雲のように風のように(アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ

『雲のように風のように』とは、第1回日本ファンタジーノベル大賞受賞作品『後宮小説』を原作としたスペシャルアニメ。
架空の古代中国の王朝「素乾国」の後宮に焦点を当てた作品で、原作が持つ斜陽の国家の中で展開する人間達の浅ましさや残酷さ、男女の哲学等といった難しいテーマを含めながらも、個性的なキャラクター達による小気味良いコミカルなシーンを雰囲気を壊すことなく多く含み、約80分間の制限の中子供でも楽しめる全年齢向けのエンターテインメントとして仕上がっている。

案内婆

声の出演:京田尚子
後宮に連れてこられた娘達の手を引き、垂戸を行き来する案内役の老婆。作中では「垂戸婆(たるとばばあ)」と呼ばれる場面もある。
掟により垂戸の中では無言を貫くが、一歩外を出ると非常に口達者な気の強い人物であることがわかる。
後宮の防衛戦では鉄砲隊として参加していた。

琴(キン)皇太后

声の出演:谷育子
先代皇帝・腹宗の正妃。絶大な権力を有している。
先の正妃(双槐樹・玉遥樹の母)である乾氏を毒殺して現在の座に就いたと噂も上がるほどの腹黒い人物で、自らが生んだ11歳になる息子・平徹を次期皇帝にするという野望のために双槐樹殺害を目論み、大臣・栖斗野(せいとの)を始めとする数々の手下を宮廷内で作り暗躍する。
その近視的で自己中心的な策の数々が素乾国滅亡の大きな原因の一つとなり、義理の息子である双槐樹と最期まで歩み寄ることなく自らが招き入れようとした反乱軍が宮廷内に入り込んだ際に毒を煽り、平徹を道連れに無理心中を果たす。

平勝(ヘイショウ)/幻影達(イリューダ)

声の出演:福田信昭
瓜祭村出身。言葉に訛りがあり、粗野で女好きな性格。渾沌を「渾兄哥(コンあにい)」と呼んで慕っている。
平勝という名で田舎のしがなき義教団団長を務めていたが、後に山賊退治が縁で役人の娘婿に収まった際に幻影達と改名する。
贅沢ながら平和で単調な役所勤めの日々に飽き、同じく読書生活に飽きていた渾沌のきまぐれに乗って挙兵し、反乱軍として素乾国に攻め入る。
初めは面白半分の反乱だったが次第に野心が芽生えて本気で皇帝になるのだと意気込み、渾沌と袂を分かつ。
最終的に素乾国を滅ぼして新周という王朝を建てるも、元来皇帝になるだけの器量も無く志も低いままに始めた国は3年後に滅び、故郷で刑死する。

渾沌(コントン)

声の出演:小林昭二
平勝(幻影達)の兄貴分。読書好きで切れ者だが、非常に気分屋で人の生死に関わることすらも面白半分の遊びとして実行してしまう危うさを持つ。
銀河の持つポテンシャルにいち早く気付いた者の一人。
物語中盤、自分と同じく生活に飽きた幻影達をそそのかせて挙兵し、退屈凌ぎの反乱を真剣に楽しんだ。
どこまでも遊びだった渾沌と本気の野心を持った幻影達とは袂を分かち、最後は自らが招いた厄災の犠牲者である銀河達を救い、女たちと共に素乾城を去る。
素乾国を滅びに導き、一方で後宮の女たちの命や貞操を寸でのところで守って全滅を免れ、結果的に黒耀樹という天下統一を成す重要人物の受胎のきっかけをも作った複雑な事情の人物である。
原作では「厄駘(やくたい)」という本名が明かされている。

黒耀樹(コクヨウジュ)

銀河と双槐樹の子。
幻影達の新王朝滅亡後に乱れ切った世を統べて乾朝という王朝を作り、神武帝として君臨する。
原作では黒耀樹の人物像が僅かに紹介されている。

『雲のように風のように』の用語

素乾国(そかんこく)

古代中国の文化を感じさせる数百年続く大国。北師という都に城を構えており、緒陀県や茅南州、瓜祭村など各地の多数の市町村を治め、北磐関などの強固な砦も有する。
その時代としては珍しく、また特異な授業内容ながら後宮に宮女向けの女大学が設けられており、僅かながら女性でも貴賤なく勉強ができるチャンスがある。
十八代皇帝・双槐樹が即位して間もなく滅んでしまうが、その数十年後、素乾国に大きな縁のある人物である神武帝・黒耀樹が天下統一を果たした際に再びその地が活かされることになる。

宮女(きゅうじょ)

後宮に住まう女のことで、皇帝の妻。
皇帝の即位と同時期に、各地に派遣された宦官の審査を通った若い女が宮女候補生として都に集められる。
花嫁候補の女たちに貴賤はなく、寝食を共にしながら勉学を通じて知識や教養を6か月間学び、卒業試験を受けてそれぞれ官職を受ける。

垂戸(たると)

後宮の入り口。案内婆の手引きなしでは通れない。
灯かりはなく、単調な長いトンネルのような作りのために、双槐樹曰く「潜る者は例外なく気味悪く思う」場所である。
原作によれば、女性の産道をイメージして作られている。

緒陀県(おだけん)

銀河の故郷。山間の田舎町。
原作では真野も緒陀県出身であり、土地の風習である挨拶程度の頬の接吻を銀河から受け、事情を知らぬ者達からの誤解を恐れて慌てる描写がある。

瓜祭村(かさいむら)

平勝の故郷。山間の麓にある里。
銀河達が都に向かう途中天候や治安の問題で10日間も足止めを喰らった。

7pjunkichi610
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