したたかに生きる、戦国の女たち
司馬遼太郎が描く、戦国時代に生きる女性の個性的な生きざまを描いた短編『戦国の女たち』。この中で特にオススメの4編について紹介します。
女は遊べ物語
わがままで贅沢好きの小梅と、すっかり彼女のATMと化している夫。美人ではないが色香のある小梅が持つ男をたぶらかす技術には、「見事」と言うよりほかありません。
胡桃に酒
比類なく美しく強かな妻と、武士としては有能だが妻への畏怖と嫉妬を前に狂ってしまった夫。題にある『胡桃と酒』のように、食べ合わせの悪い夫婦の奇妙な軌跡を描いています。
一夜官女
家庭で冷遇されていた女にもたらされた甘く背徳的な一夜。しかしそれ特有の湿っぽさはなく、まるで青春小説の1ページのような爽やかなラストが印象的です。
駿河御前
豊臣秀吉の妹、と言う立場にありながらあまりにも謎めいている彼女の生涯。司馬遼太郎はそんな彼女を"悲哀に満ちた純朴な女性"として魅力的に書き上げています。