Jの総て(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『Jの総て』は『マンガ・エロティクスF』(太田出版)で連載された、中村明日美子によるボーイズラブ作品。作者の代表作には『ウツボラ』『同級生』『ばら色の頬のころ』『ノケモノと花嫁』『Jの総て』があり、艶やかで官能的な絵柄と登場人物一人一人を際立たせる深い物語が特徴である。舞台は1950年代のアメリカ。10歳の少年Jは、映画館で初めてマリリン・モンローを観て強烈な憧れを抱いた。これは同性愛者が生きるには窮屈な世の中で、マリリン・モンローになりたいJの愛と絶望の半生を描いた物語。

エドモンド「あれがごく一般的な家庭を愛する一アメリカ国民の言うことなんです。あなたはああいうものから自分とJを守っていかなければならないんです。耐え忍んだり戦ったりしながら手を取り合ってお互いを支え合って生きていかなければならないんです。そういう覚悟はあるんですか?」

Jの母親の病院に行った帰り道、Jと暮らしてく決心をしたポールにエドモンドが言った言葉。病院であったJの叔父の言動が一般的であることや、それでもJを愛していくことができるのかをポールに問うている。決して簡単な未来じゃないことをポールに語るエドモンドが友人として、ポールとJを想っていることも伝わる一場面である。

『Jの総て』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

テーマのきっかけは担当編集の友人の話

次回作でのテーマを考えている時に、たまたま担当が作者に話した「ゲイバーで働く知人が会うたびに梅宮アンナに顔が似てくる」というものから、マリリン・モンローの顔に憧れた人もいるかもしれないという発想に至った。また、「強くてかわいいオカマが描きたい」という本書の後書きに書かれた作者の思いもこの『Jの総て』の話を膨らませる源でもある。

過激な2巻の表紙

出典: www.amazon.co.jp

全3巻の『Jの総て』だが、1巻発売の時はあまり伸びず、2巻は少し思い切った表紙にしてみるよう当時の担当から作者は言われた。そこで仕上げてきたのはJが縛られたインパクトのある表紙で、読者からはファンレターで「とても買いにくかったです」と言われるほどだった。また、このタイミングで担当として入った新卒の出版社員にいきなりこの表紙を渡すのは作者自身も気が引けたと語っている。

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