黄金バット(漫画・映画・アニメ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『黄金バット』とは、原作:鈴木一郎、作画:永松健夫の日本最古のスーパーヒーローであり、その縦横無尽の活躍を描いた作品シリーズである。『月光仮面』や『ウルトラマン』に『仮面ライダー』といった、あらゆる日本ヒーローの原点となる存在。
初出は昭和5年頃の紙芝居とされており、あまりに歴史が深いため発表される時代ごとに設定が異なる。
ただし「黄金の骸骨が、正義という概念を具現化した存在として描かれ、勧善懲悪を行う」とする点は、いつの時代も共通して受け継がれている。

紙芝居のものとされているが、詳細不明。

女賊。
黒バット(ナゾー)をお頭と仰ぎ、その忠実な手下を務める。
永松健夫の漫画にも登場し、そちらでは洋装をするようになった。

『黄金バット』の用語

シルバーバトン

黄金バットが手に持っているもの。

黄金バットが常に携えている武器。「バトン」とされているが、その形状はどちらかというと「ステッキ」である。
ビームを発射したり、剣としてあらゆる物質を叩き斬る事が可能という描写がなされる。
しかし、実はシルバーバトンそのものはただの棒なのだ。
上記の効果はすべて黄金バット自身の特殊能力であり、シルバーバトンはその媒介をしているに過ぎない。

スーパーカー

ヤマトネ博士の開発したUFO。
かなりの速度で飛行する事が可能であり、日本から南極へ無補給で移動可能。
サイズは大型船舶並であり、ヤマトネ一行の移動基地としても機能する。
非常に高性能な乗り物だが、アニメ最終回では地割れの底へ落ちて破壊されてしまった。

車輪で走行する機能は備えておらず、完全な航空機であるのに、なぜ「スーパーカー」という名前を付けたのかは不明である。

『黄金バット』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

黄金バット「ハハハハハ……ワハハハハハハハ……!」

黄金バットが出現する時や、戦闘の最中、あるいは会話中など、高確率で発する高笑い。
可笑しくて笑っているわけではない。
この笑い声に意味はなく、言うなれば黄金バットをひとつのメカニズムとして捉えた場合の、駆動音に相当するものである。

演出的には「高笑いして現れるヒーロー」の象を形作る事に成功した。
そのため、黄金バットより後の日本ヒーローは不適な笑い声を出しながら登場する事が多い。

ナレーター「強い、絶対に強い! 我らが黄金バット!」

飛んでいく黄金バット。ナレーターはその強さを絶賛する。

アニメ各回のしめくくり等で、黄金バットの強さをするためにナレーターがよく使用する言葉。
文法としては正しいが、言い回しがやや古い(そもそも作品が古いので、仕方ないのだが)。

本来は「強い、圧倒的に強い」というニュアンスで言っているのだが、現代の日本人には「黄金バットはゼッタイ強いよ! 間違いないよ!」などと吹聴しているように聞こえてしまい、それが可笑しさに繋がる表現となっているのだ。

黄金バット「それは正義!」

すれ違い様にシルバーバトンを腹に刺され、倒れる寸前の暗闇バット(右)。

アニメ最終回において、黄金バットに敗北した暗闇バットから「なぜお前は強い!?」と問われた際に、たった一言返した言葉。
黄金バットは、正義をなすために強くなったヒーローではなく「正義だから悪より強い」という概念のヒーローである事が、よく理解できる。

このため、黄金バットに悪が勝つ事は不可能なのである。

『黄金バット』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

リテイク不可時代ゆえの面白さ

本作が現役の作品だった時代、あらゆる記録装置はアナログであった。
当然、音声の収録にも使われていたのは磁気テープであり、もし修正する場合にはテープの編集が必要になってしまう。
そのため、基本的にNGが許されなかった(長編映画ならばいざしらず、週間アニメなどでは、よほどのミスをしない限り、リテイクはあり得ない)。

このような事情から、多少のセリフ間違いなどは看過されて放映されている。
その例となるのが「しまった! 黄金バットさんが助けに来てくれた!」などのセリフだ。せっかく助けに来てくれたのに「しまった」などとはひどい話であるが、この程度のミスでテープを切り貼りする訳にはいかなかったという事である。

本作には、こういうセリフ間違いや、効果音のミスなどがそこここに存在するが、それらも現代では「味わい」ある面白さに繋がっている。

オマージュ作品『WAHHAMAN(ワッハマン)』

平成初期(1990年代)の、あさりよしとお作『WAHHAMAN(ワッハマン)』という漫画がある。
この漫画は『黄金バット』とはまったく無関係の作品だが、設定はそれを非常に強く意識した作品だ。

主人公は、1万年前のアトランティス大陸に存在した勇者である。
「ワハハ」と奇声を上げながら戦うが、黄金の骸骨のようなボディから繰り出される攻撃は、あらゆる敵を粉砕するなど、ほぼ『黄金バット』そのものとして描かれている。
違いは時代背景を1990年代の日本として、その時代の漫画が可能とした緻密な世界設定や人物描写をしている事である。
『黄金バット』を現代的に再構築するならこうなる、といった具合のオマージュ作。

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