チャイニーズ・ゴースト・ストーリー(映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『チャイニーズ・ゴースト・ストーリー』とは、1987年に香港で制作・公開(日本では1989年に公開)されたSFホラー恋愛映画である。
遠い昔の中国を舞台に、借金の集金をしながら旅をしている青年ニン・ツォイサンが一晩泊まれる場所を探し、蘭若寺へ向かう。すると琴の音色が聞こえ、ツォイサンが音色の方へ行くと、琴を奏でる美女シウシンと出会う、というストーリーである。本作品におけるSFXホラーは画期的であり、香港映画界に大きく影響を与え、これ以降多くの類似作品が多く製作された。

『チャイニーズ・ゴースト・ストーリー』の概要

『チャイニーズ・ゴースト・ストーリー』(原題:倩女幽魂、英題:A Chinese Ghost Story)とは、中国古典小説『聊斎志異』の一説『聶小倩』が原作である香港映画『真説チャイニーズ・ゴースト・ストーリー』(1960年)を1987年にリメイクし公開されたSFホラー恋愛映画である(日本では1989年に劇場公開された)。遠い昔の中国が舞台で、借金の集金が目的で旅をしている書生青年ニン・ツォイサンはある晩、どこか一晩泊まれる場所を探し、蘭若寺へ向かう。その寺内で琴の音色が響き、ツォイサンは音色の方へ行き、琴を奏でる美女シウシンと出会うが、彼女にはある秘密があった、というのが大まかなあらすじである。

2020年制作・中国版広告。

1980年代中間~後半の香港映画は、『霊幻道士』シリーズ(1985年~)といったホラー・アクション作品が人気となっていた事も相まって、本作品も大ヒットし、同監督(チン・シウトン)のもとでシリーズ3作品まで制作された。また本作品で多用されたワイヤーワークのアクションは以降、香港映画界のみならず、アジア各国やハリウッドでもスタンダードなアクションスタイルとなった。
本作品は度々リメイクされ、1997年にアニメーション作品『チャイニーズ・ゴースト・ストーリー スーシン』が、2003年にテレビドラマ版が、2011年にウィルソン・イップ監督&ルイス・クー主演、2020年にはリン・ツェンザオ監督により中国にてリメイクされた。

『チャイニーズ・ゴースト・ストーリー』のあらすじ・ストーリー

はじまりは突然の出会いから

舞台は遠い昔の中国、書生青年ニン・ツォイサンは借金の集金をしながら旅をしており、食べ物に不自由し履物が駄目になりながらも郭北県まで辿り着く。その道中で雨に見舞われ、宿屋へ集金に出向くも、雨で帳簿が濡れていた為に追い出されてしまう。一文無しであるツォイサンはただで泊まれる場所を探し、山中にある蘭若寺へ向かう。
一文無しであるツォイサンはただで泊まれる場所へ行こうと考え、山中にある蘭若寺へ向かう。山の夜道で、ツァイサンは持っていた提灯が消えたうえ、数匹の狼に追いかけられながらも、蘭若寺までやって来る。しかしそこでは、二人の道士、インとハーハウが戦っており、決着が付かない彼等の戦いにツォイサンは板挟み状態となった。剣を突きつけ合って言い合いをするインとハーハウだが、ツォイサンの説得によってハーハウは一旦その場を引き上げて行く。一方、蘭若寺に泊まると言うツォイサンに対し、インはこの寺の中には恐ろしいものがいると告げ、その場を去る。それでもツォイサンは寺の中へ入って行く。
その頃、インと戦ったハーハウが川で傷の手当てをしていたところ、川の奥で水洗いをする美しい女性・シウシンを見て心奪われる。しかし彼女の正体は幽霊であり、人間の男をたぶらかし精気を奪っていた。そして、川近くでシウシンを抱いたハーハウは彼女に精気を吸い取られミイラと化する。間もなくしてやってきたインはその様子を見届け、ハーハウを埋葬しようとする。ミイラ化したハーハウはインに襲いかかるが、インは術を使いハーハウの体を燃やす。
その頃、蘭若寺にいたツォイサンはふと聞こえてくる琴の音や歌声が気になり、その方向へ向かうと、琴を奏でるシウシンの姿があった。シウシンはツォイサンの精気も奪うべく、盛んに誘惑を仕掛けるが、純粋かつ鈍い性格のツォイサンはそれに全く乗らない。そこへ、妖気を感じたインがやって来たのを見て、シウシンはその場を立ち去る。ツォイサンはシウシンを追いかけながら何故逃げるか聞くと、「悪人」に追われているとシウシンが答える。その途中でツォイサンが躓いたはずみでシウシンを押し倒すが、目の前に蛇がいる事に気付いたツォイサンは思わず抱きかかえる。ツォイサンは必死に蛇を足で追い払おうとするが、蛇はツォイサンの足に絡みつこうとする。
そこをシウシンが、息を吹きかけ蛇を近くの木の枝まで飛ばす(ツォイサンはその様子を見ていない)。蛇がどこへ行ったと聞くツォイサンの口を、シウシンが指で塞ぎ「悪人」が通るからと静かにする様に促し、その「悪人」は蘭若寺にいる「ヒゲの男」だとも言う。インが追って来るのを悟ったシウシンが立ち上がり逃げ出そうとし、事情を知らないツォイサンは家まで送っていくと言い、それに対しシウシンは家族が厳格だから駄目だと拒否した。するとツォイサンは「悪人」を引き付けている間に逃げる様に言い、その場にあった琴をシウシンに渡す。ツォイサンとシウシンは互いの名前と再会の場所を聞き、その場から別れて行った。
後から来たインに対し、ツォイサンが動物の鳴き声を真似て引きつけ、シウシンを逃がそうとする。インは草木の中へ隠れて物音を立てていたツォイサンに攻撃を仕掛けるが、シウシンによって防がれる。シウシンの存在に気付いたインは彼女を追いかけるが、妖怪・ロウロウの妖術によって止められてしまい、シウシンの姿もそこにはなかった。そして、「もう来ないで」と書かれたシウシンの置き手紙があった。

愛しい「彼女」の思わぬ秘密

翌朝、ツォイサンのもとに道士インが何か不思議なものに遭遇しなかったかと尋ねるも、ツォイサンは知らないと答える。また蘭若寺の地下には、シウシンによって精気を吸い取られ成仏できずにいる「ゾンビ」達がうごめいていたものの、ツォイサンは最後まで気付かずにいた。
ツォイサンは寺で借用書を書き、町へ出向いて借金の集金へ行く。その店の店主はツォイサンが蘭若寺で過ごした事を聞き、彼に恐れを覚え借金をきちんと返済した。金を手に入れたツォイサンは、以前にこの町で見かけた美女の絵を買おうと思い、その店に向かう。ところが店主から、その絵はどこかへやった、探すからまた来てくれと言われる。
その夜、ツォイサンはシウシンの事が気になっており、再び蘭若寺へ向かった。しかしシウシンの様子が以前とは違い、何故また来たのかとツォイサンに聞く。そしてシウシンは直ぐにツォイサンを風呂桶の中に沈める。直後に妹・シウチンや彼女達を操る妖怪・ロウロウがやって来て、ロウロウは(ツォイサンに書いた置手紙を取り出し)自分を裏切ったシウシンを戒める。ロウロウはシウシンに、三日後に黒山妖怪へ嫁入りする様に命令する。その間に、桶に隠れていたツォイサンがシウチンやロウロウに見つかりそうになるも、シウシンが衣を使う等してごまかした。
ロウロウ達がいなくなったのを見計らって、シウシンはツォイサンを家の外へ連れて行き、町で目を付けていた美女の絵を渡し、ツォイサンは驚く。シウシンは絵のモデルはシウシンだという事、三日後には黒山妖怪へ嫁ぐ事を告げ、もう会えないと言う。それでも引き下がらないツォイサンに対し、「貧乏書生」「金目当てなのね」とあえて嫌われる様な言葉を発し、ツォイサンを帰らせる。
翌日、ツォイサンは町の絵売り師から絵のモデルの女性(シウシン)は1年程前に亡くなった事を聞かされる。またこの時に見た、町の張り紙にあった殺人犯ラウ・ヤットウの似顔絵がインに似ており、インが殺人犯ではないかと思い込む。

道士インへの疑惑と真実

ツォイサンはシウシンを諦めきれず蘭若寺へ向かい、シウシンと再会する。この時二人の関係は親密となっていたが、近くで鈴の音が聞こえるとシウシンは怯える様にその場を去る。
シウシンを探すツォイサンの背後から、シウシンの妹・シウチンが襲い掛かるも、妖気を感じてやって来たインにより倒される。それを見たツォイサンが「殺人犯が人を殺した」と勘違いし、途中で遭遇したシウシンと共に逃亡するが、気付いたらシウシンの姿はなかった。
シウシンから自分の事を助けたければ、「ヒゲの男(イン)」を探してくれと言われた事もあり、ツォイサンは郭北県役所へ出向き(シウチンを殺した)殺人犯を目撃したと伝える。役所のチウ副官は、その殺人犯は6時間前に捕縛された筈ではと言いつつも、本当かどうか確かめるとも告げた。
そこへ一人の男が飛び出して来て、一同は騒然とするが、やって来たのはインだった。ツォイサンはインの事を「ラウ(殺人犯)だ」と言い、部下達も身構えるが、インは冷静にチウに声を掛ける。チウは直ぐにインのもとへ駆け寄る。実はインは名のある役人だったものの、現在は引退しているとの事。インはツォイサンに用事があって会いに来たと言い、一方のツォイサンは拒否していた。その直後、部下により(捕縛された)殺人犯ラウ・ナットウが連れて来られ、手配書の似顔絵の犯人も「本人」である事が判明した。それでも引き下がらないツォイサンに対し、インは自分が倒したのは幽霊だった事、またその場所が蘭若寺だった事を告げる。すると、「蘭若寺」の名を聞いた役人達が、恐れを抱き、その場から逃げ出した。

人間と幽霊との障壁を超えたツォイサンの純粋さ

ツォイサンは、シウシンが蘭若寺の裏にある家に住んでいると主張するも、インは家が無く寺の裏は無縁仏になっていて、夜に寺から聞こえてくるのはロウロウに操られている霊魂の声だと答える。インはツォイサンを無縁仏に連れて行き、シウシンの墓を見せる。墓に彼女の骨は無く、シウシンの正体が本当に幽霊なのだと知り失望するツォイサンに、インは寺を去る様に言う。しかしインは、ツォイサンが幽霊やミイラに殺されず生きて寺を出られたため、利用価値があると考え、ツォイサンに妖怪退治を手伝う様に言う。ツォイサンは愛するシウシンの為に、手伝うと答える。
夜になり、インが樹木へ隠れ、ツォイサンが「おとり」として寺に留まり、妖怪が現れたら鈴を鳴らす様にインから告げられる。暫くしてツォイサンのもとへシウシンがやって来るが、ツォイサンは幽霊であると分かったシウシンに怯える様子だった。以前と違うツォイサンの態度にシウシンは思わず涙して、善良な幽霊もいると訴える。シウシンは、自分は旅の途中で悪人に殺された後に骨が樹の下に埋められ、先年樹妖怪ロウロウによって骨が押さえられ、幽霊として操られて来たとの事。また、二日後の黄昏前に自分の骨壷を田舎の家に埋葬する事で転生ができるとも告げ、それを聞いたツォイサンはシウシンの願いを叶えようと考える。
その矢先にロウロウの「長い舌」が二人を襲撃する。シウシンは長い衣で道を作り、これに沿って逃げる様にツォイサンに言う。「衣の道」で逃げようとしたツォイサンだが、ロウロウの妖術によりいばらに囲まれる。そこへ現れたインにより、ツォイサンは助けられる。インは自らの神剣や術で対抗するも、ロウロウの「長い舌」や妖術に苦戦し、最後はシウシンがロウロウにより地下(霊の世界)へ引きずり込まれてしまう。インが今後は妖怪に関わるなと言ったのに対し、ツォイサンはシウシンの為に骨壷を手に入れたいと言い出す。インはこれまで人間の醜い心ばかりを見て来ただけに、ツォイサンの純粋さに心打たれる。

シウシンへの愛、そして別れ

インとツォイサンが墓場へ向かうと五つの骨壷があり、どれが本物か分からず、全ての骨壷を持って行く事にした。その後、下山したインとツォイサンが宿を取り、インにより四人の女性の霊が呼び出される。彼女達に対し、インは骨壷を持って去る様に言う。ロウロウに使われていたという彼女達は解放され、骨壷を持ち去って行く。
残り一つの骨壷からシウシンが出て来て、彼女はインに感謝しツォイサンと見つめ合う。インはツォイサンとシウシンの二人を残し、その場を立ち去る。ツォイサンとシウシンは二人で美女の絵に文字を書いて愛を誓う。その矢先に妖気を感じ取ったインが戻って来て、この場から去る様にツォイサンとシウシンへ伝える。しかしその直後にシウシンが黒山妖怪のもとへ吸い寄せられてしまう。
シウシンを救い出すには冥界(黄泉の国)へ行くしかないとインは言い、救出時間「線香一本分」の間、インとツォイサンはシウシン救出の為に冥界へ向かう。冥界の兵士達に対し、インが剣で立ち向かうなか、ツォイサンがシウシンを助け出す。しかし黒山妖怪の強大な妖力でインとツォイサンが魂を引き抜かれそうになり、黒山妖怪は二人を助けたければ骨壺を壊す様にシウシンに促す。それに対しシウシンがインの剣を取り出し黒山妖怪の頭部に突き刺す。すると、黒山妖怪の体から多くの霊が飛び出して来る。その勢いでツォイサンが服の胸部にしまっておいた金剛経が出て来て黒山妖怪に張り付き、妖力が弱まる。そしてツォイサンがインの剣で深く突き刺した事で、黒山妖怪は爆破と共に消失。
元の世界へ戻って来たイン、ツォイサン、シウシンだったが、夜明け時であり、幽霊のシウシンは朝日の光を浴びると骨壷に戻れなくなってしまう。その時、倒れて来た木の柱をツォイサンが止め、光が差し込むのを必死に防いだ。互いに顔を合わせられないなか、ツォイサンとシウシンは別れの言葉を告げ、ツォイサンが振り返るとシウシンは既に骨壷に戻っていた。シウシンの「転生」を願いつつ骨壷を埋葬した後、インとツォイサンは虹のかかる道を背にしながら去って行った。

『チャイニーズ・ゴースト・ストーリー』の登場人物・キャラクター

ニン・ツォイサン(演:レスリー・チャン)

CV:島田敏、水島裕
借金の集金をしながら旅をしている書生人で、どんくさく気弱な性格である。
郭北県まで辿り着くが、道中で雨に見舞われ帳簿が濡れた為に集金ができなかった、そのうえ一文無しだった為、ただで泊まれる場所を探し、山中にある蘭若寺へ向かう。蘭若寺では、二人の道士、インとハーハウが戦っていたところへ顔を出した為に、彼等に剣先を突きつけられ、板挟み状態となる。自分を間に言い合うインとハーハウに対し、戦いを止める様に説得する。
ハーハウが去った後、インから蘭若寺には恐ろしいものがいると警告される。それでも寺の中へ入ると、琴の音や歌声が聞こえ、その方向へ向かいシウシンに遭遇する。シウシンが精気を奪おうと誘惑を仕掛けるも、純粋で鈍い性格故にそれに全く乗らない。インがやって来たのを感じ逃げ出したシウシンを追いかけ、彼女から「悪人」に追われている、その「悪人」は蘭若寺にいる「ヒゲの男」(インの事)だとも言われる。その場を去ろうとするシウシンへ、送って行くと言うが、家は厳粛だから駄目だと断られる。そしてインを引き付けるから、早く逃げる様に伝える。シウシンが去った後、「もう来ないで」と書かれた置き手紙があった。
改めて借用書を書いた後、再び町へ行き以前に門前払いを食らった宿屋へ借金の集金へ出向く。宿屋の店主は、自分が蘭若寺で過ごした事を聞くと恐れを抱き、借金をきちんと返済する。報酬を手にし、この町の絵売り屋で見かけた美女の絵を買おうと考えるも、絵売り屋からその絵はどこかへやって、探すからまた来る様に言われる。
シウシンの事が気になり、再び蘭若寺へ向かうも、シウシンは以前とは違う様子で何故また来たのかと問い詰められる。間もなくシウシンの妹・シウチンや妹・シウチンや彼女達を操る妖怪・ロウロウがやって来たので、シウシンが自分を隠す為に置風呂に入れられる。ロウロウやシウチンがいなくなった後、シウシンに外へ連れて行かれ、彼女から町で見かけた美女の絵を渡され驚く。シウシンから、絵のモデルが自分であり、三日後には黒山妖怪へ嫁に行く事を告げられた。翌日には、町の絵売り屋からも絵のモデルの女性(シウシン)が1年程前に亡くなった事を聞かされた。同時に見た、張り紙に描かれた似顔絵の殺人犯ラウ・ヤットウがインに似ており、インが殺人犯ではないかと思い込む。
またも蘭若寺にてシウシンと再会、この頃は彼女と親密な関係となっていたものの、鈴の音を聞いたシウシンが逃げ出す。シウシンの行方を探していた背後を、シウシンの妹・シウチンが襲い掛かるも、妖気を感じやって来たインが倒す。しかし見て、「殺人犯が人を殺した」と勘違いし、見つけ出したシウシンと逃亡、途中でシウシンの姿は消えていた。
その後、郭北県役所へ出向き「殺人犯」を目撃したと役人に伝える。そこへインがやって来て、彼を指して「殺人犯」と叫ぶ。しかし、直ぐにインが名のある役人だった事が分かったうえ、インから用事で会いに来たとまで言われる。更に役人達により(捕縛された)殺人犯ラウ・ナットウが連れて来られた事で、インが「殺人犯」でない事が証明された。それでも納得が行かない様子に、インが蘭若寺で倒したのは幽霊だった事、シウシンが住んでいると思っていた蘭若寺の裏にある家は、実際は無縁仏だという事を伝えられる。
インと共に無縁仏に向かいシウシンの墓を見て、シウシンが本当だと分かり。一度は寺を去ろうとするも、愛するシウシンの為にインの妖怪退治に協力する事にした。自ら「おとり」となり寺で待機していたところへシウシンがやって来るが、幽霊であると知りシウシンに怯える様子を見せる。シウシンは思わず涙し、自らの事情を説明し始める。シウシンは、自分の骨がロウロウにより押さえられ幽霊として操られている事を伝える。そして、二日後の黄昏前に自分の骨壷を田舎の家に埋葬すれば転生できるとシウシンは言い、それを聞きの彼女願いを叶えようと考える。その直後にロウロウの「長い舌」が襲って来て、シウシンが長い衣で作った道に沿って逃げようとするも、ロウロウの妖術によりいばらに囲まれる。そこへ現れたインにより助けられる。ロウロウにより霊の世界へ引きずり込まれたシウシンの為に、骨壷を手に入れたいとインに訴える。
インと墓場にある五つの骨壷全てを持ち出し下山、宿を取る。インの術で知らない四人の女性の霊が呼び出され、インが骨壷を持って去る様に彼女達へ告げた。残り一つの骨壷からシウシンを呼び出し、彼女と見つめ合う。気を遣ったインがその場を立ち去った後、シウシン共に美女の絵に文字を書いて愛を誓う。直ぐに妖気を感じたインが戻り、この場を去る様に促すが、目の前でシウシンが黒山妖怪のもとへ吸い寄せられてしまう。
シウシンを救い出す為に、救出時間「線香一本分」の間にインと共に冥界へ行く事となった。冥界の兵士達にインが剣で立ち向かうなか、シウシンを助け出す。しかし、黒山妖怪の強大な妖力によりインと魂を引き抜かれそうになる。そこへシウシンがインの剣を取り出して、黒山妖怪の頭部に突き刺す。その勢いで自分の服の胸部にしまっておいた金剛経が出て来て黒山妖怪に張り付き、妖力が弱まる。そしてツォイサンがインの剣で深く突き刺し、黒山妖怪は爆破し消失。
イン、シウシンと共に元の世界へ戻るが夜明け時だった。シウシンは朝日の光を浴びると骨壷に戻れなくないうえ、木の柱が倒れて来たのを押さえ朝日が差し込むのを必死に防いでいた。その為、シウシンの顔を見られないまま彼女に別れの言葉を告げた。振り返ると、既にシウシンは骨壷に戻っていた。
シウシンの「転生」を願いつつ骨壷を埋葬した後、インと共に虹のかかる道を背にしながら去って行った。
ニン・ツォイサン役を演じたレスリー・チャンは、1977年から歌手として活動を開始、シングル曲『風継続吹』(1983年、山口百恵『さよならの向う側』のカバー)や『Monica』(1985年、吉川晃司『モニカ』のカバー)が大ヒットし、以降多くのヒット曲を出す。俳優としても、映画『男たちの挽歌』シリーズ(1986~1987年)、『さらば、わが愛/覇王別姫』(1993年)、『夢翔る人/色情男女』(1996年)等、数多くの話題・ヒット作品に出演。2003年4月に死去。

シウシン(演:ジョイ・ウォン)

出典: i.pinimg.com

CV:島本須美、冨永みーな
蘭若寺に留まっている幽霊で、旅の途中で悪人に殺された後に骨が樹の下に埋められ、先年樹妖怪ロウロウによって骨が押さえられ、幽霊として操られて来た。
男を誘惑しては精気を吸い取り「ミイラ」にしているのも、ロウロウの命令によるもので、川で遭遇した道士ハーハウもその犠牲となった。続けて、蘭若寺にて泊まる場所を求めてやって来たツォイサンも狙い、誘惑を仕掛けるも、純粋かつどん臭いツォイサンはそれに乗らない。そこへインがやって来た事を感じ逃げ出すも、ツォイサンが追いかけて来る。ツォイサン何故逃げるかと聞くので、「悪人」に追われていると答える。その「悪人」は蘭若寺にいる「ヒゲの男」だとも言う。再び立ち上がり逃げ出そうとするが、事情を知らないツォイサンが、家まで送ると言い出し、それに対し家族が厳格だから駄目だと拒否する。ツォイサンは「悪人」を引き付けている間に逃げる様に言い、その場から別れて行った。しかしその際にインに自分の存在に気付かれ追いかけられるが、妖怪・ロウロウの妖術がインの追跡を止めた。またツォイサンに危険が及ぶと感じ、彼のもとへ「もう来ないで」と書いた置き手紙を沿えた。
翌日夜に、ツォイサンが自分へ会いに再び蘭若寺へ来て、何故また来たのかと言いつつ険しい表情を見せる。間もなく妹・シウチンや自分達を操る妖怪・ロウロウがやって来たので、慌ててツォイサンを風呂桶の中に沈める。ロウロウには、ツォイサンに書いた置手紙の事がバレており、「自分を裏切った」としてロウロウから戒められる。更にロウロウより、三日後に黒山妖怪のもとへ嫁ぐ様に告げられる。その間、桶に隠れていたツォイサンがシウチンやロウロウに見つかりそうになった際は、衣を使ったりしてごまかす。ロウロウ達がいなくなると、ツォイサンを外へ連れ出し、ツォイサンに美女の絵を渡し、絵のモデルは自分であり、また三日後には黒山妖怪へ嫁ぐ事を告げる。それでも引き下がらないツォイサンへ「貧乏書生」「金目当てなのね」とあえて嫌われる様な言葉を発し、ツォイサンを帰らせた。
その後、自分の事を諦めきれなかったツォイサンが蘭若寺を訪れ再会する。この頃ツォイサンとの関係は親密となっていたものの、鈴の音が聞こえるとその場を去る。妹・シウチンを倒したインを「殺人犯」と勘違いしたツォイサンと共に逃亡、その途中で別れる。
後日、蘭若寺でツォイサンと再会するが、妖怪を呼び出す為の「おとり」として来ており、外ではインが待機していた。またツォイサンは自分が幽霊だと分かり怯えた様子で、以前と違うツォイサンの態度に思わず涙し、善良な幽霊もいると訴える。自分はロウロウによって骨が押さえられ、幽霊として操られて来た事をツォイサンに伝え、二日後の黄昏前に自分の骨壷を田舎の家に埋葬する事で転生ができるとも告げる。そこへロウロウの「長い舌」が襲い、自分の長い衣で道を作り、ツォイサンに逃げる様に言うが、ロウロウにより地下(霊界)へ引きずり込まれる。
インとツォイサンが墓場から持ち出した骨壷に対し、インが術を使った事で霊界から呼び出される。インに感謝しツォイサンと見つめ合う。気を遣ったインが出て行った後にツォイサンと二人で美女の絵に文字を書いて愛を誓う。その矢先に妖気を感じ取ったインが戻って来て、この場から去る様に促す。しかしその直後に黒山妖怪のもとへ吸い寄せられてしまう。
インとツォイサンが自分を助けに冥界に来るが、黒山妖怪の妖力によりインとツォイサンが魂を引き抜かれそうになる。その時、インの剣を取り出して黒山妖怪の頭部に突き刺す。更にツォイサンが服の胸部にしまっていた金剛経が出て来て黒山妖怪に張り付き、妖力が弱まり、ツォイサンもインの剣で深く突き刺した事で、黒山妖怪は爆破と共に消失する。
元の世界へ戻った一同たが、夜明け時だった。朝日の光を浴びると自分の体が消失して骨壷に戻れなくなってしまうなか、木の柱が倒れて来たのをツォイサンが止め光が差し込むのを防ぎ、急いで骨壺へ戻る様にツォイサンが促す。互いの顔を合わせられないなか、ツォイサンに別れの言葉を告げ、骨壷に戻って行った。
シウシン役を演じたジョイ・ウォンは、十代から芸能界へ入る。『チャイニーズ・ゴースト・ストーリー』(1987年)で一気にブレイクして以降、『ゴッド・ギャンブラー』(1989年)や『スパイゲーム』(1990年)等、アクション、ホラー、コメディーとジャンルにとらわれない作品群へ出演しその多くがビデオ化された。日本の作品でも『北京原人 Who are you?』(1997年)等に出演するが、宮沢りえ共演の『華の愛 遊園驚夢』(2001年)を最後に引退を表明し。カナダのバンクーバーへ移住し静かに暮らしている。

イン(演:ウー・マ)

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