ロラン・セアック（∀ガンダム）とは【徹底解説・考察まとめ】

ムーンレィスの武人。
ディアナ・カウンターとは別の軍事組織となる、軌道艦隊（ギンガナム艦隊）総司令。
非常に好戦的な性格をしており、ディアナの発案した地球帰還作戦に侵略を旨とする強硬案を進言するも一蹴され、作戦から外された事を根に持つ。

結果としてディアナと敵対し、地球に戦乱を巻き起こす事になった。
最終的にはロランと一騎打ちになり敗北。その際、∀ガンダムの兄弟機にして、自身が乗機としたモビルスーツ「ターンX」が放出するナノマシンに呑まれて消滅した。

ロラン・セアックの搭乗した機体

∀ガンダム

ロランの愛機。
『∀ガンダム』の世界では多くの人間からガンダムというモビルスーツの記憶が忘れ去られているため、正式な名称で呼ばれる事は少ない。
主に、見た目から、ヒゲ（髭）という通称で呼ばれたり、後述の理由からホワイトドールなどと呼称される。

かつて、地上の文明を物質分解ナノマシン放出システム「月光蝶」によって滅ぼし、過去の文明を「黒歴史」として土の下に埋葬した。
その後は機能を停止し、長い時間が流れた事で岩石に包まれる。

岩石の巨人となった姿は黒歴史を忘れた地球人に、御神体「ホワイトドール」として地球人に崇められていたものの、ディアナ・カウンターの襲撃に反応して自ら起動。
偶然、側にいたロランが乗り込んだ事で、彼が専属的にパイロットをこなす事になる。
また、劇中では完全復活を遂げておらず、真の性能は発揮できなかった、とされている。

最終的にはターンXと相打ちになって機能を停止し、ナノマシンの繭に包まれる形で再び眠りについた。

∀ガンダム（モビルスーツ）とは【徹底解説・考察まとめ】 - RENOTE [リノート]

renote.net

∀ガンダムとは、テレビアニメ『∀ガンダム』に登場する主役メカ（モビルスーツ）であり、同時に全ての「ガンダム」が辿り着く終着点のようなキャラクター性を付与された、最強にして究極のガンダムである。
『∀ガンダム』の作中時間軸では、すでに忘れ去られた「黒歴史」の時代に建造されたモビルスーツであり、あらゆるもの砂と化す「月光蝶システム」を使用して黒歴史時代の地球文明を滅ぼしてしまったとされている。
『Gのレコンギスタ』発表までは、ガンダム正史上で最後に存在するガンダムとしても有名であった。

フラット

ロランが地球へ最初に降下する際に乗ってきたモビルスーツ。
その名の通り、身体の全体が平べったい姿をしている。
航空機形態への変形能力を備えており、その形態では大気圏突入が可能となっている。

高周波を発生させる音響兵器「ソニックブラスト」を搭載しており、攻撃に用いる他、高周波振動で敵の攻撃を跳ね返したり、土の下に潜ったりと、色々な応用が利く。
現実世界でプラモデル化された際には「モビルフラット」という商品名が付けられたが、劇中でこのような呼称はされていない。

ロラン・セアックの戦歴・活躍

地球降下～夜中の夜明け

ムーンレィスの地球降下作戦のための実験台として生まれて初めて地球の大地を踏む。
そして、緑あふれる地球の環境に感激している所を、ソシエ、キエルと出会い、彼女たちに受けいれられてビシニティに住まう事となる。
ビシニティではハイム家の運転手を生業としつつ、鉱山夫としても働く。

そして、ソシエと共に迎えた成人式の日、地球に降下してきたディアナ・カウンターの襲撃に遭うも、これへ反応した∀ガンダムに偶然乗り込む事になる。
この襲撃自体、同胞達が平和的に帰還してくると信じていたロランにとっては青天の霹靂であったが、戦火に見舞われるビシニティの街や、そこに住む人々を見放す訳にもいかず、やむを得ず∀ガンダムを使って襲撃してきた部隊を撃退する。
結局、ロランはこの活躍をグエンに見込まれる形で∀ガンダムの専属パイロットになり、同時にミリシャの一員にもなった。

その後は地球人の味方として、ディアナ・カウンターと戦い続けるが、時として∀ガンダムを戦争のためでなく、人が生活するための道具として使う事もあった。
戦いは続く中、ある時ミリシャは禁断の兵器「核爆弾」を発掘してしまう。
その恐ろしさを知らない地球人達は、ひとつの核爆弾を爆破させてしまった。
時間は夜だったが、爆心地の周辺が強烈な光に包まれ、まるで昼間かのように明るさに包まれてしまう。

だが、まだ核爆弾は残っている。
こんなものを使えば、また黒歴史が繰り返す事になってしまう。
ロランは、危惧を感じたディアナ・カウンターの軍人、ラルファ・ゼノアから残った核弾頭を託され、それを∀ガンダムの胸部に秘匿するのだった。

核爆弾処理～戦いの終わり

やがて、ロランは宇宙へ上がった際に核爆弾を処理する機会に恵まれた。
月面都市のフォン・シティに落ちようとする、スペースコロニー「ミスルトゥ」の残骸を破壊するための手段として使ったのだ。
ロランは、核爆弾のような悪魔の兵器でも使いようによっては人の命を救うものになる、ひいては道具は正しく使用されねばならないという認識を強めるのであった。

同時に、この頃より∀ガンダムに秘められし性能が明らかになっていく。
どうやら∀ガンダムは自己修復能力を備えており、時間と共に長年の眠りで錆び付いた機能を回復してきたらしいのだ。
そんな折、モビルスーツ「ターンX」がギム・ギンガナムの手によって起動。
この機体は∀ガンダムの兄弟機とされるものであり、その目覚めは∀ガンダムを強く刺激するものであった。

そしてロランもまた、かつての人類が終わらない争いによって滅んだ過去の世界の記録を見、そして∀ガンダムが過去の世界を黒歴史の中へ葬った事も知り、動揺を隠せなくなる。

しかし、そんなロランの狼狽をよそにギンガナムはターンXを中核として戦火を瞬く間に広めていく。
それに反応するかのように∀ガンダムもまた、黒歴史をもたらした悪魔的な部分の片鱗を見せ始めた。
それが月光蝶の発動である。

触れたあらゆる物質を分解し、砂に変えてしまうナノマシンを地球全土へ放出できるこのシステム。
無闇に使えば核爆弾以上の悲劇がもたらされるであろう事は確実だったが、ターンXにも月光蝶が搭載されている事が発覚。そして、ギンガナムはそれを使う事を少しもためらわなかった。

これを受けて、ロランも∀ガンダムの月光蝶を使用する事を決意し、ギンガナムそしてターンXを止められる、唯一の希望として決戦に臨んだ。
そして、ついにはターンXを機能停止に追い込み、ギンガナムを倒す事に成功。
その代償に∀ガンダムもまた機能停止してしまうが、ターンXを停止させたロランにとって、それはもはや問題ではなかった。

こうして、ロランの活躍で戦いは収束した。
そして彼はムーンレィスの女王を辞したディアナ・ソレルに寄り添い、地球の大地で生きる道を選ぶのであった。

ロラン・セアックの名言・名セリフ／名シーン・名場面

「人の命を大事にしない人とは、僕は誰とでも戦います」

ムーンレィスの子どもにまで「死ねばいい」と、口走ったミリシャの人々に向かって放った言葉。
ロランは地球人とムーンレィスの戦争はまったく無意味どころか、悲しみしか引き起こさないもの、止めねばならないものであるという意識が非常に強く、ただ戦いにはやる人々を見るのが苦しくてたまらなかった。

我慢の限界に達したロランは「僕はムーンレィスなんですよ！」と、それまで隠していた自らの正体も周囲に打ち明ける。
そして、こう言葉を繋いだのだ。
「僕は2年前に月から来ました。けど、月の人と戦います。だけども、地球の人とも戦います。人の命を大事にしない人とは、僕は誰とでも戦います！」

「人の英知が生み出した物なら……人を救って見せろ！」

月面都市のフォン・シティに落ちようとする、コロニーの残骸へ向けて核爆弾を投てきした際の言葉。
「命を守るため」という目的ならば核爆弾であっても役に立つという事実を知らしめた。
同時に、そういう人道目的で核爆弾のような強大な力を所持する人間は、ほとんどいないという問題の提起にも繋がっている。

このロランの言葉は、監督の富野由悠季が持つ考えそのものでもある。
人の英知、それすなわち技術である。
そして、富野はインタビューの中で「技術と人間」を普遍的なテーマとして語り、また、日本の技術をアピールするための対話イベントなどに招かれた際にも、ほぼ必ず「技術は正しく使わねばならない」という趣旨の発言をしている。