スーパー・クルックス（アニメ）とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『スーパークルックス』の概要

『スーパー・クルックス』とは、日本でも映画化され人気を持つ『キックアス』『シビルウォー/MARVEL』などで知られるマーク・ミラーとレイニル・ユーが『小学館集英社プロダクション』にて原作を手掛ける。『僕のヒーロアカデミア』など数々の作品の制作に関わる堀元宣が監督を務め、ヒーローとヴィランのスーパーパワーを駆使した迫力ある戦いが楽しめる。また、原作の世界観が忠実に描かれており、よくある日本アニメとは一味違ったユニークなテイストを味わえる。レイニル・ユーが描いたキャラクターのアダルトな雰囲気も見どころの一つだ。
主人公のジョニー・ボルト（通称ジョニー）は幼い頃に、発電・放電の能力に目覚める。最初は憧れのスーパーヒーローを目指すが、自らの能力をうまく扱えず沢山の人々を傷つけてしまった事をきっかけに「スーパーヴィラン」の道で生きていくことを決意した。時が経ち、ある日ジョニーは、彼女のケーシーに億万長者になれる大きな計画への参加を提案され身を投じていく。ヒーローとの戦いだけでなく、ヴィランたち裏社会のボスとも相対していく予測不能なクライムアクションだ。

『スーパークルックス』のあらすじ・ストーリー

能力の覚醒

学校生活や家庭に嫌気がさしていたジョニーはある日突然、電気を操る力に覚醒する。ジョニーは大のスーパーヒーロー好きで、自分も大いなる力に目覚めたと歓喜した。スーパーヒーローになるために、まずは町での人助けと思いたったが、大した事件が起こらないこの町ではめぼしい事件が見当たらなかった。そこでジョニーと友人のトムは、自作自演で事件を起こそうと爆弾計画を目論む。計画当日、皆を驚かせようと能力を使い空を飛び登場したジョニーだったが、まだ能力の扱いに慣れておらず、電気を発したまま人が賑わうプールに落ちてしまう。プールにいた人々は感電で重症、他にも多くの二次被害を引き起こした。それをきっかけに、ジョニーは自分ではヒーローにはなれないと感じてしまう。そこで、「スーパーヴィラン」でなら自らの能力を発揮できると思い立つ。

宝石強盗計画

時が経ち、ジョニーは小悪党の「スーパーヴィラン」として「スーパーマックス」に収監されており、刑期満了で釈放される。家に向かう途中、愛する彼女ケイシー・アン（通称ケイシー）と堅実に賢く暮らし幸せを掴もうと語り合うが、ヴィランの性は避けられない。「スーパーヴィラン」の仲間達に、宝石強盗の計画を知らされ、早々に悪事を働く。そこは犯罪が少なくスーパーヒーローが計画中に現れる心配が少ない町であり、ケイシーとの約束を気にしていたジョニーにとっては好都合であった。しかし、逃走中に運悪く、スーパーヒーローのマン・マウンテンとラバーボールが現れてしまう。町の被害を気にも留めずに攻撃してくる彼らに苦戦を強いられたが、なんとか2人を退けることに成功した。しかしヒーローの手は止まらず、現れたのは新たなスーパーヒーロー、プレトリアン。彼は200種類の能力がランダムに使用できるスーパーパワーを持っており、ジョニーたちはあっけなくやられてしまった。なす術なしと思われたが、ケイシーのスーパーパワー、幻惑によってプレトリアンを操り、皆は窮地を脱した。約束を破ったジョニーに呆れるケイシーは、平凡で贅沢な人生を2人で送るために、一攫千金の計画を提案する。それはカーマインこと、伝説の「スーパーヴィラン」ザ・ヒートが策定するものであった。

ザ・ヒートの企み

アメリカのシカゴ、そこに佇むカーマインが経営するクリーニング屋。あくまでそれは表の顔で、地下には伝説の「スーパーヴィラン」ザ・ヒートの隠れ家が存在していた。そしてジョニーをはじめとする、無名の「スーパーヴィラン」ケイシー、ジョシュ、サミー、ロディがそこに集められ、ある計画を伝えられる。それは、今やヴィランたちの裏社会を取り仕切っているネットワークをも掻い潜る、一世一代の大仕事であった。そして最初の計画が告げられる。

前編-TK・マッケイブ救出作戦

カーマインから伝えられた計画の前編。それは、「ユニオンオブジャスティス」で最強の1人といわれるスーパーヒーロー、グラディエーターによって捕らわれたTK・マッケイブ（通称TK）の救出であった。早速、飛行機を盗みカーマインとその一味はグラディエーターに厳重に警備された飛行機から救出に挑む。ケイシーの幻惑、ロディの不死能力を駆使した巧みなチームワークによって、グラディエーターを撃退。ジョニーの電気操作、ジョシュのゴースト化でTKを間一髪で救出。作戦は無事成功に終わる。命からがら帰還した一同。作戦が後編へ移行しようとするその時、カーマインの口から初めてこの計画の詳細が語られる。「この場で参加するかしないか...決めてもらう」。なんとターゲットは、スーパーヒーローの本部「ユニオンオブジャスティス」。この計画の依頼主は、かつて「スーパーヴィラン」の中でも1、2を争う能力を持っていたカウント・オーロックであった。そして、そこに保管されているカウント・オーロックのヘルメットの奪還が目的である。過去最高にハイリスクであると同時に、過去最高に報酬が高い伝説的な仕事だが、一同はあまりに強大な敵に困惑してしまう。しかし、カーマインの完璧な計画を聞き皆参加を決意。最後のメンバー、フォアキャストも合流し、一世一代の大勝負へ準備を始める。その背後で、裏社会のボス、クリストファー・マッツ（通称マッツ）はヴィランたちを取りまとめ暗躍していた。

後編-「ユニオン オブ ジャスティス」襲撃

「ユニオンオブジャスティス」襲撃の日。カーマインとその一味は最後の計画を実行する。そこに突如、ピッツバーグの市街地にて墓地に埋葬されていたはずの「スーパーヴィラン」ネクロマンサーが大量のゾンビを従えて復活する事件が発生。突然の大事件にスーパーヒーローたちは急いで駆けつける。実を言うと事件はTKとフォアキャストが引き起こしたスーパーヒーローを外に誘い出す作戦だったのだ。まんまと「ユニオンオブジャスティス」は手薄になり、ジョニーたちは安心して目標物を探していた。だが、そこにはプレトリアンが1人残っていた。プレトリアンは侵入に気づき、すぐにジョニーたちの前に現れる。圧倒的なスーパーパワーに苦戦しながらも、決死の思いでヘルメットを手に入れた一行は、その力でパトロンが隠れ住む地にテレポーテーションし逃走。目的を達成し逃げ切った皆は祝杯をあげた。カーマインが語る「シンジケート」の昔話を聞きながら、それぞれのこれからに妄想を膨らますのだった。

裏の繋がり

幸せも束の間、突如プレトリアンが現れ皆動きを止められてしまう。その背後から現れたのはマッツだった。プレトリアンは裏社会と繋がる闇のスーパーヒーローだったのだ。ヴィラン業界のボスの目を掻い潜り、大金を稼ごうとしていた一行は当然目をつけられていたのだ。マッツに金を押収され、一世一代の大仕事は失敗に終わり、皆は解散。それぞれ以前の生活に戻ってゆく。

ろくでなしのジョニー・ボルト

解散の後、ケイシーとジョニーは自宅に向け車を走らせる。ケイシーは計画に向けて多くの努力をしてきたため非常に落ち込んでいた。そんなケイシーを励ますように、ジョニーは教会前で、自身の電気を指輪の形に留めプロポーズをした。プロポーズは成功。過去を捨て、2人の真っ当な人生が始まるように思われた。しかし、ジョニーの元に、宝石強盗を共に行った友人たちが結婚を祝うために訪れた。「ケイシーのために、最後の一稼ぎしといたほうがいいんじゃないか」、結婚式を翌日に控えるジョニーだったが、酔った勢いで誘いに乗ってしまう。そして結婚式当日、ATMからお金を盗み歩き派手に暴れたジョニーは、「スーパーマックス」に送り返されてしまう。式場ではウェディングドレス姿のケイシーが待機しており、ジョニーたちが時間になっても現れない事に何か勘付いたケイシーは途方に暮れ、ウェディングドレスをゴミ箱に脱ぎ捨て火をつけた後どこかへ消えてしまった。

5年後

5年の月日が経ち釈放され、ジョニーはケイシーの元へ訪れた。ケイシーは学校を退学し、ごく普通のカフェで働いている。ケイシーは当然ジョニーが現れることを望んでおらず、追い返そうとする。そんな中、突然カーマインが血相を変えてカフェに飛び込んできて2人に助けを求めるのだった。話を聞くとカーマインは、マッツの後を引き継ぎネットワークを取り仕切るサラマンダーが経営するカジノでイカサマを使い、払えないほどの額の大金を要求されたそうだ。国外逃亡の手もあったが、ジョニーはかつてのようにヴィランとして大金を稼ごうと提案する。早速ジョニーは計画を立て、カーマインと共に以前の仲間を尋ね回る。カーマインを救うため5年ぶりに皆が集結し最後の計画を始める。

最後の計画

計画の始まりはおしゃれなカフェでのデート。そこに、スーツを着たガタイのいい男性が現れる。なんとジョニーはその男性に向かって「座れよグラディエーター」と言い放った。周囲でその場所を監視していた他の皆は驚きを隠せないでいた。グラディエーターはゲイを公表し結婚もしていたが、裏では男と浮気を数多にするクズである。それを逆手に取って弱みを握り、仲間に引き入れようというのだ。それでもヴィランに手を貸すことを拒絶するグラディエーターにジョニーは今回のターゲットを明かす。それは、すでにヴィラン業界を引退したザ・バスタード（マッツ）であった。彼は日本の南野島にカジノを開き、ヒーローもヴィランの手も届かない場所でプレトリアンと共に大金を溜め込んでいるようだ。元トップヴィランのザ・バスタードとヒーローの名を汚したプレトリアン。そんな大物を仕留めるチャンス、弱みを握られていることもあり、グラディエーターは参加を承諾。必要なメンバーを揃え、出発の時は迫る。

決戦

スーパーパワーで巧みに島に潜入し、情報を集める。難攻不落の城から大金を頂く算段を立て、一同は実行前夜の祝杯をあげた。ジョニーはケイシーに対してあの頃の謝罪の気持ちを伝え2人は夜を共に過ごす。しかし、ケイシーは皆を残し、スーツケースを持って1人空港へ向かった。ジョニーたちは引き続き計画を実行に移す。算段通り城に忍び込んだは良いものの、軍事基地なみの数々の罠にジョニーたちは翻弄される。なんとかシステムを無効化し計画は順調に進んでいた。その陰で、飛行機を待つケイシーの元にマッツとプレトリアンが現れる。ケイシーは捕まり尋問されそうになるが、その頃ジョニーたちは大金を盗み終えていた。その事に気づいたマッツはすぐにプレトリアンを向かわせるが、ジョニーはこの時のためにグラディエーターを仲間に加えていた。グラディエーターはプレトリアンを圧倒し打ちのめした。さらに、マッツは空港にいる時からケイシーのパワーによって操られ幻を見せられていたようで、初めから城にすらいなかったのだ。ジョニーたちは大金を持って無事に島から逃れた。その後、皆はヴィラン業界から足を洗い、盗んだ大金を使ってそれぞれ幸せに暮らすのだった。

『スーパークルックス』の登場人物・キャラクター