雲のように風のように(アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ

『雲のように風のように』とは、第1回日本ファンタジーノベル大賞受賞作品『後宮小説』を原作としたスペシャルアニメ。
架空の古代中国の王朝「素乾国」の後宮に焦点を当てた作品で、原作が持つ斜陽の国家の中で展開する人間達の浅ましさや残酷さ、男女の哲学等といった難しいテーマを含めながらも、個性的なキャラクター達による小気味良いコミカルなシーンを雰囲気を壊すことなく多く含み、約80分間の制限の中子供でも楽しめる全年齢向けのエンターテインメントとして仕上がっている。

反乱軍防衛戦における、江葉の端的かつ的確な指示。
有事の際においても沈着冷静な性格や独特の雰囲気が良く出ている。

反乱軍の兵「将軍、この穴はいけねぇ!ここは雷様の通り道だったァ!」

女たちを好きにできると舐め切っていた反乱軍の男の一人が、予想だにしなかった反撃で瀕死になりながら幻影に報告するシーン。
その女たちに大砲を喰らったのを知ってか知らずか、味のある台詞である。

銀河「皆が助かる道を考える。陛下はそう成さろうとしていた。私もそうします」

銀河が双槐樹の停戦交渉の一報を聞いた際、単身幻影達の元に乗り込む際に、後宮の女達に力強く放った言葉。
無邪気な子供の銀河ではなく、皇帝の第一夫人という夫と家族の命を背負った銀正妃としての覚悟・威厳が強く表れたシーンである。

『雲のように風のように』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

原作『後宮小説』との主な相違点

原作『後宮小説』は、銀河と銀河が活躍した時代を様々な資料や調査を経て後年筆者が研究しまとめている、といった体裁で描かれており、哲学や人物、各地方の文化により詳細な解説が付けられている。
アニメ向けによりシンプルにアレンジされたとはいえあらすじやキャラクター造形は概ね原作通りではあるが、あまりに生々しく倫理的な問題などで全年齢向けコンテンツとして大きく省略、または変更が加えられたものも多数ある。
以下、代表的なものを紹介する。

性描写について

後宮というテーマの性質上、性がかなり密接なものとして描かれている。
直接的な姦通シーンの他、例えば先代の皇帝の死因、「淫雅語」と呼ばれる宮内のみで使用する人体の部位の名称や房事に関わる語句、菊凶と若い宦官による実践的な授業にまで、学術的で淡々とした描写ではあるが明け透けな日常会話から真面目な授業風景等にまで多数みられる。

菊凶のキャラクター

原作の菊凶はより男性的に描かれてはいるが、24、5歳という年齢にも拘らず「嫣然たる美少年」と作品内の書物に記録されるほどの凄まじい美貌と色気を持ち、加えて頭脳明晰で弁が立つというあらゆる才能を持つ人物である。
若き日の角先生が彼を引き取り、その腹黒さに気付いていながら早い内に悪の芽を摘まなかったのは、菊凶に対する複雑な情を捨てきれなかったからだと懺悔する描写もある。
また、好色家で相当な房事の手練れでもあり、自分の好みの宮女に声をかけては手を出し、琴皇太后に至っては不義の子までもうけている。
琴皇太后はその子を平菊と名付け、先代の皇帝・腹宗との子として育てつつ、双槐樹の代わりに皇帝にしようと動いていた。

玉遥樹のキャラクター

原作の玉遥樹はより気位が高く、銀河達に対してもアニメ版と比較するとかなり情が希薄で度々「氷のベールがかかっている」と比喩されるほどである。
とはいえ、徹頭徹尾冷たい人物でもなく、銀河達のコミカルな様子に好意的に笑うシーンもある。
実の弟・双槐樹を、姉弟の情を超えて一人の美しい男性という目で見ており、後宮入りしたのも双槐樹と通じるためという理由で煽情的な異国の衣装を纏って銀河の寝所を訪れ、自分が双槐樹に抱かれるために協力するよう正妃の銀河に頼み込んだり、一方で「双槐樹に抱かれたら殺す」と脅すなどもした。
尚、特に武芸に秀でているわけではないため、アニメ版のような大立ち回りはない。

『雲のように風のように』の主題歌・挿入歌

ED(エンディング):佐野量子「雲のように風のように」

作詞:真名杏樹/作曲:釘崎哲朗/編曲:山川恵津子/歌:佐野量子

EDテーマとして、スタッフロール中にフルバージョンで流れる。
※テレビアニメのテーマソングは、通常60秒~90秒のショートバージョンが採用される。

7pjunkichi610
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