることじゃないわ」と言われてしまう。乃絵に彼氏がいると思っていた眞一郎は「彼氏いるんだろ」と言い、眞一郎自身に乃絵が関わることを辞めるよう乃絵に言い立ち去ろうとする。乃絵は「待って、降りられないの」と眞一郎にまた受け止めてもらうよう頼むが、眞一郎は「自分で登ったんだろ」と言いあしらい、すると乃絵は高い木の上から飛び降りてしまう。足を痛めてしまったと思った眞一郎は乃絵を背負うことになる。
眞一郎は乃絵を背負い、乃絵が「あっち!」と言う方向に向かっていく。すると、眞一郎と乃絵は男子バスケットボールの試合が行われている体育館へ到着する。バスケットボールの試合を見に行くと眞一郎が乃絵の彼氏と思っていた人物が乃絵の兄だったことが発覚する。女子バスケットボール部でもある比呂美は親友の黒部朋与と試合の記録を残していた。その時、眞一郎が乃絵を背負っている姿を目撃してしまう。

試合後、比呂美の本当の気持ちに気づいていた朋与は「なにやってやってるのかしら、あのバーカ」と眞一郎に愚痴をこぼしていた。比呂美は「私には関係ないもの」と言うが、それを信じられない朋与は「このままでいいの?」と比呂美に詰め寄り「本当は仲上君のことが好きなんじゃない?」と投げかける。
眞一郎が校内を歩いていると「嘘!」と朋与が大きな声で比呂美を否定する声が聞こえてしまい、眞一郎は思わず柱の陰に隠れてしまう。比呂美は「私が好きなのは蛍川の4番」と言い、今日麦端高校と試合をしていた蛍川高校の男子バスケットボール部の背番号4番の選手と言う。眞一郎は、比呂美が朋与に対し言い訳のように言った蛍川高校の背番号の4番の選手が好きであるということを聞いてしまう。そして、比呂美は朋与から立ち去ろうとした際柱の陰にいた眞一郎と遭遇してしまう。

4話 「はい、ぱちぱちってして」

比呂美から蛍川高校、バスケットボール部の背番号4番の選手が好きであることを聞き、眞一郎は落ち込んでしまう。その時、愛子が配達の帰り道、眞一郎と遭遇する。愛子は気晴らしに遊ぼうと眞一郎を誘い、ショッピングモールで買い物をしたり昼食を一緒に食べたりする。愛子は「眞一郎のことが気になる」という自身の気持ちに嘘をつけなくなってゆく。
自宅へ帰ってくると比呂美に対し、眞一郎はわざと傷つけるようなことを言ってしまう。
落ち込んでいる眞一郎に対して、帰り道、乃絵は公園で涙を洗うように勧める。同時に乃絵が涙を流せない訳を知る。

5話 「おせっかいな男の子ってバカみたい」

乃絵は眞一郎に昼食を一緒に食べようと誘うが断られてしまう。その際眞一郎が麦端まつりで踊ることを知る。その後、乃絵は比呂美と一緒に昼食を食べようとする。
乃絵は眞一郎の祭りの稽古を見学しに行く。一方眞一郎は乃絵の兄から比呂美と付き合うから乃絵と付き合ってくれと交換条件を出され戸惑ってしまう。
愛子は眞一郎への思いがあふれてしまう。

6話 「それ…なんの冗談?」

眞一郎は母親がアルバムを捨ててしまったことに驚き、同時に写真が切り抜かれていたことに疑念が沸く。乃絵の兄、蛍川の4番が比呂美に会いに来てしまい、眞一郎は動揺を隠せない。そんな時、現れた乃絵に「ほっておいてくれ」と眞一郎は距離を置こうとする。

母親に比呂美が叱責を受けている場面を眞一郎が目撃し、眞一郎は声を荒げてしまう。「もういいから、私のことは放っておいて」と比呂美は中庭へと駆け出し、眞一郎は比呂美から「私のほうが誕生日が遅いから、眞一郎君がお兄さん」と腹違いの兄弟であると聞かされてしまう。

7話 「ちゃんと言って、ここに書いて」

比呂美から聞かされたことが信じられない眞一郎。普段通りの比呂美。
乃絵は眞一郎に会うが浮かない顔をする眞一郎にどうしたらいいのか戸惑ってしまい、「私には分からない」とニワトリの「地べた」に言葉を漏らす。乃絵は比呂美に「眞一郎に謝って」と詰め寄り、比呂美も「あなたには分からない」と言い合いになり、「分からないなら、教えて」と乃絵とつかみ合いの喧嘩になってしまう。
「お前、俺が好きなのか?」と眞一郎から乃絵は問われ、自分の気持ちの気づいてしまう。
愛子は三代吉に別れを告げようとするが、三代吉は「俺には愛ちゃんしかいないから」と、別れを告げられる前に返答をする。
眞一郎は乃絵に「俺と付き合えよ」と告白をする。

8話 「雪が降っていない街」

乃絵と付き合い始めた眞一郎。眞一郎が乃絵に絵本を書いていることを打ち明けると乃絵は全力で応援してくれる。絵本の製作が進んでいくと同時に乃絵の眞一郎に対する気持ちの深さも増してゆく。
それとは比例するように眞一郎と比呂美の関係はギクシャクしてしまう。
眞一郎は祭りの稽古の帰り道、比呂美と乃絵の兄の純が雪の中バイクでどこかへ行く所をすれ違う。

9話 「なかなか飛べないね…」

雪の中、比呂美と純を乗せたバイクはスリップし転倒してしまう。怪我は無かったものの、バイクは燃え上ってしまう。
眞一郎と乃絵はタクシーで比呂美と純を探しに行く。眞一郎は比呂美が無事と分かると思わず、抱きしめてしまう。
帰ると、眞一郎は父親から比呂美とは兄弟では無いことを知らされる。同時に比呂美も母親から誤解であったことを聞かされる。

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