コウノドリ(漫画・ドラマ)のネタバレ解説・考察まとめ

『コウノドリ』とは、2012年より鈴ノ木ユウが「モーニング」(講談社)で連載を開始した産科医療漫画である。産婦人科医でありながら、正体を明かしていないピアニストでもある、主人公鴻鳥サクラ。サクラが勤務する聖ペルソナ総合医療センターで、妊婦とその家族を中心に物語が繰り広げられる。7年間の掲載を経て、2020年10月23日最終巻が発売され完結している。コミックの累計発行部は800万部を超えている大人気コミックである。

母体・胎児集中治療管理室(M-FICU)を含む、産科病棟及び新生児集中治療管理室(NICU)を備えた医療機関である。
周産期(出産前後時期)に係わる母体の救命救急への対応、ハイリスク妊娠に対する医療を対象としており、産科と新生児科の両方が組み合わさっている。常時、母体・新生児搬送受入体制を有し、高度な新生児医療等を担っている。まさにこの漫画の舞台のペルソナ総合医療センターのこと。総合医療センターは各県に1か所しかないことがほとんどである。

カイザー

帝王切開のこと。この漫画では非常によくでてくるワード。

エヌ

NICUのこと。正式名称は「新生児集中治療室」。
早産などにより小さな身体で生まれてきたり、病気を持って生まれてきた赤ちゃんの治療をするための場所。

『コウノドリ』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

鴻鳥サクラ「きっとキミはこれから人の何倍、何十倍も辛いことがあるかもしれない。でも、人一倍幸せになることはできる。」

未受診で赤ちゃんを出産した妊婦が、金銭的不安から赤ちゃんを乳児院に預けることを決めた。残された赤ちゃんの側で、サクラがかけたこの言葉は、自身が過去に言われた言葉だったのだ。生まれて間もなく、母親を亡くして施設に預けられていたサクラは、周りから心ない言葉をぶつけられていた経験がある。悔しがるサクラに施設の女性が投げかけた言葉だった。サクラは赤ちゃんと自分の過去を重ね、「きっとキミはこれから人の何倍、何十倍も辛いことがあるかもしれない。でも、人一倍幸せになることはできる。」と言った。

鴻鳥サクラ「帝王切開を受ける妊婦さんは自分の病気や怪我を治す為でもなく、赤ちゃんの命を守るためだけに命をかけて自分から手術台の上に上るんです。僕らはそれをお産でないと言えません。帝王切開は、立派なお産です。」

幼少期に、妹の出産の現場に立ち会った経験から、自分の出産時は、助産院で自然分娩をしたいという希望していた妊婦。その妊婦は、自然分娩をするために体力作りの努力も怠りません。痛みに耐えて出産するからこそ、子供を大切に育てられると強く思い込んでいたのだ。
だが、お産の進行が悪く、赤ちゃんにも危険が及ぶという判断から、帝王切開を言い渡される。何度も拒む妊婦だったが、助産師さんの助言もあり帝王切開で無事に赤ちゃんを出産した。無事に生まれた赤ちゃんを見ながら、「かわいい」と涙を流す妊婦さんに、サクラは「帝王切開を受ける妊婦さんは自分の病気や怪我を治す為でもなく、赤ちゃんの命を守るためだけに命をかけて自分から手術台の上に上るんです。僕らはそれをお産でないと言えません。帝王切開は、立派なお産です。」と優しく語りかけるのだ。

四宮ハルキ「優しくしたら患者を救えるんですか?優しいけど患者を死なせる医者と、嫌なヤツだけど助けてくれる医者。医院長だったらどっちに診て貰いたいですか?」

どうしても禁煙ができない妊婦に対し、きつい言葉で指導する四宮。患者に厳しく言いすぎる四宮に対して、院長はもう少し優しく接するようにと諭すが、四宮は聞き入れず「優しくしたら患者を救えるんですか?優しいけど患者を死なせる医者と、嫌なヤツだけど助けてくれる医者。医院長だったらどっちに診て貰いたいですか?」と言葉を返す。四宮には、過去に喫煙が原因で救うことができなかった患者がいる。その時に、優しさを優先したことで命を救えなかった後悔を抱え続けており、優しさよりも患者を救うのが最優先なんだと考えるようになった。

鴻鳥サクラ「君には彼女の痛みも苦しみも肩代わりすることも出来ないし、まだ子どもを育てる力もない。だからじっくり考えていかなきゃね。起きたことから目を逸らさずに生まれてくる命をしっかり受け止められる大人になれるように。」

中学生の女の子は、8か月になるまで自分が妊娠していることに気づいておらず、14歳で出産をすることに。相手の男の子の父親は県議会委員で、お金持ちの息子。お腹に赤ちゃんがいることに実感が沸かない女の子と、現実逃避をし彼女を避ける男の子。
サクラと過ごしていくなかで、赤ちゃんの命の大切さに気づくことができたが、赤ちゃんのために、特別養子縁組に出すことに決める。男の子も、事実を受け止め現実と向き合い始める。出産が終わり、赤ちゃんとの別れが辛く、大泣きする彼女の声を分娩室の外で、ただ聞くことしかできない男の子にサクラは「君には彼女の痛みも苦しみも肩代わりすることも出来ないし、まだ子どもを育てる力もない。だからじっくり考えていかなきゃね。起きたことから目を逸らさずに生まれてくる命をしっかり受け止められる大人になれるように。」と声をかける。
まだ若い、まだ子供、そう思わず、サクラは一人の父親としての彼と向き合ったのだ。

『コウノドリ』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

ドラマに出演している新生児は本物

冒頭にもあげたが、主人公のサクラには実際の産科医のモデルがいるように、本当にリアルな世界が描かれている。作者の鈴ノ木さんは、実際の妊婦さんの気持ちを知るために、実際に分娩台に乗って体感したといわれているほど。この漫画のリアルさを伝えるために、実写化したドラマでは本物の赤ちゃんで撮影されていたそうだ。ドラマ公式サイトにもその事実が書かれている。大体のドラマだと、わかりやすいくらいの人形であったり、鳴き声だけであらわされていたり、明らかに成長している大きな赤ちゃんが出演していることが多い。医療指導の先生が現場に立ち会いながら、マスクの着用や、身体を清潔に保つことなどに注意しながら、本物の新生児たちが出演したのである。鈴ノ木ユウが追及した、リアルな産科医の世界をドラマでもしっかりと再現されているその映像には注目である。

手術シーンはお医者さんの勉強会に使用されることも

よりリアリティを追求したドラマは、各回のテーマごとの専門医との打ち合わせをしながら脚本が作られている。そして、監修している医師たちが撮影現場を見るために全国から訪れる程の出来栄えとなった。撮影を重ねていくことで、スタッフたちはオペシーンの台本を見て器具類を並べられる程、医療知識を習得していったそう。医療に関して素人の人たちがリアルな作品を作り上げていく姿を見た医師たちは、更に自分たちの仕事を頑張ろうと思える程の感銘を受けた。そして完成した第1シリーズの「死戦期帝王切開」のシーンは、手順や段取りをすべて撮影しており、医師たちの勉強会で使用されることさえもある。

小栗旬、親子共演

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